1985年1/26、映画うる星やつら第3作公開。
深くて暗い森の中…1人の「オババ」が大層腹を立てていた。
或る女の子の誕生を祝うパーティーに、自分だけが招かれなかったからだ。
腹立ちに任せて、オババはその女の子に呪いをかける事を思い付いた。
「年頃になって、女の子は恋をする…。
しかしその恋心は報われず…どんなに思おうとも、決して結ばれやしないだろう…!」
時は飛んで未来――1人の少年が奇妙な硝子玉を拾う。
硝子球は炎を宿して、妖しく輝いていた。
さて、また時は飛んで現代――学校の図書室で、ラムはしのぶから赤い糸の伝説を聞かされる。
自分とあたるの仲も、きっと赤い糸で結ばれてるっちゃと、はしゃぐラム。
しかし隣に居たあたるは「くだらん」と吐き捨てるだけ。
学校の帰り道、ラムは遊園地オープンのチラシを受取った。
デートの場所を悩んでいたラムは、早速その『友引メルヘンランド』に、あたるを連れて向う。
そこはさながら幻想の住人達がひしめき合うワンダーランド。
あたるがラムとデートする事を聞き付け、妨害目的で来場した面堂&メガネ達が、世にも奇怪な現象に遇ったり。
遊園地に漂う妖気に引かれ、サクラや錯乱坊が駆け付けるも、何故か場内に入れなかったり。
そんな中、怪しい手品師の手によって、あたるがピンクのカバに変えられてしまった。
元の姿に戻そうにも、手品師は助手の女と共に、行方を眩ましてしまう。
仕方なく家に帰るカバあたるとラム。
ラムはあたるに「必ず自分が元の姿に戻してあげるから」と元気付ける。
そうは言っても、もしこのまま自分が人間に戻らなかったら…と不安を口にするあたる。
ラムはそれでも、あたるの傍から離れないと、固く誓うのであった。
「だって……ウチはダーリンの妻だっちゃあ…!!」
しかしその夜…目の前に出現した手品師を追い、件の遊園地まで来たラムは、不思議な力で亜空間に引き摺り込まれてしまう。
手品師の正体は、「ルウ」と名乗る少年だった。
ルウは語る――或る日ゴミ捨て場で不思議な硝子玉を拾い、時空を超えられる程の強い超能力を得た事を。
幾度か試したタイムスリップの途中で、幼年時代のラムに出会い、その屈託無い笑顔に惹かれた事を。
しかしあたるに会って以来…ラムは幼い頃の様に笑わなくなった。
だから彼女をあたるの元から引き離そうとして、今回の事件を企んだと告げるルウ。
「あいつがカバになれば、ラムもあいつに愛想をつかすと考えたんだ。
なのにラムはあいつの傍から離れようとしない。
だからラムを此処に連れて来る事にしたんだ。」
此処で何時までも一緒に暮そうと言う少年に、ラムは「冗談じゃない。早く自分を此処から出して、ダーリンを元の姿に戻せ」と怒る。
そんなラムに、「あいつなら放っといても、その内元の姿に戻る」と、ルウは答える。
「けど、その頃にはあいつ…滅茶苦茶ラムの事恨んでるだろうね…。」
指し示された鏡の向うには、ラムが心変わりしたのではと疑う、あたる(カバ)が映っていた。
暫く後、ラムの失踪を聞き付けた弁天ランお雪が、あたる(カバ)の家を訪ねて来た。
3人+1匹は真相究明に乗り出し、ラムの父母の話から「樫の木森のオババ」が事件に絡んでいる事を突き止める。
オババの家を訪ねて事情聴取した所……
自分は今から17年前、ラムの誕生会に招かれなかった。
それを逆恨みして、『銀河系よろず呪い事引き受け組合』なる会社に、ラムを呪うよう依頼をしたとの事だった。
しかし後日手違いで招かれなかった事が解り、呪いは直ぐにキャンセルしたと言う。
3人+1匹は、今度はその組合へ乗り込み、職員に事情を問質した。
調べてみれば、呪いは郵便上の手違いでキャンセルされず、長年放置されて居り…何故か勝手に発動しているのであった。
