Leikon's Photo Diary

写真とカメラなどに係わる独り言

三月大歌舞伎 昼の部

2024年03月23日 23時06分03秒 | 歌舞伎

歌舞伎座「三月大歌舞伎」、9日の夜の部に続いて昼の部に芝居見物。お目当ては仁左衛門丈の綱豊卿です。あとは菊之助のニンに合わない(と思っている)松王丸と愛之助の源蔵で寺子屋です。
 
最近のお気に入りの二等の東桟敷席。何と言ってもお弁当が食べやすい(笑)

まず寺子屋。ニンには合わないとは思いましたし、渡辺保さんの評価も厳しかったのですが、菊之助、意外に(!?)良かったです。前半の敵役の場面もそれなりに憎らしいですし、「わらいましたか」「桜丸が不憫でござる」で白頭翁は落涙いたしました。源蔵の愛之助も、陰のある部分を上手く演じていて、この二人の組合せはこれから楽しみです(って、来月もあります!)。戸波の新悟と千代の梅枝も情感溢れ、この女形二人も頼もしいです。

傾城道成寺、よく解りません(自爆) 最後に菊五郎が立ち上がったので安堵しました。

さてさて御浜御殿。もう仁左衛門丈の芝居に尽きます。真山青果の芝居は正直言って好みではありません、説教臭くて。ところが、演者に拠っては見応えのあるものに変わります。将軍後継者としての貫禄、そして新井白石との談義の知性、幸四郎の助右衛門から小川大晴クンまで見事に捌く鷹揚さ、正にはまり役。と言いますか、当世ではこの本をここまで見せてくれる俳優は他にいないでしょう。正に仁左衛門丈の至芸。一方の幸四郎も純粋な若武者を上手く見せていました。本来なら中堅で、夜の部の福岡貢のように座頭もできる役者ですが、仁左衛門丈に謙虚にぶつかっていくのが良かったのでしょう。或る意味、未だこういう役が似合うというレベルなのかも。もっともこのクラスでないと仁左衛門丈とバランスしないので、若手俳優なら使えないでしょう(同じ仁左衛門丈の綱豊に対して、中車の助右衛門をテレビで視ましたが、芝居が大袈裟で、本の臭みが強く出てげんなりしました)。梅枝のお喜世も良かったと思いますし、歌六の新井白石は盤石です(仁左衛門丈と交互に笑い合うところなど絶妙)。やはり観に行って良かったです。



【 本日の演目 】

一、菅原伝授手習鑑(すがわらでんじゅてならいかがみ)
寺子屋
松王丸   菊之助(吉右衛門、仁左衛門)
武部源蔵  愛之助(幸四郎、勘九郎)
戸浪    新悟(児太郎、七之助)
涎くり与太郎 鷹之資(同左、国生)
小太郎   丑之助(丑之助は前回は菅秀才)
百姓吾作  橘太郎(橘三郎、松之助)
春藤玄蕃  萬太郎 (又五郎、亀蔵)
千代    梅枝(菊之助、玉三郎)
園生の前  東蔵(福助、扇雀)
( )内は2019年9月、2014年10月公演の配役。 

四世中村雀右衛門十三回忌追善狂言
二、傾城道成寺(けいせいどうじょうじ)
傾城清川実は清姫の霊 雀右衛門
白川の安珍実は平維盛 松緑
難波経胤  廣太郎
真名辺三郎 廣松
童子花王  亀三郎
童子駒王  眞秀
僧妙碩   友右衛門
導師尊秀  菊五郎

真山青果 作
真山美保 演出
元禄忠臣蔵
三、御浜御殿綱豊卿(おはまごてんつなとよきょう)
徳川綱豊卿  仁左衛門
富森助右衛門 幸四郎
中臈お喜世  梅枝
中臈お古宇  宗之助
おいぬ某   小川大晴
津久井九太夫 由次郎
上臈浦尾   萬次郎
御祐筆江島  孝太郎
新井勘解由  歌六