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瀬戸際の暇人

今年も偶に更新します(汗)

異界百物語(目次―上―)

2009年09月06日 19時17分07秒 | 百物語
やあ、いらっしゃい。

此処は怪奇と幻想に彩られた百の物語へと続く扉だよ。
有触れた日常に疲れた夜に、覗いてみるといい。

行きはよいよい、帰りは恐い。

覗いて無事帰れるかは、保証しないがね……



)ボーリィ牧師館
)ウィンチェスターハウス
)バークリー・スクエア50番地
)幽霊と親しくなったガブリエル卿
)幽霊滝の伝説
)アハ・イシカ
)クロー・マラ
)ドゥアガー
)ヘルラ王
10)輪の中の世界
11)湖の精に恋した男
12)妖精の騎士
13)消えた3人の燈台守
14)ハベトロット
15)ファウル・ウェザー
16)ヘッドリー・コウ
17)緑の子供達
18)常識
19)トーレエッペ
20)部屋消失事件
21)破約
22)ツツジの伝説
23)子供達がごっこをした話
24)腹裂き殿さん
25)血塗れエリザベート

26)濡髪堂
27)お貞の話
28)葬られた秘密
29)鳥取の布団の話
30)忠義者の首
31)謀
32)何時も有る事
33)死骸に乗る者
34)和解
35)吉備津の釜
36)青頭巾
37)板橋三娘子
38)猫の湯治
39)妬婦津
40)血を啜る人魚
41)赤い蝋燭
42)平和の女
43)ボカン
44)妖精の銀貨
45)底革のハンス
46)ウィッテンハムのショートホッガーズ
47)家精
48)強盗のお婿さん
49)踊りぬいてぼろぼろになる靴
50)怖がる事を覚える為に旅に出掛けた男



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異界百物語(目次―下―)

2009年09月06日 19時15分39秒 | 百物語
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51)座敷童子が現れる宿
52)青蛙神
53)百物語
54)月の夜がたり―二十六夜―
55)兄妹の魂
56)箱根の宿での奇談
57)女学士の報怨
58)妖精のワイン
59)迷い家
60)鬼国
61)サムトの婆様
62)亡妻
63)見知らぬ爺さん
64)ヴェルサイユの亡霊
65)王申の禍
66)女人の悪鬼に点されて食噉はれし縁
67)黄衣婦人
68)首の飛ぶ女
69)小奴
70)六部殺し
71)振向いた子供
72)陰徳延寿
73)雨夜の怪
74)霊鐘
75)亀の眼

76)ハムステッドの幽霊屋敷
77)西瓜
78)新牡丹燈記
79)指輪一つ
80)朝顔屋敷
81)池袋の女
82)四面塔
83)シャワー室の怪
84)奇妙な声
85)続く死
86)正夢
87)タクシーの怪
88)バスの怪
89)レンタカーの怪
90)流れ人
91)海辺にて
92)山荘にて
93)港の公衆トイレ
94)公園の公衆トイレ
95)下宿に居るもの
96)工場に居るもの
97)笑う老婆
98)稲生物怪録
99)偶然 



…私が今迄に読んだ、或いは知った、不思議に恐ろしい物語ばかりを集めてある。

「百物語」なのに、99話まで無いのはどうしてかって?
それは貴殿に語って貰う為だとも。

さあ、早く聞かせてくれ給え……
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異界百物語 ―第99話―

2009年09月05日 20時34分56秒 | 百物語
やあ、いらっしゃい。
蝋燭も2本を残すばかりとなったが、怖気ずに来てくれて有難う。
辺りを見回せば、人の影すら判然としない、夜の闇。
転ばぬように気を付けて、各自席に着いてくれ給え。

さてこれまで98の怪異を語って来たが、改めて貴殿に質問させて貰おう。

貴殿は、この世に、妖が存在すると思うかい?

それとも起った不思議の全ては、「まやかし」或いは「偶然」等で片付けられると思うかい?
いやそもそも「偶然」こそが、人知を超えた最大のミステリーかも知れないが…。

こんな話が在る。




1664年の12/5、イギリス、ウェールズ北方に位置するメナイ海峡で、1隻の船が沈んだ。
81人乗りの客船だったのだが、助かったのはたった1人だけだったと言う。

それから百年以上が経った1785年の12/5、今度は60人乗りの客船が沈んだのだが、この時も1人だけ助かったのだと言う。

そして1860年のまたしても12/5、20人乗りの客船が沈み、やはり1人だけが助かったのだと言う。

助かった3人は年代から考えても全くの別人だが、1つだけ共通点が有ったのだそうだ。
3人共に、「ヒュー・ウィリアムズ」と言う、名前だったのである……




或る者は妖を見ると言い、或る者は見ないと言う。
両者の違いは、こういった話を聞いた時、影に潜んで思える何かを感じるかどうか、なのではないだろうか…?


