読書日記 嘉壽家堂 アネックス

読んだ本の感想を中心に、ひごろ思っていることをあれこれと綴っています。

マエストロ 篠田節子 角川文庫

2005-12-14 21:06:26 | 読んだ
「添乗員疾風録」を買ったら、帯に「(角川文庫を)2冊買うと必ずもらえる」という「文庫ポーチ」があったので、もう一冊をと思い「警察官僚」という角川文庫を一緒に購入し、早速、携帯で応募したところ、その「警察官僚」という本は対象外である、というメッセージが、真夜中の1時過ぎに届いた。

翌日確認をしたところ「2冊買うと必ずもらえる」という前に、その文字の3分の1くらい小さな文字で「フェア対象商品の中から」という文字があるではないか。

という事件があると、なんとしてもポーチが欲しくなる性格なので、本屋に行って角川文庫をあさったが、どうも読みたい本がない。しかしポーチは欲しい、ということから、これも帯の惹句「美貌のヴァイオリニストに仕掛けれた罠」から、この本を買ってしまった。

で、何気なく読み始めたら、なんとなく面白い。そしてクレッシェンドに面白くなっていくではないか。
そんなわけで昨夜はとうとう1時30分頃までかかって読み終えてしまった。

文庫本あとがきで著者は
「死体の転がらないミステリを書いてみたかった」
と書いている。

まあミステリといえばミステリだろうが、別に無理してジャンルを特定する必要もないと私は考えているし、ミステリと一概にくくれない物語だと思う。

何しろ、美貌のヴァイオリニスト神野瑞恵が主人公というだけで、なんだか怪しい気分になるではないか。しかも彼女は、表向き一流のヴァイオリニストではあるが、自他共に一流半またはそれ以下だという、悩み多き演奏者であり、ひたむきに演奏に取り組もうとすることから、生硬い、印象があり、そのことを本人が良く知っているという不幸な演奏者でもある。

さて、その美貌のヴァイオリニストが巻き込まれた事件とは・・・

瑞恵の心の動きにイライラさせられ、それは違うんではないかい?と助けたくなったりしながら、ヴァイオリンに関するウンチクのようなものに感心し、それにしても「いいやつ」が出てこないなあ、と嘆き、物語を読み進めたのであった。

最後の最後に「嫌なやつ」と思ってた人が「いいやつ」になったりして、主人公に「人生、捨てたものではないよなあ」なんていいたくなったりする。

ポーチをもらうために買った本ではあったが、おもしろかった。

追伸
 本日、週刊朝日など雑誌を買うために本屋に寄ったところ、米原万里の「オリガ・モリソヴナの反語法」を見つけてしまい、ダメダダメダと思いつつ買ってしまった・・・

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2 コメント

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読みました (北上 祐)
2005-12-15 00:26:08
2週間くらい前だったか、私も読みました、「マエストロ」。なかなかよかった。



篠田節子は何となく読み始めるというタイプではなくて、高村薫ほどではないにしろ、ちょっと気が入っていないと読み始められない作家だと思うのですが、わりと軽い感じで読み始められた。



美貌のヴァイオリニストの主人公、という設定に惹かれるのはまあ正常な感覚だよね。終わり方もまあ納得。





月曜日、「77スターライトシンフォニー」に当たって、岩崎宏美を聴いてきました。歌声は変わってなっかた。笑い方も一緒だったし。同世代には無条件でエールを送りたくなります。



それにしても、当時の歌の歌詞、覚えてるんだよね、やっぱり。全部今でも歌えてしまいました。



今年のページェントはなかなかきれいです。

葉っぱが落ちていないのが良いのかもしれません。ただ今年はすごく寒い。風にはお互いご用心。
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おお!読まれましたか (嘉壽家堂)
2005-12-15 20:28:44
篠田節子は「女たちのジハード」と「カノン」しか読んでませんが、おっしゃるとおり読もうとするときは、ある種の覚悟が必要ですね。

今、小説新潮に連載されているものがあるのですが、読まずにとっています。



スターシンフォニーは何年も応募しているのですが当ったことがありません。

岩崎宏美ですかいいですなあ。

あんまり「歌」に縛られず歌っていく姿がいいですねえ。

私は「チョコリロ」の歌が聞きたい(!?)
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