瀬戸際の暇人

もう台風は勘弁…

桜トンネルシリーズ(目次)

2010年08月17日 21時08分11秒 | 桜トンネル(ワンピ長編)
このシリーズはワンピースのルフィ・ゾロ・ナミが、現代日本(?)の高校生で幼馴染関係という設定の下、書いてます。
当初はハウステンボスに旅行させる事で、旅ガイド的な物を狙ったのですが、現在はハウステンボスから離れ、キャラ設定のみ引継ぎ続いちゃってます。(汗)
3人の友達以上恋人未満な青春物語…こう表現するとあ○ち充漫画の様ですが(汗)、そんなノリで読んで下さればしっくり行くかと思われます。(身も蓋もない)



・夏陽炎…ルフィ・ナミ・ゾロ、高校1年生の夏、陽炎向うの世界を見る。

(1) (2) (3) (4)

・女の顔…ルフィ・ナミ・ゾロ、高校2年生の夏、紫陽花の女に出遭う。

(1) (2) (3) (4)

・何度も廻り合う…ルフィ・ナミ・ゾロ、高校3年生の冬、長崎ハウステンボスに旅行する。
書いた人間が05年11/27~2泊3日間、ハウステンボスへ遊びに行った際の思い出を基に書いてる故、現在のパークとは様相が異なる事を御了承下さい。(汗)2005年12月8日~2006年2月25日迄、このブログ上で連載。

(1)出発 (2)空港 (3)到着 (4)マフィン (5)ビネンスタッド (6)ランガダイク (7)クルーザー

(8)アフタヌーンティー (9)チェックイン (10)フォレストヴィラ (11)夕食 (12)光の宮殿 (13)花火 (14)夜の散歩

(15)光の教会 (16)椅子 (17)朝陽 (18)迷路 (19)美術館 (20)ランチバイキング (21)アミューズメント

(22)オルゴール (23)水門 (24)光の運河 (25)雷雨 (26)雨の中 (27)光の風車 (28)

(29)朝食 (30)自転車 (31)ワッセナー (32)チョコレート (33)カルーセル (34)船長帽 (35)チェックアウト

(36)ソウル (37)展望台 (38)観光丸 (39)マリンターミナル (40)船出


・桜トンネル…ルフィ・ナミ・ゾロ、高校卒業後、桜の下で再会する。

(1)
コメント (2)

女の顔 その4

2010年08月16日 20時00分42秒 | 桜トンネル(ワンピ長編)






蓋を間にし、腰を屈めて、ルフィと見詰め合う。
電車が公園の横をガタンゴトンと過ぎてった。

「……もう後には退けねェよ」

ルフィの顔は強張っていて、黒い瞳の奥に怯えが見える。
こいつも恐いんだなと思うと、緊張が少し解れて笑顔になれた。

「そうだな…ここで逃げたら、ゾロ、恨まれて一生とりつかれちまうもんな!」

にししっ♪と意地悪く笑いやがる。
出来る事なら、こいつに取り憑かせたい。

だが俺の側に立って居る。
振り向いても背後には紫陽花が咲いてるだけだが、立って居る気配をひしひしと感じた。
俺に見付けて欲しくて、じっと待って居る…


「うし!じゃ、1・2の3で、同時に持上げるぞ!」
「おう!!!」

一旦立ち上がり、拳をパンと叩いて気合を入れてから、再び腰を屈めて取っ手を握る。
対面するルフィも、大声で気合を入れてから、取っ手を握った。

「……そういや水死体ってパンパンに太ってるんだってな」
「…そう聞くけどな。生前と見分けが付かない変りようだって」
「…俺、水死体なんて1度も見た事無ェんだけど…ゾロは有るか?」
「…無ェな…幸い」
「…1週間つかってたら、どんな風になってんだろうな?」
「……おい、覚悟を鈍らす様な事言うんじゃねェ」

互いに目を見る。
唾を同時にゴクンと呑んだ。

「ゾロ……ナミを連れて来なくて正解だったな!」

ルフィが今にも泣き出しそうな顔で笑う。
長い付き合いだが、こんな情けねェ顔は見た事無い。
きっと自分も似た様な情けねェ顔を浮かべてんだろう。
そういう意味でも見せられたもんじゃなかった。

「…そうだな…正解だったぜ!」

ただでさえ他人の不幸に同情する女だ。
惨いものを見せたくねェ。
あいつの泣き顔見るくれェなら、俺達が泣く方がマシに思えた。

「んじゃマジで引っ張り上げっからな…!!1・2の――3…!!」

錆びた金属が悲鳴の様に耳障りな音を立てる。
かなり重い蓋の下から、真っ黒な水を湛えた穴が、ぽっかりと現れた。












――見付けて。


――早く私を見付けて。












暗い水面から見上げる、
絶望に塗れた女の顔を、
俺は一生覚えているだろう。












「冷麺の上には何で缶詰の甘いサクランボが載ってんだろうな?」
「さぁ…辛いスープ飲んだ後の口直し用じゃない?」

正面で冷麺をすするナミが俺の質問に答える。

「だったら別皿にアイスのトッピングとしてのせて、デザート付のセットで提供して欲しいよなァ~」

隣に座るルフィが甘党の見地から新提案するも、畳席で常連のおばちゃん2人組と談笑している店主の耳には届いてないだろう。
TVの中のカップルは、今日も激しく言い争っている。
断片的に届く台詞から推察するに、女は自分が妊娠した事を男に告げ、愛してるなら腹の子の父親になれと迫ってるらしい。
期末帰りに昼飯食ってる高校生が居るってのに、此処の店主と常連のおばちゃん達は、気配りなんてしちゃくれねェ。しかし今だけは勘弁して欲しかった。

「…妊娠してたんだってね…あの人…」

そら見ろ、思い出しちまったじゃねェか。
隣でカレーうどん特盛を平らげた後、別注文のプリンをすくって食ってたルフィも、嫌そうに顔をしかめた。
ちなみに俺が注文したのは今回もメンマ海苔チャーシューだけのラーメン、蕎麦屋な筈のこの店は何故か中華料理が半分を占めていた。
こちらの歓迎しない空気を読まず、ナミが事件の話題を口にする。

「雑誌に載ってたんだけどね…男は水に沈める時、顔が見えるのが恐くて下向かせたんだって。
 ところがあんた達は見て知ってるだろうけど…蓋を開けた時、何故か首が上を向いてたんだって?
 だから沈められた時はまだ生きてて…意識を取り戻した女性が、必死で外に向い助けてって叫んでたからじゃないかって言う人も居るけど……余計哀れだわ」



予想通り、死体を発見した俺達を、警察は犯人だと疑った。
未成年という事でか、取調べはドラマで見るほど厳しいもんじゃなかったが、真犯人が現れない場合を考えると、不安で飯も喉を通らなかった。

