MAXBRIGHT Ⅱ Binoviewer(マックスビノ 2 双眼装置)が昨年 11 月に来てからほぼ半年、その使用感を。
先ず月です。小クレータと丸い飛蚊症が重なって悩むこともありませんし、乱視も同様で眼鏡無しで視ても問題を感じないのはとても嬉しいです。両眼で視ることから疲れ難い点は想定以上でした。裏像だけが残念ですが、それを割り引いても使う価値は十ニ分にあります。春以降のシーイングの良いときに見比べると、確かに月面の切り立った崖や谷などが双眼だと少し甘くなっていますが、比較して眺めなければ双眼でも満足できる像です。
次に惑星。木星では模様が飛蚊症の影響がなくて色の薄い大赤斑が苦も無く見えます。素より単眼でも飛蚊症を避けながら視ることはできますけど。縞模様の構造なども双眼の方が見易いです。土星は暗いし、10cm では本体の模様が抑々分かりませんし、単眼との差は少ないです。
恒星ですと二重星でも、冬の悪いシーイングでもディフラクション・リングが見易かったりして双眼の方が綺麗に見えることが多いです(殊に離角の大きいもの)。β Ori は EMS 使用での単眼 XW5( 148 倍)≧双眼 Hyperion 8( 157 倍)>双眼 Hyperion 17( 74 倍)≧単眼 NAV7( 106 倍)の順で見易いといった感じです。一方で θ Ori を 4 重星として考えると 7 等星以上の A、C、D はどれも明確に見えますが 7.96 等星の B だけは順位がついて XW5=NAV7=Hyperion17>Hyperion8 で、暗くなるから微光星には弱いのかも。
一方で M42 の明暗・暗黒星雲による切れ目などの構造の見易さは Hyperion 8mm>Hyperion 17mm≧Nav7>XW5ですから、暗いのが弱いのかよく分かりません。面積のあるものに双眼は強いのかな(笑)
M45 などの散開星団も双眼視だとなぜか立体的で、見飽きません( Hyperion 17mm )。
結論としは、鏡像にも慣れている(?)うえに老眼・乱視で眼球内に「ゴミ」の多い白頭翁には、月では極めて有効で、木星でも効果大。重星用過剰倍率で鮮鋭さ・コントラストを必要とする対象(近接二重星)以外では、概ね双眼の方が良いか、同じ程度かと思います。
一つの光を二つに分けるので暗くなると考えていましたが、意外に明るいです(両眼で見て脳内合成?)。よって、157 倍から少し倍率を上げても良さそうに感じます。
なお、画像の状態で鏡筒部(アリガタまで含めて)5.5kg になっています。公称積載可能重量 8kg の APZ 経緯台で Hyperion 8mm の 157 倍でも全くストレスなく使えますから、単眼より 1kg ほど重いものの単眼同様 200 倍超えにも耐えられる架台だと思っています。