読書日記 嘉壽家堂 アネックス

読んだ本の感想を中心に、ひごろ思っていることをあれこれと綴っています。

アバノの再会 曽野綾子 週刊朝日連載終了

2007-07-08 18:00:20 | 読んだ
集荷朝日で連載していた、曽野綾子の小説「アバノの再会」が7月6日号で終了した。連載20回であった。

アバノとはイタリアの温泉地である。
妻を亡くした戸張友衛が、教え子に誘われてアバノで温泉保養をすることとした。

そのアバノで戸張は、昔家庭教師で教えていた山部響子と出会う。
響子はバイリンガルでそのために家庭教師で日本語を教えていた。
これが「アバノの再会」なわけである。

響子は「不幸な」といえる結婚をしていた。それを癒すために定期的にアバノにやってきて温泉保養をしていたのだが、32年ぶりに再会したのである。

響子と戸張は、観光や保養をとおして、いろいろな話をして、徐々に親密さを増していく。
そして、いよいよ別れのときが・・・
ということで最終回であった。

なんといいましょうか「大人の」というか昔でいえば「老いらくの」という言葉が前につく『恋』の小説が多くなった。
そういう年齢の人が増えてきて、しかも「恋」ということに対しての拒否感というようなものがなくなってきたので、こういう小説が増えてきたのだろうと思うのだが・・・

なんといいましょうか、だんだんつらくなってくるわけですよ、読んでいて。
それは、登場人物たちの心が揺れるのだが、その揺れが切ないのである。進むべきなのか、退くべきなのか。そして「次」がない恋のようでもあるし・・・

若い世代の恋愛小説は切なくても苦しくても、もしかしたら次の出会いというものがもっといいかもしれない、という希望があるので、たとえその恋が破局で終わっても、それはそれなのであるが・・・どうも大人のというか老いらくのそれは、切ない。

しかも小説上では大体が破局というか成就しない。
もっとも成就する大人の(老いらくの)恋は、なんだか気持ち悪いところもある。

というわけで、この「アバノの再会」はどうなったのか。

曽野綾子の小説は小説雑誌でしか読んだことがなく、ということだから短編だけだったので、初めて長篇といえるものを読んだのだが、ななか面白かった。

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