しかし通らなかった本当の理由は、死体を見たショックからだ。
ルフィですら3日間何も食えず、食っても全部吐いちまったらしい。
俺も1週間物が食えず、夜は夢にうなされた。
今でも時々うなされる。

幸いTVで流れた死体発見のニュースを見て、真犯人はあっさり警察署へ自首しに来た。
公園の近所に住んでた男だったが、女の方は離れた所で暮らしてたらしい。
よく聞く痴情の縺れってヤツで、衝動的に首を絞めて殺っちまったそうだ。

新聞やニュースは公園管理の杜撰さを槍玉にあげ、雑誌やワイドショーは発見前、幽霊の噂が流れていた事から、オカルトとして事件を採り上げた。
普段何をしてんのか不明な自称霊能者達が活気付き、此処ぞとばかりに連日顔を見せては、日頃の信心が大切だと説いた。
俺とルフィの所へも事件について訊きにレポーターが押し寄せたが、その度にナミが抜群の演技力ではぐらかしてくれたお陰で、最近は漸く落ち着いて来ている。
新たに悲惨な事件が起きて、マスコミや世間の目が、一斉にそっちを向いたお陰も有る。
噂が次第に沈静化する中、ナミは誕生日を迎えて、1つ年を取った。



「仮にも恋人だったってェのに…子供まで作る仲だったってェのに…よく殺せたものよ!
 好きだった男に首を絞められた瞬間、あの人はきっと信じられない気持ちで居たと思う。
 化けて出る力が有るなら、男の家まで押しかけて、取り殺せば良かったのに!
 幽霊って魂だけなんでしょ?空飛んで壁擦り抜けたり出来なかったのかなァ?」
「地縛霊ってヤツじゃねェの?死んだ土地に縛られて、移動する事が出来ねェ種類」
「え?『じばく霊』ってそーゆー霊だったのか?俺、恨んでるヤツのトコ行って、ドカーン!!って自爆する霊だって考えてた!」
「そういうベタなボケかます奴、初めてお目にかかったぜ」
「…あんたらもさァ、彼女出来たら、誠実に付き合いなさいよ」

ふとナミが箸を置いて、俺とルフィを真剣な顔で見詰めた。

「彼女の信頼を裏切る様な真似しないで。
 …まァ、あんた達がそんな奴じゃない事は重々承知してるけど。
 それでも若さから羽目を外して、彼女のお腹に子が宿った場合は――」
「誰の子か聞く!」
「DNA鑑定を受けさせる」
「違うでしょ!!真面目に答えろ馬鹿者めらっ!!」

暑苦しい店内だってのにヒートアップしたナミは、テーブルから身を乗り出して叫ぶ。
その顔をじっと見詰めつつ、俺はおもむろに口を開いた。

「…てめェこそ変な男に引っかかんじゃねェぞ」

「は!?」

ナミの目が点に変る。
テーブルを叩いてた手をそのままに固まっちまった。

「遊びで付き合ったりするな。
 選ぶなら、お前の事を本気で思ってる奴にしろ。
 お前が辛い時、代わって身に受けるくれェの気概を持てる奴じゃなきゃ駄目だ」


惚れた男に光が見えない底へ突き落とされ、絶望に塗れた女の顔が浮ぶ。

あんな顔にさせやしねェ。
そんな男には絶対渡せない。


「……何を急に…父親みたいな事を…」

説教口調に気を悪くしたのか、ナミが口を尖らす。
不意にルフィが豪快な笑い声を上げた。

「ナミは大丈夫に決まってんじゃねーか、ゾロ!!
 だって俺達が付いてんだから!!」

さも当然とばかりに、俺の目を真直ぐ見て言う。
聞いたナミの顔が、まるでサクランボの様に、赤く染まった。





【了】





…ラブコメ調に始まりながら、途中からサスペンスホラーに変った事で、かなりの人から「騙された!恐い!」との感想を頂いた話。
済みませんねぇ~、騙して。(笑)
しかし怪談としては有り勝ちだし、最初から怖ろしげに書いたら、誰にも読んで貰えないかも…そう危惧しての演出だった訳ですよ。(笑)

後これは偶然ですが、四条さんトコの今年の会場が、インラインフレームによる展示――小さな窓を覗く様に、スクロールしながら文を一行ずつ読んでく形式だったのが、物凄い効果を発揮したのではないかと。
書いた自分が言うのもアレですが、「暗い水面から見上げる…」って一文の前で、手が止まりましたもん。(笑)

何人かの方から、2人に対するナミの態度の違いと、その事で2人が不満に思っていて、互いに嫉妬を感じている点に、注目したとの声を頂きました。
これは原作の空島編で、戦闘を前にルフィがナミに向い、「邪魔だから船戻ってろ!」と言った時、ナミが「うん!」と素直に答えたシーンを意識し、書いた物だったり。
ゾロから同じ台詞を言われてたら、こうも素直な態度を見せなかった気がするんですよ。
事実その後、敵に船ごと連れ去られるシーンで、ゾロに「俺が残るから船を降りろ!」って命令された時は、「あんた1人残ってどうするの!?」って、ナミ反抗してるし。

あの時、言われたゾロとしちゃ、どんな気持ちで居たでしょうね?
言外に「だってルフィは此処には居ないのよ」と聞えてたかも。

もっと想像を広げると、ウソップから同じ台詞を言われたら、ナミは聞きもせず呆れるだけなんじゃないかと。
サンジだったら、そもそも「邪魔」に扱わない。
チョッパー・ロビン・ブルックも「邪魔」って言い方はしない、フランキーは言っても、面倒見の良い兄貴的な、少し引いた表現を使うだろうなと。
ナミに対して真正面から「邪魔」って言い方をし、片や素直に「うん」と聞き入れ、片やあからさまな反抗を見せるのは、ルフィ・ゾロ・ナミ3人の場合だけに絞られるんじゃないか?
そう考えて書いたシーンだった訳ですよ。



・2010年7月はにほへといろ様のナミ誕に投稿した作品。
コメント (2)

女の顔 その3

2010年08月15日 22時30分48秒 | 桜トンネル(ワンピ長編)






「…見付けるのを手伝ってくれるって言ったでしょ…?」


背後で水の滴る音が響いた。
足下の泥濘が、どんどん広がってく。
まるで氷水に浸かってた様な手…掴まれた腕から全身へと、鳥肌が伝播する。


「ゾロ早く…!!何じっと立ってるの!?何時もの馬鹿力で振り切って逃げてよ…!!!」


そうしたくても全く動けねェ。
掴んでる力は大して強くねェのに…俺は産れて初めて金縛りを体験していた。

それでも何とか首を曲げて、背後を窺う。
肩越しに女が、口からゴボゴボと水を吐き出してるのが知れた。
その水が滴り落ちて、足下の地面を泥濘に変えている。
泥濘は女と俺を外界から遮断するバリヤーの様に思えた。

「ゾロォォ…!!!」

ナミが半狂乱になって、俺と女の間に飛び込んだ。

「ゾロから離れろ幽霊!!!その手を放してっ…!!!」

女ともみ合うナミのブラウスが、濡れてくのを背中で感じる。
踏み切りの音が非常ベルみたく、頭の中で喧しく鳴り響いた。


「…幽霊?…誰が?…私が?…酷い。違うわ…」


水を吐き出しながら、女は流暢に言葉を話す。
肩越しに窺った目の玉は、白く濁っていた。


ヤバイ。
ヤバイヤバイヤバイ。
逃げろ。
ナミ逃げろ。
叫びたくても声が出せねェ…!


