読書日記 嘉壽家堂 アネックス

読んだ本の感想を中心に、ひごろ思っていることをあれこれと綴っています。

ビーンボール -スポーツ代理人・善場圭一の事件簿- 本城雅人 文春文庫

2015-02-08 16:27:34 | 読んだ
本城雅人の野球関係の小説をオール読物で読んで興味を持ち、検索した結果、この本を選んだのであった。

最初は、短編の連作ものと思っていたのであるが、案に相違して長編であった。

主人公は、元プロ野球選手で弁護士資格を持つ善場圭一。
プロ野球選手の契約代理人を務めている。
その交渉は、選手にとって最も有利になるように行うことから、球団側からも嫌われ、世間からも「ゼニバ」と呼ばれ、評判が悪い。

しかし、善場は信念をもって選手のために交渉し、決してゼニのためではない。
のだが、善場は説明も言い訳もしない。誤解されたって構わない、と思っているのだ。

今、善場はソニックスの投手・結城憲吾のジェッツ移籍の契約について話し合いを行っている。
ジェッツから提示された条件と、こちらから提示した条件がかみ合わず、暗礁に乗り上げている、というか、善場はこちらの提示を飲み込むまで譲らないつもりである。

そういうとき、前に代理人契約をしていて引退したジェッツの瀬司が行方不明であることが判明する。
瀬司の妻であり、結城憲吾の野球以外の契約を担当する羽田貴子に瀬司の行方を捜す依頼を受ける善場。

そして物語は、瀬司の高校時代にまでさかのぼって繰り広げられる。

謎が謎を生み、からみに絡んだ謎の糸をほぐしていくうちに、事件は大きくなっていく。

というわけであるが、その謎の原因はなんというかちょっと意外であり、そのためにこんな大きな事件となるのかと思い、また解決の方法もあっけないというか・・・今の時代にそんなことがあるのか?なんて疑問が生じてしまう。

そのあたりの納得性については、西村京太郎の小説に近いくらい、つまり、胸のつかえがとれず、若干の残存感が残るのである。

しかし、この物語を謎を追い解決するところに重点を置かず、野球選手の契約について、野球選手の思考のあり方について、更に野球選手の寿命についてのほうに視点を強めると、この物語は実に面白いものになる。
というか、そっちのほうが著者の主題ではなかったのではないか。

野球小説、野球を巡っての人間物語というのは私の好むものである。著者の他の作品についても手を伸ばしてみたいと思いっている。

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