ASAKA通信

ノンジャンル。2006年6月6日スタート。

「連結装置」20230408

2023-04-08 | Weblog

 

 

連結装置、人間の意志だけが開く第三の領域がある

直列ではない、結びあわせて開かれる
はかなくもかけがえのない開口部があって
開かれた窓の先に新たな歌が生まれる連結の地平がある

 暗きより暗き道にぞ入りぬべき はるかに照らせ山の端の月
                  (和泉式部『拾遺』)

平安朝、跡かたなく砕け散って消えた千年はるかかなた
一人のおんなの歌が山の端の月のように「今」を照らす

連結のいとなみは通時的であると同時に共時的でもありうる
「今」において享受をともにする意志と意志が出会うことがある

 めぐり逢ひて見しやそれとも分かぬ間に雲隠れにし夜半の月影 
                             (紫式部(『新古今集』)

あの歌があって、この歌があって、未生の歌が励起する
俺たちはこの連結のいとなみに加わることだけができる

外にさがしても何もない
吹きさらしの風が吹いているだけだ
 
 ふるさとは語ることなし (坂口安吾「碑文」)

連結装置、人間の心だけがあつらえる開口部があって
はかなく、かなしくも窓を開いて享受をともにする地平がある

 この憧憬は生の喪失の感情であって、失われたものを生として、
 かつて生に親しみ深かったものとして認知するからである。
 この認知はそれだけですでに生の享受である。
     (ヘーゲル『キリスト教の精神とその運命』細谷・岡崎訳)

 

 

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