ASAKA通信

ノンジャンル。2006年6月6日スタート。

1983 耳男

2006-06-06 | Weblog
一つのベクトルが、
地下鉄の工事現場から大学の構内を抜け、
この惑星の心臓深く持続している。

白昼といわず、深夜といわず、
かすめとられたイノチが歩かされている道があり、

紅に輝く空のむこうには、
哄笑に腹をかかえた不明の中心が
今日も暴利を貪りつづけている。

小さな紛争は、小学校の校庭で、
オフィスの片隅で、家庭の台所で、
あるいはノスタルジーに締めつけられた
難民のキャンプ地で持続の状態にあって、

そこにはいつも、
不明の中心から派遣された私生児として、
正義と倫理と戒律が雨後のタケノコのように林立している。

その貢献は本人の思惑の外にあり
あらゆるコミットメントを、
すべからく一つの全体へと整序していく。

俺たちはベクトルを解除する方法を知らないが、
それでもできることはあるだろう。

〈偶然とは街〉。
子どもたち、大人たちの夜。

同じ空の下で、俺とおまえが一つ一つ、
すくい上げなくてはならないのは、
かなしい夜。
枕元に靴下をおいた、
孤児たちの夢。

コメント