呪いの元は掴めても、これ以上どうしようもないと、諦めて地球に戻った3人+1匹。
ランや弁天お雪そしてテンは、ラムの居ない地球に用は無いと、各々の故郷へ帰ってしまう。
それから数日――友引町に微妙な変化が起り出した。
しのぶは怪力が出せなくなり、メガネはラムの思い出を消そうと旅に出る。
面堂は飼ってる蛸の言葉が理解出来なくなり、了子の飼ってる桜は普通の木に戻ってしまった。
今迄の非現実的騒ぎが夢だったかの様に、すっかり現実的な日常を繰り返す世界。
やがて元の姿に戻ったあたるは、毎日喜んでガールハントに繰り出す。
そうして――彼らは3年に進級した。
当り前の生活を送っていた或る日、あたるはコーラ缶のプルトップで指を切ってしまう。
切った指に「赤い糸」の如く引かれる血…突如あたるの脳裏に、ラムの思い出が蘇った。
そこへ現れた「ラーラ」と名乗る女。
彼女はルウの家庭教師で、呪いに知らず知らず操られてるルウを救いにやって来たと話す。
救う為には、あたるがラムを愛する念が必要。
だから自分は、あたるがラムを思い出す事を、ずっと待っていたのだと。
かくしてラーラと共に、ラムを取戻そうと亜空間へ突入するあたる。
リメンバー・マイ・ラブ……私の愛を忘れないで。
――蘇るか、2人の愛!?
…とまぁ、敢えて詳しく粗筋書いてみた。(笑)
はっきり言って、うる星の映画5本の中で、私はこの映画が1番嫌いです。(『いつだってマイダーリンは論外』)
なのでこの映画が好きだ~って方は、こっから先の文を読まないでおいた方が宜しいかと。(苦笑)
私がこの映画を嫌いな理由…それは『ラム=全て』の公式で作られてるから。
「ラムが居ないなら地球に用は無い」と言って、あっさり故郷の星に帰ってしまうテン弁天お雪ラン。
ラムが居なくなった事で、今迄有った非常識な騒ぎは止み、普通の時間が流れる世界。
…ラムは確かに『うる星やつら』と言う作品のシンボルに違いない。
しかし他キャラ同様、作品世界の内の1人だと思うのだが…。
「ラムが居なくちゃ始まらない世界」っつう思想には、正直ついて行けないのよね~。(苦笑)
加えて映画第1作目『オンリーユー』の時の脚本家さんが書いたお話なので、ラムが終始一貫して悲劇のヒロインしてるという…。(汗)
実はこの映画の元脚本…『少年サンデーグラフィックスうる星やつら13』に丸々載ってまして、読んだ事が有るんですよ。
公開された映画の内容と比較すると、今回は残念ながら(いや失礼)脚色は少ない。(笑)
この脚本家さんの中での「あたる」は、ラムが居なくなったらこれ幸いと、ガールハントし捲るだけの男でしかないらしい。
人間だから好き嫌いは有るだろうが……その解釈は哀し過ぎる。
しかも色々キャラを出してる割に、ラム以外ちっとも活躍してないし。
キャラ贔屓は過ぎると話のバランスを破壊すると思うんだがなぁ。
…とまぁ、初めて観賞した頃は、怒りと哀しみが胸に渦巻き、大変な状態になっていました。(笑)
なのに公開して直ぐの頃、この映画の反響は好意的なものが多かった。
今思い返すに、前作『ビューティフル・ドリーマー』の反動からだったのでしょう。
「これぞ『うる星やつら』!BDは映画だったけど、『うる星やつら』じゃなかったから。」
映画を制作したスタッフの方でも、そんな思いで作ってたんだろうなぁと、最後全キャラ揃っての雄叫びから感じられた。
自分には、前作より余程原作のキャラや世界を破壊している様に感じられたけどね…。
なんて、大人げなくあの頃の怒りをぶちまけても空しいだけなので、今一度観直してみました。(苦笑)
感想としては、一見明るく楽しいけど、話に破綻が見られるなぁと。
