瀬戸際の暇人

春まではミスドとハウステンボス旅行について纏める予定…

キャンドルマス

2006年01月31日 20時13分49秒 | クリスマス
2/2は『キャンドルマス』と言いまして、以前もちらっと話したりしましたが、カトリック側の『聖母お潔めの祝日』で、日本では『聖燭節』なんて呼ばれてます。


キリスト誕生後40日目に、聖母マリアが当時のイスラエルの慣習によって、エルサレムの神殿で『潔め』の式を受けたのと、神の子イエスが神殿に献げられた事を祝う日なんだそうな。


儀式としてミサと、その前に信者達によって蝋燭の祝別式――蝋燭手にしての行列が執り行われます。

これは4世紀頃からエルサレムで行われてたらしく、その蝋燭持って行列する儀式から『キャンドルマス』と呼ばれてる訳ですね~。


んでカトリック圏では、この日はクリスマスの飾りを焼く日…日本で言う、正月飾りを小正月に焼くイベント『どんど焼』に似た様なもんだそうです。


…以上、『年中行事辞典(西角井 正慶編、東京堂出版)』よりの受売り。(笑)


冬至のお祭がクリスマスの御先祖だと考えると、2/2にクリスマスの飾りを下ろして焼くっつうのは意味が理解出来ますねー。

2/3は節分、2/4は立春…暦上、冬は2/2で終了って事ですな~。


で、何が言いたいかってぇと…長らく此処のブログはクリスマスのテンプレート引張って来ましたが、2/2にて春のテンプレートに…したかったけど、2/1~2/3まで生憎旅行なんで、帰って来てからチェンジします~。(苦笑)


後々、ワンピファンとしては、2/2はも1つ重要な意味持った日で御座いますな。


2/2には言えないんで、今言っときます。






――ワンピ界切っての清純派、美しき王女ビビちゃん、お誕生日おめでとう~♪♪♪



……今の原作展開観てると、その内また話に絡んで来そうな、そんな期待も持てたりしたり。





写真の説明~、港街スパーケンブルグ地区『ハーフェン橋』下辺りに並んでる木のベンチ、『何度も廻り合うその27』にてゾロが座ってるっつう物。

イルミネーション灯した夜の迎賓館を観賞するには絶好の場所で御座います。

クリスマスシーズン中は、控え目(笑)にだけど、クリスマス飾りも付けて有ったんだ~♪




――それじゃあ、2/3まで、温泉に行って来ま~す♪
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『何度も廻り合う』その28

2006年01月30日 23時14分27秒 | 桜トンネル(ワンピ長編)
――訳有って本日2回目の更新(汗)、前回の続きです。






「……ナミ……迎えに来てくれたのか!!?有難うって…――お前何だその薄着はァァァ!!!?


目の前に立っているナミは、何時着替えたのか、肩剥き出し薄地の青いワンピースを着ていた。


「ババ馬鹿お前こんな寒ィ冬の土砂降りん中何考えてやがんだよ!!?早くこの下入れ!!!濡れちまっだろが!!!!」

「土砂降り?濡れる?……何言ってんの?雨なんて降ってないじゃない。」

「………………へ……?」


トンネルを抜け出し、外へ出る。


仰ぎ見た空には雲一片たりとも浮かんでなく、鈎針の如く細い月、そして星が一面に瞬いていた。


足下に敷かれた煉瓦も、何処も濡れていねェ、乾き切ってる……どういう事だ…?


「…ね?素敵な星降る夜じゃないv」


笑いながらナミが、くるりと裾翻して回転する。

闇夜に白く仄めく左肩に、奇妙な模様が描かれてる事に気付いた。


「…お前…何だ?その左肩に入った模様は…。」

「…左肩…?刺青の事??」

「刺青ィィ!!?い何時そんなの入れたんだよおめェェ!!?」

「何よ今更…もう随分前から入れてたじゃない。」


……そそそうだったか!!?

いいや此処数年じっくり見ちゃいなかったが、言われてみればそうだったようなそうじゃなかったような???


それに右腕にチカリと光るブレスレット…は兎も角として、丸っこい磁石みてェな物嵌めたのは何だ??


「その…右腕に嵌めてる丸まっちいヤツは??」

「丸まっちいって…『ログポース』の事?あんたまさか『ログポース』の事忘れちゃったのォォ!!?」

「ログ……ボーズ???」
「『ログポース』!!!記録指針よ!!!グランドライン渡ってくのに必須の物じゃない!!!あんた脳内でまで迷子になっちゃったの!!?しっかりしなさいよ!!!」


ナミは真剣だ、怪訝そうな面持ちで俺を見詰てる。


駄目だ…!!マジ頭が混乱して来た!!

何で雨が止んでんだ!?何故道が乾いてる!?どうしてこいつは夏服着てんだ!!?

どういう事だよ!!?全く解んねェ!!!誰か説明しやがれっっ!!!!


「薄着だとか何とか……自分だって結構な薄着じゃない!」


呆れた様に溜息吐いて、ナミが言う。


「…薄着…?俺が…!??」


言われて身辺見回す………驚いた…出掛けに着てった筈のダウンジャケットなんて跡形も無ェ…っつか…――何だ俺のこの格好はァァァ!!!?


「……何で……!?何時の間にこんな腹巻とか親父シャツとか!!センスの無ェ格好しちまってんだよ…!!?」

「はァァ??それこそ今更!!緑の腹巻白の親父シャツ、黒バンダナを左腕に締め左耳には三連ピアス。…そのノーセンスファッションこそ、あんたじゃないの!!」
誰がノーセンスだよっっ!!?…いやそんな事より…やけに右腰が重てェなと思ったら……何で…何で俺は3本も真剣差してんだよォォォ!!!??


「………ゾロ……あんた…本当に大丈夫…?剣士の命まで忘れちゃったの…?」




――お前もきっと会うぞ。




「……剣士の……命…?」




――俺が見たんだから、お前らだってそりゃ見るさ♪




剣の柄に、触れてみる。

黒い柄、赤い柄、白い柄。




――向うの世界でのおめェは、三刀流の使い手だった。




黒い柄の刀は、『雪走』。

赤い柄の刀は、妖刀『三代鬼徹』。

白い柄の刀は、『和道一文字』。




……そうだ………何で忘れちまってたんだろうな…。


幼い頃の『くいな』との約束果たす為に……三刀流を極めて、世界一の剣豪になる為に……海へ出たんじゃねェか俺は……!!


最強の座で待つ『鷹の目のミホーク』に打ち勝つ為に……仲間と共に俺は…!!!




「悪ィな、ナミ……少し…ぼぉっとしてたらしい。」

「……ちゃんと、思い出せた?」

「ああ、何もかも、全部な。」

「そ、良かった!」


にっこりとナミが微笑む。


「早く船に帰ろう!皆待ってるわ!」


そして右手を俺に差し出して来た。


「…んだよ?この手は…?」

「手ェ繋いで行くのよ!もう2度と、迷子にならないように!」

「誰が迷子だってんだよっっ!!?出来るかっっ!!そんなガキみたく恥しい事!!」

「あんた1人で歩かせとくと、こっちが不安になんの!ほら、行くわよ!!」


無理矢理手を握られ、引き摺り出される。

自分と全く違う体温、柔らかさが掌に伝わって来る。

気恥ずかしくも、妙に安心した。




そのまま階段上って橋の上に出る。


「大体道に迷って下に潜るなんて愚の骨頂よ!そういう時は、見晴らしの良いトコまで上ってみんの!」


橋の上からは、星より眩く光る街灯や並木が、至る所に見えた。

ちょっと目を横に向けりゃあ、最初に辿って来た光の運河まで見える…なんだ、こんな直ぐ側に在ったのか……何で気付かなかったのか?つくづく不思議に思う。


手を繋いで道を進む、靴音響かせ石畳を歩く。




目の前に夕方ナミに連れて来られた、煉瓦造りのとんがり屋根した水門が、闇の中に灯って見えた。


「え…?私、こんな所まであんたと来たっけ?」

「ああ!絶好の景色が眺められるベンチが置いてあるってな!…行ってみるか!?」


手を引っ張り、駆け足で連れてく。


夕方来たみてェに、海を向くベンチに並んで腰掛ける。

大きく開いた窓から、星降る空と、灯りを映した鏡の海との、両方が見渡せた。


「凄い……空だけでなく、海面にまで星が瞬いてるみたい…。」


潮風が流れて来て、ナミの髪を揺らす。

目の前揺れてるヨットのマストが、また、物悲しい金属音を響かせる。


「さっきは曇ってて観えなかったが…やっぱり晴れてると良いな。満天の星だ…!」

「…曇ってた??別に今日は曇ってなんかいなかったわよ?」

「ん?…ああ…気にすんな。」


海面に映った灯りが、街が、ユラユラ揺れている。

ルフィが言ったみてェに、今飛び込んでけば、違う世界へと行けるだろうか…?

そんなメルヘンな思考が頭を過り、苦笑した。



「さ!そろそろ行こ!」


俺の手を握り、ナミが立ち上がる。


「未だいいじゃねェか。」

「名残惜しいけど、ルフィ達が待ってるもの。早く行かないと、御馳走全部食べられちゃうかもだし。」

「御馳走??」

「明日はこの島を離れるから、今夜はそれを祝って、甲板で盛大に宴開くんだって…朝からルフィ、張切ってたじゃない!」

「……ああ…そうだったかな…。」


水門を出て、手を繋いで、海岸沿いの道を歩く。

見上げれば星明り、左には街灯りを映した海、右には並木と煉瓦の街並み。

石積みの護岸に、絶間無くぶつかり、響く波音。

潮風が吹き鳴らす、哀し気な金属音。


道を行き、跳ね橋を渡り、港街へ入る。

広場前の海には俺達の船――羊顔のフィギュアヘッドを持った、『ゴーイング・メリー号』が繋留されていた。




「おっせーぞゾロォォ!!!何やってたんだよ!!?宴始めらんなくて皆迷惑してたんだからなァーーー!!!!」


フィギュアヘッドに、ゴムの体巻き付け噛付きながら、ルフィが叫ぶ。

頭の上には、トレードマークの麦藁帽子。


「悪ィィ!!!ちょっと道に迷っちまってたんだよっっ!!!」


船を見上げて思い切り叫ぶ。


「なァァ~~!?チョッパー!!俺様の推理通りだっただろォ~~!?――ゾロが姿を消した!!謎が謎呼ぶミステリー!!脳回路駆け巡り導かれる稀代の名推理…奴は今!街中で道に迷い難儀して途方に暮れているとォォォ~~~!!!!」
「すげ~~~!!!すげすげすっげェなァ~~~!!!ウソップは頭が良いなァ~~~!!」


見張り台ではウソップとチョッパーが漫才を繰広げていた。

尊敬の眼差し向けて感心するチョッパーに、ウソップがその特徴的な長鼻を得意気に鳴らして応える。


「なァにが名推理だ!!あのクソ馬鹿が迷子になってるなんざ猿でも解ける答えだってェの!!」


クソコックが甲板から身を乗り出し、如何にも人馬鹿にした様に見下す。

口から煙草の煙をプカプカ吐き出し、右手に掲げた皿にはチーズを満載して。


「誰がクソ馬鹿で迷子だよ!?くるぱー眉毛ェェ!!!」
「ふっふっふ…見縊らないでくれ給えよサンジ君!!嘗て俺はシロップ村1番の少年名探偵として近隣の島々にまで名を馳せた男!!見た目は子供!頭脳は大人!!人呼んで『江戸川ウソップ』!!真実は何時もひとォォォ~つ!!!」
「てめェ以外他に居るかってんだよ!?マリモンゴリアン!!!」
「……誰も聞いてないよ、ウソップ。」

「ナミさんもさァァ~~、あァんま馬鹿甘やかしちゃ駄目だよォォ~~!!でねェとそいつ何時まで経っても自立せずに、一生お守する羽目になっちゃうぜェェ~~!?」
「一理有るわねェ~、少しスパルタ式で臨んだ方が良いのかしら?」
「…っておいっっ!!」
「航海士さん、ログは明日の何時には溜りそう!?」


甲板からロビンが、相変らず淡々とした調子で叫び聞く。


「…そうねェ~、恐らく明日の夕方、5時ぴったりよ!!」
「名残惜しいわね…こんなに平和な街なのに!!」
「そうねェ~!!御飯も美味しかったし!!街に在るホテルも最高だったし!!何と言ってもこの素晴しい景観!!何なら1年は居たかったかしらァ~♪」
「そんなに1っ所に居たらあきちまうよ!!!また来りゃ良いじゃねェか!!!」
「ま、ルフィの言う通りだな!!平和過ぎて体が鈍っちまう!!」
「…そりゃあんたとルフィはそうでしょうけど。」
「んナミっすわァ~~んvv早く船に乗んなよォ~~vvチーズにパンにハムにソーセージにワイン!!どれも上等なの買い込んで来たんだぜェ~~vv――てめェもさっさと乗りやがれ!!勿体無くも美味い焼酎呑ませてやるぜ、このクソマリモ!!」
「んだとクソ眉毛!!?」

「ゾロもナミも早く上がって来い!!!明日の出航を祝って、今夜は宴だァァァーーー!!!!」


ルフィの雄叫びが天に轟く。

ナミが笑顔を向けながら、繋いだ手を引っ張る。

それに笑い返しながら、俺も船に乗り込もうと近付いてった――




「何処行こうってのよゾロォォ!!!」




声に驚いて、後ろを振り返る。



振り返った瞬間、また、ザーーーッ…!!!!と音を立てて雨が降って来た。



振り返ったそこには、赤のチェック柄した傘を差して、オレンジのダッフルコートを着たナミの姿。



前に向き直り見る…海に繋留されてるのは、ゴーイング・メリー号ではなかった。



イルミネーションが灯された、レプリカ木造帆船。



船に乗ってた皆の姿は、何処にも見えない。



手を繋いでた筈のナミも…掌に温もりだけ残して…消えていた。



「…あんた、何やってんのよ…!?それ以上行ってたら海落っこちてたわよっっ!!?」



右腰に手をやる…3本の刀は消えていた…身に着けてた腹巻も見当たらねェ。


緑のダウンジャケットに、冷てェ雨をたっぷり吸った黒ジーンズ…全部、元に戻っちまってる。


顔が冷てェ…体が、凍えちまいそうだ。


雨が叩き付けて、広場はびしゃびしゃに濡れていた。



「遅くにまた降るって言ったよね!!?私、言ったよねェ!!?馬鹿!!!何で1人で外出たのよ!!?方向オンチのクセして!!!どんだけ探し回ったか…お陰で観たいTV観られなかったんだからねっっ!!!どうしてくれんのよ馬鹿っっ!!!」



ナミが強く俺の体を揺さ振って来る。


濡れた顔に照明が反射して、何だか泣いてるみてェだなとぼんやり思う。



「………ルフィは……?」



――ウソップは?コックは?チョッパーは?ロビンは?…ナミは?……俺は?



