読書日記 嘉壽家堂 アネックス

読んだ本の感想を中心に、ひごろ思っていることをあれこれと綴っています。

笑う警官 佐々木譲 ハルキ文庫

2009-12-07 21:08:02 | 読んだ
「制服捜査」を読んで著者について興味を持っていたが、何を読もうかと迷っていた。

「笑う警官」は映画化されたこと、そして同名のマルティン・ベック・シリーズを読んだこと(どういう内容だったか忘れてしまったが・・・)、そして本屋で目立っていたことから、読もうと思った。

読みはじめると「デジャブ」
北海道警の不祥事の話。
で、思い出した『制服警官』の出だしもそうだった。

道警でおきた、捜査員の不祥事。本書では「郡司警部事件」となっている。
銃器対策課の郡司警部が覚せい剤の密売を行っていたことから、道警組織内の捜査員総入れ替えが行われた。

長期にわたって同じ部署にいると不祥事が発生する。
という理由である。

しかし、末端における不祥事の因は、上層部の明かされない不祥事である。
それはいわゆる「裏金」の件である。

このことが「笑う警官」と「制服捜査」の下地になっている。

「笑う警官」は当初「うたう警官」という題だった。
この「うたう」ということがこの物語の一つの核になっている。

不祥事と裏金に関して、議会の喚問があること。
上層部と現場とに大きな乖離があること。
警察の捜査には、おとり捜査や情報の取引があること。

こんな環境の中で、北海道警本部生活安全部の女性巡査が遺体で発見される。
その犯人は交際相手である津久井巡査部長であるとして、発見し次第射殺するよう命令がでる。

津久井巡査部長は、郡司警部の部下で郡司警部の行ったことを知っている、とされている。
その捜査過程や射殺命令という異常さに疑問を持った警察官たちが、独自に捜査を始める。
そしてたどりついた真犯人とは・・・

というのが本書の概ねの構造である。

「うたう」というのは、いわゆる自白ということであり、警察官がたとえそのことが悪であっても、そのことを話す(うたう)ことはあるまじき行為という警察文化が厳然としてある。
そのうたうことと悪を暴くということを秤にかけてどっちをとるのか?
警察官たちは悩む。

少しカッコよすぎるが、面白い物語であった。

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