いや、嫌いだから重箱の隅突いてる訳じゃないのよ。(多分)(汗)
脚本家の弁によると、今回は『オンリーユー』の逆で、「ラムを追うあたる」をコンセプトに書いたらしい。
そしてゲストの少年「ルウ」の成長劇を絡めようと考えたらしい。
けどそれは、ズバリ失敗だったと思う。
だって『うる星やつら』のキャラは、成長しないから。(笑)
話の最後でラーラは、「貴方はこれから、沢山の別れと出会いを経験して、大人になって行かなきゃ」みたいな事を、ルウに説教する。
しかしその一方で「うるせい奴等」は、お祭り的日常が連鎖する、相変らずの世界に戻る訳ですよ。
「大人にならない世界」を前に、「大人になれ」と説教するのは、皮肉にしか聞えない。(笑)
それでも成長劇を断固書こうとするなら…ラストはお祭騒ぎが止んだまま、「そして私達は3年に進級した」世界で終らなくちゃならない筈。
あたるとラム2人の関係も、あれではまるで親子愛。
「馬鹿な子程可愛い」と母親的愛情で接するラム、その母親から脱出せない幼いあたる。
成長する道を選び、幼い恋から決別するルウに対し、2人の関係はあまりに幼稚過ぎると感じるのだ。
この矛盾を置き去りにしたまま、映画は無理矢理完結してしまっている。
それ以外は特に大きな問題無く…楽しい所もいっぱい有るなと、今なら冷静に楽しめました。(笑)
敢えて言うなら、OP迄のシーンは要らなかったんじゃと。
「オババ」のモノローグ→ルウが硝子玉を発見→OP→そのまま遊園地シーンと繋いでしまっても、話は理解出来たと思う。
赤い糸の伝説は、遊園地でしのぶと出くわした時に聞く形にしても、良かった気がするのだ。
てゆーかあたるとラム2人でデートだった筈が、何時の間にか皆で遊園地を廻ってるんですが…。(笑)
偶然出くわしたとして、野郎共は妨害(名目上は監視)目的で来たのだから、何らかの反応が有って然るべき。
そここそ丁寧な描写が欲しかったな~と。
当初悪役かと思ったら、手違いだったと呪いをキャンセル、あっさり御退場の「樫の木森のオババ」も、結局何だったのだろう?(笑)
「呪いが自ら意志持って暴走」って、御都合主義にも程が有ると思うんですよ…折角生出したキャラなんだから、願わくばラストまで絡めて欲しかった。
弁天お雪ランについても、あまりに出番があっさり過ぎたなと。
元脚本では、ラスト近くに再登場してたんですよ。
けど削ったのは正解じゃねーかと…出て来ても何もしない予定だったから。(笑)
その事でより薄情度が上るんですが(苦笑)…ただ外側で傍観してるだけの予定だったし…。
「ラーラ」もね…「ルウ」を助けたいなら、さっさと助けに来ればと考えてしまうんだが。
あたるがラムを思い出すのを待つより、その方が話早かっただろうに。
監督山崎和男氏がこの映画で表現したかった事――それは「ラムの居ない『うる星』世界」だったのでしょう。
「僕はラムが『うる星』世界の因果律の元だと考えてるんですよ。」(映画4作目パンフレットより)
「因果律の元」…つまり「全ての事象が起こる原因」という意味だそうですが…「うる星ワールドの非現実的騒ぎは、ラムが原因となって引起されている」と仰りたかったらしく。
その説にはきっぱり異議を唱えたい所なのですが(笑)…でも氏の目論見は成功してたかなと。
ラムちゃん好きな知り合いが言うんですよ。
「俺は映画のメガネに自分を重ねて涙した」と。
映画の中で…メガネはラムを忘れる為に旅に出る。
旅から帰って来てラムの写真を破ろうとする。
けど、出来ない…自分の手で破り捨てられない。
それでも皆が集まる中、全ての思い出に火を点ける。
メラメラ燃えてくラムの写真を見ながら…メガネと仲間達は男泣きするんですねえ。
