ほんとうのおまえよりおまえが
すこし余計に良い人であったり
すこし余計に悪い人であったとき
過去かあるいは未来が
おまえの心臓を脅迫していた
季節に寄り添い
こころが風景の近くにあったとき
おまえは死の気配を感じていた
それは自然の酷薄なやさしさかもしれなかった
何度目かの訣別が訪れたとき
おまえは一つの風景を諦めたようにみえた
かたちのない喪失がこころに響いたとき
おまえは暗い自由を招き入れたようにみえた
いつも見ていた遠い山並みの向こう側から
とどいていたのはいったのは何
黄昏に染まった空の向こうへ
出て行こうとしていたのは何
谷間の里の風景につつまれ
幼いからだが乳を吸った場所で
おまえはいつか聞きかったのだろうか
尋ねられない問いを秘めながら
いつか答えてくれる誰かを
おまえは探していたのだろうか
〈たくさん生きるんだよ〉
賄いの湯気の向こうには
ほほえみが輝き
じぶんではない誰かを祝福することが
みんなの幸せだった
黄金の時間が流れた
それはあたたかな息と体温が結晶した
おまえがこの世で出会った
最初の光景のひとつをつくった
〈どこまでおまえは行くのだろうね〉
おまえの最初の記憶をつくった光景は
おまえが最後までたずさえていく
こころとからだがひとつに結ばれるための
チカラの原理だったのだろうか
ほんとうのおまえよりおまえが
すこし余計に楽しかったり
すこし余計に悲しかったとき
おまえはもっと遠くへ行きたいと考えていたのかもしれない
いつかほんとうのわかれがくる
その日のために
おまえは準備をはじめていたのだろうか
ひとつの訣別とひきかえに
すこしだけじぶんでかんがえ
すこしだけじぶんの手でつけ加えられる
何かがあることを
おまえは最初の場所から見ていた空の向こうに
そのことを予感していたのだろうか
すこし余計に良い人であったり
すこし余計に悪い人であったとき
過去かあるいは未来が
おまえの心臓を脅迫していた
季節に寄り添い
こころが風景の近くにあったとき
おまえは死の気配を感じていた
それは自然の酷薄なやさしさかもしれなかった
何度目かの訣別が訪れたとき
おまえは一つの風景を諦めたようにみえた
かたちのない喪失がこころに響いたとき
おまえは暗い自由を招き入れたようにみえた
いつも見ていた遠い山並みの向こう側から
とどいていたのはいったのは何
黄昏に染まった空の向こうへ
出て行こうとしていたのは何
谷間の里の風景につつまれ
幼いからだが乳を吸った場所で
おまえはいつか聞きかったのだろうか
尋ねられない問いを秘めながら
いつか答えてくれる誰かを
おまえは探していたのだろうか
〈たくさん生きるんだよ〉
賄いの湯気の向こうには
ほほえみが輝き
じぶんではない誰かを祝福することが
みんなの幸せだった
黄金の時間が流れた
それはあたたかな息と体温が結晶した
おまえがこの世で出会った
最初の光景のひとつをつくった
〈どこまでおまえは行くのだろうね〉
おまえの最初の記憶をつくった光景は
おまえが最後までたずさえていく
こころとからだがひとつに結ばれるための
チカラの原理だったのだろうか
ほんとうのおまえよりおまえが
すこし余計に楽しかったり
すこし余計に悲しかったとき
おまえはもっと遠くへ行きたいと考えていたのかもしれない
いつかほんとうのわかれがくる
その日のために
おまえは準備をはじめていたのだろうか
ひとつの訣別とひきかえに
すこしだけじぶんでかんがえ
すこしだけじぶんの手でつけ加えられる
何かがあることを
おまえは最初の場所から見ていた空の向こうに
そのことを予感していたのだろうか