知命堂日記   ~  人間五十年、下天のうちをくらぶれば、夢幻のごとくなり ~ 2005.9.11

いつ死んでもおかしくない年のころ。
夢も希望もなく、やっと生きてます。
今を夢幻と思って、ただひたすらに…

国の借金について

2007-08-25 21:09:14 | Weblog
財務省が発表した2007年6月末の国の借金(債務)残高は、
3月末より0・3%増の836兆5213億円と過去最大になった。
国民1人あたり約655万円の借金を背負う計算になるとのことである。
国の借金は、国債のほか金融機関からの借入金、一時的な財源不足を補う政府短期証券の残高などを足したもの。
将来の世代に借金のツケを回す赤字国債が1994年度から毎年発行されている。
行財政改革路線だったにも関わらず借金は最近5年間だけでも約209兆円も増えた。

ここで公債の理論を整理しておこう。
①短期的視点
○ケインジアン……不況の原因を総需要の不足と捉え、政府が国債を発行して市中の資金を吸収し、公共事業を展開することによって人為的に需要を作り出す景気政策が有効であるとする。
○マネタリスト……財政赤字を出して景気を刺激を行っても、国債に資金を吸収されて、民間の投資資金需要をクラウディングアウト(押し出)してしまうので、金利と物価上昇をもたらしてしまう。
○リカード=バーローの等価定理……いくら国債を発行して景気対策を行っても、人々はいずれ発行した国債の元利償還のために増税が行われると考えて、所得が増加しても消費にされずに、将来の増税に備えて貯蓄してしまうので、消費需要が刺激されない。
○公共選択学派……ケインジアンの有効需要政策は不況期に限られるはずだが、議員が選挙民の投票を獲得するために、「たかりの構造」ができてしまい、好況期になっても財政赤字の膨張に歯止めがかからなくなる。
・ケインジアンの議論は、政府官僚=賢者という前提に立っていると批判し、財政赤字を法律で制限すべきだと主張する。
・源泉徴収制度、保険料、間接税といった仕組みは痛税感を与えないので、財政錯覚を生じさせて財政膨張を引き起こしやすいと指摘する。

②長期的な視点
○ケインジアン……資本蓄積と経済成長の長期効果を重視し、公債の活用による世代間の負担の均等化・平準化を実現できるメリット
○公共選択学派……現世代が決定した公共投資について、将来世代は、その決定プロセスに参加しないまま公債の元利償還費を負うことになるとして、民主主義的な手続き論の問題として批判する。
○サプライサイド経済学……財政赤字による総需要管理政策が恒常化すると、過剰に消費に依存する経済体質ができてしまう。
・政府支出の拡大だけでなく、累進所得税、社会保障制度などが勤労意欲を削ぎ、中長期的に生産性の低下を招く。

近年の分析
①大きな政府(政府介入主義)と小さな政府(市場主義)の対立
 バブル崩壊以降、どちらの政策もうまくいっていない。
②公共事業政策の短期的効果
 公共政策の効果は著しく低下しているが、クラウディングアウトも起こっていない。
③公共事業政策の長期的効果
 無駄で浪費的な施設や道路の建設ばかりが行われているために、将来世代へ便益が及ばない。

等価定理に拠れば、結局、増税しても公債発行によってもタイミングの問題だけでその効果は変わらないため、借金しても問題ないということになってしまう。
将来の負担増というものをどう定義するかで諸説が入り交じることになるが、
増税がなければ借金は消えないと考えられる。
この増税をどの世代が負担するのか、そして今の借金によ便益が増税を負担する世代にまで及ぶのかどうか、そういうことを考えながら政策を立案してもらいたい。
少なくとも将来世代へ便益が及ぶものがあるのか疑問である。

明日(26日)は、埼玉県知事選です。
どんな結果になるのか、興味があります。

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