「……ルフィ?コテージに残るよう言ったわよ!!この上あいつまで迷子になって二重遭難だなんて真っ平御免だもの!!…もしも0時回って、私とゾロが帰って来なかったら、そん時はフロント電話してって伝えてある…。」



「…なァ…雨……ずっと降ってたか…?さっきまで、一旦……止んでただろ……?」



空を仰ぐ……一面、真っ暗だ、星なんて1個も見えなかった。



「………何言ってんのよ…?10時過ぎ頃また降り出して…そのまま降り通しだったじゃない……。」



「……ああ……そうか……そうだったかもな……。」





「……しっかりしてよ…!!後少ししたら…私は、もう、迎えに来てあげられないんだからね…!!!」





笑って傘を差し向ける。



解れて濡れた髪が、その顔に貼り付いていた。



息が白い、触れて来る手が冷てェ…随分、長い間外に居たんだろう。



顔は笑ってても、泣いてる……寂しくて泣いてやがる…。



きっと、独り、雨ん中俺を探して泣いていた。




――あんた達2人共、迷子になって一生戻ってこなきゃいいんだ。




…………何で、てめェは……




……何で、てめェは……!!




「本当に言いたい事口に出して言わねェんだよ…!!!」




闇からざんざん雨が降る。



俺の叫びを遮るように。



見て来た全てを洗い流すように。





その29に続】





何で私はこんな無駄に切ない話書いてんでしょう…?(汗)
済みません、意味不明にアレで恥しい話で済みません。(汗々)
取り敢えず、これにて『ゾロ編』、終了。
次回、『ナミ編』は2/7から…や、ちょっと2/1~2/3まで温泉行って来るんで。(苦笑)

【特別おまけ:その頃のルフィ

写真の説明~、『フリースラント』~『ビネンスタッド』に架る橋、『ジョーカー橋』の下には、こんなベンチが有る。

通称『魚ッチングスポット』。(笑)
コメント (6)

『何度も廻り合う』その27

2006年01月30日 22時49分44秒 | 桜トンネル(ワンピ長編)
前回の続きです。】






コテージの建並んでる地区を抜けて適当に歩いてく内に、紅白イルミで一際派手にツリーの装飾を施した、ホテル・ヨーロッパの前に出ていた。

その右横には迎賓館、そのまた右横には光る塔…周囲の電飾林と合せて、多分此処界隈が場内で最も賑やかな区域に違いねェ。


塔を前にして、橋から下を見下ろす。

クルーザー上から目にした時同様、運河は無数の灯火を水面に映して揺らめいていた。


暫くぽけっと眺めてる内、橋の脇に下方へと向う階段が在る事に気付く。

どうやらそれ使って岸まで降りられるらしい。




降りてみて驚いた。

岸辺がちゃんと道になってやがる。

橋下に通行用のトンネルが掘られていて、潜り抜けて運河沿いをずっと歩いて行ける様だった。


しかも御丁寧にあちこち休憩の為のベンチまで置かれてやがる。

試しに1つのベンチに座ってみた。


…へェ…こりゃあ良い……真ん前に迎賓館が良く観える。

運河に映り込んだイルミネーションまでばっちりだ。

撮影するにもベストポジションなんじゃねェの?




――今迄景色良いから撮ろうと思った場所には、必ずベンチが置かれてたし。




…成る程、ナミの考え通りって訳か。


ルフィからカメラ借りて来るんだったな。

映像残しとく事に興味は無ェが…ルフィは勿論、ナミだって知らねェ場所だろう。


何なら明日連れてってやるか?

いや、明日の午後には帰る予定だ…となると、この見事な夜景は観せらんねェ訳か…。


一旦戻って連れて来るか?

…いや、観てェTV番組が有るとか言ってたからな…付き合わねェかもしれねェ…。


行こか戻ろか思案する、思案しながら眼鏡橋下を潜り、ドーナツ橋をも渡り……って気が付きゃ、何時の間にか塔が遠くに見える位置まで来ていた。


少し、焦る…。


いやいや焦るな、あのチカチカ光ってる塔を目印に、元来た道辿りゃあ良いだけだ。

大丈夫だ、地図は頭に入ってる。


後ろを振り返ると、橋下のトンネルにベンチが置かれているのに気が付いた。


…つって最初気付かず通り過ぎちまうなんて、呆れる程間抜けだぜ俺。


照明まで点されてて、さながら恋人用のラブベンチだ。

何とはなしに腰掛けてみる……中々落ち着いた雰囲気だ。

やっぱり戻って呼んで来るべきだったかと後悔したりする。


ふと目の前に、『運河で生息する生物』なんてのの、写真が紹介してあった。

へェーー、鯛や蛸や雲丹まで棲んでんのかーー…って、河にかよ??

目を凝らして水中を覗く。


居る…確かに居る…ライトに寄って来てんのか、水面ギリギリまで、うようよ魚が泳いでんのが見えた。

網でも持って来るべきだったか…いや、勝手に獲っちゃ拙いだろうなァやっぱ。

惜しく思いながらも席を立った。


見廻せば此処だけじゃなく、周り中ベンチだらけだ。

左隣にベンチ、対面してる岸にもベンチ、間に架るドーナツ橋上にまでベンチ、しかも花壇付で。

よくも此処まで造りこんだもんだと感心しちまう。


どうやら運河のライティングは、今居る橋の所で終ってるらしかった。


さて、どうするか?


ルフィじゃねェが、幾つも橋を潜り抜けて探険してくのは、結構楽しかった。

せっかくだから行ける所まで行ってみようじゃねェか。

何処まで行けるか探っておいて、明日あいつらにも教えてやろう。



……この思い付きが仇となった。




何処をどうしてどう行ってこうなったものか、気付けば俺は、3基の光る羽根した風車の建つ、花畑の中に立っていた。


流石に焦り出す。


俺の記憶が確かなら、此処は出入国口の近く、場内のほぼ端近く。

左に嵌めた腕時計を見る……後少しで10時を回りそうだ。

やべェ、かなりやべェ、遅くに雨が降るってナミから言われてたってのに…とうに周囲の建物は店仕舞、人影も全く見えねェ此処らで降られちまったら逃げ場が無ェ。




――大丈夫なのかァ~~??道とか、1人じゃ解んねェだろォ~~??




先刻のルフィの、能天気な声が頭を過った。

冬だってのに、じんわりと背中から、汗が噴出して来る。


大丈夫だ!あの遠くで瞬いてる塔目印に、元来た道辿りゃあ…そうさ、慌てる事なんて無ェ…!!

己に言い聞かせながら、回れ右して来た道戻る。


そうさ、迷路じゃあるめェし…大丈夫大丈夫、大丈夫だ…!!




何処をどう行きこうなったものか…気付けば俺はまた、3基の光る羽根した風車の建つ、花畑の中に立っていた…。




――心配だなァァァ~~~。




「煩ェ!!!大丈夫だっつってんだろっっっ!!!!」


浮んだ言葉に向って声を荒げる。

……みっとも無ェ……つくづく周りに人が居なくて幸いだった。(いやむしろ居た方が幸いだったのか?)


そうこうしてる内に、ポツリ、ポツリと、頭に冷てェ水が当るのを感じた――瞬間、どざーーーっっ!!!!!と頭からバケツで水引被らせる様な豪雨が降って来た。


…………泣きっ面に蜂だ。


此処まで不運だといっそ清々しく、笑いたくさえなって来るってもんだが……呆然としてても事態は好転しねェしなと、何とか気力奮い起こして、また元来た道を辿って行った。

大丈夫大丈夫、塔を目印にして進みゃあ何とかなるさ。


気のせいか照明疎らな物寂しい道入ってくが、気のせいだ。

気のせいか周回しちまってる様に思えるが、気のせいだ。




何処をどう行きこうなったものか………俺の前には3基の光る羽根した風車が、ひっそりと佇んでいた。


雨は時を増すごとに激しくなって来、バシャバシャと煉瓦の道に叩き付ける様降っている。

幸いダウンジャケットを着てたお陰で、冷てェ雨が滲み込む事は無かったが、ジーパンの方はすっかりぐしょ濡れ、水吸っちまって重てェ。

明日まで乾くだろうか?着替えを持って来るべきだったなと、途方に暮れつつ後悔した。


煉瓦の道同様、ライトに煌々と照らされた可憐な花畑にまでも、雨は無情にも叩き付けて来る。

おめェらもさぞかし寒ィだろうなァと、情けなくも同情の念が湧き起った。


ひょっとしてこのパークにはアレか?

青木ヶ原樹海みたく、方向を狂わす力でも働いてんじゃねェだろうな…?




――これは脅しじゃないわ。『テーマパーク初の遭難者』として名を轟かせたくなければ…




「轟かせてたまるかバカヤロォォ…!!!!!」


また、天に向って叫んだ。

そんな俺の言動に腹でも立てたか、倍増した雨量がドサドサ顔に浴びせ掛けられる。


寒ィ…マジ凍える…産れて此の方風邪すら引いた事無ェが、今回ばかりは引くかもしれねェ。

ひたすら気が萎えてくが……こうして居たって始まんねェんだし……何とか灯りを目指して街へ入ってけば……そうだ、この街灯を頼りに進みゃあ良いんじゃねェか…!?

街灯を辿ってより明るい方角へ進んでけば、何時しか自然と賑やかな街へと入って行け…!!




――その刹那、フッ……と、風車に取り付けられた灯りと、街灯が消えちまった。


同時に俺の胸に灯った微かな希望も消え、そして辺り一帯闇に呑込まれた……




何処をどう行きこうなったのか…………気付けば俺は、真っ暗な橋の下で雨宿りをしていた。

腕時計で時刻を確かめる…既に11時を過ぎていた。


厄日か…?天中殺でも重なってんのか…??


完全に場内の照明が消されてる訳じゃねェが…今迄歩いて来て誰1人にも出くわさねェ。

電話かけたくとも何処に在るのか皆目見当付かねェし…そもそも財布持たずに出て来ちまったから、見付けたとしてもかけらんねェ。




――携帯、持ってりゃ良いのに。むしろ必需品だわ。




……まさかこのまま野宿する羽目になるんじゃねェだろうなァ…?


バシャバシャと派手に音立て運河に降り注ぐ雨を見ていて不安が募ってく。


冗談じゃねェぞ!大体何で此処はこんなにも広大なんだよ!?

たかがテーマパークの分際で生意気だっつの!!逆切れるぞ終いにゃ!!(←もう手遅れ)


せめて…せめて少しでも小降りになってくれれば…。

振り仰いだ空は漆黒そのもので、際限無く降る雨だけが周囲の街灯を反射して光っている。


もしもこのまま、ずっと止まなかったとしたら……?


……今頃、心配してやがるだろうなァ。

ひょっとしたら、俺を探して場内探し回ってるかもしれねェ。

警備員に知らせて、捜索隊出動させてるとか。




――迷子になって一生戻って来なきゃいいんだ。




………心配……してくれてるよ……なァ……?


