読書日記 嘉壽家堂 アネックス

読んだ本の感想を中心に、ひごろ思っていることをあれこれと綴っています。

春一番 お鳥見女房 諸田玲子 小説新潮2月号

2010-01-30 21:58:54 | 読んだ
お鳥見女房シリーズの最新話である。

このシリーズも始まってから月日がたち、それにつれ物語の時代も進行し、いまや、主人公の「お鳥見女房」こと矢島珠世の父・久右衛門は亡くなり、子供が活躍する物語となっている。

またこの物語が始まった頃のもう一人(一組?)の主人公的役割であった石塚源太夫・多津の子供たちも成長している。
(ちなみに私は次女の『秋』のファンである)

さて、現在の物語は、縦糸的に、珠世の長男でお鳥見役を勤めている久太郎がお鳥見役の影の任務である「密偵(隠密)」の任務を命ぜられていることがある。

これは久太郎の祖父も父も命ぜられ、それぞれ九死に一生を得たような経験をしている。だから、このことは、矢島家の中に影をおとしている。

この縦糸に矢島家またはその周囲に事件が発生するのである。

今回の事件は「火事」である。
そして、それは石塚家の長男・源太郎の恋を生み、さらには久太郎の任務にも関わりがあるようだ。

『はかない』『むすばれない』恋と大名家同士の諍いが、火事の原因ではないかというところまで、珠世は気づくのであるが・・・
それはどうしようもないことなのである。

時代小説の登場人物たちは、というか時代小説では自らに降りかかる出来事を受け入れる。受け入れるところからはじまる。

それが現代では「受け入れない」というところがある。
そのあたりが時代小説のいいところだと思う。

次男で永沢家に夫婦養子となった、久之助・綾夫婦に子供ができたようで、矢島家には一つ明るい光が差し込んだようである。

次回が楽しみである。
だから読書はやめられない。

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