…今夜の話は、これでお終い。
それでは蝋燭の火を吹き消して貰おうか……。

……有難う……遂に、1本だけとなったね……。


どうだろう?
最後の1話は貴殿に語って貰おうと思うのだが…

怪語らば、怪来たる。

最後の引き金を引く勇気を持って……さあ、皆待っている。

早く聞かせてくれ給え……




『ワールドミステリーツアー13(第12巻)―ワールド編― (編集部、著 同朋舎、刊)』より。
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異界百物語 ―第98話―

2009年09月04日 20時22分55秒 | 百物語
やあ、いらっしゃい。
今夜も話を聴きに来てくれて嬉しいよ。
会も終りが近い事だし…お礼にとっときの怪談を紹介しよう。
貴殿は『稲生物怪録』と言うのを御存知だろうか?

備後三次(びんごみよし、現在の広島県三次市三次町)の武士であった稲生武太夫(幼名、平太郎)が、寛永二年(1749年)16歳の夏に体験したと言う怪事を纏めた物だ。
その驚くべき内容は藩内で物議を醸し、当人が江戸へ上った際に、江戸の知識人から注目されるようになった。
中でも幽冥界・神仙道研究の始祖である江戸の大学者「平田篤胤」は、この記録こそ幽冥界実在の証明に使用出来ると、徹底的に調査・分析に当たった。
そして後世に残る絵付の妖怪実見記が、篤胤の死後弟子の尽力も有って完成したのである。

前置きはさて置き、始めるとしよう。




備後国三次郡の住人、稲生武左衛門の一子に、平太郎と言う者が在った。
寛永二年五月の末、諸国を歩いて帰郷した相撲取り、三津井権八の訪問を受けた平太郎は、百物語をした後、比熊山に登り、山頂の塚に札を結んで無事に帰ったものの、以来平太郎の周りでは一ヶ月に渡って怪事が起きるようになった。

七月一日、障子が燃え、髭を生やした巨大な手を持つ大男が、塀の上から平太郎に襲い掛かった。
一方、三津井権八も門前で小坊主の妖怪に出会い、金縛りにされてしまった。

七月二日、行灯の火が燃え上がり、天井を焦がすほど大きくなった。
畳の角も少し捲れ上がった。
就寝後、俄かに水が湧き出て、部屋中水浸しとなった。

七月三日の夜、家が鳴り、大地震に見舞われる。
行灯が石塔に変じ、下から凄まじく火を発した。
石塔の幻影が消え、眠りに就こうとすると、今度は天井に動く物が有る。
青い瓢箪が上からぶら下がって来たのだ。
夜中、大きな女の首が出現、血腸を引いて、胸の上に座り込んだ。

七月四日、水瓶の水が氷となり、釜の蓋が開かなくなった。
火吹竹を吹いても風が出ない。
宵、鴨居の上の小さな穴から下駄が飛び出し、部屋を歩き回った。
また蟹の如き石が侵入した。
翌日、近所の車留めの石が化けたものと分かった。

七月七日、盥一つ転げ出る。
夜、台所の入口が白い袖で塞がれ、そこから擂り粉木の様な手がぞろぞろと現れた。
それぞれの手の先から新しい手が生まれ、どんどん増えて行く。
捕まえようとすると消えてしまう。
蚊帳に入ると、今度は目を光らせた坊主の首が、串刺しになって跳ね回りながら入り込んで来た。
眠るどころではない。

七月八日、前夜は眠れなかったので疲労した。
昼から眠っていると近所の者共が集まり、守ってくれると言う。
夜、またしても畳が捲れ上がった。
夜半に、錫杖がじゃらじゃら鳴り、尺八の音が聞えた。
虚無僧がぞろぞろやって来たが、無視すると次第に消えて行った。

七月十日、貞八と言う馴染みの者が来た。
話をしている内に、貞八の頭が大きくなって二つに割れ、中から猿の様な赤子が三人現れた。
赤子は一人の大童子になり、平太郎に掴み掛かって、実に気味が悪い。

七月十三日、妖怪を祓う力を持つ仏影を西江寺から借り受ける事になった。
猟師の長倉と言う者が取りに行く途中、笠袋の様な黒き物と、赤い石の如き物とに打ち襲われる。

七月十四から十五日、長倉が再度、西江寺に赴き、仏影・仏器を借りる。
しかしその夜、仏器、香炉等が、静かに浮き上がった。
仏影の法力現れず、家鳴り激しく、また台所には大きな漬物桶が置かれる。
また香炉が浮き、客に灰を降り掛けた。
客の一人が嘔吐し、皆逃げ帰る。