情けねェ…こんな他力本願思考……ほとほと情けねェってのっっ。




「そんなトコで何やってんのよ、ゾロ?」



声がした方振り向く………トンネルの外には、ナミが立っていた。






その28に続】





写真の説明~、キンデルダイクの『光の風車』。

この付近は11時にはライトが消えます。(全部じゃないけど)


…散歩してて怖かった…。(笑)


今日は訳有ってこの次編も更新有り。(いや、1回で終了しなかったんで)(汗)
コメント

『何度も廻り合う』その26

2006年01月28日 19時42分59秒 | 桜トンネル(ワンピ長編)
前回の続きです。】





「タイミング良く花火の時間に晴れてくれて、ラッキーだったわよねv」
「本当だな!まったくきせきだよな!!」
「よっぽどコイツの睨みが恐ろしかったんじゃねェのォ?天の神様も。」
「そうか!すげーなナミ!!神様にガン飛ばして勝っちまうなんて!!」
「誰が天にガン飛ばしたってェのよゾロォ!!?」
「あ…まァアレだ!!あァんな物凄ェ豪雨がピタリと止んじまうなんて、まったく奇跡的っつうか…!!」
「そうだよなー!!なんなら昨夜みてーにまた夜の散歩しよーぜェ~♪」
「馬鹿ルフィ!!余計な事フッてんじゃねェっっ!!!」

「残念だけど、今夜は止めておいた方が良いわね。多分また夜遅くに降って来るから。……花火の時だけ止んでくれるなんて、出来過ぎてる程ラッキーだったと思うわ。」





また荒れるっつうナミ予報が出てくれたお陰で、コテージに真直ぐ帰る事が出来た。



やれやれ、後は風呂入り直して寝るだけだと考えてた俺だが、そこにナミの非情な割込みが有った。


「ゾロはさっき入ったじゃない。次は私が入るわ!」
「ってあのな……お前らが急かしたお陰で、俺はゆっくり温まり切れなかったんだよ!!っつかマジ寒ィって!!風呂出て即寒風当ったから完全に湯冷めしちまったじゃねェか!!早く入らねェと風邪引いちまうかもしれね…」
「駄目よ!!…大体ゾロ、昨夜だって勝手に1番に入っちゃったじゃない!!ジャンケンの順番から言ったら、今夜は私から入るのが筋でしょ!!」
「だから筋がどうとかでなくだなァ~!!濡れた体で外出たお陰で凍えそうなんだっつうんだよ!!俺に風邪引いて欲しいのかてめェはっっ!!?」
「大丈夫よ、ゾロならvだって『馬鹿は風邪引かない』って言うでしょ?」

「………って、おいっっ!!!」

「私ね、10時から観たいTV番組有るのよ。でも、それ観終ってから入ったんじゃ、寝るの遅くなっちゃうじゃない?だから今の内にお風呂入っておきたいの!OK!?」
「OKじゃねェよ!!!んだァ!?その自己中な理由はァ!!?ふざけてんじゃねェぞおいっっ!!!?」
「まァまァv…お詫びに温か~いほうじ茶淹れてあげるから、それ飲んでルフィと待っててよv」




……この後も色々押し問答続いたりはしたんだが、結局は俺が折れて、ルフィと共にリビングでお茶飲んで待つ事になった。


腹立ちはするが口喧嘩であいつに勝てた例無ェし…そもそも女相手に本気で喧嘩するなんて、男として自分が空しくなるだけだ。



仕方なく自分の指定席にしてる長ソファの上でゴロ寝する。


前ではロッキングチェアに座ったルフィが、ブランブラン揺れながら貯金箱弄って遊んでいる。


ナイフ弄って遊んでると、ナミから没収されるんで仕方なく…なんだろう。


お互い特に喋らず、点いてるTVをただぼーっと眺めながら、そこに居た。




「……ひょっとしたら、また、会えるかもしんねェと思ったんだけどなァ。」



脈絡も無く、ポツリとルフィが呟いた。


「…会える?……誰にだよ?」


「向うの世界の、皆にだ。昨夜の花火ん時、俺、会ったんだ。」



……って何が言いてェのか、全然解んねェし。



ちゃんと話が見えるよう喋れと言ってやる。



したら曰く――昨夜自分は、此処とは別の、もう1つのパラレルワールドを覗いた。


その世界では、ルフィは海賊王を目指してて、目下6人の仲間達と共に、波乱万丈な航海をしている最中だったそうだ。


俺は剣士で、ナミは航海士で、ウソップは狙撃手で、眉毛がコックで、ロビン先生は考古学者で、チョッパーっつうのが医者でと…中々バリエーション豊かな人材を揃えているなとの感想を持てた。



「向うの世界でのおめェは、三刀流の使い手だった。」

「……三刀流?右手と左手に握るとして、もう1本は何処で握るんだよ??」

「後1本は、口にくわえてた。」

「…………そりゃ常識的に言って無茶だろう。」

「お前もきっと会うぞ。もちろん、ナミもだ。」

「何故、そう言い切れる?」

「俺が見たんだから、お前らだってそりゃ見るさ♪」

「……ちっとも根拠になってねェよ。」

「ナミには『ただの夢』だって言われちまったけどな。俺の今の願望が出たんじゃねェかって。」



成る程…朝方言ってたのは、この件の事でか。


脳裏にあの時のナミの、険を含んだ顔が浮んだ。



「けど俺は、夢だったとは思っちゃいねェ。第一、俺はこっちで海賊になりてェなんて望んじゃいねェ。だからナミの言う『ただの夢』であるわけが無ェんだ!」


自信たっぷり、歯を剥き出しにして笑う。



「…そのナミの件なんだがな……あいつ、此処へ来てから、少し様子がおかしかねェか?」

「おかしいって、何がだ??」

「だから、普段とちょっと違うなァとか……感じたりしなかったのかよ??」


俺のこの言葉に暫しルフィは、珍しく眉間に皺寄せて悩む。

椅子の上で胡坐を掻き、貯金箱持ったまま腕抱えて、「うー」とか「むー」とか唸っている。

…のは良いんだが、椅子をブラブラ揺らしてだから、今一真剣味が感じられねェ。



「や、ちっとも!」
「馬鹿!!!んなわきゃ無ェだろ!!?しきりに俺に突っ掛って来たり、我儘放題言ってみたり、かと思えば一転優しくして来たり…!!!」

「ナミがゾロにつっかかったり、俺達にわがまま言ったりすんのはいつもだろ?普段と比べて何もおかしいとは思わねェけどなァ。」
「だから幾らなんでもその頻度が…!!!」



大体普段通りのあいつなら、ウソップと眉毛置いてまで旅行に行こうだなんて言いやしねェ。

誰よりも仲間の和を重んじるヤツだ、その為なら率先して我を捨てる様なヤツだ。


我儘だが、状況弁えず押し通す女じゃあねェ。

仕切り屋だが、他人の意見を聞かずに仕切る女でもねェ。



あいつは、俺やルフィに―――甘えてんだ。



ウソップが此処に居てくれたらな、と思う。


平和主義のあいつは、俺とナミが喧嘩しようものなら、体張ってでも止めてくれる。


クソ眉毛でも良い、レディを守る騎士を自称する奴だ、言い争ってりゃ必ずナミ側に付く。


何れにしろ、割って入ってくれてた筈だ。



ルフィは、俺とナミが喧嘩してても絶対に止めねェ。

割って入っても来ねェ。


だから何時までも平行線のままだ。


切が無ェ、互いに落ち着いて、本当に言いたい事が言えねェんだ。




「……解ったぞ、ゾロ…!!」


いきなりルフィが、嘗て見た事無ェシリアス顔して口を開いた。


「何が解ったんだよ…?」

「これを見ろ…!」


ひょいと椅子から飛び降り、さっきから弄んでた貯金箱を、俺の座ってるソファの前…テーブルの上にカタリと置いた。


「……貯金箱だな。」


ソファから身を起して応える。


「そうだ!入れた金が小っさく縮んじまう貯金箱だ!…よく見てろよ?種も仕掛も無ェ、ただの十円玉を入れるだろ…」


チャリーン♪と音を立てて、十円玉が箱の中に落ちる。


長方形した箱の中には、更に正方形した小っせェ箱が有り、その中に入った十円玉は、成る程一回り以上も小さく縮んで見えた。


「……小さくなっちまったな。それで…?」

「そうなんだ!確かに小っさくなっちまったように見えっだろ!?だけどな、こうやって傾けると……」


俺に見えるように向けながら、貯金箱を下に傾ける。


入れられた十円玉は前に寄り、縮んだ筈のそれが、元の大きさに戻って見えた。


「…どうだ?元のサイズに戻っちまっただろ…?」

「……ああ、不思議だな。」

「つまりだな…この中に入った金は、本当に小っさくなっちまってるわけじゃねェんだ!こーみょーに仕組まれたトリックでそう見せてるだけなんだよ!!――びっくりしただろ!?」


「…………ああ、大発見だ。」



こいつとは、それこそ物心つく前からの付き合いだ。

だけど未だに判断が付かねェ。


物凄ェ馬鹿なのか?

それとも、物凄ェ天才なのか?



「まァ~、トリックだったとしても、不思議は不思議だけどな♪…やっぱ分解してみねェと解んねーかなァ~。」



…けどナミは、こいつを誰よりも信頼している。


ルフィもナミ以上に信頼してるヤツは、恐らく居ねェ。


天衣無縫を通り越して傍若無人な奴ではあるが、ナミの言う事には有る程度まで素直に耳を傾けた。


「ナミはこう言った」、「ナミが言うなら確かだ」、「ナミの指示通りなら間違い無ェ」……傍から見てて、まるで母と息子の姿みてェだった。



けれども真実は……ナミこそ、ルフィに縋っていたんだろう。


幼馴染の、弟の様な男友達っつう立場を越えて、父親としてまでも―――




カップに残った茶を飲干し席を立つ。


ハンガー掛けてたジャケットを引っ被り、そのまま玄関に直行する。



「…何処行くんだー、ゾロ?」


「散歩だ。」

「今夜は止めとけってナミから言われただろォ?夜遅くにまた雨が降るだろうからって。」

「そんな遠くまでうろつきゃしねェよ。30分もしねェ内に戻って来るさ。…その頃にはナミも風呂から出るだろうしな。」

「大丈夫なのかァ~~??道とか、1人じゃ解んねェだろォ~~??」

「心配すんな。いいかげん、地図は頭に入ってる。」

「心配だなァァァ~~~。」
「心配すんなっつってんだろがっっ!!!」





ドアを開けて外へ出た。


雨は未だ降っちゃいねェ。

見上げた空に星は見えねェが、まァ、暫くは大丈夫だろう。


暗闇に、軒を連ねたコテージの外灯が光っている。

雨に濡れた石畳の道が、外灯を反射して浮び上がっている。


白く息を吐き出しつつ、俺は外灯と光る道を頼りにして歩いて行った。





その27に続】





次回、漸く『ゾロ編』最終回!多分!(←けど『ナミ編』が未だ有るし…しかも多分って…)(汗)


写真の説明~、フォレストヴィラ1階リビング、真ん中の肘掛ソファは『ナミ椅子』って事で。(笑)

んでその左横に有るソファは『ゾロ椅子』、右横には『ルフィ椅子』が有ると思って下さい。(笑)

実はもう1つ、ナミ椅子の前に、背凭れの無い椅子が有ったりします、ゴージャス~♪


テーブルの上に出てるアレコレ色々な物は、ホテル側が用意してくれたまんま…パンフレット類やらカップやら会員サービスのフルーツセットやらで御座います。
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『何度も廻り合う』その25

2006年01月26日 22時29分25秒 | 桜トンネル(ワンピ長編)
前回の続きです。】





「予想通りとはいえ、一気に降って来たわねェ。」


雨が盛大に湖へと降り注がれる。


湖面に引切り無しに波紋が浮ぶ。


窓越しにそれを見詰めていたナミが、如何にも残念そうに溜息を吐いた。


「まるで真夏の夕立。ひょっとして雷まで鳴るかも。」
「幾ら何でもこの時季に雷は無ェだろ。」


―――ッッ…ドォォォォ……ン……!!!!


「―って本当に鳴りやがったァァァーー!!!!」
「嫌だァ!!!ピカッて光ったァァァーー!!!!」


ザブザブ音を立てて降る雨、闇を劈く雷光、雷鳴…こりゃ本格的に嵐の様相っつか。


「…大丈夫かしら?万が一此処に落ちて停電とか…。」
「そりゃ無ェだろ。落ちるなら恐らくあの塔にだ。」
「それもそうね。どう見ても避雷針はあれよねv」



なんて、呑気に窓寄っかかってナミと談笑してた直ぐ後だ。



突然、フッ……と灯りが消え、真っ暗になっちまった――



「ほ、本当に停電しやがったァァァ~~!!!?」
「い~~やァ~~~!!!!!誰か蝋燭懐中電灯早くゥゥゥ~~~!!!!!!」


「うはははははははははははは♪なんちゃってェ~~♪ビビったかビビったか!?うははははははははははははははは♪」



玄関からルフィが馬鹿笑いしながら入って来た――右手にはキータッグをしっかり握り締めて。



「うははははははははははははははは♪……どうしたァ2人とも??んな恐い顔して??」




――げし!!げし!!げし!!げし…!!


「ちょっっ!!待っ!!ナミ!!す!すびばせん!!もう!!もうしばぜん…!!から…ぶっっ!ぐえェ!!!止め!!足ふみ止め…!!!」

「うっさァァい!!!!まったくあんたは!!あんたは!!あんたって人はァァ!!!やって!!良い事と!!悪い事の!!区別を!!いいかげんに!!覚えろと!!何度言えば!!解るのォーー!!!?」


――げし!!げし!!げし!!げし…!!



