読書日記 嘉壽家堂 アネックス

読んだ本の感想を中心に、ひごろ思っていることをあれこれと綴っています。

浮雲

2005-09-19 22:40:28 | 観た、聴いた
成瀬巳喜男生誕100年、ということで、NHKBSで成瀬作品を上映している。
なんて、書いたけど、成瀬巳喜男作品を見たことがあるわけではない。それに、映画についてあれこれ語るほど映画好きでもない。
そういえば、去年は小津安二郎生誕100年だとかで、小津作品をよく見た。

この動機は単純である。
小津作品は「原節子」、成瀬作品は「高峰秀子」を観たいからである。

小津安二郎については、高橋治著「絢爛たる影絵」でなんとなく知っていた。その中に成瀬巳喜男についても書いてあったような気がする。
なんにしろ、偉大な監督だったらしい。

で、本日は「浮雲」、前は「放浪記」だった。いずれも原作は「林扶美子」
内容は、どうしようもない男と女の物語、と一口で言ってしまおう。

しかし「どうしようもない」人は「話」もしくは「物語」になるのである。
普通の人から見れば、堕落したようでそれでいてかわいそうで、しかし、うらやましい物語なのである。
この、すこしうらやましい、ところがいいんだと思う。

そういうカンジで見ましたが、やはり今となっては「古い」わけであって、当時としてはインモラルなことであったろうが、今は社会全体がインモラルなので、このような物語をみても感情の移入度が低いのはしようがない。

ただ、俳優たちの演技や、場面場面が、練り上げたものという印象は強い。
お手軽ではない、一つ一つが計算と努力によって組み立てられ、見逃すことを許さない、緊張感のあるものである。
その辺が、昔の映画を観ることの楽しみのひとつでもある。

コメント
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