七月十七日、祈祷済みの札が届く。
しかし夜、輪違いの様な物が沢山現れる。
くるくる回り気味悪い事限り無い。
輪の中に顔が有って、睨んだり笑ったりするのだ。
西江寺の祈祷札は墨で落書きされてしまった。

七月十八日、曲尺の如き光る手が、伸び縮みしながら沢山出現する。
それでも構わずに平太郎は蚊帳に入った。
眠りから覚めた時、蚊帳の上から老婆の巨顔が舌を突き出し、平太郎の体を舐め回していた。
しかし平太郎は更に構わず、為すがままにしておくと、老婆の顔面も消え去った。

七月二十日、妖怪を罠に掛けるべく、踏み落しの罠を十兵衛なる名人に仕掛けをさせた。
十兵衛は古狸・古猫の仕業と確信し、罠を仕掛けて待った。
しかし十兵衛は大きな手に掴まれ、隠れ場所の雪隠の戸諸共引き倒された。

七月二十一日、長き黒髪を足にして歩く逆さ首が、不気味に笑いながら飛び回る。
歯を黒く染めた首が柱の根より次々現れ、髪をくるくる巻いて飛び回る。
膝の上に乗るのを扇で叩こうとすると、鳥の様に飛んだ。

七月二十二日、陰山正太夫と言う者が、自家の名刀を持参した。
夜になるとまた女の生首が現れたので、正太夫は名刀で斬り付けた。
しかし名刀は真っ二つ。
責任を感じた正太夫は、申し訳無しと言って切腹してしまった。
うろたえる平太郎の元へ、正太夫の亡霊が逢いに来る。
朝見ると死体は消えていた。

七月二十四日、中村平左衛門の家より美しい女が使いとして、餅菓子を重箱に入れて持参した。
美しいが油断出来ぬと思い、送り出して見れば、門を出た後何処へか消えてしまった。
同夜、竈から火が出て燃え上がった。
瓶の水をざんぶと掛ければ、掛けるよりも早く消えた。
竈が水浸しになり、灰が流れて不快だった。

七月二十七日、台所の方がもやもやしているので見ると、網の目の如く並んだ人間の顔が在った。
菱形をし、口を開いたり、閉じたりしている。
刀で斬り掛かっても煙を斬る様で手応えが無い。
平太郎は気にしない事にし、蚊帳に入って眠った。
夜中、腹の真ん中で、組紐を結んだ蝦蟇が跳ね回った。
葛籠の化物よ、と思い、紐を握って寝た。

七月二十八日、日暮れて後、壁に人の影が映った。
書見台を前に置き、高らかに書物を読んでいるが、聞き取れない。
同日、夜半に便所へ立った後、奥の縁側に出て涼もうとした。
踏み石に足を下ろそうとすると、冷たくねばねばした死体を踏んだ。
死体が目を開け、瞬きすると、ぱちぱち音がした。
後で見ると、踏み石には何も無かった。

七月二十九日、炭小屋へ行き炭を出そうとすると、物置の戸口いっぱいに大きな老婆の顔が在った。
目をぎょろぎょろさせている。
捨て置くのが一番と思い、火箸を眉間に突き込んで帰った。
帰ると座敷が白く変っており、糊の様に粘った。
仕方が無いので柱に寄り掛かって夜を明かした。

七月晦日の昼、心地の悪い風が吹き渡り、星の光りの様な物が煌く。
蛍が乱れ飛ぶ様に似て思えた。
物寂しい眺めで心細くなったが、屈しなかった。

夜の四つ頃、障子の外から声がして、背が高く恰幅の良い武士が悠々と現れた。
浅黄の裃を着し、腰に両刀差して前に座った武士に、平太郎は脇差を抜いて斬り掛かった。
しかし大男は壁の中に入り込み、笑い声を響かせた。
何者だと問えば、「我は山本(さんもと)五郎左衛門なり」と答える。
平太郎の左側には蓋をした炬燵が有ったが、その蓋が不意に舞い上がり、茶釜を掛けた様な丸い煙が立った。
煙は人の頭の如く膨れ、二つの角になって煮零れる様に、湯がそこから溢れ出した。
よくよく見れば零れ出たのは平太郎が最も苦手なミミズである。
這い寄られるも気絶せぬよう堪える平太郎を見た五郎左衛門は大笑いした。
続いて壁に大きな目鼻が現れ、蜻蛉の目玉の様な目が飛び出して、青白く輝いた。
平太郎が耐え続けるのを見て、五郎左衛門は人の姿に戻り言った。

