小説新潮に2010年9月号から2011年6月号まで連載されていた小説である。
著者「小路幸也(しょうじ ゆきや)」の作品ははじめて読む。
さて、物語の主人公は、沢方佳人。佳人が中学1年のときに父がなくなり、母が3兄妹を育てるため保険の外交に忙しくなり、長男である佳人が、三つ下の双子の弟と妹の面倒を見ながら、掃除洗濯食事の支度をやってきたが苦痛ではなかった。本人曰く「生まれつき主夫的要素を多く持った男だから」
現在はアルバイトをしながら家族の世話をしている。
というところに『シェアハウス』に入居し「大家と入居者の繋ぎ役」をやって欲しいという依頼が、母親経由で入る。
そのシェアハウスというのが「荻窪 小助川医院」で、病院だった部分を改造してシェアハウスにしたというのだ。
佳人は、不動産屋の相良奈津子の熱心な誘いとシェアハウスに期待をこめている気持ち、また、小助川医院に小さいとき病気になると行っていたこともあり大家の小助川鷹彦の人柄にも惹かれ入居することとなる。
シェアハウスとは
『(前略)友達と一緒に一軒の家を借りて住むみたいな感じだ。家賃も払ってそれぞれの部屋もあるけど、キッチンやお風呂は共同で使う。もちろん食事はそれぞれが勝手に作って食べるけど、共有の居間のようなスペースがあるから一緒にご飯を作ってそこで一緒に食べても構わない。あくまでも、それぞれの自由意志で。
ただし、一緒に住む人たちと毎日を気持ち良く過ごすためのマナーやルールを守ってもらう。ひとつの家に住む仲間としての意識を持ってもらう』
そして、男は佳人ともう一人、女性が3人、プラス母屋に住む小助川先生との暮らしが始まる。
心配していた大きな揉め事はなかったが、小さな事件はあり、それをみんなの力で解決していく。
これほどうまく行くのか?
という疑問がないわけでもないが、うまく行ってほしい、というこちら側の希望もある。
大人の小助川鷹彦先生は、佳人だけでなく住人達にもアドバイスを与えてくれるし、住人達の中でも年上の人たちはそれぞれの人生経験からうまく生活できるよう、佳人を助けてくれる。
そして、若い力もまっすぐ進む原動力である。
シェアハウスは、家族のようにつながっていく。
いや、家族と居るときよりもそれぞれが遠慮し相手を気遣うので、いい人間関係が育っていく。
ラストは思いもかけない展開となるが、それは非常にさわやかなものである。
続編があるといいなあ、と切に思う。
久しぶりに、さわやかな物語を読んだなあと、しみじみ思うのである。
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著者「小路幸也(しょうじ ゆきや)」の作品ははじめて読む。
さて、物語の主人公は、沢方佳人。佳人が中学1年のときに父がなくなり、母が3兄妹を育てるため保険の外交に忙しくなり、長男である佳人が、三つ下の双子の弟と妹の面倒を見ながら、掃除洗濯食事の支度をやってきたが苦痛ではなかった。本人曰く「生まれつき主夫的要素を多く持った男だから」
現在はアルバイトをしながら家族の世話をしている。
というところに『シェアハウス』に入居し「大家と入居者の繋ぎ役」をやって欲しいという依頼が、母親経由で入る。
そのシェアハウスというのが「荻窪 小助川医院」で、病院だった部分を改造してシェアハウスにしたというのだ。
佳人は、不動産屋の相良奈津子の熱心な誘いとシェアハウスに期待をこめている気持ち、また、小助川医院に小さいとき病気になると行っていたこともあり大家の小助川鷹彦の人柄にも惹かれ入居することとなる。
シェアハウスとは
『(前略)友達と一緒に一軒の家を借りて住むみたいな感じだ。家賃も払ってそれぞれの部屋もあるけど、キッチンやお風呂は共同で使う。もちろん食事はそれぞれが勝手に作って食べるけど、共有の居間のようなスペースがあるから一緒にご飯を作ってそこで一緒に食べても構わない。あくまでも、それぞれの自由意志で。
ただし、一緒に住む人たちと毎日を気持ち良く過ごすためのマナーやルールを守ってもらう。ひとつの家に住む仲間としての意識を持ってもらう』
そして、男は佳人ともう一人、女性が3人、プラス母屋に住む小助川先生との暮らしが始まる。
心配していた大きな揉め事はなかったが、小さな事件はあり、それをみんなの力で解決していく。
これほどうまく行くのか?
という疑問がないわけでもないが、うまく行ってほしい、というこちら側の希望もある。
大人の小助川鷹彦先生は、佳人だけでなく住人達にもアドバイスを与えてくれるし、住人達の中でも年上の人たちはそれぞれの人生経験からうまく生活できるよう、佳人を助けてくれる。
そして、若い力もまっすぐ進む原動力である。
シェアハウスは、家族のようにつながっていく。
いや、家族と居るときよりもそれぞれが遠慮し相手を気遣うので、いい人間関係が育っていく。
ラストは思いもかけない展開となるが、それは非常にさわやかなものである。
続編があるといいなあ、と切に思う。
久しぶりに、さわやかな物語を読んだなあと、しみじみ思うのである。
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