「………ま、馬鹿は死ななきゃ治らんっつうからな。」




雨は間断無く降り続ける。


8時を回っても、勢いが沈静化する気配さえ見えなかった。


「こりゃあ夜のショーは全部中止だな…。」
「えええーーー!!?花火中止しちまうのかァーーー!!!?」
「未だ判んないわよ!!雲が激しく動いてるし、一旦は上がるかもしれない。」


諦め付かねェナミが、開け放した窓から、空をじいっと凝視している。

屋根伝って落ちる雨水で、バルコニーまでびしょ濡れだ。


…雨風が部屋ん中まで吹き込んで寒いから、早いトコ窓閉めて欲しいんだが。


「『ゴスペルライブショー』、昨夜観といて正解だったなァ。…今日来て明日帰んなくちゃいけないお客さん、可哀想に…。」
「そうだな!!観といてラッキーだったよな俺達♪コンサートは観れなかったけどな♪」

「……誰のせいで観られなかった思ってる訳…ルゥ~~フィ~~??」
「あ、やべっっ。」
「藪から蛇突いて出しやがったな、ルフィ。」
「で、でもこんだけ降ったら花火の時間までに水尽きちまって止むかもな!うん!!」
「天の水瓶は利○川ダムみたく簡単に尽きやしねェと思うがな。」
「もし止まなくても、余程の荒天でない限りやるわよ!此処の花火は1年に2回しか中止になんなかったってんだから!!」
「へェ~~2回だけ~~!?根性有んなァ~~!!」

「その2回の内に今日が当ったかもしんねェじゃねェか。流石にこんな雨中でやったら花火湿気ちまうよ。残念だが諦めって事で……俺、風呂入って来るわ!」
「ちょっとォーー!!未だ判んないでしょォーー!?」
「そうだゾロ!!あきらめたら人生そこで終りだ!!」
「『人生諦めが肝心』とも言うぜ?…って訳で入って来るわ!1時間もしたら風呂から上がっから、ほうじ茶でも用意しといてくれよナミ!」

「良いけど……ルフィは何が飲みたい?」
「俺はミルク紅茶が飲みてェェ!!!」
「じゃ間を取って珈琲ね。」
「「だから何の間だよそりゃ!??」」




鼻歌交じりで体を洗い、湯船に浸かる。

冷えた肌にじわじわピリピリ沁みて堪んねェ~、やっぱ1日の〆は風呂だァな。

伸ばした背筋からペキパキポキと音がした。

然もありなん、昨日から引き摺られ通しの疲労溜り捲りだからなァ。


ナミには悪ィが『恵の雨』ってか、正直降ってくれて助かった。

いっそ明日の朝まで降り続けてくれねェもんか。

残り1日、出来れば朝寝がしてェ…せっかくのチェックアウト1時、有効に活用しねェと損だと思うしな。

まァ今夜はどうやら早寝が出来そうだ、雨様々、まったく有難ェ。


湯気が風呂場いっぱい立ち籠めてて眠りを誘う。

既に瞼も重く、大欠伸をしたその時だった。



――ドドドン!!ドドドドン!!



風呂場の硝子戸が激しく叩かれる。

驚いて振り向いたそこには、ルフィとナミのシルエットが――っていきなり何だよっっ!!?


――ドドドドドン!!ドドドン!!


「ゾロ!!朗報よ!!!」
「やったぞ!!!雨が止んだ!!!」
「それでフロントに電話して問合せたら予定通りやるって!!後5分!!早く上がって!!!」


「………マ!マジかよっっ…!!?」
「おお!!大マジだ!!きせきが起きたんだ!!!」


…………奇跡っつうか、こいつらの執念雲をも通すっつか……どっちにしろ俺にとっちゃ悲報だよ……。


湯船ん中で天を見上げる。


「兎に角早く出て来て!!!後5分して出なかったら中入ってって引き摺り出すわよ!!!」


――ぶっっ!!……ちょっっ!?待てっっ!!!


「お!!?後4分だ!!!4分したらここ開けっからな!!!」
馬鹿止めろ!!!――そこ鍵閉めてねェんだからなっっ!!!ってかてめェらそこどけ!!!居たらむしろ出らんねェだろがっっ!!!」


今にも扉開けそうな気配が伝わって来る。


俺は焦って取っ手を押えた――





昨夜程ではないが、花火会場には大勢の客が詰掛けていた。


こいつらもルフィやナミ同様、『此処の花火は殆ど中止になった事がない』っつう噂信じて、今迄待っていたのかねェ?

だとしたら偉いっつかご苦労さんってトコだな。



花火会場の広場は、さっきまで降ってた雨のお陰で水浸しだった。


そこに照明が反射して光ってて結構綺麗だ。



開演を伝えるアナウンスが響き、曇って星の見えない夜空にレーザーの光が映った。


ドン!!ドォォン…!!!とイルミの点された帆船バックに、花火が打上げられてく。


レーザーの描く波ん中、光が四方八方に飛び散ってった。



「うはは♪♪きれーだなァ~~~~~♪♪」
「中止にならなくて良かったァ~~~~♪」
「気のせいか昨夜の花火よりきれーに観えるよなァ~~♪」
「言われてみればそうねェ……曇った空に光が反射して映り込んでるからじゃない?」
「成る程、天上の巨大なスクリーンって訳か。」
「やっぱ花火は良いよなァァ~~~♪」
「しかし考えてみれば昨夜も同じの観てる訳だし…何度も観なくてもなァ…。」
「良いの!!!花火は何度観ても飽きないんだから!!!」


空高くに打上げられた華が開く。


港街に光が降りしきる。


……そりゃ…まァ…1度や2度で飽きるもんじゃねェとは俺も…思う。


「ねね!海面見て!!花火が映ってる!!…まるで海中でも花火打上げてるみたいで素敵ねェ…v」
「おお~!!本当だ!!海中でも花火大会やってるみてェだな♪♪」
「へェ…反射して中々綺麗だな。」

「まるで俺が買った絵みてーだな♪」

「…絵?」

「エッシャーの絵だ。1枚の絵に3つの世界が在るヤツ。」

「ああ、あの、木と水面浮ぶ枯葉と水中の魚を描いて、3つの世界を同時に表した絵ね。」

「実はあの海ん中にもおんなじ世界が広がってたりして、海ん中入って行けたりしそうな…そんな気がしねーか??」

「馬ァ鹿!カナヅチが入ったら溺れるだけだ。」

「まるで『鏡の中のアリス』ね。……でも、ルフィらしい発想v」




夜の暗い海面がまるで鏡の様に、街の灯と花火とを反射させている。


確かにルフィの言う通り、此処と同じ世界がもう1つ、海中にも在る様に観える。



水辺の街っつうのは、風情が倍加して良いもんだなと思った。






その26に続】





写真の説明~、フォレストヴィラ1階リビングに有る『ゾロ椅子』って事で。(笑)

マジ寝心地良く、思わず寝そべりたくなりまするv
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『何度も廻り合う』その24

2006年01月25日 22時39分56秒 | 桜トンネル(ワンピ長編)
前回の続きです。】






『ギヤマン・ミュージアム』を諦め、次に予定してたカナルクルーズをする事となり、3人して船着場の在る『ユトレヒト』地区に向う。



途中横切った広場のステージ前に、人集りが出来ているのが見えた。

野次馬根性の強いルフィが、それを見て足を止める。


「な!な!広場で何かやってるみたいだぜ!?ひょっとして美味ェもん配ってんじゃねェか!?行ってみよぉぜェ~♪」

「ああ、あれは昨日観た『ライティング・セレモニー』を待つ観客よ。」
「あれか?街の点灯式か?…今日は観なくても良いのか?」
「サンタが街に明りをパーーッて点けるヤツだろ!?きれーだったよなァ~~♪何ならまた観てっても良いぞ!?」

「…観て行きたいのはやまやまだけど、急がないと雨中のクルーズになっちゃうもの。残念だけど1度観てんだし、諦めよ!」
「雨中のクルーズってのも風情が有って良いと思うがな。少しくれェ濡れたって気になんねェし。」
「少し位で済みそうにないの!雲と風の動き見るに、集中して降って来ると思う。」
「土砂降りか。そりゃ困るな、傘持って来て無ェし。」
「さっきのポセイドンアドベンチャーくれェ降るのか!?」
「…『ホライゾン・アドベンチャー』だって、ルフィ。」
「俺はそれくれェ降っても全然構わねェけどな!むしろ面白ェよ♪」
「私はお断りよ。こんな寒い日に雨当ったら風邪引いちゃう。……2泊でこんな広いトコ廻るのも大変よねェ。せめて3泊ならもっと余裕持って廻れるんだろうけど…。」
「3泊出来る程、金も暇も持ってねェっつうの、馬鹿。」




船着場に着くと、丁度船が出ちまったばかりだった。


仕方なくその場に用意されてたベンチに並んで腰掛けて待つ。


隣でルフィが、買ったナイフをクルクル投げて回して、暇を潰している。


「ルフィ!危険だからナイフ持って遊ぶの止めて!」
「え~~~~!?良いじゃんかよ、ヒマなんだからさァ~~~~~!!」
「良くない!場内注意でも『危険物は持ち込まないで』って有るんだから!」
「持ち込んだんじゃねェじゃん!!ここん中で買ったんだからな!!」
「大体常識的に見て、子供ならいざ知らず、イイ年した男が刀振り回してるなんてまるで狂人じゃない!!」
「ゾロォ~~~~!!ナミがあんな事言ってるぞォ~~~~~!?」
「って何でこっちに振るんだよ?俺が振り回してるのは竹刀だろうが。」
「言う事聞かなかったら没収よ!!没収!!」
「ゾロォ~~~~!!何とか言ってくれよォ~~~~~!!」
「おめェが悪ィ。大人しく仕舞え。」
「…お客さん、船来たから早く乗ってくれるぅ~?」




クルーザーが到着し、中からゾロゾロと人が降りて来る。

夜って事で、クルーザーにもライトが点き、船体前には天使の形に電飾まで点いていた。


そろそろ寒くなって来たし船内行かねェかと言ったが、ルフィが頑として首を振らず、結局また船外デッキに座って行く事になった。




エンジン音が響き、クルーザーが動き出す。


さっき観た迎賓館や桜並木を通り過ぎ、運河をのんびり進んで行った。


「まだ明り点いてねェなァ~~。」
「後10分位で昨日みたく一斉に点くわ。半周して戻って来る頃、丁度綺麗にライトアップされてると思う。…タイムリーな時間に乗れたかもね♪」


全員後ろ振り向いて塔に注目する――未だ時間来てねェんだから点く訳無ェんだがな。





乗船してから3つ目の橋潜った頃だ。


「お!!!点いたぞー!!!!」
「やたッッ!!!綺麗ェェ~~vvv」
「…ジャスト、6時、と…!」


点いた瞬間、思わずパシパシ手ェ叩き合って喜んじまった。

ナミなんか拍手までして、ルフィなんか万歳して口笛ヒューヒュー吹き鳴らしまでして。


チカチカ瞬く高く細い塔は、こっから観ると蝋燭に似て観える。




4つ目の橋潜った所で、今度は右側に3基の風車が、ライトアップされて観えた。



一旦此処でクルーザーが停まり、俺達以外の船内に居た数人の客が降りてく。


新たにこの『キンデルダイク』から乗り込む客は居なかった。


「今から入国するお客ってあんま居ないだろうし。大概はショー観に行っちゃってるだろうからね。」




俺達だけを乗せてクルーザーがまた動き出した。


ナミの言った別荘地区を左に観ながら、運河を滑る様に進んで行く。


「別荘はライティングしてねェんだなァ~~~。」
「当り前でしょ?観光区域じゃないんだから。」
「右観てろよルフィ。街灯点いた煉瓦の街並みが綺麗だぜェ。」
「こっから先、ビネンスタッド入ったトコから益々綺麗になるわよォ!良く観ててよね!」



別荘地を抜け、2つの市街に挟まれた運河に入る。


大分街並みが賑やかになって来たなと感じた時だ。



「お!!前の橋が光ってるぞ!!あれくぐってくのか!?」

「そうよ、こっから先続く橋から迎賓館まで…名付けて『光の運河』♪」



ナミが言った通り、船は光ってる橋の下を潜り抜けて行った。



抜けた途端―――パァッ……と眩い光に包まれる。



両岸に掛けられた光の簾、光の橋のアーチ、電飾された並木までが全て水面に反射して、運河その物が光り輝いてる様に思えた。



「…………綺麗。」
「きれーだなァァァ~~~~!!!」
「ああ………見事だな。」

「昨夜みたいに道の上から見下ろすんじゃなくて、水面近い高さから見上げてってのも、また違った美しさを発見出来て良いわよねv」




光の河を漂い、クルーザーは進む。


前方には闇の中照らされた光の塔。


1つ、2つと、光のアーチを潜り抜けながら、ゆっくりと近付いて行く。




最後の光のアーチを潜り、クルーザーが停められた。



目の前には点灯したホテル・ヨーロッパと迎賓館が静かに佇み、運河にその光を落としていた。





船から降りて塔2階に在る『楼蘭』っつうレストランに行く。


ナミが言うには台湾料理の店だっつう事だった。


3人しか居ないってのに、しかも他に席空いてたってのに、何故か個室に案内される。


いやこっちは気兼ね無く寛げるから良いんだが……けど、何故だ!?