「我はこれより暇を乞い、汝に会う事も無くなる。
 汝を驚かそうとして、ついつい長居をしてしまった。
 最早敵の神野悪五郎も此処へは来るまい。
 此処に有る槌を汝に譲る故、一生大切に持つべし。
 この後、もし怪事有れば、北に向いて『早く山本五郎左衛門来たれ』と呼び、この化物槌で柱を叩くべし」

五郎左衛門がそう告げる間、冠装束の気高き人の姿が、腰から上だけ見えた。
これこそ自分を守る氏神と気付いた平太郎は、嬉しく思った。
山本五郎左衛門は、「これより退散する故見送り給え」と平太郎に言った。
平太郎が庭を見れば、大勢の供回りが集まり、駕籠を置いている。
皆異形の者共であった。
彼の大男が駕籠に乗る。
小さい駕籠に乗るのは無理と思えたが、毛深い大脚を駕籠から出した形で、身を畳む様に乗り込んだ。

異形の行列は影の如く消えて行った。

夢ではないかと疑ったが、翌朝、六寸程の槌が残っていた。
その後、怪しい事は二度と起らず、平太郎は「武太夫」と改名して、家の跡目を相続した。




…人の想像力の限界に挑戦するような奇想天外な話だが、「実話」として残されている。
主人公の稲生武太夫は実在していた記録が有り、「化物槌」も現存している。
毎年1/7(もしくは1/8)には、広島の国前寺で化物槌の御開帳が行われるそうだ。
そのあまりに非現実に富んだ内容から、当人が語った当時でも眉唾として捉えられていたが、調査を試みる度に彼は内容を少しも違える事無く告白してみせたと云う。

発端は百物語。
怪語らば、怪来る。

この会も後…で百話に到達する訳だが…
会に集まる人達の身に、どんな怪異が現れるのか、私は今から楽しみで仕方ないのだよ……


…今夜の話は、これでお終い。
さあ…蝋燭を1本吹消して貰えるかな。

……有難う……残すところ、後2本になったね……。

それでは気を付けて帰ってくれ給え。

――いいかい?

夜道の途中、背後は絶対に振返らないように。
夜中に鏡を覗かないように。
風呂に入ってる時に、足下を見ないように。
そして、夜に貴殿の名を呼ぶ声が聞えても、決して応えないように…。

御機嫌よう。
また次の晩に、お待ちしているからね…。




『平田篤胤が解く稲生物怪録(荒俣宏、編著 角川書店、刊)』より。
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異界百物語 ―第97話―

2009年09月03日 19時35分09秒 | 百物語
やあ、いらっしゃい。
熱帯夜が懐かしい位、過し易い夜になったね。
貴殿との別れが近付いてる事を思うと、心の内に尚涼しい風が吹くようだよ。

さて今夜も幽霊屋敷に纏わる話だが……
……評判の幽霊屋敷に住んだとしても、全ての人が怪異に見舞われる訳ではないらしい。

高知県潮江の上役地の、或る貸家に住む事になった娘さんが、語ってくれた話だそうだ。



その家は畳数から言っても、家賃は十四、五円という物件だったが、僅か六円と聞き驚いた。
しかしこれには訳が有り、家は元々弘岡に在って、金持ちの婆さんが一人で住んでいたそうだが、その婆さんが物盗りに殺されて、無住になっていた家を、家主が買って今の所へ建てたそうだが、程無く婆さんの幽霊が出るとの噂が流れて、借り手が居なくなったとの事だった。
現に私達家族が入る前も、高知署の鬼巡査と言われた某氏が、三日居て転宅してしまったという評判で、その後暫くは空き家になっていたそうである。

噂によると、幽霊の婆さんというのは、夜中に二階の梯子段の踊り場に、血塗れの姿で座って、にやにや笑って居るらしい。
その噂を母が知って父に話したが、父は平気な顔で私達に言った。

「夜は皆、寝た方が良い。
 何も夜中に起きて階段の上を覗きに行く必要は有るまい。
 それにその婆さんが暴れると言うなら事だが、血塗れであろうが、泥塗れであろうが、笑って居ると言うのだから、笑わせて置けば良いではないか」

この家に居る間、夜中に目が覚めた時や、夜遅く帰宅した時などには、こっそり階段を上がって見たが、何の異常も無かった。

この家は大変住み良い物だったが、三年目には出なければならなくなった。
理由は、私達がこの家へ入って二年目頃から、幽霊が出ない事を知った家主が、次第に家賃を上げ始め、三年目には遂に払えない位高くなったからである。




…「笑って居るなら、笑わせて置けば良い」と言ってのける父君は実に豪胆だ。
話によると幽霊は気の弱い者を狙って出るらしいが、脅かし目的なら然もありなんと納得が行く。
私事だが最近気○いに追い駆けられて困った経験が有る。
あれも、こちらが逃げて嫌がるほど、余計に追っ駆けて来るようだった。
恐ろしい目に遭っても堂々として居られる勇気を持ちたいものだ。


…今夜の話は、これでお終い。
さあ…蝋燭を1本吹消して貰えるかな。

……有難う……残りは後、3本になったね……。

それでは気を付けて帰ってくれ給え。

――いいかい?