そのシーンを観てる内、リアルに「うる星」が終った時の自分を想像して、泣いてしまったそうなんですよ。
「たかが漫画&アニメのキャラに…」と笑われるかもしれませんが…今また『ワンピース』と言う作品に嵌り、「ナミ」と言うキャラに入れ込んでる自分には、笑う事は出来ないなぁ。(苦笑)
山崎氏はキャラの感情表現を、とても巧く演出される方だと思う。
観ていてキャラに同化してしまうんですよ。
氏の主張には正直同意しかねますが、その演出力には感心させられました。
他にも、ラムがあたるを思って回想するシーン…
キスをせがむもあたるはそっぽを向く。
けれどこっそり窺った頬は、朱に染まっていた。
…このシーンが非常に印象深かった。
このシーンが有るなら、その前の「ウチはダーリンの妻だっちゃ」なる台詞は、特に要らなかったなと思わせる程。(笑)
後はマジシャンのルウとラムが、宙を飛び回るシーン。
素晴しく立体的で、今のCGをもってしても、この迫力は中々表現出来ないように感じられる。
監督が「最も力入れたシーン」と仰るだけ有るなと。
夜の遊園地~ミラーハウスを、ラムとルウが飛び回るシーンも、幻想的で見惚れる。
自分、結構影響受けてるかも…と、今観直して感じた。(笑)
ただ後半入って、急激に話が大人しくなるのは…意図は解るけど、映画作品としてのバランスは悪くしてしまってる様な…うる星ファン以外の人間が観るには、言葉は悪いが後半退屈に思うかも知れない。
だから本当に「ラムファンによるラムファンの為の映画」で、ラムファンが最も楽しめる映画じゃないかと。
正にリメンバー・マイ・ラムって事で。(笑)
しのぶファンも地味に楽しめるかも。
元脚本の段階では、普通の日常に戻った場面でのナレーションは、サクラの予定だったのですよ。
…そこはやはり「しのぶ」の役所にして正解でしょう。
普通人な彼女の面目躍如たる見せ場でした。
この映画で最も注目してしまうのは、「作画の美しさ」かと。
森山ゆうじ氏&土器手司氏の描く、丸っこい顔でグラマーな女の子キャラが、作中で活き活きと飛び回っている。
OP&EDは西島克彦氏が担当、OPでの幼い頃のラム達が、すんごい可愛いんだ。
あのアニメ史上例を見ないハーレムシーンも西島克彦氏が担当…何でも己の持ってる全精力を注ぎ込んだとか。(笑)
いや~あれは必見ですよ、響子さんがラインダンスしてたりと、ルーミック女の子キャラ総出演ってな勢いですから。(大笑)
ちなみに元脚本では後3回位ハーレムシーンを出す予定だった…西島さんが死んじゃうよ!!(爆笑)
それに小林七郎氏&新井寅雄氏の担当した背景が、溜息出そうな程綺麗。
「少年が生出した世界」という設定から、無色に近い透明感を出したそうで…凄い表現力だと感心してしまった。
色々文句書いといてアレだけど……作画も含めて、今時のアニメ映画と比較しても、遜色無い出来だなと思いました。(笑)
日本ハム、リーグ連覇おめでとう御座います。
小笠原や新庄といった、支柱的選手が抜けての優勝は、真の実力が無いと出来ぬ事。
今パ・リーグで1番強いチームだと、お世辞抜きで思うのです。
…だから出来ればそのまま日本一シリーズに出て欲しいのだが。(汗)
去年同様の失速の仕方を見てるに、また同じ光景を目にしそうで鬱になります。
これ以上チームやファンに、トラウマ重ねさせないで貰いたい…。
泣き言吐くのは自分でも嫌なんだけどさ~~。
てゆーか自分が某所で「マー君に勝てるなら、優勝しなくても構わない」と言って以来、マー君には勝てたが優勝から遠ざかった様な…。
つくづく滅多な事言うもんじゃないですね。(苦笑)
来年マー君に負けても構わないから、優勝させて下さい。(マジで)
