読書日記 嘉壽家堂 アネックス

読んだ本の感想を中心に、ひごろ思っていることをあれこれと綴っています。

剣客商売 池波正太郎 新潮文庫

2010-01-02 00:10:54 | 読んだ
「週刊・池波正太郎の世界」第2号が剣客商売の特集であった。
それを読んだら(見たら)無性に剣客商売に関わりたくなった。

剣客商売は、炬燵に入って熱燗を無口な美女の酌で、『塩辛』とか『きんぴらごぼう』をつまみとして、まったりというかくつろいで・・・つまりそのまま寝てしまってもいいような形(美女はその時毛布かなんかをかけてくれる)で、読みたい。

今、この現状で、そういうことが許されるわけもなく・・・というか、今後もそういう形がありえないのだが、兎も角その様な形に近い状況も望むべくもないので、DVDを借りてきて、一人さびしく見たのであった。

と、そうこうするうちに、BSで2時間スペシャル版が放送され、いよいよ『剣客商売いいよなあ』熱が上がってきたのである。

というのは、ドラマ(映像)版では、主人公・秋山小兵衛を藤田まことが演じているのだが『違和感』なのである。
小兵衛は『小柄』というのが大きな特徴なのに、藤田まことでは大きいのである。
体格以外には何の不満もないのであるが、小柄な老人、ゆえにその凄さが倍増するのになあ・・・と思うのである。

ちなみに、お春を演じている小林綾子はピッタリである。
池波正太郎モノには、こういう女性は殆ど登場しない。
こういうというのは「天真爛漫」「純朴」「あっけらかん」「裏のない」ということで、『不幸』なんてこれっぽっちも感じない人ということである。
小林綾子はそれをピッタシで演じている。山形の田舎で苦労して育ってきたとは思えない、ってそれは「おしん」か。

閑話休題
というわけで、映像では満足できなかったのである。
で、年末「整骨院」へ行くお供としたのである。
(多分整骨院は混んでいて待ち時間があるだろう、という見込みである)

いやあ、よかった。
ほとんど『筋』はわかっている。
物語の行方や結末がわかっていても面白いのである。
それだけこの物語には「深い」ものがあるんだろうと思う。

剣客商売は、主人公の秋山小兵衛が融通無碍、自由奔放であってなおかつ人情味溢れる考えと振舞いで事件を解決していくものであるが、今回、小兵衛に負けず劣らず筆者の姿勢がうかがえる文章があった。。

『この日いちにちを、飯田平助が、どのような心境ですごしたかは、筆者も知らぬ。』

この文で、飯田平助がどのようにしたらいいのかわからない一日、思い迷い惑い身の置き場がない一日を過ごしたことを表している。

それにしても「筆者は知らぬ」はすごい。

というような新たな発見を読み返すごとにできるのが、私にとって池波正太郎の物語の大きな特徴なのである。
第2巻を読むのか、思案中である。

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