夜道の途中、背後は絶対に振返らないように。
夜中に鏡を覗かないように。
風呂に入ってる時に、足下を見ないように。
そして、夜に貴殿の名を呼ぶ声が聞えても、決して応えないように…。

御機嫌よう。
また次の晩に、お待ちしているからね…。




『現代民話考5巻―死の知らせ・あの世へ行った話―(松谷みよ子、編著 ちくま文庫、刊)』より。
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異界百物語 ―第96話―

2009年09月02日 20時26分21秒 | 百物語
やあ、いらっしゃい。
今夜も幽霊屋敷について話そうと思うが…その前に、窓から顔を出して耳を澄まして御覧。

…虫の音が聞えるだろう?

秋の夜に、百物語に興じるのも、いとおかし。
さて、それでは始めようじゃないか。

これは、東京都に住むTさんが、友人の周囲で起きた怪異を語ったものだと言う。




1990年代初め頃、Tさんの友人が大田区に在る工場2棟を購入した。
そして並び建ってる内の1棟を精密機械の組立工場として作動させ、もう1棟は住居に充てる事にした。
建物は広く、Tさんだけで使うには部屋が余る。
そこで建物の内の1部屋に、もしかして不法入国かな、と思われる中国人の青年1人を住まわせる事にした。

ところがこの青年が住んで次の日に、「此処には住めません!夜中に見知らぬおばさんが現れて、叩き起こされるんです…!」と、蒼褪めて言う。
勿論その建物には、おばさんなど住んでいない。
誰も彼の話を本気で取り合わなかった。

その後も何回か青年は同じ事を言いに来たが、遂にノイローゼ状態になり、工場を出て行方不明になってしまった。

やがて、真夜中、誰も居ないのに階段を上り下りする足音がしたり、地鳴りがするようになった。
かと思うと水道管の剥き出しのパイプが揺れ出す。
何処かで工事をしている訳でもないのに、工員達数人が押さえても押さえ切れない酷さで、これは従業員全員が見ていたそうだ。

或る夜、工場の持ち主である友人から、Tさんに電話が入った。

「夜、建物に誰も居ない時、風呂場に電気が点く。
 時々点くんだ。
 ちょっと来て、誰か居るのか、一緒に確認してくれ…!」

駆け付けると、既に風呂場の電気は消えたらしかった。
「何時も使っている風呂場か?」と訊くと、「いや…」と口を濁す。
問詰めると問題の場所には、彼が買い取る前に工場の持ち主だった夫婦の部屋が在ったらしい。
和室で風呂場も付いていると聞き、「何故君はその部屋を使わなかったのか?」と尋ねるも、口ごもって話さない。
それでも友人は、その夫婦が若くして病死してる事を、Tさんに明かした。

「電源は切ってあるのに、時々風呂場に電気が点くんだ…」

真夜中の工場を見回るのは流石に気味悪く、次の日、明るい内に再び訪れた。
友人と2人、埃だらけの和室を開け、風呂場の戸を開けて、ぞっとした。

風呂の水が落とされていない。

ぬるぬると青みどろになっていて、埃に塗れ、荒れ果てていた。
空気もじっとり澱んでいる。
「工場を買った時、掃除をしなかったのか?」と訊くと、頷く。

何故此処まで放置されていたのか?
中国人の青年の許へ現れたおばさんの幽霊、地鳴り、足音、パイプの揺れ、それらは一体何なのか?

その後、友人はマンションに引越し、工場にはシャッターが下ろされた。
今も使用されていないと言う。




…怪談を聞いていると、幽霊の殆どは夜出現するように思える。
しかし昼から出現する幽霊も、少ないが居ると聞く。
という事は、実際には昼も夜も関係無く、そこに「居る」のだろう。
ただこちらの感覚が、昼よりも研ぎ澄まされる事から、夜に集中して見るのかもしれない。
例えるなら夜音色を聴く事で存在に気付かされる、草葉の陰に潜む虫達の様なものだろうか。

今夜眠る前に、耳を済ましてみてはどうだろう?
貴殿の耳に、昼には聞えなかった声が、届くかもしれないよ…。


…今夜の話は、これでお終い。
さあ…蝋燭を1本吹消して貰えるかな。

……有難う。

それでは気を付けて帰ってくれ給え。

――いいかい?