深くて暗い森の中…1人の「オババ」が大層腹を立てていた。
或る女の子の誕生を祝うパーティーに、自分だけが招かれなかったからだ。
腹立ちに任せて、オババはその女の子に呪いをかける事を思い付いた。
「年頃になって、女の子は恋をする…。
しかしその恋心は報われず…どんなに思おうとも、決して結ばれやしないだろう…!」
時は飛んで未来――1人の少年が奇妙な硝子玉を拾う。
硝子球は炎を宿して、妖しく輝いていた。
さて、また時は飛んで現代――学校の図書室で、ラムはしのぶから赤い糸の伝説を聞かされる。
自分とあたるの仲も、きっと赤い糸で結ばれてるっちゃと、はしゃぐラム。
しかし隣に居たあたるは「くだらん」と吐き捨てるだけ。
学校の帰り道、ラムは遊園地オープンのチラシを受取った。
デートの場所を悩んでいたラムは、早速その『友引メルヘンランド』に、あたるを連れて向う。
そこはさながら幻想の住人達がひしめき合うワンダーランド。
あたるがラムとデートする事を聞き付け、妨害目的で来場した面堂&メガネ達が、世にも奇怪な現象に遇ったり。
遊園地に漂う妖気に引かれ、サクラや錯乱坊が駆け付けるも、何故か場内に入れなかったり。
そんな中、怪しい手品師の手によって、あたるがピンクのカバに変えられてしまった。
元の姿に戻そうにも、手品師は助手の女と共に、行方を眩ましてしまう。
仕方なく家に帰るカバあたるとラム。
ラムはあたるに「必ず自分が元の姿に戻してあげるから」と元気付ける。
そうは言っても、もしこのまま自分が人間に戻らなかったら…と不安を口にするあたる。
ラムはそれでも、あたるの傍から離れないと、固く誓うのであった。
「だって……ウチはダーリンの妻だっちゃあ…!!」
しかしその夜…目の前に出現した手品師を追い、件の遊園地まで来たラムは、不思議な力で亜空間に引き摺り込まれてしまう。
手品師の正体は、「ルウ」と名乗る少年だった。
ルウは語る――或る日ゴミ捨て場で不思議な硝子玉を拾い、時空を超えられる程の強い超能力を得た事を。
幾度か試したタイムスリップの途中で、幼年時代のラムに出会い、その屈託無い笑顔に惹かれた事を。
しかしあたるに会って以来…ラムは幼い頃の様に笑わなくなった。
だから彼女をあたるの元から引き離そうとして、今回の事件を企んだと告げるルウ。
「あいつがカバになれば、ラムもあいつに愛想をつかすと考えたんだ。
なのにラムはあいつの傍から離れようとしない。
だからラムを此処に連れて来る事にしたんだ。」
此処で何時までも一緒に暮そうと言う少年に、ラムは「冗談じゃない。早く自分を此処から出して、ダーリンを元の姿に戻せ」と怒る。
そんなラムに、「あいつなら放っといても、その内元の姿に戻る」と、ルウは答える。
「けど、その頃にはあいつ…滅茶苦茶ラムの事恨んでるだろうね…。」
指し示された鏡の向うには、ラムが心変わりしたのではと疑う、あたる(カバ)が映っていた。
暫く後、ラムの失踪を聞き付けた弁天ランお雪が、あたる(カバ)の家を訪ねて来た。
3人+1匹は真相究明に乗り出し、ラムの父母の話から「樫の木森のオババ」が事件に絡んでいる事を突き止める。
オババの家を訪ねて事情聴取した所……
自分は今から17年前、ラムの誕生会に招かれなかった。
それを逆恨みして、『銀河系よろず呪い事引き受け組合』なる会社に、ラムを呪うよう依頼をしたとの事だった。
しかし後日手違いで招かれなかった事が解り、呪いは直ぐにキャンセルしたと言う。
3人+1匹は、今度はその組合へ乗り込み、職員に事情を問質した。
調べてみれば、呪いは郵便上の手違いでキャンセルされず、長年放置されて居り…何故か勝手に発動しているのであった。
