見当らない「あたたかい沈黙」
埋め尽くす「つめたい喧噪」
指定され、配置され、配列された
うごかせないこの世への着生にあって
孤独が孤独を見つけてすれちがう刹那
すこしだけこの世への着生がゆるみ
天使が羽ばたきして小さくウインクする
あたたかい沈黙に触れ、あたたかい血が流れる
そんな、ありそうもない瞬きの時がある
まぼろしかもしれない
そう思うより先に満ちる光のたしかさ
だれかに許された特別なことではなく
ヒトとヒトのあいだに起こる出来事として
そこに唇を向けるように生きたひどく孤独な心がいた
(参:S.ヴェイユ『ロンドン論集とさいごの手紙』田辺・杉山訳)
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