夜道の途中、背後は絶対に振返らないように。
夜中に鏡を覗かないように。
風呂に入ってる時に、足下を見ないように。
そして、夜に貴殿の名を呼ぶ声が聞えても、決して応えないように…。

御機嫌よう。
また次の晩に、お待ちしているからね…。




『現代民話考5巻―死の知らせ・あの世へ行った話―(松谷みよ子、編著 ちくま文庫、刊)』より。
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異界百物語 ―第95話―

2009年09月01日 20時36分00秒 | 百物語
やあ、いらっしゃい。
今日から9月だ、中には新生活を始める人も居るだろう。
だが心機一転引っ越して来て、そこが幽霊の出る家だったら…どうされるかな?

散々恐い話を語って来たが、やはり最も恐いのは「幽霊屋敷」ではないだろうか?
今夜はそんな場所に寝泊りする破目になった人の話だ。




京都の山科駅近くに在った下宿での話。

老朽化し、誰も住まなくなって久しい所で、何れ取り壊される予定になっていたが、それまでの管理を知り合いから頼まれ、引き受ける事になった人が居た。

仮にその名をS氏としよう。

管理と言っても、単に下宿の管理人室に寝泊りすれば良いだけで、10万円近いお金になる。
だからS氏は喜んで引き受けたのだが、泊まってみると、この下宿の雰囲気が明らかにおかしい。
普段は何処でも熟睡出来る性質なのに、管理人室に引っ越してからは妙に寝苦しい日が続き、体調も優れない。

何か変だなと思っていると、或る夜、窓硝子の割れる音がした。
廃屋の様な下宿なので、大方近所の学生か酔っ払いが石でも投げたのだろうと思い、そのまま寝てしまった。

ところが翌朝見てみると、確かに窓硝子は割れているのだが、破片は内側から外に飛び散っている。
昨夜、誰かが部屋に入り込んだ様な形跡は見当たらない。
第一、管理人室に居る自分に見付からずに、忍び込める訳が無い。

そんな変な事が有ったり、相変わらず体調が悪く、下宿の雰囲気も異様なので、次第にS氏は下宿に帰らず、他所で寝泊りするようになっていた。

だが或る夜、酒を呑んだ勢いで、久し振りに下宿へ帰る事にした。
その夜は何も起らず、S氏は水を飲むと寝てしまった。

翌朝目が覚めて、ふと枕元を見ると、昨夜飲んだ水が、コップに半分ほど残っている。
そのコップから煙が立ち昇ったと思ったら、忽ち水が沸騰する様にボコボコ泡立ち始めた。

その様子をじっと見ながら、S氏は思ったと言う。

『この下宿には、何か居る……!』

流石に気味悪くなり、知り合いに連絡を付けて、下宿を出る事にした。

その頃知り合いは、アメリカに居た。
渡米の為にS氏に後を任せたのだが、事情を聞いた彼はこう語ったと言う。

「俺もあの下宿は変やと思ってた。
 実はアメリカに来たのもな、それから逃げる為やったんや」

下宿を出たS氏は、体調も徐々に回復した。

しかし知り合いは帰国を前に交通事故に遭い、半身不随になってしまった。
変わり果てた姿となった知り合いは、酷く恐がっており、事故は下宿の呪縛から逃げられなかったせいだと信じ込んでいた。

それから間も無くして知り合いは亡くなったと言う。




…仕事で時々十数年も人が住んでいない家に出くわす事が有る。
都心の一等地で何故そんなにも長く放って置かれるのか、不思議で仕方ない。

人の気配は居なくなっても暫く残ると言う。
科学者が語る所、それは人が帯びている電気が残るからだそうだが……
……何れにしろ、何時までも消えない気配というのは、恐ろしいものである。


…今夜の話は、これでお終い。
さあ…蝋燭を1本吹消して貰えるかな。

……有難う。

それでは気を付けて帰ってくれ給え。

――いいかい?

夜道の途中、背後は絶対に振返らないように。
夜中に鏡を覗かないように。
風呂に入ってる時に、足下を見ないように。
そして、夜に貴殿の名を呼ぶ声が聞えても、決して応えないように…。

御機嫌よう。
また次の晩に、お待ちしているからね…。





『ワールドミステリーツアー13(第8巻)―京都編― (小池壮彦、著 同朋舎、刊)』より。
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異界百物語 ―第94話―

2009年08月31日 21時00分43秒 | 百物語
やあ、いらっしゃい。
来る道雨が酷かったろう?
風邪を引いては大変だ、用意したタオルで頭等を拭くと良いよ。

さて…今年は東京でも秋の休日が長い影響で、夏休みが通常の年より短く設定されているらしいが、高校生以下の学生さんの多くは今日が夏休み最終だろう。
日常に戻るというのは、水から上がる時に似て、体が重たく感じるものだ。
早いところリズムを取り戻せるように、この会でも少しずつ日常的な怪談をするとしよう。