「見るからに幽霊じゃない!!!よしんば生きてても怪しくて関り合いたくないわ!!!ゾロから離れて!!!言う事聞かなきゃグーパンチかますわよ!!!」

「……ストレートで長く伸ばしてるから、幽霊っぽく見えるのかな?でも彼が好きって言ったから…」
「誰も聞いちゃいないわ!!!取り憑くんなら、その彼氏にでもすればいい!!無関係な私達にちょっかい出さないで!!!」

「……嫌!だってこの人、約束したんだもの…!見付けてくれるって…!」


駄目だ…ナミ。
関るな。
俺を放って早く逃げろ。
畜生、傍に居るのに…
動け…動け…動け…!


「…邪魔だから…出てって――」


ゴボボボボ…と夥しく零れる水の音がした。
「あっ…!!」と一声叫んだナミの体が宙に浮く。


「ナミ…!!!」

目で姿を捉えた瞬間、金縛りが解けた、声も出た。
飛んでく体を必死で抱留めようとしたが、物凄い力で引っ張られ、俺の体まで宙に持ち上がった。

抱き合ったまま、ゆっくりと――に感じられた――滑る様に落下する。

投げ出された衝撃を後頭部にしこたま受け、俺は意識を失った。







…………ガタンゴトンという振動が下から伝わる。

直ぐ側を電車が通り過ぎてくのが解った。


……ゾロ!ゾロ!ゾロ!ゾロ…!!


目を開ける、ナミが泣きそうな顔で、俺を覗き込んでいた。
後ろの空はとっぷり暮れていて、星が光って見える。


「…気が付いた!?ね!頭大丈夫!?」
「……その言い方は止せ。まるで馬鹿になったみてェじゃねェか」
「だって…ゾロ、落ちて頭打ったのよ!痛いでしょ!?血とか出てる!?」
「痛ェこた痛ェけど……」

地面に着いてる後頭部を、手でそっと撫ぜてみる。

「……瘤が出来てら。けど、出血はしてないみたいだぜ」
「良かった…!!」

ナミは心底ホッとしたように、顔をクシャクシャにした。

段々と意識がはっきりして来る。
公園の外へ投げ出された俺達は、道を跳び越し、線路とを仕切る金網の下に落ちたらしい。
道の拡張工事をしている為、金網の下は土を晒している。
それが幸いした。
もし硬いコンクリートの道に落ちてれば、俺は頭を打って死んでたかもしれねェし、金網跳び越して線路に落ちてたら、更に悲惨だったかもしれねェ。

「ナミ…お前は大丈夫なのか?どっか打ってねェか?」

地面の上に仰向けで、寝転んだまま訊く。
目の前のブラウスは何処も濡れていない。

「私は大丈夫…ゾロが…下敷きになってくれたから」

俺の上に跨ったナミは、瞬かせて答えた。

「ありがと…ゾロ…それにゴメンね…ゴメンね…!」

瞳が潤み出す。
ヤベェ泣くと思った時は手遅れだった。
鼻水をズルズル啜る音が耳に届く。
どう宥めたもんか困った。

「…謝るのは後にして退けよ。起っちまう」
「――っの馬鹿すけっ…!!!」

口に出した途端、頬をパァン!!と叩かれた。
真っ赤な顔で2回3回4回と繰り返す。
叩かれる度に飛び散った涙が、俺の頬に雨みたくかかった。

踏切りがカンカン音を打ち鳴らす。
金網越しに、電車がガタゴトと横を過ぎて行った。







明くる土曜、復活したルフィが学校に来た。
小雨そぼ降る帰り道、俺達は昨日の体験を話した。

「ズッリィの!何で俺呼ばなかったんだよ!?」

案の定ルフィは口を尖らせた。

「呼んだわよ!携帯で何度も!ところが全然繋がらなかったの!」

ルフィに傘を差しかけながら、ナミが怒鳴り口調で説明する。
「今日はお昼前から弱い雨が降り出すから、傘は忘れず持った方が良いわよ」とのナミ予報を、朝玄関口で聞いときながら、奴は「弱いんならいいや!」と言って、持って出なかったらしい。
そのせいでナミは学校に居る間中、微妙に機嫌を悪くしていた。
怒らせた当人は全く気にしてなかったが。

今も傘を差して貰いながら、煩わしそうに外へ飛び出す。
それでもナミは追っかけて傘を差してやるが、苦心の甲斐無くルフィの黒い頭も制服も、べっとり湿って行った。

「あ~あ!俺も見たかった、腹さえこわさなきゃなァ!…何食ったのが悪かったんだろ?」
「そりゃ敢えて言うなら全部だろ」
「カレーライス5杯食べた後、アイス食ってスイカ食ってパイン缶食ってコーラ1リットル飲んで、風呂上りにコーヒー牛乳飲めばねェ~」

普通だったら、ただの腹痛で済まないだろう。
けれどルフィは「暑さでカレーがくさってたのかも…」と、他方向を追求し原因を得ようとする。
暫く首を傾げて悩んでいたが、吹っ切ったのか、坂道を1人でどんどん下って行った。
その後をナミが一生懸命追っ駆ける。
仕方なく俺も駆け足で付いて行った。

雨のせいか、坂道を通る車は少ない。
真ん中まで下った所で坂は一旦終わり、道を分断する線路が現れた。
左角には昨日ナミと寄った蕎麦屋が建っていて、その脇には公園へと続く小道が通っている。
ルフィが店の玄関前で足を止めた。

「これから行ったら、俺も会えるかな?」

振り返って、にんまりと笑う。
…言うだろうと思った。

「馬っ鹿止しなさいって!!話したでしょ!?ゾロなんか取り憑かれる寸前だったのよ!!落ちた先が線路だったら、轢死体が2つ並んでたかも…!!」

ナミが血相変えてルフィに掴みかかる。



昨日怪事に見舞われた後、俺とナミはそのまま逃げ帰ろうとして、重大なへまを思い出した。
2人して公園に鞄を置きっ放しだ…明日通学する為に必要とはいえ、取り戻しに行く勇気は出なかった。
それで近くの交番に行き、「変質者が居る」と嘘を吐いて、おまわりに公園まで付いて来て貰い、無事取り戻す事が出来た。
おまわりは俺達が嘘を吐いてる事に気付いてたろうに、特に尋ねず怒りもしなかった。
公園に出る幽霊の噂を知ってたから、かもしれねェ。

