読書日記 嘉壽家堂 アネックス

読んだ本の感想を中心に、ひごろ思っていることをあれこれと綴っています。

無双の花 葉室麟 オール読物(2011年2月号~6月号)

2011-07-26 20:08:34 | 読んだ
オール読物に連載された「歴史小説」である。

ちなみに葉室麟は初めてである。

物語の主人公は、戦国武将の「立花宗茂」である。

立花宗茂といえば、九州の大名で居城は柳川。
柳川といえば、新婚旅行に行った場所で、「御花」は旧柳川藩主・立花家の別邸。すばらしかった。堀めぐりも当然しました。

というくらいの知識である。

で、今回この物語を読んで「えっ!そうだったの?」というところが多くあり、改めてもっと前からこの武将を知っておくべきだった、と思ったのである。

立花宗茂は複雑な生い立ちであることは、なんとなく知っていた。
九州の名門、大友家の重臣・高橋紹運の嫡子として生まれるが、同じく大友家の重臣・戸次鑑連(べっきあきつら)に望まれて、その娘で、立花家当主であった千代(ぎんちよ)と結婚し養子となるのだが、この戸次鑑連(べっきあきつら)は立花道雪であるので、養子となって立花を名乗るのである。ああ、ややこしい。

そして、大友氏滅亡後に大名として独立するのである。このあたり、竜造寺と鍋島との関係に似ているので混同してしまう。

さて、この物語を読んで、立花宗茂は「名将」であることがあらためて教えられた。
勿論、主人公とするわけであるから、いいところを多く描いてあるのだろうが、それにしてもいい漢(おとこ)である。

大友家の家臣から、豊臣秀吉に「東国にては本多忠勝、西国にては立花宗茂、ともに無双の者である」と認められ、筑後・柳川十三万石の大名、小田原攻め、朝鮮への侵攻では、更にその名を高めた。
しかし、関が原の戦いでは西軍に就き、負け戦の後は牢人となる。
その後、徳川のもとで五千石の旗本、そして奥州・棚倉で一万石の大名、加増され三万石、大阪・冬の陣、夏の陣では徳川秀忠に直属し戦い、そして家康の死後4年目に、柳川十一万石の大名に返り咲く。
更には、島原の乱にも出陣し「武神再来」と諸大名が囁いた。

すごい経歴である。
戦だけでなく民政にも力を発揮し、柳川に返り咲いたとき、領民からも歓迎され、旧臣たちも復帰する。

「立花の義とは、裏切らぬこと」
を貫いた、貫いたがゆえに徳川からも信頼され多くの大名からも尊敬された。

この物語では、妻・千代、八千子との細やかな愛情についても語られている。

そして、妻達と心で誓った「無双の花」を柳川に咲かせることが出来た。
近頃珍しく、歴史もので感動したのであった。

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