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読書日記 嘉壽家堂 アネックス

読んだ本の感想を中心に、ひごろ思っていることをあれこれと綴っています。

ライン 篠田節子 週刊朝日連載-最終回-

2011-01-22 14:23:45 | 読んだ
週刊朝日に連載されていた小説「ライン」が1月28日号で最終回となった。
全部で54回だから、1年以上の連載であった。

主人公の加藤栄美は、東京のベンチャー企業の社長秘書としてマスコミにも取り上げられ活躍していたのだが、突如の社長の失脚により失職する。

なまじマスコミで騒がれていただけに「次」というのがなく失意のうちに故郷に戻るが、居所も仕事もない。
しかたなく、24時間稼動のサラダをつくる工場(?)に夜間アルバイトとして勤めることとなる。

その工場では「研修生」としてフィリピン女性を雇用している。

劣悪な作業環境とそれに見合わない賃金、そしてセクハラ。
これらのことに最初は目をそむけていた栄美であったが、フィリピーナが体の不調を訴えたり妊娠をしたことなどにより、労働環境の改善化に取り組むこうとする。
内心は「何にも関わりたくない」のであるが・・・

そうこうしているうちに、フィリピーナも自分も体が不調なのは、労働環境の劣悪さだけではなく工場で作られたサラダに原因があるのではないかと疑う。

無農薬野菜、ハイテク農場と、そこで作られた野菜にかける調味液。
これらがもたらす害について、栄美は同級生の小学校栄養教諭:市川聖子とハイテク農場を経営する(といっても一農家であるが)三浦剛とともに、告発を試みるが失敗をする。

そして、彼らはさまざまな迫害にあう・・・

というところで大逆転があったわけだが『農業をめぐる問題点を鋭くえぐった小説』としてなかなかに面白く読んだ。
いささか理想的な面もあるのだが、小説はそうでなくてはならない。

野菜は無農薬、減農薬というような傾向があるが、一方では「安い」のがいいともされる。
無農薬、減農薬では大量生産をすることは難しいし「高く」なる。
「安全で安心していつでも食べられる安い野菜」なんて作れるわけがない。
それなのにそれを望むのは消費者のワガママではないだろうか。
と、私は思っている。

無理をすればどこかにヒズミが生じる。
そのヒズミはいつも弱いものから影響を受ける。

一体誰がこのヒズミを是正することが出来るのだろうか?

1970年代に「自然に帰れ」というコトバが流行したが、コトバだけで終わってしまった。
私はいつ自然に帰れるのだろうか。
そんなことを思いながら読み続けてきた。

この物語は朝日新聞出版から単行本として発刊される予定だそうである。

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