帰り道、ナミは「クモ膜下出血の心配が有るから…」と言って、病院に連れてこうとしたが、俺はそれを振り切り逃げた。
今朝登校した時も、しつこく説得されたが、こうして頭が回転してるって事は、大丈夫なんだろう。



「けど、その幽霊、見つけて欲しい物が有って、ゾロに頼んだんだろ?
 じゃ、見付けてやろうぜ!」

そう言うと、ルフィは俺の顔をじっと見た。


――1人じゃ見付けられなくて困ってたの!…どうしても見付けなくちゃいけなくて。


女の声が胸に蘇る。
乗りかかった船だと、腹を括った。

「……約束したしな」

「ちょっ!?ゾロまで…あの恐怖を忘れたの!?後1度でも関ったら、あんた今度こそ取り憑かれるから…!!」
「ナミ…お前は帰れ!」

ルフィから俺に変えて掴みかかって来たナミの腕を振り解く。
けれどナミは引き下がろうとしなかった。

「嫌!!2人が行くなら私も一緒に行く!!仲間でしょ!?何よ急に特別扱いして!!水臭いわ!!」
「駄目だ付いて来んな!お前は万が一俺達が戻って来ない場合の、緊急連絡役としてアパートに待機してろ!」
「ルフィ!!あんたからゾロに言ってやってよォ!!」

俺が断固意見を変える気が無ェのを覚ったナミは、ルフィを照準に定めて縋る。
ニッとルフィが何時もの様に、歯を剥き出して笑った。

「ナミ、帰れ。おまえが居ると邪魔だ」

飄々と身も蓋も無く言ってのけた。
ナミの顔が見る見る真っ赤に変ってく。
怒っている、これは相当怒っている。
だがナミは恐ろしくブータレたまま、坂道を黙って下ってった。





「お前相手だと、あいつは言う事聞くんだな」
「それを言うなら、ナミはおまえ相手だと、つっかかるんだな!」

不平を鳴らした俺に、ルフィは同じく不平で返した。
互いに面白く思ってない事を知り、顔を見合わせて笑う。



ナミが坂を下るのを見届けた後、一拍置いてから俺達も坂を下った。
踏切りを渡り、緩やかに右へカーブする坂道を下った先に、俺達の住むアパートが有る。
俺とルフィは家に戻って昼飯を食い、準備万端整えてから、問題の公園に向った。
もっとも2人共携帯を持ってない為、危機に遭遇してもSOSは飛ばせない。
準備万端とは言い難かったかもしれねェ。
ナミに借りりゃあ良かったかと、公園に向う道の途中で考えなくもなかったが、今更頼めるほど厚い面の皮は持ってなく、結局出たとこ勝負で挑む事にした。



俺とルフィが公園に着く頃、雨は止んでいた。
地面が黒く湿っている。
ぐるりと囲む紫陽花は水滴を載せて光り、雨上がりの虹を思わせた。

幽霊が出没した奥のベンチにルフィを案内してく。
八重桜の木が覆い被さってるせいで、辺りは昼でも不気味に薄暗かった。

「お前、スコップまで持って来やがって…」

軍手を嵌めながら、呆れるように言う。
俺同様に軍手を嵌めたルフィの手には、何処から調達したのか謎な、柄の長いスコップが握られていた。
俺なんて後は精々懐中電灯くれェだぜ。

「だってよ、幽霊が見つけてっつったら……自分の死体の可能性が1番高くね?」

それは俺も先ず考えた。

「…生前大切にしてた落し物って線も有るだろ」
「でもなァ~、ゾロの話聞いたら、必死具合から死体しか思いつかねーんだよなァ~」
「そうまで推理して、よく見付けてやろうなんて考えたな」

「だってかわいそーじゃんか!見つけてほしくて1週間も出て来てたんだろ?
 ゾロだってそう思ったから、ここに来たんだろ?」


――約束したでしょ?


――見付けてくれるって。


「俺…幽霊がゾロ選んだの、解る気がする。
 ゾロ、何だかんだ言っても、女に優しいからな♪」

「……人聞きの悪い事言うな!」

目蓋の裏に女好きの悪友のにやけた顔が浮んだ。
あいつとは違うと自負している。

けれど確かにルフィの言う通り、俺は幽霊に見込まれたらしく、公園に入った時から声が聞えていた。
見込まれた理由は解らねェけど、知らんぷりして一生取り憑かれるのは御免だ。

「ルフィ、スコップで掘る必要は無いらしいぜ」

片方の爪先で、足下に嵌ってるそれを突く。
マンホールの蓋に似た円形金属板の表面には、「防火貯水槽」という文字が刻まれていた。

「…こん中沈められてんのか?そうか!だからズブぬれで現れたのか!」

合点がいったルフィはポンと手の平を拳で叩くと、腰を屈めて蓋をじっと観察した。

「で、どうやって開けるかだが……公園の管理に頼むとしても、理由がなァ…」

下手な事言って犯人に間違えられるのも御免だ。
しかし蓋には常時鍵がかけられてて、管理の人間しか開けられないようになってる筈…

「ゾロ、これ………開くぞ!」
「何…?」

金属の蓋の表面には、取っ手が2つ付いている。
両手で上に引っ張ってみたルフィは、真剣な顔付で言った。

「嘘だろ?……鍵かかってねェの?」
「かかってねェ……すっげー重たいけど、俺とゾロで力を合わせたら、多分持ち上がる――どうする?」

沈黙が下りたそこへ、踏切りの音がカンカンカンと響き渡った。
公園内を吹き抜ける風が、木の葉をザワザワと鳴らした。





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女の顔 その2

2010年08月14日 22時48分25秒 | 桜トンネル(ワンピ長編)






「この先左脇に小さな公園が有るでしょ?
 1週間位前から、そこに幽霊が出るって噂が立ってるの。
 髪が長くて、長いスカートはいてたって…実際に見たコがクラスに居て、話してくれたのよ」


ナミと一緒に線路沿いの細い道を歩いてく。
時折、踏み切りの音が甲高く響き、少し遅れて電車が横を、ガタンゴトンと過ぎてった。
道が次第に上り坂に変わる、線路よりも高くなった足場から右に顔を向けると、背の高い金網越しに屋根が低く連なって見えた。

