読書日記 嘉壽家堂 アネックス

読んだ本の感想を中心に、ひごろ思っていることをあれこれと綴っています。

いろは歌に暗号(かくしごと) 鯨統一郎 祥伝社文庫

2008-10-22 21:53:40 | 読んだ
筆者得意の歴史ミステリーである。

とはいっても、例によって難しい問題を愉快にというか軽快にというかさばいている。

筆者の歴史ものは、そこに確かな証拠があるわけではなく、鋭い感覚で突き詰めたことを他の要素と組みあわせているものである。

今回は「薬子の変」が主題である。
何故、この変が起きたのか、ということを「空海」が作った「いろは歌」を通して解釈するものである。

奇想天外なトリックと眉唾ものの解釈という感想もないわけでもないのだが、なにしろ「面白い」のである。
この面白さには「無理」があって当然なのである。

「んな、バカな!」とか思いながら
「いや、そういうこともあるかも」なんて思いなおすのも、鯨統一郎を読む場合必要なものなのである。

今回の主題である「薬子の変」については良くわからなかったが、概ねの解釈では「平城上皇」と「嵯峨天皇」の争いであって、平城上皇の愛妾・藤原薬子がそこに絡んでいたため「薬子の変」と名づけられている。近頃では「平城太上天皇の変」という呼び方もされているらしい。

これは近頃ならそういう呼び方をしてもあまり世間は騒がないが、万世一系の天皇家にあって争いごとがあったなどとはいえないし、この際愛妾がそそのかしたことにしたほうが深刻な争いごともぼやけてしまうのではないか、なんてことで「薬子の変」という呼び方にしたのではないだろうか。

ともあれ、この物語は結論もいいが、途中のさまざまな事柄が面白いしワクワクさせてくれる。
ぜひ一読あれ。

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