呪いの元は掴めても、これ以上どうしようもないと、諦めて地球に戻った3人+1匹。
ランや弁天お雪そしてテンは、ラムの居ない地球に用は無いと、各々の故郷へ帰ってしまう。
それから数日――友引町に微妙な変化が起り出した。
しのぶは怪力が出せなくなり、メガネはラムの思い出を消そうと旅に出る。
面堂は飼ってる蛸の言葉が理解出来なくなり、了子の飼ってる桜は普通の木に戻ってしまった。
今迄の非現実的騒ぎが夢だったかの様に、すっかり現実的な日常を繰り返す世界。
やがて元の姿に戻ったあたるは、毎日喜んでガールハントに繰り出す。
そうして――彼らは3年に進級した。
当り前の生活を送っていた或る日、あたるはコーラ缶のプルトップで指を切ってしまう。
切った指に「赤い糸」の如く引かれる血…突如あたるの脳裏に、ラムの思い出が蘇った。
そこへ現れた「ラーラ」と名乗る女。
彼女はルウの家庭教師で、呪いに知らず知らず操られてるルウを救いにやって来たと話す。
救う為には、あたるがラムを愛する念が必要。
だから自分は、あたるがラムを思い出す事を、ずっと待っていたのだと。
かくしてラーラと共に、ラムを取戻そうと亜空間へ突入するあたる。
リメンバー・マイ・ラブ……私の愛を忘れないで。
――蘇るか、2人の愛!?
…とまぁ、敢えて詳しく粗筋書いてみた。(笑)
はっきり言って、うる星の映画5本の中で、私はこの映画が1番嫌いです。(『いつだってマイダーリンは論外』)
なのでこの映画が好きだ~って方は、こっから先の文を読まないでおいた方が宜しいかと。(苦笑)
私がこの映画を嫌いな理由…それは『ラム=全て』の公式で作られてるから。
「ラムが居ないなら地球に用は無い」と言って、あっさり故郷の星に帰ってしまうテン弁天お雪ラン。
ラムが居なくなった事で、今迄有った非常識な騒ぎは止み、普通の時間が流れる世界。
…ラムは確かに『うる星やつら』と言う作品のシンボルに違いない。
しかし他キャラ同様、作品世界の内の1人だと思うのだが…。
「ラムが居なくちゃ始まらない世界」っつう思想には、正直ついて行けないのよね~。(苦笑)
加えて映画第1作目『オンリーユー』の時の脚本家さんが書いたお話なので、ラムが終始一貫して悲劇のヒロインしてるという…。(汗)
実はこの映画の元脚本…『少年サンデーグラフィックスうる星やつら13』に丸々載ってまして、読んだ事が有るんですよ。
公開された映画の内容と比較すると、今回は残念ながら(いや失礼)脚色は少ない。(笑)
この脚本家さんの中での「あたる」は、ラムが居なくなったらこれ幸いと、ガールハントし捲るだけの男でしかないらしい。
人間だから好き嫌いは有るだろうが……その解釈は哀し過ぎる。
しかも色々キャラを出してる割に、ラム以外ちっとも活躍してないし。
キャラ贔屓は過ぎると話のバランスを破壊すると思うんだがなぁ。
…とまぁ、初めて観賞した頃は、怒りと哀しみが胸に渦巻き、大変な状態になっていました。(笑)
なのに公開して直ぐの頃、この映画の反響は好意的なものが多かった。
今思い返すに、前作『ビューティフル・ドリーマー』の反動からだったのでしょう。
「これぞ『うる星やつら』!BDは映画だったけど、『うる星やつら』じゃなかったから。」
映画を制作したスタッフの方でも、そんな思いで作ってたんだろうなぁと、最後全キャラ揃っての雄叫びから感じられた。
自分には、前作より余程原作のキャラや世界を破壊している様に感じられたけどね…。
なんて、大人げなくあの頃の怒りをぶちまけても空しいだけなので、今一度観直してみました。(苦笑)
感想としては、一見明るく楽しいけど、話に破綻が見られるなぁと。