家並みの上に棚引く雲が、夕陽に染まって赤い。
陽射しは未だギラギラと強く、道の左側に続く白い石壁には、俺とナミの影が真っ黒く焦げ付いていた。

石壁が途切れて、左に紫陽花に囲まれた公園が現れる。
住宅地の隙間に押し込まれた様な、砂場だけの四角く狭い公園だ。
「猫の額」ってのは、こういう場所を指して言うんだろう。
道より更に小高い公園内に入ったところで、ナミは漸く連れて来た理由を説明した。


「幽霊が出る…だァ?てめェは、んなくだんねェ理由で、人を此処まで連れて来やがったのか…!」
「だって1週間位の内に、もう何人も見てんのよ!見たコは時間までしっかり覚えてて、嘘とはとても思えなかった!」

呆れを通り越して怒りが湧いた。
しかし睨まれた当人には俺が何を怒ってるのか解らないらしく、言い訳するにもポイントが完璧にズレている。

「嘘っぽい怪談って解るじゃない?『友人に聞いた話なんだけどォ~』なんて出だしで、体験者をぼかしてさ。この場合見た本人がはっきり『見た!』って主張してんのよ。すっごく信憑性高いと思う!」
「噂が嘘だと疑ってるわけじゃねェ…幽霊が出ようが出まいが、どうだっていいんだよ!」

興奮して喋るのを遮り、叫んだ。
俺を見上げるナミの目が真ん丸に開く。

「ゾロって、肝試しは嫌い?」

その一言でブチリと切れた。

「帰るぞ!」

踵を返してさっさと階段を下りる。
道に出る直前で首だけ振り返ると、ナミは背中を向けて、門の側のベンチに座って居た。
断固帰らない態度かよ…何故そんなにもムキになるんだか。
大仰に溜息を吐いて、頭をガリガリと掻く。
不承不承ベンチの側まで戻り、膨れっ面してる女の肩を、軽く叩いた。

「おら、帰るぞって!」
「帰りたければ、どうぞ勝手にお帰り下さい!私は帰んないから…!」

手をはね除けプイと逸らした顔は、とても高2には見えない。
今度は少し力を強めて、肩を揺さ振った。
再びその手をはね除けられる、自然と俺の口からは大きな溜息が漏れた。

「お前は反抗期のガキか?そうまでムキになるほど肝試しがしてェのか?」
「ゾロこそ急に大人ぶっちゃって、まだ高校生のクセに、可愛げ無い!肝試しくらい気さくに付き合ってくれたっていいでしょ!?」

…高校生男子に可愛げ求めてんじゃねェよ。
売り言葉に買い言葉で返して、いっその事置いてっちまおうかと思ったが、中身はガキでも器は充分女だ。
寄って来るのは幽霊に限らず、公園に独り残してくわけにいかねェ。
仕方なく隣に腰掛けた。

「…帰るんじゃなかったの?」

すっかり不貞腐れた顔を向けるも、ナミは俺がゆったり座れるように、体を右にずらしてくれた。

「夕日が落ちるまでだ。落ちたら一緒に帰る、いいな!」

後ろ向きのまま、太陽を指差して言う。
日が沈む間際の黄昏時、公園はオレンジ色の光に満ちていた。

「けど、見たコが言うには、夜10時頃だったって話よ。塾帰りに横を通ったら、丈の長いスカートをはいた長い髪の女が、空ろな顔してうろうろと――」
「んな時間まで待ってられっか!ただのキ××イだったかもしれねェだろ!」
「でも1週間位、毎日出てるって噂で――」
「だからキ××イなんだろって!!…違っても、そんだけの証言で幽霊だと決め付けられっか!」
「それに紫陽花が――」
「紫陽花??」

公園を囲む紫陽花を見回してナミが話す。

「紫陽花って土の質によって色を変えるって言うじゃない?去年と色が違って妙に鮮やかだって言う人が居るのよ」
「紫陽花の根元に死体でも埋められてるってか?んな事言うなら掘ってみるか?」
「や!ちょっ!止めてよ!!本当に出て来たら恐いじゃない!!」
「恐いんなら、そもそも肝試しなんてしようとすんなよ、矛盾してるヤツだな」

昔からこいつは恐がりのクセに、ホラー映画を観ようとしてたっけ。
観る時は必ず俺とルフィを呼び、てめェの後ろに俺達を座らせた。
トイレに行く時は必ず俺かルフィのどっちかを付き添わせ、出て来るまでドアの前で立たせた。

普段勝気で威張ってる女が怯える様は可笑しくて、ルフィと2人でわざと前に座ったり、居なくなったりしたもんだ。
今こうして腕に縋り付いてると、懐かしく思い出しちまう。
意地悪い笑みになってたのか、ナミに頬を思い切り抓られた。


時折響く踏切と電車の音と、俺達の喋る声以外は、何も聞えない。
住宅地の狭間だってのに、薄気味悪かった。
公園を囲む紫陽花が、西日を受けて虹みてェに輝いてる。
赤に青に白にピンクに紫に…その色が刻々とぼんやりして来た。
後ろを振り向けば、夕日が屋根の向うに、半分位落ちている。
夏至間近の空は中々暗くならないが、日が落ちれば早い。

「…後5分ってとこか」

俺が呟いたのを聞き、ナミが唇をギュッと噛んだ。
膝の上に置いてる鞄から、携帯を取り出す。

「ルフィを呼ぶから、来るまで待って!」
「は?…寝込んでる奴呼び出そうとすんなよ。つか呼んでどうする積りだ?」
「だって3人だったら、ゾロも居てくれるでしょ?ルフィならもう復活してるだろうし、肝試ししてるって聞いたら、あいつ嬉々として駆け付けるわ!」

止める間も無くナミが携帯を耳に当てる。
機械的な女の音声が漏れ聞えた。

「電波の届かない場所ォ!?嘘ォ!?公園でかけてるのにィ!?」
「だから止めろって…薬呑んで寝てるだろうしって――おいっ!聞けよっっ!!」
「この辺妨害電波でも乱れ飛んでんのかしら?線路の近くだし――ちょっと離れた所でかけて来る…!!」

ベンチを立ち、公園内をうろちょろ移動してかけるも繋がらなかったらしく、ナミは終いにゃ公園の外に出て行った。
まったく……何を意地になってんだか。
独りベンチに残された俺は、既に何度目かの大きな溜息を吐いた。






――お前ら、付き合う気有んの?


