ASAKA通信

ノンジャンル。2006年6月6日スタート。

「ゲーマー、人類」 20200520

2020-05-20 | Weblog

 

「けずりあう」
「なに?」
「存在をけずりあう関係のモードがある」
「どんなふうに」
「望むかたちにアウトラインを刻む」
「存在のかたちを」
「そう。お互いがお互いをね」
「いけない?」
「それでずっとやってきた」
「でしょ」
「つまらない。いい加減にしろと思う」
「先が読めるということかな」
「読み飽きた、見飽きた、聴き飽きた、知り飽きた」
「アルチュール・ランボーさん」
「出発だ。新しい情と響きへ」
「でも、どこにも行けない」
「うん。抜きがたい話法が席巻している」
「抜けるに抜けられない」
「ゲームは惰性化している」
「でも別のゲームは見当たらないな」
「大事なものが枯れていく気がする」
「甘いんじゃない」
「甘い。もっと甘くなりたい」
「すごいね」
「ああ。破格の甘さで溶かしてみようか、世界を」
「げっ」
「けずりあうよりマシ」
「夢ね」
「夢と現実。われわれはその両方を生きる両生類だ」
「だれが言ったの?」
「ヘーゲルという人。哲学者と呼ばれている」
「両生類か。肺呼吸もエラ呼吸もできる生き物」
「でもふたつの呼吸法が身についていない」
「進化の途上にあるわけですか」
「中途半端なので、絶滅するかもしれない」
「そうかな」
「絶滅してもいいけど、その途上でたえがたい惨劇が待ってる」
「それが話法の問題とつながる?」
「そのとおり」
「結局、ゲームは終わる」
「きれいには終われない。たくさんの血が流れる」
「どうすればいいのかな」
「話法、つまりプレーモードを変える必要がある」
「身についたプレーモードは簡単には変わらない」
「ゲームからどんなエロスを引き出せるか」
「新しいプレーのエロス」
「うん。それが見出されたら話法は必然的に変化する」
「まだ見出されていないって?」
「けずりあうエロスだけしか知らない」
「わからないこともない、かな」
「そうじゃない可能性が閉ざされている」
「どうしてだろう」
「比喩としていえば、ゲーマーとして未熟だから」
「ゲーマー!」
「がぶり寄りしか知らない相撲取りみたいな」
「四十八手、それ以上あるのに?」
「押し出してごっつぁんです、だけがゲームのエロスじゃない」
「もっとプレーモードを広げろって?」
「両生類として進化を遂げるにはね」

 

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