尾形修一の紫陽花(あじさい)通信

教員免許更新制に反対して2011年3月、都立高教員を退職。教育や政治、映画や本を中心に思うことを発信していきます。

ガザもウクライナも戦闘が続くー「トランプ待ち」の2024年

2024年01月30日 22時19分11秒 |  〃  (国際問題)
 ガザウクライナ情勢に関して、ずっと書いてない。年末に一回まとめと展望を書こうかなと思っていたけど、何となく機を逸してしまった。良い方向の展望が全くないので、あまり書く意欲が湧かないのである。結論だけ簡単に先に書いてしまうと、2024年にガザやウクライナの戦争は終わらない。「膠着状態」みたいになる可能性はあるが、最終決着の「和平」は見通せない。まあ、恐らく2025年以後も同じような状況がしばらく続くのではないかと思っている。

 2024年は「スーパー選挙年」だが、なんと言っても11月のアメリカ大統領選挙が最大の山場となる。そこでトランプ政権が復活するかどうか。少なくとも共和党の候補はトランプで決まりだろう。民主党はバイデン以外に事実上候補がいない状態だから、2回続けて「バイデン対トランプ」になりそうである。二人ともう高齢だから、選挙までに健康問題が起きるかもしれないが、まあ両者の選挙戦を前提にするしかない。結果がどうなるかは第三候補の活動にもよるし、まだ見通せる段階ではない。しかし、トランプが勝利する可能性を考えておかないといけない。

 バイデン政権の政策が素晴らしいとも思えないが、少なくとも予測可能ではある。第2次トランプ政権で米国が再び「予測不可能」に戻る影響は計り知れない。就任初日以外は独裁者にならないと言っているが、つまり就任初日は「独裁者」になる気なのである。その日には恐らく「パリ協定離脱」の大統領令に署名するだろう。そして多分、自分で自分を恩赦するんだと思われる。民事訴訟はどうしようもないが、刑事訴訟に関しては確かに大統領令で終わらせることが出来るだろう。しかし、そうなったらアメリカの民主主義の完全な破壊であり、アメリカ国内が大騒ぎになって収拾出来ない事態になりかねない。

 プーチンネタニヤフは、来年になればトランプが戻って来る(可能性がある)と思えば、今年バイデンと仲良くする必要を感じない。今、バイデン政権はイスラエルに対して「二国家共存」のパレスチナ和平を一生懸命推進しようとしている。しかし、ネタニヤフ政権は全く耳を貸す姿勢を見せない。イスラエルの政治情勢を考えれば、ネタニヤフに和平を受け入れる可能性はゼロだ。そして仮に奇跡的にパレスチナ和平案がまとまったとしても、トランプ政権は初日にパレスチナ国家の承認を取り消すだろう。
(ガザの死者は2万5千人を超えた)
 それどころか、かつてトランプ政権では「アメリカ大使館のエルサレム移転」「ゴラン高原併合の承認」など、それ以前には考えられなかった「禁断の政策」に踏み込んだ過去がある。それを思い出すなならば、トランプ大統領は「ハマスへの懲罰」を理由に「ガザ地区のイスラエル併合支持」というあり得ない決断まで踏み込むかもしれない。すでにガザ地区では死者が2万5千人を超えたとされる。もともとはハマスのイスラエル領攻撃から始まったわけだが、それにしても「報復の限度」(というものがあるとも思えないが)を遙かに超えている。ハマスもこのような壊滅的攻撃は当然予測していただろうが、決着は見通せない。

 ハマスによる「人質」の問題も解決が難しい。ハマスが全面的に解放しても、イスラエルが「許してくれる」ことはあり得ない。人質を解放した後でせん滅されるぐらいなら、人質を巻き込んでイスラエルの残虐さを印象付けた方が得策だ。恐らくそれがハマスの目的なんだろうが、アラブ諸国の公的な支援なしでどこまで持ちこたえられるだろうか。イランの支援を受けるヒズボラ(レバノン)やフーシ派(イエメン)も全面戦争までは踏み切れないだろう。膠着しながら戦闘が続くという可能性が高い。
(ウクライナ占領地の変遷)
 同じような状況はウクライナでも予測出来る。トランプ政権が成立すれば、ウクライナへの支援が大幅に削減される可能性が高い。「アメリカ・ファースト」というけれど、そもそもトランプは大国同士の「取引」で世界を動かすという世界観を持っていると思われる。プーチン大統領としては、来年になってトランプ政権が復活する可能性があるのに、今年のうちにウクライナと和平する必要がない。大々的な侵攻をせず、占領地を維持する方針で行く可能性が高い。ウクライナ側の「反転攻勢」はほとんど成功しなかった。戦線は今や第一次大戦並みの「塹壕戦」になっていると言われる。このまま数年戦闘が続くのではないか。

 ということで、僕は今年はロシアもイスラエルも「トランプ待ち」で和平する気がないと判断している。だが、もちろん世界は大国リーダーのみが動かしているわけではない。アラブ諸国やロシアの民衆に動きがある可能性もある。それに歴史は偶然性に左右されることがある。バイデン(81歳)、トランプ(77歳)、プーチン(71歳)、ネタニヤフ(74歳)、ついでに習近平(70歳)、インドのモディ(73歳)と並べてみれば、軒並み高齢である。今は珍しくないとはいえ、皆が「古稀」を越えている。健康面でいつ何があってもおかしくない年齢なのである。

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