灰色の初冬の空。夕刻より雨。
昨日(26日)は、お昼前から、シネマ歌舞伎・三人吉三を鑑賞に。
歌舞伎の『三人吉三』を、歌舞伎のまま演劇テイストで、味付け・・・。
シアターコクーンで上演されたものを、シネマ歌舞伎として編集。
3時間半を2時間15分に短縮したものだっただけに、通して全編みたかったな・・・と思う。
庚申の日。
人間の身体中にいる三尸の虫が、眠っている間に抜け出して、その人間の行った悪行を天帝に告げにいくという・・・。
そんな庚申の節分の夜、名刀・庚申丸と百両のお金を巡って、止まっていた因果が巡り出す。
そして、そんな夜に、三人の悪党は、出会い義兄弟の盃を交わす。
和尚吉三(中村勘九郎さん)、お嬢吉三(中村七之助さん)、御坊吉三(尾上松也さん)。
業だとか、カルマだとか・・・。歌舞伎の話には、多いけれど。
例えば、桜姫東文章などは、心中した白菊丸が、生まれ変わって桜姫となって、死にきれなかった清玄の前に現れたり・・・。
物語だから、解りやすい業(カルマ)と因縁だけれど、現実で、背負ったカルマというのは、解りにくい。
なにしろ、前世なんて、わかる術もないし。
三人吉三は、和尚吉三の父親・土左衛門伝吉(笹野高史さん)の所業が、三人の吉三に収斂していく業(カルマ)の物語。
義兄弟の契りを結んだ三人のきずなは、和尚吉三の実の兄弟よりも、強い。
・・・しかしながら・・・惜しむらくは、カット場面が多すぎて、ダイジェスト版のようなキレギレな感じが、否めない・・・ということだろうか・・・。
実の兄弟よりも強い絆が、終盤で、描かれただけで、そのプロセスがよくわからなかった。
三人だから生きていけた・・・というコピーが、活かされない編集のような気がする。
舞台全編を通してみないと・・・。
何で・・・???って。
コクーン歌舞伎と言えば、先代の中村勘九郎さんが、演劇とのコラボレーションとして、始めたニュー歌舞伎?というジャンルだったと思うけれど、歌舞伎と演劇のいいとこ取りだったのかもしれない。
歌舞伎の枠に無理やりはめ込まなくてもいいわけだから。
串田和美さんの演出。
最後の紙吹雪が、もう半端ない。
ひらひら・・・というよりは、3人の歌舞役者さんめがけて、トドーの勢い。瀧のように降ってくる。
もしかすると痛かったんじゃなかろうか・・・と。
白い紙吹雪とお嬢吉三を演じる中村七之助さんの赤い衣装が、美しい。
こういう凄みのある悪女役(役柄は、女装した男だけれど)が、良く似合う。
シネマ歌舞伎・・・。
(多少)料金上げてくれてかまわないから、カットせず、全編を見せてほしい・・・と切に願う。