読書日記 嘉壽家堂 アネックス

読んだ本の感想を中心に、ひごろ思っていることをあれこれと綴っています。

ブログ 大岡玲  モクソカンの首 東郷隆 小説現代6月号

2006-07-04 21:51:46 | 読んだ
ブログ 大岡玲
 
主婦の和代は2年前から「いちゃもんオバさんの生活実感日記」というブログを始めた。
「匿名」であるということから、見るもの聴くもの、あたるをさいわいにとばかりに社会のさまざまなことに「いちゃもん」をブログで発表していた。

最近の記事では、コメントが239、トラックバックは19、訪問者8802人を記録し、人気ブログのひとつになっている。

日ごろの鬱憤をブログで果たし、あるときはある店からお詫びのコメントまで引き出したりしていたが・・・あるとき・・・

ブログによって、一般人の発言が容易になった。(かくいう私もこうして発言をしているのであるが)その発言の責任は、或いは発言者たちの満足感とは、ということをサラっとまとめてある小説である。

ブログならず、インターネットというかこういう場所での発言というのは、当初自己満足得るために、ついでに誰かが少し共感してくれれば、という気持ちで始まるのだろう。(私がそうである)
しかし、その発言が社会的に大きく取り扱われることになった場合、匿名でいいのか、というのは今後大きな社会的課題になるのではないだろうか?
なんて思ったのである。

モクソカンの首 東郷隆

東郷隆の小説は「定吉七番シリーズ」つまりはジェームスボンドの007シリーズのパロディ小説を読んでいた。これ馬鹿馬鹿しくてよかったのだけれど、なんだか中途で終わってしまった気がする。

ということで、今回は、著者が作曲家の團伊玖磨氏を訪ねることから始まる。
團氏のお宅にある「朝鮮牧使之兜」(ちょうせんモクソのかぶと)を見るためである。

さて、そのモクソの兜とは、いわゆる西洋の中世の騎士たちがかぶっていたような鉄の目の部分だけが開いているようなものである。

このモクソの兜はどうして團氏の家にあるのか、それよりなぜ日本にあるのか?
それは太閤秀吉の朝鮮出兵のときまでさかのぼる。
そしていよいよ朝鮮出兵時の物語が語られる。

朝鮮出兵にかかわる小説というのは少ない。それは多分物語として成り立たないのではなく、いろいろなところに配慮しなければならないからかもしれない。
そういう意味ではこの物語は合格している、そして物語としての面白さも十分である。

東郷隆、ちょいと注目である。

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