読書日記 嘉壽家堂 アネックス

読んだ本の感想を中心に、ひごろ思っていることをあれこれと綴っています。

日本辺境論 内田樹 新潮新書

2011-04-18 21:21:39 | 読んだ
2009年11月に発表され、話題となった本である。

で、2010年2月に購入した。
しかし、その後ずっとほったらかしにしていて、この震災のあと、部屋の片づけをしていて見つけた。

それで、この1ヶ月、少しづつ読み続けたのである。

「はじめに」にこの本の趣旨が書いてある。

「日本は辺境であり、日本人固有の思考や行動はその辺境性によって説明できる」
だそうである。
そして、その説明のためにだけこの本が書かれている。
というか、その証明を多くの書物、出来事から検証している。
ただそれだけの本である。

だから、この本を読んで『新しいことを知る』ということにはならなくて『なるほどそういう理由だったのか』と確認をすることになる。

日本は有史以来、自分が辺境の民であるということを自覚している。
そして、その辺境性を意識的に利用したり、知らず知らずのうちに発揮して、これまですごしてきた。

それは『いい』とか『悪い』ということではなく、今もう一度この辺境性を理解していこうではないか、というのが、著者の言いたいことではないだろうか。

で、その主張を肯定するのか否定するのか、といえば、「なるほど、そうである」と思う部分と「それは、ちょっとなあ」という部分と「なんだかよくわからない」という部分がある。

が、私としては概ねうなづけるものであった。

それで、概ねうなづいてそれを何かに活用しようか、ということができないのが本書の特徴でもある。

そうだったのか、ということを知って、では何をしようかとか何かできないか、と考えることはできないのである。

つまり、この本は内省の本なのかもしれない。
それゆえに著者はこの本は外国語に訳して紹介されることはないだろう、と言ってる。
日本人が日本について考えるためのもの、なんだろう。

日本の特殊性や文化を「辺境」と言う言葉で全て説明できるとは思わないが、多くの部分(面積)とある程度(深さ)は「そうだろうなあ」と思える。

なんというべきか、誤解を恐れずに言ってみると、「自分探し」の本ではないかと思うのである。
自分を探していたら、なお深くわかる部分もあり、なんだかよくわからない部分もあり、結局は探す前とあまり様子は違わない、しかし、探そうとした自分がそこにいたことはしっかりと確認できた。
そういう感想である。

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