同級の悪友からぶつけられた質問が頭に蘇った。

学校で或る時もよおしてトイレに寄った時だ。
個室から丁度出て来た奴と会った。

「…おう」
「よォ」

短く挨拶を交わして出て行こうとした矢先、背中に脈絡の無い質問をぶつけられた。

「お前ら、付き合う気有んの?」

「んあ?」と訊き直したものの、奴の言いたい事は理解出来た。
俺とルフィが、ナミと付き合う気が有るのかを、訊きたかったんだと。

「彼女、あんなに可愛くてスタイルも抜群なのに、何時までも恋人出来なくて可哀想じゃねェか!」
「知るか!俺達のせいじゃねェ!あいつの意思で付き合わねェだけだろ!」
「いいや!クソ野郎2人が集ってるせいで、傍に男が近寄れねェんだ!…ナミさん、可哀想に…!」
「クソ野郎はてめェだろうが!鼻擦るんだったら手ぐらい洗え!」
「クソなんてするか!コレ吸ってたに決まってるだろ!」

人差し指と中指を口に当てて、スパーと息を吐き出して見せる。
小学5年にして煙草の味を覚えたと自慢する奴は、男子連中の間では有名なヘビースモーカーだった。

「で、付き合う気は有んのか?」

にやけた表情が一瞬で真剣なものに変る。

「無ェよ!俺もルフィも、あいつの事は家族みてェに認識してる。ナミにしたって俺達を家族だと認識してっだろうさ」
「付き合う気が無ェんなら解放してやれよ。恋人になる気も無ェのに何時までも傍に居ちゃ、彼女をオールドミスにしちまう。彼女が許してるからって、無責任な関係に甘んじてるな。男なら白黒はっきりさせて、付き合う気が無ェんなら身を引け!後は俺が引き受けっから!」
「とどのつまり狙いはそれか?」
「あったりめェだろ、クソマリモン!」

ニヤニヤと軽薄な笑みを浮かべる、いけ好かない野郎だ。
まるで俺とルフィがナミを束縛して、恋人を作る邪魔してるみたいに言いやがって。
そんな真似1度もしたこた無ェ、俺達はあいつの保護者じゃない。
大体まだ高校生の内から、将来あいつがオールドミスになるかならないかなんて心配してんな!
先にてめェの進路の心配しやがれ!


なまじ幼馴染なのが不味い。
身も心も近くに在り過ぎて付き合う必要を感じねェ。
もしも離れてたなら、傍に居る為に付き合おうって気にもなるだろう。

女に育った姿を透かして、ガキの姿のナミが見える。
ナミにしたって俺達の後ろに、ガキのままの俺達が見えてるんだろう。

けれど俺達はナミよりも早く、心が大人に育っちまった。
ナミは体こそ俺達よりも早く育ったけど、心はガキのまま俺達を求めてる。
だから俺達は逃げる、ナミの心を裏切らない為に――






――カンカンカンという甲高い踏み切りの音で目が覚まされる。

ぼんやり考え込んでる内に日は落ちて、薄闇の下りた園内には外灯が点っていた。
ナミはまだ戻って来ない。

「…何処までかけに行ったんだ、あいつは!」

舌打ちをする、捜しに行こうとベンチを立った。
こういう時は携帯無いと不便だなと感じる。

その時ふと、砂場を挟んで奥のベンチに、気配を感じた。
公園内に外灯は2ヵ所、住宅に隣接する奥は、外灯に照らされていない。
俺はその場に立ったまま、目を凝らした。



――女が居る。



向うのベンチの後ろにも同じく紫陽花が咲いていて、最初俺は花が動いてるのかと錯覚した。
そうじゃなくて、それは女が着ている丈の長いスカートの柄だった。

紫陽花柄のスカートをはいた女が1人、四つん這いになってベンチの周りをぐるぐる回っている。

暫くすると今度は立ち上がり、またベンチの周りをぐるぐる回った。

一心不乱といった体で、見ている俺に気付きもしない。
日は落ちても蒸し暑さは消えず、俺の背中は汗でじっとり濡れた。



――丈の長いスカートをはいた長い髪の女が、空ろな顔してうろうろと。



腕時計で確認する。
まだ7時前だ。
女が独りで居たって不思議じゃない。


キ××イだろう、声をかけるな。
放っといてナミを捜しに行くんだ。


なのに俺は近付いて、声をかけていた。


「何してんだ?」

女が振り向いて俺を見る。
間近で見た顔は蒼白くなく、生気に満ちていて、ほっとした。
黒の半袖ブラウスに紫陽花柄のロングスカート、腰まで伸びてる長い黒髪。
格好から察するに二十歳前後、俺より年上だろう。

「…びっくりしたァ~!いきなり声かけて来るから…危ない人かと思っちゃった…!」

それはこっちの台詞だ。
しかし女の立場からすると、生死に関らず、誰も居ない公園で男から声をかけられるのは恐怖だろう。
俺は心持ち距離を保ち、改めて声をかけた。

「いや…何か探してるみてェだったから…手伝ってやろうか?」

ナミの事も気になるが、知人を優先して目の前で困ってる他人を放っぽるのは、人でなしな気がする。
ルフィを相手に長電話してるんだろうし、ルフィと話してるなら、何か有れば奴が駆けつける筈だ。
そう判断した俺は、目の前に居る女を優先する事に決めた。

「手伝ってくれるの?嬉しい!」

パッと女の顔が綻ぶ。
その顔を見て、俺は生きてる人間である事を確信した。

「1人じゃ見付けられなくて困ってたの!それで会った人に声をかけて手伝ってくれるよう頼んだんだけど、何故か皆血相変えて逃げてくの」
「そりゃきっと幽霊だと誤解されたんじゃねェか?この公園、1週間位出るって噂が流れてたらしいから」
「私が幽霊?酷い!それで皆、声をかけただけで逃げちゃったのね」
「ひょっとして1週間位前から、あんた此処でずっと探し回ってたのか?夜も?」
「ええ…どうしても見付けなくちゃいけなくて…夜に公園来るのは恐かったけど、時を選んでなんていられなかった」

「幽霊の正体見たり枯れ尾花」とは言うが、この女にしてみれば幽霊騒ぎが持ち上がったせいで、とんだ試練を味わったわけだ。
笑うのは酷だが、噴出すのを耐えるのに苦労した。

