読書日記 嘉壽家堂 アネックス

読んだ本の感想を中心に、ひごろ思っていることをあれこれと綴っています。

ハンニバル・ライジング(上・下) トマス・ハリス <訳>高見浩 新潮文庫

2007-04-26 20:09:09 | 読んだ
レクター4部作、というのだそうである。
「レッドドラゴン」「羊たちの沈黙」「ハンニバル」そして「ハンニバル・ライジング」である。

作者はこの4作と「ブラック・マンデー」しか著わしていないのだそうである。

私は「ブラック・マンデー」は読んでいないが、既刊のレクター3部作は読んだ。
それも「ハンニバル」→「羊たちの沈黙」→「レッドドラゴン」の順に読んでしまった。いわゆる「手順前後」である。
映画はやっぱり「羊たちの沈黙」がいい。「ハンニバル」はラストが気に入らない。原作のほうが良かったと思うのである。

さて本書、ハンニバル・ライジングは、あのハンニバル・レクター博士の「誕生」の謎が明らかにされる。つまり生まれてから「怪物」になるまでの生い立ちが記されている。

これを読むと、ハンニバル・レクター博士に同情してしまう。
彼ほどの能力があるならば「怪物」になっても仕方がないと思うのである。
そして4部作のなかでは最も<読みやすい>と感じた。

例によって、この物語の背景やキリスト教との関係、あるいは地理的な関係もあやふやなのであるが、それらを知らなくても読み進めていくことに大きな苦痛はなかった。
ただひたすらに「これからどうなるんだろう?」という気持ちでいっぱいだったのである。

それからこの物語に近親感を覚えてしまうのである。
それは、レクター博士と深いかかわりを持つ人物が「日本人」ということである。
訳者はあとがきでこういっている。

「(前略)本書をいちばん楽しみながら味読できるのは、われわれ日本の読者だといっても過言ではないのかもしれない」

あちらの読物の中に「伊達政宗」などという単語が出てくるのはなんだか不思議な気分である。
(この場合突っ込むのは「欧米か?」ではなく「日本か?」となるのだろうか)

というわけで、あっという間に読んでしまった。
物語の進むスピード感とスリル&アクション、徐々に盛り上がっていく展開、そしてなんだかわかったようで実はよくわからないハンニバルの心境。いいです、これ。

映画を見に行こうと思っているのだが、ハンニバルでがっかりしているのであまり期待をしないで観てこようと思う。
それに、映像となると見るにきびしいところもありそうだし・・・・
だから「読む」ほうがいいのかもしれないなあ。

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