まァ兎に角、渡されたメニューを見て何食うか考えた。


「で、此処では何がお勧めなんだよナミ?」

「う~~~ん…私も此処のお勧めについてはよく知らないんだけど…」
「じゃ、何で夕食此処に決めたんだよ??」
「せめて1,000円台で食えるトコにしてくれって、あんたが言ったんじゃない。だからよ。」
「餃子食いてェなァ~~、チャーハン食いてェなァ~~、ラーメンも食いてェしなァ~~、全部食いてェェ~~~~!!」

「…ならこの『老季セット』ってのにしたら?水餃子に炒飯、ラーメン、杏仁豆腐までセットで、1,500円だって。」
「おおっっ!!!すげ良い!!!――よし!俺はそれに決定だ!!!」
「んじゃ、俺もそれにしとくわ。」
「ならゾロ、あんたの杏仁豆腐、私に寄越して!」
「はっっ?…何でだよ??」
「だってあんた、甘い物苦手でしょ?…私、昼のバイキングが未だ効いてて、あんま食べられそうにないから、ミニ炒飯だけにしとこうかと。」

「……………で?」

「でもデザートは食べたいのよねェ。だから私に頂戴v」
「ざけんなてめェ。食いたきゃちゃんとてめェの金で注文しやがれっっ。」
「良いじゃない。甘いの苦手なんだから。」



注文前にサービスでお茶が来た。


中国茶……烏龍茶だろうか?ポットごと各人に持って来てくれたのが有難かった。



出て来た料理も、どれも結構美味かった。


炒飯とラーメンには、メニューん所に『ミニ』だと説明が有ったが、考えてたよりもずっとボリュームが有った。(ルフィは足りねェ言ってたが)


特に俺は水餃子が気に入った。


皮はモチモチ、噛むと肉汁がジュワッと出て来る。

タレとラー油をたっぷり付けて戴いた。


炒飯もラーメンも中々イケた。


全体的に薄味だな、それはそれであっさりしてて良かった。


ってか此処来てから、この手のくだけたもん食ってなかったからなァ。


この点だけでも結構喜んで食った。


結局、杏仁豆腐はナミに横から半分盗られちまったけどな…。


「んめェな!!このアンニンドウフ!!とろっとしてて口ん中入れるとスッとアイスみてーに溶けちまうみてーだ♪♪」

「本当v巷でよく売られる牛乳羹もどきじゃないのが良いわよねェv注文した甲斐有ったわァ~v」
「…ってそりゃ俺が注文したもんだろがっっ。」




全員食い終わったトコで即、ナミが帰ろうと言って来た。


もちっと一服してから、お茶のお代り貰ってからにしたらどうだっつったが、どうにも天気が心配らしかった。


「クルーザーから見てた時からもう雨風だったもの…恐らく後30分もしない内に凄い雨になるわ!」


大袈裟なとは思ったが、天候はこいつの領分、積み重ねられた信頼っつうもんが有る。


素直に従い、精算終らして店を出た。




駆け足で急ぎ、港街に入る。


夜になって此処ら界隈の人通りが増した。


夕食時間って事も有り、主に料理屋の前に長い行列が出来てたりする。


立ち止まってライトアップされた街並みを撮ってる奴も多かったから、それらを避けながら進むのは結構難儀だった。




港街を抜け、更に階段上って、コテージの在る地区に入る。


……こういう時、中心から離れた場所泊ってると不便だよなァ。



コテージの建ち並ぶ付近は、市街地とは打って変って静寂に包まれていた。


外灯照らされた石畳の道に、自分達の靴音が響く。


似た様なコテージが並ぶ中、ナミは迷う事無く、その内の1つの扉を鍵で開けた。




後を追って来た俺とルフィが玄関入ったと同時だ。



――突然、ドザーーーーーーーーーッ!!!!と物凄ェ勢いで雨が降って来やがった。



「……ね?間一髪だったでしょ?」



得意気に、ナミが笑う。



「………………ああ、危機一髪だったな………助かったぜ。」
「すっっげェ~~~なナミィ!!!また1つ伝説が出来ちまったぜ!!!!」





俺は、此の世に恐ろしいもんなんて何も無ェ。



けど、今は少しばかり、こう思う。




――こいつの存在が、空恐ろしい、と。





その25に続】




…いや、ナミさん、子供だって刃物振り回すのは危険ですって。(汗)


写真の説明~、『光の運河』、ユトレヒト地区~ビネンスタッド地区へと架る橋、『トールン橋』の下。

眼鏡橋っぽくて綺麗ですv


ゾロ編も、後3回……の予定です。(汗)
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『何度も廻り合う』その23

2006年01月24日 22時24分19秒 | 桜トンネル(ワンピ長編)
前回の続きです。】





重ねて運の悪い事に、誰もこのバス停に立ち寄ろうとはしなかったし、バスも来なかった。


反対側の『出入国口方面行き』バス停には結構人が寄ったりバスも来たりするんだが、こっちの『港街方面行き』には何故か来ねェんだ。




結果として俺とナミ2人だけ…妙に気まずい雰囲気ん中で、黙ってベンチに隣合っていた。



ルフィは未だ戻って来ねェ――何やってんだよ!?そんなに気に入った物が有んなら店ごと買占めろよっっ!!




「……で?結局話は有る訳無い訳??無いならビビと話の続きしたいんだけど。」

「ああいや有る事は有るんだが…」
「じゃ、さっさと言って。」

「あーー……ええと…………あ!見ろよ!良い景色じゃねェか!」


左を向いて指差す、そこには昨日写真を撮った、背高ツリーと教会と塔の3点セットになって重なり見えていた。


「へェ、こっからだと3つ共纏めて観られるんだなァ~、知らなかったぜ♪」

「……そうね。」
「そろそろ点灯時間だろ!?此処座って待ってりゃァ、良い写真撮れんじゃねェか!?」

「………………点灯まで未だ40分は有るわよ?それまでこんな寒い中、座って待ってるの?」

「え?ああ…………そりゃあ……嫌だな。」

「それに確かに観覧席としてはベストだけど、撮影するには周りの街路樹が邪魔してて良くないわよ。」

「ああ…………そう……だな。」


ナミの言う通り、教会の在る広場の周囲には街路樹が植わってて、此処から全景を入れる為には少し邪魔になっていた。




また会話が途切れ、静寂が降りて来る。




「……あ~とその…………予定狂って残念だったな。」

「ん?まァ…しょうがないわよ。明日って日も有るし……あんだけ喜んじゃってるトコ、邪魔して無理矢理引き摺って連れてくのもねェ。」


……って此処まで散々人引き摺って来といて今更とは思ったが、話拗らすのも何なので茶々を入れずに置いた。


「ギヤマン……何つったか?何時に閉館しちまうんだ?」

「『ギヤマンミュージアム』よ。8:15に閉館だって。」

「じゃ、未だ全然余裕じゃねェか。」
「駄目よ。そしたら他に予定してんのどんどん狂って来ちゃうもの。この後は飛ばして、カナルクルーザーで場内1周しようと思ってる。」

「クルーザー?」

「天気がね……どうも思ったより早く悪くなって来てんの……恐らく7時過ぎたら一気に荒れるわ。だからそれまでに夜の運河を1周しときたいのよ。せっかく今年からナイトクルーズ用に橋や護岸をライトアップしてんのに、観ずに帰っちゃったら勿体無いでしょ?」



空を仰ぎ見る……ナミの言う通り、一面分厚い雨雲が覆っていた。


「確かに……あんな天気好かったのに、何時の間にか曇ってるな。」


――まったく、大した見立てだよ、こいつのは。


「ルフィが戻って来たら即カナルクルーザーに乗船。その後『楼蘭』で夕食。……こんなトコかな。」

「雨って事は、今夜の花火は中止だな。」

「それはどうかなァ。雲の動きを見る限り、通り雨っぽいし。だとしたらやるかも。」
「悪天候じゃ普通はやらねェだろうよ。」

「此処の花火は余程じゃなきゃ中止にならないんだって。去年なんか2回位しか、なんなかったらしいわ。」

「……ってそりゃ随分根性有り過ぎだろうがっっ。」

「周り中海で、民家も近くに無いからね。……そだ!!」



いきなりナミがベンチから立ち上がった。



「どうした??」

「近くに綺麗な景色観られるベンチ有るんだけど……行ってみない?ゾロ!」

「…………は?」


返事も聞かずにナミは、そのままルフィの居る店に入ってった。

……と思ったら、また直ぐ出て戻って来やがる。


「ルフィに言っといたわ。私達が戻るまでそこに大人しく居なさいよって。――行こ!!」

「……大丈夫なのか?1人にしといて。」

「大丈夫じゃない?食べ物屋じゃあないんだしv」


にっこり笑って言ったその台詞に、ああそりゃそうだなと納得する。




そのままベンチの後の、尖った屋根した赤煉瓦の建物入ってくんで、後を追った。


これは……何の建物だ?……見張所か??


「水門、『ウォーターゲート~スネーク~』だって。」



建物ん中にはベンチが並べられ、四方2ヵ所づつ窓の様に開いてい、そこから周囲を眺められる様になっていた。



ナミが海側を向くベンチの1つに座る。

それに倣い、隣に腰を下ろした。



前に開いた窓からは、イルミが灯り出した港街、そして見渡す限りの海。



「ね?見晴らし良いでしょ?」

「ああ……こりゃあ、絶景だな……。」


吹いてる海風が、手前に並んだヨットのマストを揺らす。


揺れる度にマストは、物悲しい金属音を響かせる。


辛うじて山の端に残ってた朱色が消えると、空と海はすっかり濃紺に染められた。


「天気が好ければ、最高の夕暮れが観られたんだろうけどねェ。」

「いや、充分綺麗だって。」


ポツポツと点いた街の照明が、海に反射している。


見下ろした水面に、もう1つの街が映って揺れていた。



「良い眺めだ。まったく都合の良い場所にベンチが置いてあったもんだ。」

「元より意図して置かれてんだと思うわ。此処だけじゃなく、他に置かれたベンチの多くも。今迄景色良いから撮ろうと思った場所には、必ずベンチが置かれてたし。」

「そうだったか?ちっとも気付かなかったな。」

「『良い景色ですよォ、ちょっと座って休んでかれませんかァ?』……ひょっとしたらそんなメッセージが篭められてたのかもね。」

「『急がば回れ』、『そんなに急いで何になる?』……っつう事かねェ。」

「『重い荷物を置くのにどうぞ』とか、『撮影用にどうぞ』とか、『カップルの憩いの場にどうぞ』とか…。」

「確かに此処なんか良いデートスポットだよな。」

「なんなら私達も、ルフィ放っぽってデートでもしちゃおうか?」


――ブッッ…!!!!


「……何でそこで噴出すのよ?失礼ね。」

い!…いきなりそんな突拍子も無ェ事てめェが言うからっっっ!!!!――ってかマジかよ今の!!!?」


「冗談よ。」


――ゴン!!!!



………こ……この女っっ……。



「噴いたりベンチに頭ぶつけたり、落ち着き無いわねェ、さっきから。」

「煩ェ!!!!てめェが変な事ばっか言って来るからだろおがっっ!!!!!」

「ああゴメン、言い方悪かったわね。かなり本気に近い冗談って事で。」
「本気に近い冗談!??何だそりゃ!!?どっちかはっきりしろよっっ!!!」

「だから私、ゾロの事好きだし。デートする分には構わないっつってんの。」


――ガターン!!!!!



「…って今度はずり落ちるし。」


「……ル…ル…ル……!!!」


「………る???」


「…ルフィが好きだったんじゃねェのかてめェはっっ!!??」


「勿論ルフィも好き。」


――ゴガン!!!!!!



「さっきからアメリカンコミックショーでも観てる気分で楽しいわァ。…大丈夫、頭?煉瓦にぶつけちゃ痛いでしょ?」



「………結局てめェは、どういう意味で好きっつってんだっっ!!!?」


「ゾロも、ルフィも、ウソップも、サンジ君も、皆好きだって事よ、要するに。」

「………何でェ、ただの仲間としての友愛か。」

「仲間として付き合いたくない奴と、恋人になんかなりたいとは思わないけど?……正直、4人の中で1人でも『付き合ってくれ』って言われてたら……多分、そいつと付き合ってたかもしれないし。」

「…だったら眉毛と付き合ってやればよかったじゃねェか。暇見つけちゃあモーションかけてたんだからよ。」

「もうちょい重めに迫ってくれたらそうしたかもね。……でもやっぱり付き合わなかったかも。特に必要感じなかったし……私、仲間の中でのそれぞれが好きだったから。……ゾロ、あんただって、もし私が『付き合って』って言ったら……付き合ってくれてた?」


「それは…………断ったかもな。」


「ほら、一緒!………ま、そうしても何時か結局はバラバラになった訳だけどね…。」



ずり落ちたベンチに掛け直す。


横から見るナミは、ただぼんやりと海を観ているだけだ。



「世界一周するんだってな、ルフィの奴。あいつらしいと言うか。」

「そ!『20歳までは金を出してやるから自由に生きろ。20歳になったら生き方見付けて独立しろ。』……お父さんのこの教えに従い、20歳まで自由に世界を廻って遊んで来るんだってさ!」

「…って事は、20歳になったら帰って来る訳だ。」

「帰って来ないんじゃな~~い?お兄さんなんかもそう言って、結局帰って来なかったんだし。」

「放浪癖は血筋か。」

「他人事みたいに言って、あんただって似た様な道歩むんじゃないの?あ~んな北の果ての学校行っちゃうんだからさ!」

「しょうがねェだろ?倒してェ相手がそこに居るんだからよ!」

「ああ、くいなさんだっけ?」
「何でてめェがそいつの事知ってんだよっっ!!?」

「ルフィから聞いた。非公式の試合とはいえ、あのゾロが唯一負けた女だって。」



……………あんの馬鹿猿、端から知る度喋りやがってっっ…!!!



「傍に居てくれるのは、ウソップとサンジ君だけか。……あ~あ!本当にサンジ君と付き合っちゃおうかなァ!それとも他にブルジョアな男見付けて玉の輿狙うとか!」


「止めとけよ。んな理由からじゃ、相手の奴に失礼だ。」

「解ってる。する訳無いじゃない。馬鹿ね。」





振り向かずに、真直ぐ海を観たまま、ナミが呟く。



「あんた達2人共、迷子になって一生戻って来なきゃいいんだ。」




外は夜の闇にすっぽり包まれちまってた。



水門に灯った照明だけが煌々と、辺りから浮き上っている。




「……………何でてめェは………」



さっきから腹ん中に溜めてたものが口をつきそうになる。



「…何でてめェは………!」
「ゾロ~~~~~!!!!ナミ~~~~~!!!!ど~こ~に~行ったァァァ~~~!!!??」



「……ルフィ!!」

「…………あの馬鹿、今頃…!!!」




すっかり存在を忘れかけてた頃に、ルフィは戻って来た。


水門内のベンチに居た俺達を見付け、嬉々として走って来やがる。


手には刃渡り数10cmの短剣型ナイフが握られていた。



「見ろよ!!!このちょーかっけェ~~短剣!!!!」


ブンブンとチャンバラ劇宜しく回転しながら斬り付ける真似をする。

そして空に衝き立て片膝着いて決めのポーズ――って何のポーズだよそりゃ!?


