Leikon's Photo Diary

写真とカメラなどに係わる独り言

三月大歌舞伎 夜の部

2024年03月09日 23時48分36秒 | 歌舞伎

誤認衆の H 口さんのご厚意で、歌舞伎座「三月大歌舞伎」夜の部に芝居見物。『鰯売』の津の阿漕ケ浦は生まれ育った土地でしたのでそれに比べれば遠いですが、『伊勢音頭恋寝刃』には三重県の名所が出てくるので楽しみですね。歌舞伎座での通し上演は 62 年ぶりと云う歴史的な演目です。お目当ては、幸四郎の福岡貢、菊之助の今田万次郎の絡みです。役者としては「つっころばし」と「ぴんとこな」は逆なような気もしますけど。因みに白頭翁の写真の「ピント来な」い、ではありません(自爆)
それと松緑で『喜撰』です。十世三津五郎の絶品はシネマ歌舞伎でしか見ていないので。
 
芝居見物の楽しみ、お弁当。私は「豆狸」のお稲荷で、今月限定の桜稲荷と高菜稲荷を入れました。
 

さて、『伊勢音頭恋寝刃』です。前半の「地蔵前」辺りまでは元気いっぱいの歌昇が目立っていましたね。菊之助はつっころばしにしても覇気がなかったと言いますか、イマイチ。二見が浦辺りから、幸四郎が主役らしい動きになってきます。「万、呼べ」と「身不肖なれど」の見せ場はなかなか良かったと思いますが、その間の扇子を割って大小に見立てる部分はなく、初演時に仁左衛門丈に習ったので已む無しとはいえ、ここは東京型で見たかった。徐々に人を斬る妖しい気配になっていくというのも少し弱いかも。一方のお紺の雀右衛門の縁切りも単に縁切りをしているだけのようで肚に貢を助けるというのが無いような。もっとも、敵を欺くには先ず味方から、とすればこれも「あり」な演技でしょうか。脇では魁春の万野が流石でした。というか、万野で芝居が保っていたようなくらいの名演。これなら斬られるわ、という説得力・手強さが出ていました。彌十郎は無難ですが、又五郎の藤浪は軽い。愛之助と新悟は美味しい役でしたね。
ただ、通しでやった意義は大きいと思います。35 分の幕間を入れて 4 時間弱で筋もよく解りましたし、ダレることなく楽しめました。

「喜撰」。松緑は(少なくとも以前に観た菊之助よりも)なかなか良い味を出していましたね。台詞が少ないので舌足らずな台詞回しになることのある弱点も出ないし、踊りは流石ですし。梅枝も良いですね。権十郎、彦三郎、亀蔵など豪華な所化に亀三郎、眞秀、小川大晴が加わって微笑ましかったです。


【 本日の演目 】

通し狂言 
一、伊勢音頭恋寝刃(いせおんどこいのねたば) 
相の山 
宿屋 
追駈け 
地蔵前 
二見ヶ浦 
太々講 
油屋 
奥庭 
福岡貢   幸四郎
今田万次郎 菊之助
料理人喜助 愛之助
正直正太夫 彦三郎
奴林平   歌昇
油屋お岸  新悟
杉山大蔵  廣太郎
桑原丈四郎 吉之丞
猿田彦太夫 橘太郎
銅脈の金兵衛 錦吾
徳島岩次実は藍玉屋北六 亀鶴
藍玉屋北六実は徳島岩次 市蔵
叔母おみね 高麗蔵
油屋お鹿  彌十郎
藤浪左膳  又五郎
油屋お紺  雀右衛門
仲居万野  魁春


六歌仙容彩 
二、喜撰(きせん) 
喜撰法師  松緑(菊之助)
所化    権十郎
同     松江
同     彦三郎
同     坂東亀蔵
同     萬太郎
同     種之助
同     鷹之資
同     玉太郎
同     左近
同     亀三郎
同     眞秀
同     小川大晴
同     吉之丞
祇園のお梶 梅枝(時蔵)
( )内は2018年5月の歌舞伎座公演の配役。所化は権十郎、歌昇、竹松、種之助、男寅、玉太郎など。