いや、嫌いだから重箱の隅突いてる訳じゃないのよ。(多分)(汗)
脚本家の弁によると、今回は『オンリーユー』の逆で、「ラムを追うあたる」をコンセプトに書いたらしい。
そしてゲストの少年「ルウ」の成長劇を絡めようと考えたらしい。
けどそれは、ズバリ失敗だったと思う。
だって『うる星やつら』のキャラは、成長しないから。(笑)
話の最後でラーラは、「貴方はこれから、沢山の別れと出会いを経験して、大人になって行かなきゃ」みたいな事を、ルウに説教する。
しかしその一方で「うるせい奴等」は、お祭り的日常が連鎖する、相変らずの世界に戻る訳ですよ。
「大人にならない世界」を前に、「大人になれ」と説教するのは、皮肉にしか聞えない。(笑)
それでも成長劇を断固書こうとするなら…ラストはお祭騒ぎが止んだまま、「そして私達は3年に進級した」世界で終らなくちゃならない筈。
あたるとラム2人の関係も、あれではまるで親子愛。
「馬鹿な子程可愛い」と母親的愛情で接するラム、その母親から脱出せない幼いあたる。
成長する道を選び、幼い恋から決別するルウに対し、2人の関係はあまりに幼稚過ぎると感じるのだ。
この矛盾を置き去りにしたまま、映画は無理矢理完結してしまっている。
それ以外は特に大きな問題無く…楽しい所もいっぱい有るなと、今なら冷静に楽しめました。(笑)
敢えて言うなら、OP迄のシーンは要らなかったんじゃと。
「オババ」のモノローグ→ルウが硝子玉を発見→OP→そのまま遊園地シーンと繋いでしまっても、話は理解出来たと思う。
赤い糸の伝説は、遊園地でしのぶと出くわした時に聞く形にしても、良かった気がするのだ。
てゆーかあたるとラム2人でデートだった筈が、何時の間にか皆で遊園地を廻ってるんですが…。(笑)
偶然出くわしたとして、野郎共は妨害(名目上は監視)目的で来たのだから、何らかの反応が有って然るべき。
そここそ丁寧な描写が欲しかったな~と。
当初悪役かと思ったら、手違いだったと呪いをキャンセル、あっさり御退場の「樫の木森のオババ」も、結局何だったのだろう?(笑)
「呪いが自ら意志持って暴走」って、御都合主義にも程が有ると思うんですよ…折角生出したキャラなんだから、願わくばラストまで絡めて欲しかった。
弁天お雪ランについても、あまりに出番があっさり過ぎたなと。
元脚本では、ラスト近くに再登場してたんですよ。
けど削ったのは正解じゃねーかと…出て来ても何もしない予定だったから。(笑)
その事でより薄情度が上るんですが(苦笑)…ただ外側で傍観してるだけの予定だったし…。
「ラーラ」もね…「ルウ」を助けたいなら、さっさと助けに来ればと考えてしまうんだが。
あたるがラムを思い出すのを待つより、その方が話早かっただろうに。
監督山崎和男氏がこの映画で表現したかった事――それは「ラムの居ない『うる星』世界」だったのでしょう。
「僕はラムが『うる星』世界の因果律の元だと考えてるんですよ。」(映画4作目パンフレットより)
「因果律の元」…つまり「全ての事象が起こる原因」という意味だそうですが…「うる星ワールドの非現実的騒ぎは、ラムが原因となって引起されている」と仰りたかったらしく。
その説にはきっぱり異議を唱えたい所なのですが(笑)…でも氏の目論見は成功してたかなと。
ラムちゃん好きな知り合いが言うんですよ。
「俺は映画のメガネに自分を重ねて涙した」と。
映画の中で…メガネはラムを忘れる為に旅に出る。
旅から帰って来てラムの写真を破ろうとする。
けど、出来ない…自分の手で破り捨てられない。
それでも皆が集まる中、全ての思い出に火を点ける。
メラメラ燃えてくラムの写真を見ながら…メガネと仲間達は男泣きするんですねえ。