「あんたまたそんな無駄遣いして!」
「無駄遣いじゃねェよ!!2,000円もしなかったんだからな!!」
「…つまり、2,000円近くは使ったんだ?」
「うっっ…あ、えっと…。」


柄に飾りのゴテゴテ付いた見るからに玩具、精々ペーパーナイフだな。


「ゾロが好きそうな長剣も有ったんだぜェ~♪も、すっげカッコ良いんだ!!――メチャクチャ高ェけど。」
「…玩具の刀なんかに興味持つかよ、俺が。」


玩具とはいえ、エモノを手に入れたルフィは有頂天だ。

俺の皮肉もナミの小言も全く通じねェ。


悩みの一切無ェ顔で、ひたすら剣の舞に興じてやがった。




ちなみにこれは後日談だが……このルフィの持っていたナイフが長崎空港でのチェックに引っ掛かり、お陰で帰りの飛行機の離陸が10分遅れる事となった――





その24に続】





……キャラの人間関係はフィクションですって事で(汗)…まぁ、あんま気に懸けないで頂きたいです。(苦笑)

それにしても恥しい話になったもんだ。(焦笑)


写真の説明~、『ウォーターゲート~スネーク~』を写した物…中にはベンチが置かれてて、海を観るにはベストスポットですv

ハウステンボス来ると、大概の人はベンチの多さに驚くんではないかと…。
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『何度も廻り合う』その22

2006年01月23日 23時29分55秒 | 桜トンネル(ワンピ長編)
前回の続きです。】





順調に予定をオーバーしている。



ニュースタッドのアミューズメントを攻略し、駆け足で隣の地区『ミュージアムスタッド』へと向う。



辿り着いた時には15分のオーバー。



結局、次に予定してた『オルゴール・ファンタジア』の4時の回に間に合わず、仕方なくその前に在った『カロヨン・シンフォニカ』の方へ先に入る事にした。




『カロヨン・シンフォニカ』っつうのは鐘の博物館で、世界中から集めた約300の鐘を一堂に展示している所らしい。


で、館最大の目玉っつうのが、高さ9mも有る『カロヨン・タワー』っつうヤツらしく。

これがタイムリーにも俺達が入館した時に、物凄ェ大音量で演奏を始めた。


ぶっちゃけ煩ェの何の…3人揃って思わず唖然呆然、耳塞ぎながら聴いた。

や、塞がねェと鼓膜破れそうだって!


案内役が説明するには、17世紀のオランダ教会の鐘楼を再現した物だって事で、毎15分置きで自動演奏を行うらしい。


目の前で巨大な演奏装置が簾みたく張ったワイヤーを引張りベルを鳴らす、その度に床が振動で揺れる。


元は時報として造られた物らしい…こんだけでけェ音出しゃあ、そりゃ街中隈なく伝える事が出来んだろうよ。



演奏終了、ルフィなんかは気に入って拍手してアンコール希望したが、それは勘弁して欲しいと願った。


頭痛くなっちまう…終って暫くしても耳ん中でくわんくわん響いてた。



ナミ曰くスケジュール押している為、早々に2階まで廻って館を後にする。



出た丁度に前で、当初予定してた施設館、『オルゴール・ファンタジア』が入場始めてたんで、そのまま入口に並ぶ。



と後から「カーン!!」と鐘が鳴ったんで振り向く。


見るとさっき居た館の外壁に設置された4つの鐘が鳴っていた。


所謂からくり時計だったらしい。


オランダの鐘撞き職人男の人形が2体、カンカンカンカン交互に打ち鳴らす……時代がかってて趣き深い。




次に入館した『オルゴール・ファンタジア』っつうのはオルゴールの博物館だった。


オルゴールっつっても俺が知ってる様な、蓋開けたりネジ巻いたりして曲鳴らすっつうヤツじゃねェ。

17~20世紀の自動演奏楽器…オルゴールの御先祖様を集めて展示してある博物館っつうのだった。



入ると他の客と一緒に先ずホールの様な展示室に通されて、案内役がその中の1つを選び演奏を聴かせる。


この日聴いたのは、入って目の前の、1番ド派手で1番でっけェ『ダンスオルガン』っつう、100年前にダンスホールでの演奏用として造られた物だった。


バラの花彫ってある外観も凄ェが、内蔵した334本の笛使っての演奏が、さっき聴いたカロヨンにも負けねェくれェの大音量で驚いた。


当時は蒸気エンジンを動力に、『ブック』って言う穴だらけの本の様な物使って演奏してたらしい。

開いた穴に蒸気を吹き込み出る音で、曲を奏でるっつう仕組…だろう。



演奏が終って次は2階の展示室にゾロゾロと移動させられる。


今度は主にシリンダー使って演奏するタイプのオルゴールを集めた部屋だった。


シリンダーってのは筒型してサボテンの棘みてェなのが無数に埋め込まれた様な物で、これがブックに取って代り、次の時代に楽譜として使用されたっつう事だった。


この部屋でも展示された内の1つを選び目の前で演奏する。

1870年代にスイスで製作された物なんだそうな。

曲目は、ええと……


「ナミ、これ何て曲っつってたか?」

「賛美歌(ヒム)だって。多分、クリスマス・シーズンに合せての選曲ね。」


此処で、演奏中の回転しているシリンダーに、居る客全員、順繰りに触れさせてく時間が設けられた。


触れるとまるきしサボテンの棘みてェなチクチクした感触がする。


「すげェなー、本当にゾロの頭みたくチクチクしてやがる!」
「ってサボテンだろっつの!!!」


それにしても当時から色んな形したオルゴールが有ったもんだと感心して観回す。


一見額縁入りの絵にしか見えない物や、篭の中の鳥が囀るといった物まで…職人の腕ってのはまったく大したもんだ。



3つ目の最後の部屋では、席に座ってコンサートの様に演奏を聴く形となっていた。


今迄さんざっぱら走らされて来たもんで、席に座ってってのは非常に有難かった。

座り心地が良いもんでこのまま寝ちまいたいとも考えちまう。


客全員が席に着いた所で、案内役が舞台に立ち説明し始める。


舞台には様々な形したオルゴールが数台置かれていた。


「あの中央のピエロ人形、あれ演奏してくんねーかなー!!1番面白そーだ♪♪」


ルフィの指差す中央には、如何にもからくり人形と思しきピエロが、鉄棒でもするよなポーズで置いてあった。


…残念ながら選ばれたのはそれではなく、木造の比較的地味なデザインしたヤツだった。

ルフィが如何にも不服そうに口を尖らす。


演奏に使われたのは『ヴァイオラーノ』って言う、ヴァイオリンとピアノを同時に演奏する様な物で、80年前にアメリカで製作されたらしい。

仕組は電機モーターで楽譜である所のロールペーパーを巻き取りながらっつう事だそうだ。


案内役がコインを入れて演奏が始まった。


「所謂ジュークボックスね。」
「で、これは何て曲だ?ナミ?」
「『オー・ホーリー・ナイト』…やっぱりクリスマスソングよ。昨日お茶飲んでる時に、ホテルでも演奏されてたでしょ?」
「あー…そうだったか…?」
「あ!!俺、覚えてるぞ!!ケーキ食ってた時だろ!?」
「そうそvあの時ロビーで演奏してた内の1曲よv…ゾロも思い出した?」
「ああ……まァ……覚えてるような……ないような……だな。」
「……っとに甲斐の無い奴なんだから!」



演奏が終了し、これにて全てのプログラムも終了となった。


結構楽しめた……案内が付いて説明してくツアー形式ってのは珍しいし、新鮮に思える。



ホールを出て階段を下る、良く出来たもんで下はオルゴールの売店だ。


土産用の、見知った形したオルゴールが整然と陳列されている。


どれもこれも女の好みそうなファンシーなデザインだ。


ナミが目を輝かせて引っ掛かる、続いてルフィも。


あちこち置いてあるオルゴールのネジを回して遊び出す。



「……おい、この後にも予定有んじゃねェのかよ?」


夢中になってたナミに耳打ちする…したら漸く我に返ってルフィ引き摺り外に出た。



――が、通りに出た所で更なる障害に遭遇したっつうか。


『フィギュアヘッド』っつう、海と航海をテーマにした海外輸入雑貨店にぶち当たっちまった。


何となく薄暗い店内に所狭しと置かれた――実際店外まで溢れてやがったし――フィギュアヘッド型したお守り、サーベル、レプリカ火縄式銃、ボトルシップ、羅針盤……こんなルフィのツボをダイレクトに突く物堆く積み上げて有っちゃあ……。


予想通りルフィは瞬く間に店入ってそのまま金縛りの地蔵化しやがった。


ナミが何とか引き摺り出そうと、殴ったり蹴ったり宥めたり賺したりしてたが、終いには匙投げ怒って放っぽって外行っちまった……。


「……おい……ルフィ……ナミ、てめェ放っぽって先行っちまったぞ……!」

「んーー?あーーーー、うん……。」
「良いのかよ…?置いてかれたら帰れなくなるだろが。鍵はあいつが持ってんだし…。」

「あーーー……大丈夫じゃねェ?…すぐそこで待っててくれんだろーーーー。」


………………駄目だ……心此処に有らずになってやがる。


まるきし冒険少年の瞳だ……こりゃァ、長くかかるなァと溜息吐いて、諦めてナミの後を追った。


先ず動いてる方の行方確認しとかんと…。




とは言え案ずる事無く、ルフィの言った通りにナミは、店出て直ぐ左隣のバス停ベンチで座ってやがった。



背中向けて座ってるんで表情は解らない……が、恐らく予定が狂わされちまった事を相~~当~~怒ってるに違いねェ。



覚悟して近付く……夕暮れをバックに1人ブツブツブツブツ呟く声が聞えて来る……やっぱり、怒髪天を衝く勢いだな、こりゃあ。



さてどうする?傍寄るか止めとくか逡巡する……いや、恐れてる訳じゃあ無ェが。



意を決して肩叩こうとする間際、殊更甲高い声が上がった――



「そうなのよビビー!!!もうこれで10分!!あ、今1分また経ったから11分よ!?20分待って帰って来なかったら2人共置いて帰っちゃおうか思うけどどぉ思うーー!??」



――って携帯向って話してやがったのかよっっ!!!



………どうやら店出てずっっと此処でビビ相手に話してやがったらしい。


たくっっ、ちっとでも心配して損したぜっっ。



声の調子聞く限り、考えてたよりかは怒ってねェな……ま、一先ず安堵した。



ベンチの隣に座る。

一瞬だけちらりと視線を向けたが、また喋りに没頭しちまった。




――それから約10分経過。




相も変らずペチャクチャペチャクチャペチャクチャペチャクチャ……まるでテープの早回しだ。

見ていて良く口が回るもんだと感心しちまう。



どんどん夕闇が濃くなる。


…………段々、苛付いて来た。



俺が座った時分に一瞬視線を送っただけで、後は殆ど顔も見ようとせずにひたすらビビと喋り捲りだぞこいつ。

まるで隣には誰も居ないってな風だ、頗る気分が悪ィ。


「……だからねそれでねビビ!!うんそうなのもう大変よォ!!だって○○が○○で○○○○じゃない!?冗談じゃないよねェ~~~vv」


「おい、ナミ……いいかげん、電話切れよ……。」


「え!?あ!!ううん!!あれは○○○○で○○○よォ!!そうそう!!それで○○○だからァうん!!うんうん!!」


「おい……おいって…!!こっち向けよおい…!!!」


「えええーー!!?うっそ嫌だもうもうも~~ォ!!!違うってばそんなんじゃないってばもうビビったら~~vvv」
「人が話し掛けてんだから電話切れっつってっだろおいっっ!!!!」



……我慢限界に達し、遂に耳元で叫んじまった。


目をキョトンとさせてナミが見詰て来る。


ビビに断り、漸く切って折畳んでウェストポーチに仕舞う。



…………辺りにしじまが訪れた。



「………で?何なの??」

「…………何がだ?」

「余程重要な話が有ったから、切れって言ったんじゃないワケ?」

「………いや…………特に重要な話は無いっつか……」
「何あんた!?話無いクセに人が話してるの邪魔して切らせたっつうの!!?」
「っつか行儀が悪いってか…!!人が隣座ってる時に他の奴とベラベラ話すのは止めろって…!!」
「行儀が悪いィィィ!!!?――何それお説教!!?何様よあんた!!!?」
「だから説教ってより一般常識としてだなァ…!!!」



…………やべェ……この展開はかなりやべェ。


正直人の事無視すんなって言いたかっただけっつか。


だから話題も特に思い浮かばねェ。


此処は1つ常套手段として「好い天気だな」とでも言おうとして空見たら、何時の間にかどんより曇ってやがるし。


ナミはすっかり怪訝な顔して俺の事見詰てやがる。


そりゃそうだ、楽しくダベってたトコ邪魔されて、「特に話は無ェ」っつったら……………………べらぼうに怒り狂うだろうなァ………。


話題話題話題話題話題話題話題話題話題話題……畜生、何か無ェか話題???


ルフィ~~~~~お前何やってんだよ!??


早く戻って来てこの雰囲気変えてくれよ!!!