昨夜約束した通り、今夜もトイレの怪談だ。
場所は京都の桜の名所と名高い、円山公園内に在ると言う公衆トイレで、噂では自殺した男の幽霊が出るのだとか。
噂の出所を調べた人曰く、女優の左時枝さんの御主人の友人のお爺さんが、怪異に出くわした当事者らしい。




或る夜中に、そのお爺さんが酔っ払って、円山公園のベンチに横になっていた。
その内に便意を催し、近くの公衆トイレに入った。

しゃがみ込んで、じっくり孤独を味わおうとした所、「止せ、止せ」と声がして、何かが背中を突っつく。

「今大事な所だから止せよ」と声がして、また背中を突っつかれた。

酒が入って気が強くなっていたお爺さんは、「邪魔するのは何処のどいつだ!?」と怒鳴って振り返った。

すると目に入ったのは、だらりと垂れた2本の足……

その爪先が、さっきからお爺さんの背中を突っついていたのである。




…大抵の怪談は人から人へと伝えられながら形成されるもので、昨夜の話もそうだが、最初に話が出た時は「自殺した男の幽霊が…」云々は付かなかったのではないだろうか?
怪談としての落ちを着けたがる者の仕業だろうが…正直無い方が恐ろしかったのにと残念に思わずに居られない。

それは兎も角、公衆トイレという物は不気味な迫力を纏っている。
特に公園内にぽつんと建つ型は最恐だ。
気軽に用を足せるように設置された筈が、行くのに躊躇うというのもおかしな話だがね。


今夜の話は、これでお終い。
さあ…蝋燭を1本吹消して貰えるかな。

……有難う。

それでは気を付けて帰ってくれ給え。

――いいかい?

夜道の途中、背後は絶対に振返らないように。
夜中に鏡を覗かないように。
風呂に入ってる時に、足下を見ないように。
そして、夜に貴殿の名を呼ぶ声が聞えても、決して応えないように…。

御機嫌よう。
また次の晩に、お待ちしているからね…。




『ワールドミステリーツアー13(第8巻)―京都編― (小池壮彦、著 同朋舎、刊)』より。
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異界百物語 ―第93話―

2009年08月30日 20時04分07秒 | 百物語
やあ、いらっしゃい。
台風が近付く最中、今夜もお訪ね頂き有難う。
貴殿が足繁く通ってくれたお陰で、4年に渡り会を催す事が出来た。
心から感謝しているよ。
蝋燭の火が全て消えるまでのカウントダウンに入った事だし、此処から先は貴殿が恐怖をより身近に感じられるような話をしようじゃないか。

ところで貴殿はどんな場所に居る時、怖気を感じるだろう?
それは独りで…閉め切った…例えばトイレなんかは如何かな?
今夜と明日の夜は、トイレを舞台にした怪談を語ろう。




1988年頃、日本で面積第一位の湖として有名な琵琶湖までドライブしに行ったMさんが体験した話だ。

Mさんが長命寺港に車を停めて休憩していた時、公衆トイレに若い男女が3人、入って行くのが見えた。
すると暫くしてその3人が、叫び声を上げながら飛び出して来た。

そのままMさんと友人が居る車まで走り寄り、窓を叩いた顔を見れば蒼白である。
呆気に取られているMさん達を前に、3人の内の1人はこう言って頼んだ。

「あのトイレ、変なんです!
 一緒に来て見てくれませんか!?」

尋常ではない様子に、Mさんが3人に訳を話すよう求めると、彼らは震える声で自分達がたった今体験した事を話して聞かせた。

「外からドアを開けようと引っ張ったら、中から引っ張り返されたんです!
 それで誰か入ってんだなと思って、隣のトイレに入ろうとしたんですが…
 隣も、その隣も、そのまた隣も、6つ有るトイレ全て、ドアを引っ張ってみたんですが、その度にぐいっと引っ張り返されるんです…!」

「ノックはしたんですけど返事は無いので、開けようとして引っ張ると、ぐいっと引っ張り返されるんです…!」

ひょっとしたら中に変質者でも居るのかもしれない。
そこで弟と友人は車から出ると、3人と一緒に公衆トイレに入って、試しにドアを1つ引っ張ってみた。
と、10cmほど開いた所で、ぐっと強い力で引っ張り返された。

「うわーっ…!!」

全員、一目散にトイレを飛び出したと言う。

しかし気を取り直した弟の友人が、もう1度トイレに戻ると、今度はお経を唱え、合掌してからドアを引いた。
するとドアは簡単に、すうっと開き、中には誰も居なかったと言う。

