読書日記 嘉壽家堂 アネックス

読んだ本の感想を中心に、ひごろ思っていることをあれこれと綴っています。

ローマ人の物語38 キリストの勝利(上) 塩野七生 新潮文庫

2011-01-03 21:18:37 | 読んだ
いつ読もうか?と発売された夏ごろから気になっていた。
で、やっと読み始めたのである。
題名を見ておわかりのとおり、本書は「キリストの勝利」3冊のうちのはじめである。ちなみに、ローマ人の物語第14巻である。

第13巻では、コンスタンティヌス大帝が描かれた。
キリスト教を認め、ローマ帝国の舵を大きく切った皇帝である。

本書では、コンスタンティヌスが亡くなったあとについて記している。

コンスタンティヌスは、自分の後を5人の副帝(カエサル)を配置した。
しかし、こういう場合必ず跡目争いが起きる。
これは古今東西必ず発生するものである。

そして、その跡目争いに勝利したコンスタンティウスは、徹底的に自分のライバル達を殲滅する。
そのために、帝国を守る人材と後継者の人材に不足する。
というのが、この38巻の流れである。

そしてもう一つは「キリスト教」の台頭である。

著者は、巻頭の「読者に」でこう言っている。

 時代の転換期に生きることになってしまった人でも、選択の自由ならばある。
 流れに乗るか
 流れに逆らうか
 流れから身を引くか


そして著者はこの「キリストの勝利」を語るにあたっては、第3の視点「流れから身を引くか」という視点になるといっている。
それは

「ローマ人をここまで書いてきた私にとっては、他の二つの立場よりは身近に感じられるから」

なのだそうだ。

それから著者は、これまでローマ人の顔を可能な限り紹介してきたことをあげて、この巻から紹介している顔はローマ人の顔なのかと思うくらい変容しているとしている。
そして、

「リーダーの顔は、その人の顔の現実を映すだけでなく、表現する側がどう見るかを写すものでもある。」

とし、

「リーダーの顔も、彼らが生きた時代を反映しないではすまないからであった。」

であるなら、現代のわが国のリーダー達の顔はどうだろうか?
将来、我々が選んだリーダーとして紹介されるに足りるだろうか?
うーん。

更に、本書の最後には、コンスタンティウスから副帝(カエサル)に任命された、ユリアヌスについて記されている。

ユリアヌスは、跡目争いで殺されたコンスタンティヌスが任命した副帝(カエサル)の息子であり、コンスタンティヌスの血族で現正帝(アウグストゥス)コンスタンティウスの唯一の血族である。

しかし彼は、副帝になるまでの24年間の殆どは幽閉された日々であり、同じような運命の兄はすでに殺されている、という境遇である。

このユリアヌスは、副帝に任命され蛮族に荒らされたガリアに赴任し、蛮族を退けることに成功する。

著者はこのユリアヌスが成功した理由を、責任感と高揚感ではないかとしている。
まあなんというか「ベタ褒め」なのである。

そのユリアヌスが失脚するらしい。
それは39巻。

「ブログ村」というところにこのブログを登録しています。読書日記を探しているかた、下のバナーをクリックするとリンクされていますので、どうぞご覧ください。またクリックしてもらうと私の人気度が上がるということにもなります。そのへんもご考慮いただき、ひとつよろしくお願いします。
にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする