ASAKA通信

ノンジャンル。2006年6月6日スタート。

「リアリズム」 20201003

2021-08-04 | Weblog

 

 


  ───緋村剣心(大友啓史監督『るろうに剣心』2012年)

   その方の言っていることは
   一度もオノレの手を汚したことがない者の
   甘っちょろい戯れ言でござる。
   剣は凶器、剣術は殺人術。
   どんなに奇麗ごとやお題目を口にしても、それが真実。

   けれども、拙者はそんな真実よりも
   カオル殿の言う甘っちょろい戯れ言のほうが好きでござる。


チカラとチカラ、存在と存在がせめぎあう関係
この位相を全否定することはできない
関係世界の構造が導く一つの必然といえる

競うこと、争うこと、戦うこと

自由ということの相互的承認を土台して導かれる活性
この活性が社会の豊饒化の原理を構成している

このことの原理的事実を消去することはできない

理想、倫理、モラルによる制御はおよばない
それは関係世界の展開の核心をなす推進力でもある

勝つこと、優位に立つこと、勝利をつかむこと
すなわち集合的欲望の合流点で際立ち承認を得ること

関係存在としての人間的生が関係的に展開するとき
めがけられる関係価値、関係のエロスの結節がそこにある

しかしここにおいて、〝ただし〟と付け加えなければならない
それは一つの核心的な関係の位相であってもすべてではない
一つであり、人間的生の全域を構成することはできない

全域ではありえないものが全域であると了解され
絶対的な、最後の結審を仰ぐ位相として生きられるとき
世界は貧しさ、苛酷さ、惨劇、滅びの種を加算させていくことになる

この推進力には、いまだ正しく展開の居場所が定められていない
あるいはむしろ、のさばらせすぎていると言ったほうがいい

古風ないいかたを用いれば
「リアリズム」の強行は必ず「クソリアリズム」に転化する
いいかえると荒廃に至る道

この道を歩まないために知るべきことがある
この転化を洞察し、暴走支配を抑止するには
人間的生の全域性という理念を原理的につかむ必要がある

 

 

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