「で、何探してんだ?コンタクトレンズとか…」

物の影がどんどん濃くなる。
1度家に戻って懐中電灯を取りに行った方が良いかもしれない。
ナミが戻って来たら、取りに行ってくれるよう頼むか。

考えてるそこへ、ナミの金切り声が響いた。


「その女から離れて!!!ゾロ…!!!」


ナミは公園に1人で飛び込んで来た。
結局電話は繋がらなかったのか。


「早く離れるのよ、ゾロ…!!!」

「…ナミ?一体何だってんだ?」


外灯に照らされたナミの顔が強張っている。
離れた所からも震えているのが判った。


「おい、誤解すんなよ。この人はちゃんと生きてる!…丁度良い所に来たな。お前、ちょっと家に戻って懐中電灯を持って来て――」

笑いながら近付こうとして、足が止まった。

後ろから女に腕を掴まれている。
ゾッとするような冷たい手だった。


「おかしいと思わないの!?雨が降ったわけでもないのに、そんなにずぶ濡れで…!!!その人普通じゃない…早く離れて、ゾロ…!!!」


「……ずぶ濡れ?…何を言って……!」


まるで泣き叫ぶような声でナミが喚く。
その様子を見ていて、恐怖がじわじわと背中を這い登った。

出会った女の顔は生気に満ちていて、生きてる人間にしか思えなかった。

けれど今掴まれている腕に、濡れた感触を覚える。

体が硬直して振り向けない。

背後でゴボゴボと水が湧き出る音がする――足下に気配を感じて俯くと、地面が泥濘に変わっていた。





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女の顔 その1

2010年08月13日 20時59分54秒 | 桜トンネル(ワンピ長編)
※これは桜トンネルシリーズの内の、「夏陽炎」の続編にあたる話です。





                          【女の顔】






「ラーメン屋で『冷やし中華始めました』の貼り紙を見ると、夏の到来を感じるわ」
「そうだな」

蕎麦屋で冷麺をすするナミの言葉に相槌をつく。
4人座れるテーブル席より1段上の畳席にはTVが置いてあって、愛してる愛してない憎い殺してやるといった、聞いてるだけで欝になる台詞を延々流していた。
学校の帰り道に寄ると、決まってこの愛憎ドラマだ。
TVの前を陣取ってる大仏パーマのおばさん2人組は店の常連で、何時来ても居るし俺達より先に帰る事は無い。
店主と親しく喋る身分を笠に着て、店のチャンネル権を掌握していた。

「はァ…あっつい!」

正面に座るナミが制服のブラウスのボタンを2つ外し、襟でパタパタと扇ぐ。
白い胸が露に覗け、俺は店名の入った丼の底に、慌てて目を落とした。

「気になるゥ?」

下から、にいっと音が出るよな、底意地の悪い顔が覗いた。

「別に」

ぶっきらぼうに返事をして、壁を向いた。
身を起したナミが、勝ち誇った笑い声を上げる。

「にらめっこは目を逸らしたら負けよ!悔しかったら逃げずに前向いてみたんさい!」

そこまで言われちゃ黙ってらんねェ。
正面向き直った俺は、敢えて余裕を気取り、頬杖をついた。
対抗してナミが益々谷間を見せつけるように挑発する。
こうなると意地の張り合いだ。
2人して暫く無言のまま、不敵に笑いつつ睨み合っていた。

「…てめェに慎む心は無ェのか?」
「ゾロは私に慎んで欲しいの?そうしないと理性を保って傍に居られる自信が無いわけね?」
「人を獣みたいに言うな!他人が見てる前で恥ずかしいと思わねェのかって訊いてんだ!」
「見てるのはゾロだけだもん。恥ずかしくないわ」

ナミが言う通り、畳席に居るおばさん2人も店主も、ドラマを肴に喋るのに夢中で、後ろのテーブル席の俺達なんか見向きもしない。
TVの中の男女は俺達以上に激しく言い争っていた。

「俺だって見ちゃいねェよ!てめェが見せるから、目に入るだけだろが!」
「そっちこそ人を露出狂みたいに言って失礼ね!暑かったから襟を肌蹴ただけ、思春期だからって、あんたが意識し過ぎてるだけでしょ!」
「誰が意識してる!?暑いくらいで肌蹴んな!我慢しろ!」
「あんただってシャツ肌蹴てるくせに、他人には我慢を強いるの!?理不尽だわ!」
「男は許されんだ!けど女は駄目だ!プールや海で男は海パン一丁でもOKだが、女は許されねェだろうが!」
「何それセクハラ!?イスラム国家じゃあるまいし、女にだって自由な服装を許すべきよ!」
「大体なァ、暑い日に辛い冷麺なんて食うから、余計に暑くなんだよ!」
「だって辛いの好きなんだもん!ゾロだって暑い日に熱いラーメン食ったじゃない!」
「煩ェな今時メンマと海苔とチャーシューしか載ってない此処のラーメンが好きなんだよ!人の食うもんにケチ付けんな!」
「あんたねェ~、言ってる事矛盾してるのに気が付かないの?」

店内は厨房から漏れる湯気で蒸し暑かった。
それも俺達を熱くさせる原因になっていたかもしれない。
TVの横には瓶ビールや瓶ジュースの入った冷蔵庫が置いてあり、その上の小型扇風機が休み無く首を振って涼風を送り込んではくれるものの、俺達のテーブルには吹流しすら持ち上がりそうもない微風しか届かない。
俺もナミも汗だくで、メニューを団扇代わりに扇いでいた。

「そんなに、てめェは俺に胸を見て欲しいのか?」
「誰が何時只で見せるって言ったのよ?」
「金を払えば見せてくれんのか?」
「金を払ってでも見たいわけね?」
「誰が何時見たいと言った!?」

堂々巡りで切が無ェ。
今更ながら口喧嘩を買ったのを後悔した。

「終いにゃ、手ェ突っ込むぞ…」
「そんな勇気無いくせに!」

脅かすように言ってもみたが、鼻で笑われた。
だが多少は効果有ったのか、ナミは開けっ広げていた胸を仕舞うと、ブラウスのボタンを留めた。
漸く目の毒が収められ、心からホッとする。
そんな俺の様子を見て、ナミはニヤニヤと性悪な笑みを浮かべた。

「あんたもルフィも色気にゃ無縁のタイプに思えたけど、ちゃんとノーマルな男子に育ってたのねv去年の夏から私を意識して避けてるでしょ?気付いてんだから!」



「ルフィ」ってのは俺と同じアパートの真下に住んでる幼馴染みだ。
そして目の前に居るナミも同じアパートで、ルフィの左隣に住んでる幼馴染みだ。
高校2年の現在まで、ずっと同級の腐れ縁。
揃って親が共稼ぎで遅くまで帰らないもんで、高1までは鍵を3つ持たされ、家3軒を自由に行き来していた。

今でも3人一緒には、よくつるむ。
けれど2人だけでは稀だ。
今日はルフィは腹痛で学校を休み、俺は逃げ切れずに捕まった。
それでも家に来て夕飯を作るというナミの申し出は断り、帰り道途中の蕎麦屋で食ってく折衷案に落ち着いた。
ナミの言う通り、俺もルフィもナミと2人きりになる事を避けていた、怖れていた。



「気付いてんなら気持ち汲んで遠慮してくれよ。…おめェだって何時までも俺達とつるんで楽しく思う年頃じゃねェだろ?」
「ゾロもルフィも、私と居るのは楽しくないんだ…」

しょんぼりと俯く、目が少し潤んでいる。
捨てられた仔猫の様で、謂れの無い罪悪感に苛まれた。

「楽しくねェとかそういうんじゃなくって…!うがあぁぁぁ!!どう言や解るんだよ!!めんどくせェェェ!!」

上手く言葉に出来ないもどかしさに、抱えた頭をガリガリと掻く。
離れていて好き合ってるなら、一緒になればいい。
嫌いだったら離れたままで居るからいい。
元から近くに居る分、どうしていいか判らなかった。