「ドアを開けた時、確かに人の手でぐいっと引っ張り返された様な、そういう感触が有ったんだ。
 心臓が止りそうな位、恐かったよ」

後でMさんは家族にそう話したと言う。

噂では以前そのトイレで焼身自殺が有ったとの事らしい。




…家のトイレは使い慣れてる分、未だ恐怖は薄いだろうが、出先のトイレは結構入るのに勇気が要るものだ。
特に鄙びた土地の、電燈がチカチカと瞬いているトイレなど、独りで入るには恐ろしい。
そういえば以前、箱根の宿でのトイレの怪を話したね。
鍵を掛けて丸腰になるという、逃げるに逃げられない状況が、トイレに圧倒的な数の怪談を集める理由だろう。


今夜の話は、これでお終い。
さあ…蝋燭を1本吹消して貰えるかな。

……有難う。

大分雨風が激しくなっている。
どうか気を付けて帰ってくれ給え。

――いいかい?

夜道の途中、背後は絶対に振返らないように。
夜中に鏡を覗かないように。
風呂に入ってる時に、足下を見ないように。
そして、夜に貴殿の名を呼ぶ声が聞えても、決して応えないように…。

御機嫌よう。
また次の晩に、お待ちしているからね…。




『現代民話考3巻―偽汽車・船・自動車の笑いと怪談―(松谷みよ子、編著 ちくま文庫、刊)』より。
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異界百物語 ―第92話―

2009年08月29日 20時40分28秒 | 百物語
やあ、いらっしゃい。
9月が直ぐそこに迫っているのに、未だミンミンゼミの大合唱が鳴り止まないね。
そうは言っても山に行けば、蜩が鳴いている。
街の喧騒に張り合って響く蝉時雨も、後数日経てば秋の虫の音に替るだろう。

さて二夜続けて海の怪談を話したが、危険なのは海ばかりじゃない。
今夜は山に伝わる怪談を紹介しよう。




白馬岳の山中に建つ旅館での話だ。

或る吹雪の夜中に――ドンドン!ドンドン!と、戸を叩く人が居る。
奥さんが出てみると1人の男が立って居て、「夜分に突然済まないが、道に迷ったので泊めて貰いたい」と言って来た。

それは災難でしたねと同情し、中へ通そうとした時だ。
子供がひょっこり顔を出し、男の顔を見るや、激しく泣き出した。
子供の泣き声を聞いて、お婆さんも奥から出て来た。

男の顔と、泣きじゃくる子供の様子を見比べていたお婆さんは、薄気味悪い心地がしたのであろう。
奥さんに「泊めるのはお止しよ」と小声で忠告した。

その顔があまりに真剣だった為、また子供の泣き方が異常だったもので、奥さんも少し怖くなり、「今日は駄目なんです」と謝って男に帰って貰った。

夜が明けると今度は刑事がやって来て、顔写真を1枚見せられ、「この男を知りませんか?」と尋ねられた。

写っていたのは、昨夜旅館を訪れた男だった。

驚いた奥さんが捜している理由を尋ねると、刑事は「麓の方で女性を殺害した容疑で追っている」と説明したそうだ。

刑事が帰った後、奥さんは子供を呼び、「昨日どうしてあのおじさんを怖がったの?」と尋ねた。
すると子供は「おじさんの肩に血だらけの女の人がおぶさって笑っているから怖くなった」と言ったらしい。




…いくら子供が泣いたからと言って、吹雪の夜に門前払いを喰らわすのは、人道的にどうかと思わなくもない。
しかし、これは恐らく「山」という舞台を考えての、行き過ぎた演出だろう。
怪談の型としては定番で、よく耳にするが、かなり歴史が有るらしく、岡本綺堂が似た筋の作品を発表している。
「木曾の旅人」と言う題で、綺堂曰く「木曾のきこりから聞いた話」を元にしたそうだ。
どうやら長野付近で発生した、山岳地ならではの怪談らしい。

通信手段の無い山荘に、殺人者と共に閉じ込められるのは、ミステリーの常套手段。
だが現実に出遭うのは、勘弁したいものだ。


今夜の話は、これでお終い。
さあ…蝋燭を1本吹消して貰えるかな。

……有難う。

それでは気を付けて帰ってくれ給え。

――いいかい?

夜道の途中、背後は絶対に振返らないように。
夜中に鏡を覗かないように。
風呂に入ってる時に、足下を見ないように。
そして、夜に貴殿の名を呼ぶ声が聞えても、決して応えないように…。

御機嫌よう。
また次の晩に、お待ちしているからね…。




『現代民話考5巻―死の知らせ・あの世へ行った話―(松谷みよ子、編著 ちくま文庫、刊)』より。
※岡本綺堂の「木曾の旅人」(→http://www.aozora.gr.jp/cards/000082/card43574.html)
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