読書日記 嘉壽家堂 アネックス

読んだ本の感想を中心に、ひごろ思っていることをあれこれと綴っています。

実録 関東昭和軍<最終回> 田中誠 週刊モーニング

2008-02-08 22:48:46 | 読んだ
世の中は「表と裏」「本音と建前」「陽と陰」の組み合わせであると思う。
今は、表で陽で建前が主流である。
この流れに棹をさすような発言は即刻処断される。

自由だとか平等だとか公平だとか、というのはその前に「全て」という言葉はないのである。

この「実録 関東昭和軍」は高校野球漫画である。
この漫画にはただ一人の野球に関する天才も美少年も熱血漢も登場しない。

この本に登場する者はみんな、本音で生きていて、自分が一番大事で、自分のためになるのであれば、ズルも近道も簡単にやってしまうのである。
それは選手も監督も校長も理事会もみんなである。

そして、みんな理不尽な仕打ちにはひたすら「耐える」のである。
世の中には理不尽なことはあふれているが、それに耐え一旦立場が変われば今度はこちらが理不尽な振る舞いをしても許されることを知っているからである。

そもそも野球というゲームが、突然として理不尽な目にあう事が多い。なぜか急にストライクが入らなくなったり、打ち取ったと思った打球が誰もいないところへ落ちたりイレギュラーしたり、目をつぶって振ったと思われるのにたまたまあたってヒットになったり・・・・
でもガマンしなければならないのである。我慢して3アウトをとれば、今度は何かの拍子にこちら側に「いいメ」がまわってくるかもしれないのである。

そのためには、理不尽な練習(しごき)にも理不尽な合宿生活にも理不尽な社会の仕打ちにも「気合」で耐えるのである。
いつかこちら側に「いいメ」を持ってくるために・・・

でも、その「いいメ」が来たときにあまりにも浮かれてしまい、また失敗してしまうのである。

田中誠の漫画は「漫画ですから」という言い訳をちらつかせながら、実は世間の皆様のお馬鹿さ加減を正面から批判しているのではないか、と思っているのである。
そして、それがやけに面白いのである。
最終回、惜しいが、次の作品を待とう。

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