気ままなあれこれ日記

60代主婦が、日々の雑事から感じたことを日記にしました。

松本 清張

2009-12-02 20:58:50 | Weblog
早朝、NHKの教育テレビで「人物評伝」という再放送の番組を見た。

松本清張について、詩人で作家の辻井喬さん(西武デパートの経営にあたったこともある方)が、語っていた。

渋谷の雑踏を画面に映し、そこを歩く辻井さん。

清張は、今年生誕100年と言うから、北九州、明治生まれで大正デモクラシーを体験した世代だと。

決して、豊かな少年時代ではなく、苦労して、15歳で、仕事につく。社会の底辺に生きる人々の苦しみを実感として知った。
作家になったのは、40代で、社会のタブーに果敢に切り込む小説を書いた。
差別や偏見。
また、作家仲間では、孤高の人で、反俗というより非俗の作家だと。
三島由紀夫が松本を嫌っていたらしい。純文学ではないと。
出版社が、現代作家の作品集を作ろうとしたとき、松本の作品を入れるという企画に対して、三島は、「松本のを入れるのなら、僕は、おりる。」と言ったとか。

「砂の器」という映画は、中学生時代に見たが、本当に、泣けた。
富と名誉を得た作曲家が、自分の辛い過去を消し去ろうとする。
砂浜をハンセン病の父と幼い息子が、歩くシーンは、本当に、不憫で心にジンときた。

松本清張の描く人物像は、悪玉、善玉ではなく、矛盾を抱えながら生きている、そんな人間を描いていると。
人の心の中は、善と悪がいつも渦巻いているのだろう。

辻井さんは、ユングのいう「集団の中の無意識」の危険についても語っていた。
日本人は、どうかすると、集団の中に個人が埋没して、自分の考えをもたずに生きているのではないかと。
だから、先入観や固定概念で物事を見てはいけないとも・・。