店の方にちらりと視線向け、俺は中に居るであろうルフィにひたすら「早く帰れ」と念を送り続けた………。





その23に続】






写真の説明~、『オルゴールファンタジア』のからくり時計。

私の記憶が確かならば(BY.料理の鉄人)、15分毎に3人の妖精が建物から出て音楽が奏でられるっつう物。
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『何度も廻り合う』その21

2006年01月22日 23時14分15秒 | 桜トンネル(ワンピ長編)
――昨日はかつて無い程の大雪でした!!!!
…と、驚き叫び終わったところで、前回の続きです。






予定している次の時刻に近付いたんで席を立ち、テーブル噛付いて離れようとしねェルフィを引き摺って店を出た。


席を立つ時に目にした、ウェイターの安堵の表情が極めて心に痛かった…もうこの店の敷居は2度と跨げねェ。




「や~~~ひっじょお~~~に美味い肉であった♪♪」
「…でしょおね。あれだけの食い付きだもん…お陰であの店、恥しくて2度と行けないわ。」
「食い放題の店でいっぱい食わなきゃ損じゃねェか!!ゾロもナミもえんりょし過ぎだぞ!!あれじゃちっとも元取れてねェよ!!」
「………代りにあんたが10人分は元取ってくれたから充分よ。」
「あんだけ凄まじい食欲見せ付けられりゃあ萎えるよな。」




店を出た所で便所に寄ってくとルフィが言ったんで(←食い過ぎだ…)、その間ナミとホテル内に在る中庭で待つ事にした。


ナミが言うには『花のホテル』を謳ってるらしく、呼名の通り種々雑多の花咲乱れる見事な庭園だった。


花に詳しくねェんでポインセチアくれェしか見当付かなかったが、冬だってのに赤白黄色と此処だけ春爛漫だった。


「ただ、どぉぉんと大きな花壇を置くんじゃなくて、小さな花壇を幾つも鏤めて、隙間を縫って観回れる様なってるのが良い演出よねェv」

「ああ…まァ…そうなのか?」

「まるで花から花へと渡る蝶にでもなったような、そんな気持ちしない?」

「ああ…まァ…そうかもな。」


頗るこの中庭がお気に召したナミは、ビビにも観せたいからと俺に携帯渡して撮影を頼んで来た。


中央に配置された小さな噴水を前に、ホテル正面玄関をバックにして、シャッターを切る。

パシャリと、まるでカメラで撮ったみてェな音が響く。


穏やかな日差しの下、花に囲まれて笑うその顔には、日頃の凶暴性なぞ微塵も見えず、黙って笑ってりゃあこんなに可愛いのになァとしみじみ感じた。




中庭で待つ事10分後、漸くルフィが戻って来た。


大急ぎでクルーザーの乗船所に駆け付ける。


出航スレスレの所でパスポートを提示し、何とか飛び乗れた。


天気良く日差しがうららかだっつう事で船外のデッキに座る。



「おい、あの木…もしかして桜じゃねェか?」


迎賓館っつったか…象牙色した建物の横に在る並木を指差しナミに聞く。


「本当だ。あの木は……ヤマザクラじゃない?…春にはお花見クルーズなんて出来て良さそうねv」
「お花見かー♪桜は良いよな♪パーッと紙吹雪みてーに散ってきれいで、俺、大好きだ!!」


おめェの場合、どっちかっつうと『花より団子』だろうとツッコミ入れたかったが、野暮になるんで黙っておいた。


まァしかし、俺も桜は好きだ。

あの散り際の見事さは見習うべき生き方だろう。


また、桜降る下で呑む酒が格別で。

上等な酒に一片浸してぐいっと喉に流し込む…これぞ風雅の極み!


「…何よその高校生らしからぬオヤジセンスは?」


ナミが小馬鹿にしたよに一笑する……嫌だね、風雅を解さねェ人間は。




底が見えるくれェ水の澄んだ運河を、クルーザーがゆったりと進む。


片道12分……目指す風車の島、『キンデルダイク』に辿り着いた。




昨日程ではないが、此処の地区は今日観て来た中で1番の人通りが有った。


「風車にお花畑にと、如何にもオランダをモデルにして造ったハウステンボスらしい風景が撮れるって事で、撮影スポットとしては場内随一の人気だからね。」


成る程ナミの言う通り、3基並んだ風車に一面の花畑っつう長閑な田園風景。


決して広くはない道の至る所で撮影会が行われていて、カメラを掻い潜りながら通るのに結構苦労した。


「入国口側ってのも有ると思うわ。時刻的にも丁度観光バスが多く着く頃だし…最初に訪れたベストスポットって事で、どうしても撮影客で道ごった返しちゃうのよね~。」



風車を観たルフィがしきりに「でっけー、でっけー」と騒いでいる。


確かにでけェ、遠くからだとまるきし玩具だが、近くで見ると中々迫力だ。


濃茶の胴体に取り付けられた4本の羽根が唸りを上げて回っている。


元々干拓の為に設置されてたっつうのも頷ける程力強く感じられた。


3人で入国口手前の風車をバックに写真を撮る。


風車に縦縞模様した花畑に、遠景には赤煉瓦の城…これ観せてオランダ行って来たと言い張っても結構バレねェかもなっつう絵が撮れた。


「今は冬でパンジーが咲いてるけど、春はチューリップ、夏はペンタス、秋はマリーゴールド…季節が変われば違う花で埋まるわ。チューリップの頃に撮れば正にオランダの様な風景が撮れるでしょうね。」


「見渡す限りのチューリップ畑か~~~!!良いな♪『フランダースの犬』みてェだ♪♪」
「あの作品の舞台はベルギーよ、ルフィ。」



花畑に囲まれ1軒の家(?)が建っていたんで中に入ってみた。


17世紀のオランダ農家を再現したっつうそこはチーズの売店だった。


オランダから直輸入されたっつうチーズがずらり約30種類、早速ルフィが試食に手を出してく。


冷奴風に葱カツブシ醤油かけて和えたクリームチーズが有ったんで、また一口取って食った。

いやこれは確かに美味ェ、帰ったらこんなしてツマミに食おうと考え1つ買ってく。


売店横屋外には茶店も設えてあった。


主に女客が数人、パラソルの下で花を眺めつつ、茶を飲んでいる。


ルフィが自分達も寄ってこうと強請ったが、予定が遅れるからと素気無くナミに断られた。




3時までにニュースタッド地区に入らないとっつう事で、急いで近くに在るバス停へと向う。


……………………昨日と同じく忙しねェなァ、もう。


もっとも乗物で移動出来る分、昨日よか未だマシだが。




バス待ちしてる間、また近くに在る売店で時間潰しをした。


『リンダ』っつうテディベア専門店だ……って何で此処まで来て『テディベア』なんだよ!?


「『テディ』の愛称の元、ルーズベルト大統領がオランダ系の人だったそうよ。」

へェそうかって……待て、今一納得しかねるぞ、その理由!



店ん中は兎に角縫ぐるみの山、山、山だった。

いや縫ぐるみ以外にも服やら菓子やらノートやら豊富に揃ってはいたが、それら全部が愛らしくも熊なんだ!

右向いても左向いても前向いても後向いても上下斜め向いても熊熊熊熊だらけなんだよ…!!


テディベア専門店なんだから当り前だ!?――そりゃ確かにな、悪ィとは言わねェさ。


だからってこんな女好みなファンシーショップに男がのこのこ入れるかっっ。



…しょうがねェから1人バス停に有るベンチで待つ事にした。



ルフィは結構嬉々として店中観て回ってるようだ。


店先にガキの身長程ビッグな縫ぐるみを見付け、大はしゃぎで写真を撮ったりしている。


何を見てもしても楽しめる、無敵の性分羨ましい限りだぜ。




「それがな!ゾロ!!ナイアンローデって城には、もっともっともぉぉっと世界一でっけェ~~熊が、赤マント着て座ってたんだぜ!!後な後な!!すんげェェかっけェェェかっちゅうや剣まで飾ってあったんだ!!!側に立ってた案内の女に聞いたら、本当に昔の物だっつうんだよ!!!他にも馬車乗った熊の人形だとかも置いてあったぞ!!ナミと一緒に写真とって来たから後で観せてやるな!!」


「……………いや……俺はいい。」


ぶすっと不機嫌を露にして応えてやる。


バスが来たんで店に居る筈の2人を呼んだら、何処行ったのか姿が見えねェ。

焦って大声出して探せば、どうやら入国口の方まで出てたらしく、揃って息せき切って戻って来やがった。


「ジャイアントベアは座高が3.6mも有るんだって!衣装がクリスマス限定のに変ってて可愛かったァvv」
「ああそいつは満足いくデカさで御2人様宜しかったですなァァァ~。」

「……って何乗ってからずぅっとカリカリしてんのあんた??」
「どうしたゾロ??腹減ってカルシウム足りてねェのか??」
「お前らが勝手に行方不明なりやがるから、俺は運転手や他の客待たせてまで呼びに行った事で、えらい肩身の狭い思いしたんだよっっ…!!!」


人を待たせた自覚無く、バスん中で2人呑気にケタケタと。


片や我儘キング、片や我儘クィーン…お守りする側の苦労もちったァ考えろってのっっ。



俺達以外にも数人の家族客乗せて、ガタガタ揺れながらバスは進む。


ナミの言った通り、確かに昼になって客が増えた。

やっぱり或る程度の客が入ってた方が活気付いて良いよな。




赤や黄色に紅葉した並木通りを抜け橋を渡り、秋桜に縁取られた運河の横でバスは停まった。


此処が『ニュースタッド』っつう訳か。




「ああもう予定より10分以上オーバーしてる!!…2人共!!一気に攻略目指すから!!行くわよ!!」
「おーー!!!」


ナミの勇ましい掛け声に続いてルフィが気勢を上げる。


俺は……………まァ………………適当に相槌を打っといた。




先ずはバス停から通りに入って直ぐの館、『ミステリアス・エッシャー』。


騙し絵で有名なオランダの版画家エッシャーの作品を、3D映画にして体感させる施設だそうだ。



感想は――


「何つうか………今一だったよな。」
「ってか正直物足んねェ。」
「エントランスは凝ってて期待が持てたんだけどな。」
「天井続いてる階段とか、あっち遊べたら良かったのにな。」
「映像も凝ってたとは思うぜ…ただ、3チャンネルの道徳ドラマでも観てる気分になったっつうか…。」
「すごく悪くもなく良くもなく、50点くれェだなーー。」




その次に隣の館の『天星館』に入った。


占星術をテーマにしたプラネタリウムショーをやる施設…だそうだ。



感想は――


「何つうか………これも今一だったよな。」
「ってか正直つまんねェ。」
「いや『つまんねェ』っつうのは言い過ぎだろルフィ。プラネタリウムは綺麗だったし、まァまァ良かった。」
「占いったってすぐ終っちまったし。」
「正直占いはどうでも良いと思うけどな。」
「20点だ20点。司会の女、俺じゃなくてとなり座ってたガキ指名したし。」
「そりゃおめェ、評価に私怨入ってんじゃねェか?」




次にそのまた隣の『フライト・オブ・ワンダー』に入った。


これは……何だろうな?電飾されたライド乗って、空飛ぶナミ…もとい魔女になった気分で冒険する施設……らしい。



感想は――


「何つうか………きっぱりガキ向きだよな。」
「ってか正直解んねェ。」
「小学3年生くれェまでのガキには丁度良いんじゃねェか?むしろ悪くねェと思う筈だ。」
「話全然見えねェよ。何言ってんだかちっとも解んなかった。」
「ライド乗ってっつうのは結構新鮮に思えたぜ。他に無ェからな。」
「35点くれェだなー。後300キロ速くしてツイスト回転も加えてくれりゃ完ぺきだ!」
「いや死ぬだろ、それじゃ。」
「…ってあんた達さっきから無礼な評論してんじゃないわよ!!!!」


「いや評論っつうか……正直な『感想』だ。」
「じゃあナミは楽しかったのかー!?」

「私も…………まァ…………何て言うか……。」

「「見ろ!あんま楽しくなかったんじゃねェか!!」」
「うっさい!!!それなりに楽しんでたわよ!!!」
「せめてもうちっと刺激が欲しいよなァ。」
「富○急くれェ頑張って欲しいよなァ~~。」
「良いのよ!!!此処は遊園地じゃないんだから!!!」
「じゃ、遊園地じゃなきゃ何なんだよ?」
「『』よ『』!!!――兎に角!!後1館残ってんだから、行くわよ!!!」




最後に俺達が入ったのは『ホライゾン・アドベンチャー』、大洪水を体感させるっつう施設だった。


今迄のがアレだったから、あんま期待せずに入る。


丁度開演時間に当ったらしく、殆ど待たずに済んで有難かった。


プレショールームで前説明のビデオを観せられる。

国土の1/4が海面下っつうオランダの水との戦いを纏めた映像だった。




妙に湿気の漂ったシアター席に案内される。

ってか席が水で濡れてるし…何だ?水掛かるショーなのか??