そのシーンを観てる内、リアルに「うる星」が終った時の自分を想像して、泣いてしまったそうなんですよ。
「たかが漫画&アニメのキャラに…」と笑われるかもしれませんが…今また『ワンピース』と言う作品に嵌り、「ナミ」と言うキャラに入れ込んでる自分には、笑う事は出来ないなぁ。(苦笑)
山崎氏はキャラの感情表現を、とても巧く演出される方だと思う。
観ていてキャラに同化してしまうんですよ。
氏の主張には正直同意しかねますが、その演出力には感心させられました。
他にも、ラムがあたるを思って回想するシーン…
キスをせがむもあたるはそっぽを向く。
けれどこっそり窺った頬は、朱に染まっていた。
…このシーンが非常に印象深かった。
このシーンが有るなら、その前の「ウチはダーリンの妻だっちゃ」なる台詞は、特に要らなかったなと思わせる程。(笑)
後はマジシャンのルウとラムが、宙を飛び回るシーン。
素晴しく立体的で、今のCGをもってしても、この迫力は中々表現出来ないように感じられる。
監督が「最も力入れたシーン」と仰るだけ有るなと。
夜の遊園地~ミラーハウスを、ラムとルウが飛び回るシーンも、幻想的で見惚れる。
自分、結構影響受けてるかも…と、今観直して感じた。(笑)
ただ後半入って、急激に話が大人しくなるのは…意図は解るけど、映画作品としてのバランスは悪くしてしまってる様な…うる星ファン以外の人間が観るには、言葉は悪いが後半退屈に思うかも知れない。
だから本当に「ラムファンによるラムファンの為の映画」で、ラムファンが最も楽しめる映画じゃないかと。
正にリメンバー・マイ・ラムって事で。(笑)
しのぶファンも地味に楽しめるかも。
元脚本の段階では、普通の日常に戻った場面でのナレーションは、サクラの予定だったのですよ。
…そこはやはり「しのぶ」の役所にして正解でしょう。
普通人な彼女の面目躍如たる見せ場でした。
この映画で最も注目してしまうのは、「作画の美しさ」かと。
森山ゆうじ氏&土器手司氏の描く、丸っこい顔でグラマーな女の子キャラが、作中で活き活きと飛び回っている。
OP&EDは西島克彦氏が担当、OPでの幼い頃のラム達が、すんごい可愛いんだ。
あのアニメ史上例を見ないハーレムシーンも西島克彦氏が担当…何でも己の持ってる全精力を注ぎ込んだとか。(笑)
いや~あれは必見ですよ、響子さんがラインダンスしてたりと、ルーミック女の子キャラ総出演ってな勢いですから。(大笑)
ちなみに元脚本では後3回位ハーレムシーンを出す予定だった…西島さんが死んじゃうよ!!(爆笑)
それに小林七郎氏&新井寅雄氏の担当した背景が、溜息出そうな程綺麗。
「少年が生出した世界」という設定から、無色に近い透明感を出したそうで…凄い表現力だと感心してしまった。
色々文句書いといてアレだけど……作画も含めて、今時のアニメ映画と比較しても、遜色無い出来だなと思いました。(笑)
日本ハム、リーグ連覇おめでとう御座います。
小笠原や新庄といった、支柱的選手が抜けての優勝は、真の実力が無いと出来ぬ事。
今パ・リーグで1番強いチームだと、お世辞抜きで思うのです。
…だから出来ればそのまま日本一シリーズに出て欲しいのだが。(汗)
去年同様の失速の仕方を見てるに、また同じ光景を目にしそうで鬱になります。
これ以上チームやファンに、トラウマ重ねさせないで貰いたい…。
泣き言吐くのは自分でも嫌なんだけどさ~~。
てゆーか自分が某所で「マー君に勝てるなら、優勝しなくても構わない」と言って以来、マー君には勝てたが優勝から遠ざかった様な…。
つくづく滅多な事言うもんじゃないですね。(苦笑)
来年マー君に負けても構わないから、優勝させて下さい。(マジで)