トランプは、1月20日の大統領就任初日に、オバマが任期8年で実行した政策の多くを廃止すると明言した。
その最初のターゲットになったのが医療保険制度改革、通称「オバマケア」である。
ところが、大騒ぎしたオバマケアの廃止法案だったが、議会を通らず取り下げになった。
こんな簡単な法案も通せなかったことで、トランプの政権運営能力に対する疑問が広がった。
もともと低かった支持率はさらに下がり、就任わずか2ヵ月で36%という体たらくである。
そもそもが、何故この男が大統領になれたのか不思議なくらいだった。
差別主義者で人品卑しく、政策論争もまともにできない上に、政治経験もない。
大統領就任式は前例のないほど人が集まらなかった。
失地回復なのか、オバマが推進した地球温暖化対策を全面的に見直す大統領令に署名した。
「雇用を奪う環境規制はなくす」と強調したが、国内外から早くも批判を受けている。
こうした行動がアメリカの国際的指導力、支配力の低下につながることに気付いていないらしい。
驚くべき視野の狭さだ。
想定外だったのは、トランプラリーである。
トランプが大統領に当選すれば、円高株安になると誰もが予想していた。
実際に起こったことは、その逆だった。
ダウは2万ドルを超え、円ドルは一時118円まで円安が進み、日経平均も1万9000円を回復した。
トランプが掲げる経済改革の柱は、大型減税と大規模なインフラ投資である。
新政権の拡張的な財政政策を先取りし、一気にリスクオンの流れになった。
一方で、トランプはドル安を主張している。
大型減税、大規模なインフラ投資は米金利を上昇させ、結果、ドル高になる。
同時に3つは成り立たないのである。
ここでも躓きそうだ。
トランプ政権への疑念から、トランプ相場はあっさり終焉を迎えた。
まだ大統領就任2ヵ月である。
残りの任期をどうまっとうするのだろう。
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