読書日記 嘉壽家堂 アネックス

読んだ本の感想を中心に、ひごろ思っていることをあれこれと綴っています。

御宿かわせみ (オール読物5月号)(NHK金曜21時15分)

2005-05-13 23:58:20 | 読んだ
オール読物5月号は「清水屋の人々」という物語で、嫁姑の仲の悪さが引き起こす事件であります。
あまり後味のよい物語ではありません。
この「御宿かわせみ」のパターンの一つである「やりきれないな」という事件です。

事件というのはなんであれ「解決」して万々歳なんてものはあまりなくて、結末はどうであれ事件が起きたこと自体に「やりきれなさ」みたいなものがあるわけで・・・

今回の事件も、現代でも起きている、というか起きた事件を下敷きにしていると思えるのだが、つまりは人間の普遍的な部分を描いている。「不可思議さ」というか「逆上」というような部分。
現代でも人というものの不可思議な部分、あるいは逆上(熱いものも冷たいものも含めた逆上)によって引き起こされている事件が多々ある。それをどう受け止めるのかが、残された人々の課題なのだろうが、残された人まで逆上している、或いは冷静であるべき第三者(マスコミを含めて)までも逆上している、というのが今の日本社会のような気がする。

御宿かわせみの登場人物は多くの事件に遭遇してきたが、事件を受け止めてなお真っすぐに生きていくことができる人たちで-だから魅力的なのだが-事件の被害者、加害者どちらにも温かい目を向けている。勿論、悪人や罪びとにはそれなりの罪があってしかるべき、といことも含めてである。

さて、本日からNHKでも「御宿かわせみ」が放映されている。
私にはどうしても、真野響子の「るい」が印象深いのだが・・・
高島礼子では、色気が過ぎるというかちょっと品が足りないように思える。また中村橋之助もチョット軽さに欠けるというか演技のしすぎ、つまりくどいような気がする。
では、誰ならいいのか?というと思いつかないところが、情けないところで・・・

それでも、原作がしっかりしているドラマは、あまり凝ったつくりさえしなければ「見れる」のである。この中村橋之助、高島礼子コンビの御宿かわせみは、マジメ過ぎる、作り方ではあるが、好感を持ってみているのである。

追伸
 「物情騒然」(小林信彦)である。
コメント
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