毎週月曜日21時から22時まで、BS-TBSで放送されている「吉田類の酒場放浪記」は、近頃大のお気に入りのテレビ番組である。
その吉田類の著書「酒場歳時記」である。
吉田類とは何者か?
本書には『酒場詩人』とある。
履歴には『画家』(仏教美術に傾倒し、シュール・アートの画家、というから、要するに我々凡人にはなんだかよくわからない画を書く人なんだろう)として活動し、パリを基点に渡欧を繰り返す。
続いては『イラストレーター』に転身
更に1990年代からは酒場や旅をテーマに執筆をはじめ、現在は俳句愛好会を主宰している。
従って、本書も「歳時記」とあるように、本書は『句集』の観もある。
つまり、俳句が見出しのようになっていたり、酒場放浪記のように結末(まとめ)となっていたりする。
本書は2004年発刊である。だからちょいと現実とそぐわないところもある。その辺は酒場の案内書ではないのだから。
そう、本書は、酒場を巡り歩いて、その時その都度感じたことを書き留めているのであり、決して酒場の案内書ではない、そのことを心がけていなければならない、つまり本書を読んでその店に行ってみようなんて、あまり強く思わないほうがいいのである。
『はじめに』にこんな文章がある
「酒場は、春に芽吹いた路傍の草のようである。初夏に可憐な花を咲かせたかと思うと、稔りなきまま枯れてしまったり、辛うじて冬を乗りきったりする。」
どうですか、2枚目の文章ですよねえ。
とっても、酒場放浪記でみる、あの飲んだくれのおっさんが書いたとは思われない。
更に
「(前略)地下鉄を乗り換え、街を歩き、横丁に入る。酒と出会い、人と出会う。発見と喜びがあり、別れがある。
それは、酒場を巡る四季であり、世相を反映したレアな人間学スポットなのだ。」
なんて、いかにも俳人らしいではないか。
類さん(親しみを込めてこう呼ばせてもらおう)の酒場めぐりのいいところは「雑然とした」或いは「うらぶれた」カンジであるところで、いわゆる「こだわっている」というような店ではなく、それでいて「凝っている」、そんな店に行くことである。
そして類さん自身も、「酒はこうでなくてはならない」とか「肴はこうであるべき」とかのない人である。
そうして、鋭く社会と人間を観察し、暖かく眺めている。
酒や酒場に関しては融通無碍で、なんでもあり、何でも来い、という姿勢は、例えば「下町のハイボール」である「酎ハイ」のルーツをさぐりながら、『だから酎ハイはこうあらねばならぬ』などとはいわない。
『いいじゃないの、いっぱいあったって』というカンジ。
久しぶりに読み終えるのが寂しかった本であった。
ちなみに、私の好きな「句」は
夜桜や天に猫の目ひとつあり
汗ホッピー厨の猫の多きかな
と猫にちなんだものでありました。
というか、類さんの句は難しい。
それより、ぶんではあったが、こちらのほうが『句』または『短歌』のようであった。
ジャズにはバーボン系のウィスキー。それに、隠れ家。
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その吉田類の著書「酒場歳時記」である。
吉田類とは何者か?
本書には『酒場詩人』とある。
履歴には『画家』(仏教美術に傾倒し、シュール・アートの画家、というから、要するに我々凡人にはなんだかよくわからない画を書く人なんだろう)として活動し、パリを基点に渡欧を繰り返す。
続いては『イラストレーター』に転身
更に1990年代からは酒場や旅をテーマに執筆をはじめ、現在は俳句愛好会を主宰している。
従って、本書も「歳時記」とあるように、本書は『句集』の観もある。
つまり、俳句が見出しのようになっていたり、酒場放浪記のように結末(まとめ)となっていたりする。
本書は2004年発刊である。だからちょいと現実とそぐわないところもある。その辺は酒場の案内書ではないのだから。
そう、本書は、酒場を巡り歩いて、その時その都度感じたことを書き留めているのであり、決して酒場の案内書ではない、そのことを心がけていなければならない、つまり本書を読んでその店に行ってみようなんて、あまり強く思わないほうがいいのである。
『はじめに』にこんな文章がある
「酒場は、春に芽吹いた路傍の草のようである。初夏に可憐な花を咲かせたかと思うと、稔りなきまま枯れてしまったり、辛うじて冬を乗りきったりする。」
どうですか、2枚目の文章ですよねえ。
とっても、酒場放浪記でみる、あの飲んだくれのおっさんが書いたとは思われない。
更に
「(前略)地下鉄を乗り換え、街を歩き、横丁に入る。酒と出会い、人と出会う。発見と喜びがあり、別れがある。
それは、酒場を巡る四季であり、世相を反映したレアな人間学スポットなのだ。」
なんて、いかにも俳人らしいではないか。
類さん(親しみを込めてこう呼ばせてもらおう)の酒場めぐりのいいところは「雑然とした」或いは「うらぶれた」カンジであるところで、いわゆる「こだわっている」というような店ではなく、それでいて「凝っている」、そんな店に行くことである。
そして類さん自身も、「酒はこうでなくてはならない」とか「肴はこうであるべき」とかのない人である。
そうして、鋭く社会と人間を観察し、暖かく眺めている。
酒や酒場に関しては融通無碍で、なんでもあり、何でも来い、という姿勢は、例えば「下町のハイボール」である「酎ハイ」のルーツをさぐりながら、『だから酎ハイはこうあらねばならぬ』などとはいわない。
『いいじゃないの、いっぱいあったって』というカンジ。
久しぶりに読み終えるのが寂しかった本であった。
ちなみに、私の好きな「句」は
夜桜や天に猫の目ひとつあり
汗ホッピー厨の猫の多きかな
と猫にちなんだものでありました。
というか、類さんの句は難しい。
それより、ぶんではあったが、こちらのほうが『句』または『短歌』のようであった。
ジャズにはバーボン系のウィスキー。それに、隠れ家。
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