シアター中央にはオランダの街並みと運河のセット、結構凝った造りだ。



映像が始まる、木靴職人を通して語られる話が……これまたエッシャー館で観たのと一緒で、やけに説教臭くてまたかと頭を掻いた。



……何て考えてたら……その内、シアター全体が霧で覆われた。

続いて雷鳴、豪雨、荒狂う波、竜巻、嵐、天変地異のオンパレードが怒涛の勢いで襲い掛かる。

そしていきなりの振動――これにはちょっと驚いた。


シアター前面に滝の様な水が降り注ぎ、そしてまた元の静けさを取り戻してショーは終った。



感想は――


「中々迫力有ったよね!」
「まァ、面白かったな。」
「うん!面白かったな!!」
「『実際の水を800tも使って大洪水を再現』……成る程ねー、やっぱ金懸けた施設は違うわね!」
「ただ、梅雨時とか冬向きじゃあねェよな。」
「あれでもっと席ゆらしてくれたら楽しかったんだけどな~~!!ってか全部これくれェ激しくしてくれりゃあ良いのに!!」
「それは色々お金の問題とか有るし……第一、この街の雰囲気に合わなくなるから止めた方が良いと思うわ。」
「確かにジェットコースターなんかが似合う場所じゃねェよな。」
「まァでも面白かった♪80点くれェはやっても良いな!!うん!!」





――ルフィの、本日1番の高得点が出た所で、以下次回。






その22に続】





…いえ、私が言ってる訳じゃありません。(汗)

文句はルフィとゾロにどうぞ!!(←殴)


や、済みません、色々失礼言って済みません。(汗)

ただこれはやっぱりキャラ考えての、ルフィゾロナミが行ってアレ体験したら、そう言うんじゃないかな~~と想像したものです、あくまで。(汗)


…でもね正直思う事は有る。

あのアミューズメント施設が在るからこそ、ハウステンボスが遊園地だっつう誤解を更に生むんだよな~と…とは言え、来る取っ掛かりにはなるかもだし……過去、自分もエッシャー館に惹かれて来た事考えるとね。(汗)

乱暴な意見を承知で言うけど、もしも金銭的に苦しくて何か切捨てなきゃ~って時は、このアミューズメントから行って欲しいなぁと……店やホテルや庭園とかよりもね。(汗)

身勝手な意見、誠に失礼しました。(土下座)


写真の説明~、キンデルダイクの風車と花畑…ハウステンボスのシンボルとして、パレスと並び最も有名でしょうね。

これは一昨年のクリスマスシーズンに撮った物…なんだけど、11月上旬に行ったんで、未だ秋の花だったりします。(笑)





おまけのアニメワンピース感想――


本日のアニメワンピースは……


――面白かった…!!!!


いや、アクアラグナの迫力有る映像がねー、後細かい話だけど、原作ではナミが軽く屋根渡って行ったのが、如何にも勇気振り絞って…っつう感情が伝わって来たのが良かったと思いましたv
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『何度も廻り合う』その20

2006年01月20日 22時38分16秒 | 桜トンネル(ワンピ長編)
前回の続きです。】




陶磁器の博物館だという『ポルセレイン・ミュージアム』は、昨日俺が焼酎を買った店の横に在った。


17~19世紀に、オランダの貿易会社を通じてヨーロッパへ輸出された陶磁器を展示しているっつう事で、所蔵品の質と規模は日本でも有数らしい。

まァ焼物に興味の有る人間が観んなら楽しいんじゃねェかっつうのが正直な感想だ。


4つに分れた展示室には、どう見ても実用的じゃねェだろうっつうサイズの、皿や壺や花瓶なんかが整然と並んでいて、それなりに感心したっつうか勉強になったっつうか。


しかし高さ2mも有るっていう巨大花瓶には度肝を抜かれた。

何活けるってんだ?ラフレシアか??




もっと度肝を抜かれたのが、ベルリンの何とか言う宮殿内に在る1室を再現したっつう『磁器の間』だ。


鏡張り総天然黄金色した壁に、約3,000点もの皿・壺・丼・徳利なんかが隙間無くびっしり飾られてんだぜ。


それが鏡張りの効果で、合せ鏡になって映って無限皿地獄っつか…観ててちょっと眩暈がした。


天井には宗教画めいた絵まで描かれて、さながら大聖堂でも居る気分…いや、金閣寺か秀吉の黄金茶室か?千利休が見たら泣いて怒りそうだ。


金ぴか好きのナミと派手好きデカイ物好きのルフィは、案外気に入って写真を撮ろうとまで言った。

博物館で撮影は拙いだろうと思ったが、案内の女に聞いたら意外にもOKを貰えた――寛容なトコだなァ…。


「すげーよなァ~~~!!!俺んちもラーメンどんぶりや皿なんかで、カベ飾るかな!!」
「止めとけって。地震が来たら目も当てられねェ。おちおち安眠も出来なくなるぞ。」
「大航海時代当時のヨーロッパでは空前の日本ブームが起きてて、輸入された日本の陶磁器は実用品としてより美術品として珍重されてたのね。」


実用品でない器ねェ……俺には解らねェ感覚だなと思った。




昼近くなったんで、バスで昼食予定のレストランに向う事にした。



待ってる間、隣に在った『キューケンホフ』って名前の花屋を覗く。


店の前にずらっと植木鉢が並んでて興味を引かれた。

ぽかぽか暖かそうに、日向で日光浴させられている。

どうやらチューリップの球根が植えてあるらしい。

今から春に咲かせる用意してるって訳か。


「此処にはね、オリジナルのチューリップなんてのも有るのよ。」

「オリジナルのチューリップ??」

「植木鉢に写真が付いてるでしょ?花弁の先がフリンジみたくなってて、結構可愛いのよ。」


屈んでナミが示す写真を見る。


白に淡いピンクの花弁…確かに可憐に思えた。


花の良し悪しは俺にはよく解んねェけどな。


「23年の歳月をかけて開発したんだって。その名も『ハウステンボス』。春になったらそこかしこで沢山咲き出すわ。」


うっとりと植木鉢を見詰てナミが言う。

もう早こいつの目には、春風吹かれて揺れる花が見えてるんだろう。


女ってェのは本当、花が好きな生物だよな。




「ナミナミ!!こっち来てみろ!!面白ェーぞ!!」


1人店ん中入って観てたルフィが叫ぶ。


「なァにルフィ?何か有ったの?」
「ゾロコーナーだ!!ゾロコーナーが有ったんだ!!」

「……ゾロの?」
「……俺の??」


嫌な予感しつつ店内に入る。

ルフィが指で示したそこには、ビー玉くれェのサイズした毬藻が、小瓶やグラスに入れられぎっちりと陳列されていた。


「本当だ~~vプチゾロ101匹大集合ねvv」
「な!?な!?ゾロづくし、ゾロまみれ、ゾロゾロ大行進だろ♪♪」
「誰が毬藻だよ!!!?」
「『ゾロのある暮らし始めませんか?』、1匹630円だってよー。」
「『ゾロは水草の仲間です。日光はあまり好みません。室内で楽しみましょう。』…ああだから室内でゴロ寝したがったのねー。インドア派な生物って言うかー。」
「だから勝手に人の名前に置換えてんじゃねェっつのてめェら!!!!」

ったくこいつら、人見る度に毬藻毬藻サボテンサボテン、失礼極まりねェ。

元はと言えばあの渦潮眉が呼びやがるから…野郎、受験落ちろ、ついでに地獄落ちちまえ。




そうこう騒いでる内に、バスの来る気配がしたんで、停留所へ戻った。


『クラシックバス』の名の通り、茶色の懐かしボンネットバスだ。


クリスマスシーズンに合せて、車体にリースが飾ってあった。


運転手にパスポートを提示する。


俺達3人しか乗って来なかったので、広々とした車内を独占出来た。


ルフィは1番前に、俺とナミは後部の座席に座る。


バスがゆっくりと走り出す、道が石畳のせいかかなりガタガタ振動した。


これはこれで楽しい、ルフィなんか愉快そうに声を上げている。


「…それにしても、もう昼になるってのに、客が少なくねェか?昨日と較べてやけに寂しいっつか…。」


車窓から観る港街には、人影が疎らだ。

なまじっか海に面して広々と開放的なだけに、余計閑散として見えてしまう。

昨日はツリーや帆船をバックに、写真を撮ろうっていう客で人集りが出来てたが、今日は無い。

だからって肩ぶつかるくれェ混み合ってるのは御免だけどな。


「遠方から来るお客さんのが多いみたいだからね。どうしても平日は来る人少ないのよ。…午後過ぎたら観光バス到着するだろから、少しは増えて賑やかなると思うわよ。」

「近くに大都市が無ェってのは苦しいなァ…。」

「それに広大な敷地だから…入ってても散っちゃって、目立たないってのも有るかもね。」


苦笑いながらナミが言った。


確かに広大では有るな、街っつうより『国』だ。




港街を過ぎ、バスは教会の在る広場前のバス停に停まった。


パークの中心って事で、港街よりは比較的人が多く賑やかだった。



未だ昼食を予約した時間まで間が有るって事で、12時から近くでやるっつうショーを観て待つ事にした。


……………予約……??


「…っておい、昼予約してたなんて聞いてねェぞ?」
「そりゃそうよ。言ってないんだから。」
「だからどうしててめェは毎回断り無く…!!!」
「賭けに負けたらコースに文句を付けない約束だったわよねェェェ??」
「――ぐっっ………幾らだよ??」
「安心してvネット予約で割引価格になってるからv2,625円、但しサービス料は別。」
「だから高ェって!!!せめて1,000円台なトコにしてくれよ!!!」
「また貸しにしといてあげるわよ!3倍返しでねv――ルフィーー!!お昼はバイキングで肉食い放題よォーーー!!」


息せき切って先にショーステージ向ってたルフィに、後ろからナミが言葉を投げる。

遠くから「本当かーー!!?」と嬉々として聞き直すルフィの声が響いて来た。


知らぬが仏っつうか……賭け事なんてするもんじゃねェよな…。




テント市場の『ワールドバザール』内に在るステージで、外国人のパフォーマーがヴァイオリンや帽子なんかを使って芸を披露していた。


所謂『大道芸』、素朴だが結構楽しかった。


ルフィに至っちゃ、やんややんやの拍手喝采。

ステージ上ってゲスト出演までしやがった。

ああいうノリの良い馬鹿は、ショーをやる方にとっちゃ有難ェだろうがな。


一輪車に乗ってヴァイオリンを弾いてみせたり、風船使って動物作ってみせたり、中々大した腕前だと感心した。


最初はポツポツとだけしか居なかった観客も、開始後には席をぎっしり埋める程だった。


「芸人さんって凄いわよね!芸だけで世界中回っちゃうんだから!」
「『芸は身を助く』って言うしな。」
「…それは『一芸に秀でている』ケースで言う事だから、今この場で使うのは失礼よ、ゾロ。」
「んあ?そうなのか??」


ショーは20分、昼食までの時間潰しにぴったりだった。




予約した12:30になったんで、その『ア・クールヴェール』って言うレストランに向った。


ナミ曰く、『ホテル・アムステルダム』のメインレストランだそうだ。


世界各地の美味い料理を取り揃えたバイキング、という触込み通り、メニューは豊富でインターナショナルだった。


クリスマスツリーやリースで飾られたスペースには、おでんにサラダにマリネにハンバーグにビビンバにスープにフライにピザにパンにフルーツにデザートにジュースに紅茶に珈琲に…ステーキも有って、注文する度に焼いて、皿に盛って出してくれるらしい。


こんなん見せたらルフィは止っちゃいねェ。


席に案内される前に、即刻スタートしちまった。


「おい……良いのかよ?またピサの斜塔盛りすっぜ?」


窓際の席真向いに座ったナミに耳打ちする。


「体裁悪いからそれは止めろって釘刺しといた。1品取ったらそれ食べ終わってから取りに行けって言っといたわ。」
「…大丈夫なのかよそれでェ??」


ナミとの約束通り、先ずおでんを皿に山盛して持って来た奴は、高速でそれを食い切り、そしてまた席を立ち、新しく料理を取りに行った。


今度はハンバーグを皿に山盛して持って来る、またそれを高速で食う。


そしてまた新しく料理を取りに行く。


今度はビビンバだ、細切りされた肉を飯にたっぷりかけて持って来た、またまたそれを高速で食う。


その間に注文して焼いて貰ったステーキが来たんで、これも高速で食った。


またまた新たな料理求めて旅立つ。


今度はカレーを山盛で、そして高速で食う。


間に再度注文したステーキが出る、これも高速で食う。


またまたまた旅立つ。


今度はピザ、高速で食う。


間に再々度注文したステーキが…高速で食う。


またまたまたまた旅立つ。


今度はフライを……………


…………………………切りが無ェな。



奴が皿によそって去って行く度、大急ぎで料理が追加されてく。


ステーキを注文する度、ウェイターの笑みの引き攣り具合が増す。


ちらりとナミの顔盗み見ると、意外にも涼しい表情をしている。


何処まで我慢するかと、つい緊張しながら見守っちまう。



奴にドクターストップならぬオーダーストップがかけられたのは、デザート系に手を出した時だ――いいかげんにしろとナミの雷が遂に奴の頭上へ落とされた。


…………………………やれやれだ。


「ナミの嘘吐き~~~~!!!食い放題って言ったじゃねェかァ~~~~!!!」
「そりゃ1人3,000円近く払うんだし、元は取らなきゃなと思って或る程度までは黙ってたけど……あんた食い過ぎのやり過ぎ!!!何度も言うけど『加減』を知りなさい!!!」


ポカリと頭を叩かれ、またルフィが不平を言う。


ステーキ10枚…途中で止めてなきゃ、未来永劫前人未踏となる記録を打ち立てていただろう。


周囲に座ってた客達も、こいつの鬼神の如くの食いっぷりに、目を見張って驚いていた。


こういった特殊能力は、是非『大食い選手権』なんかに出て、平和的に利用して貰いたいもんだ。





その21に続】




…『ポルセレイン・ミュージアム』、私は好きですよ。(汗)

焼物で造形したシャンデリアが綺麗だと思いました。

『磁器の間』…あれは、器に興味薄い方でも1回は観た方が良いです。(ちなみにベルリンのシャルロッテンブルグ宮殿の磁器の間を再現した物です)

観る価値有りです。(笑)


写真の説明~、『ア・クールヴェール』のランチバイキングでの写真。

あんま綺麗に撮れてなくて済みません。(汗)

特にデザート系が美味しかったv

キャラメルアイスとかチョコレートケーキとかプリンとか、姫林檎が出たのが面白い。
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