「――もういい!食い終わったんだろ?帰るぞ!」

これ以上蒸し暑い中で悩んでたら、脳味噌沸騰して味噌汁になっちまう。

「あ、待ってよ!まだ食べ切ってないんだから!」

早々と立ち上がって入口側のレジに向った俺を、ナミの声が引き止めた。
振り返った俺の前で、氷水に沈んでたサクランボを箸で抓む。
てっきり嫌いで残したのかと思ってたが違ったらしい。
しかし何で冷麺の上には、甘いシロップ缶のサクランボが載せられてんだ?
辛い麺に甘い果物を混入するセンスは、俺には全く理解出来ねェ。
けれどナミは嬉しそうにそれを含み、ティッシュで口元を押さえながら種を吐き出した。




常連との話に夢中になってた筈の店主は、俺達が帰り支度をしてるのを鋭く捉えると、レジに入って待ち構えていた。
店主の営業スマイルに送られて、引き戸をガラガラと開ける。
夏至間近の空は、18時を過ぎても夕方の様に明るかった。

「もう1箇所、寄りたい所が有るんだけど」
「何だ?まだ食い足りねェのかよ?」

坂を下ろうとした所で、袖を引っ張られた。
返事を聞くのも待たずに、ナミはアパートが在る方向とは逆の、線路沿いの脇道に入ろうとする。

「店じゃないの。ちょっと…ちょっとだけだから付き合って!ね?」

甘える声で引っ張る手を振り払おうとして、逡巡した。
そんな事をすればナミは傷付く、一緒に居るのが嫌なわけじゃない。
夏至間近の空は日暮れまで時間がかかる。
暗くなるまで帰ればいいと考えた俺は、大人しく袖を引っ張られて歩いてった。





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桜トンネル

2010年07月14日 21時04分26秒 | 桜トンネル(ワンピ長編)
桜の咲く下、人は別れて、そして出会う。





                      【桜トンネル】 





大学2年目の春休みに、俺は東京の実家に帰った。

高校卒業して以来、かれこれ2年振りになる。

着いて直ぐ幼馴染のナミに、帰って来た事を電話で告げると、開口一番「薄情者!!」と怒鳴られた。


「呼べば何時でも会いに行ってやる~とか、卒業前に言ってたのは何処の誰よ!?」

「煩ェ、耳元で怒鳴るな!……しゃあねェだろォ?入学して暫くは、いっぱいいっぱいだったんだからよ。」

「Mr.武士道のクセして約束破るなんて最低!」

「いいかげんその徒名止めろ!!…それに、ちょくちょく電話はかけてやってただろ!」

「1ヶ月に1回の頻度でちょくちょく!?へェェェ~~!」

「んだよ!?足りねェっつうなら、てめェからかけてくりゃ良かっただろうが!!」

「女から頻繁に連絡したら、あんた照れて嫌がるだろう思って遠慮してやってたんじゃないの!!鈍ちん!!」

「ああもう悪かった!!俺が悪かったよ!!……それより、久し振りなんだし、呑みに行かねェか?今、外からだろ?何時に家戻れんだ?」


電話口からナミの声と一緒に、駅のアナウンスが漏れ聞えて来た。

恐らくホームに居るんだろう、駅名までは聞えなかったが。


「ナイスなタイミングだったわね、ゾロ!実は今……ルフィも帰って来てるのよ!!」


ルフィってのも、ナミと同じく俺の幼馴染だ。

3人して高校まで腐れ縁のクラスメートだった。

けど、高校卒業後は見事にバラバラ。

ナミは地元の大学、俺は他県の大学、そしてルフィは外国に旅立っちまった。

「マメに手紙出す」言いながら、この2年間貰った記憶が無ェ。

こいつの薄情振りに比べりゃ、俺なんて可愛い方だと思う。


「ちゃんと生きてやがったんだなァァ、あいつ…。」

「ほぉんと!『マメに手紙出す』言っといて、思った通りに音信不通なっちゃってさ!会っても判るかしら?いいかげん顔忘れちゃってるし!」

「未だ会ってねェのか?」

「あんたと一緒で、今日帰ったって連絡有ったのよ。で、今夜お花見しようって約束したの。ウソップとサンジ君にも連絡してある。…ゾロ、本当に良いタイミングで帰って来たわね!」

「まったくだ。夜桜観ながら同窓会か…良いな!」

「今から場所に向うトコだったの。ルフィに連絡して迎えに行く様言っておくから、2人で一緒に来ると良いわ。」





俺等が住んでる団地付近には、結構大きな川が流れている。

その川の両脇は遊歩道になってて、桜並木が長く続いていた。

道に被さり柵を越えて、川面へと枝を伸ばす桜の木。

俺とルフィは幾本もの枝を潜って道を進んだ。


「まるでトンネルみてェだなー。」


首を後ろに反らして見上げながら、感心した様にルフィが言う。


「そうだな。桜のトンネルだ。」


同じくぽけっと見上げながら応えた。

隙間も見えねェ程の花天井。

街灯で照らされた周りが、満月みたく白く仄めいてる。

2人して見蕩れて上ばっか向いて歩いて…傍から見ててさぞや危なっかしかったろう。

馬鹿みてェに口開けてフワフワと。

酔っ払いみてェに千鳥足でフラフラと。

柵や幹に頭ぶつけたり、転がってる石に蹴躓いたりする度、振動で花弁がひらひ
らと降って来た。


「きれーだよなァ~~~……こんなにきれーなのに、何で誰もゴザしいて花見してねーんだろなァ~~。」


何度目かの蹴躓き後で、ジーパンに付いた土を払い、立ち上がりながらルフィが言った。


「道のど真ん中にゴザ敷いてたむろってたら流石にヤバイだろ。交通の邪魔だっつって、即しょっ引かれちまうよ。」

「人通りも少ねーよなァ~~。」

「メシ時過ぎりゃあ、こんなもんだろ。」

「そういや腹減ったなァ~、早くメシ食いてェ~~!」

「だったら急いで歩け。早くしねェと約束した時刻に遅れちまう。」

「サンジがな、ごーか花見弁当作って来てくれんだってよ♪」

「そりゃ楽しみだ。弁当だけ来てくれりゃあ、もっと良いんだけどな。」

「ウソップなんかな、朝の内から公園で場所取りしてくれてるらしいぜ!」

「相変らず用意周到な奴っつか…便所行きてェ時はどうしてたんだろうな。」

「でも運が良いよな、俺もゾロも。こんな満開の日に帰って来れて!」

「おまけに晴天、風も穏やか。日頃の行いが物言ったんじゃねェの?」

「夜遅くから風が強く吹くらしーぞ。明日は雨で、見頃は今夜までだろうって。」

「それはTVの天気予報からか?それともナミ予報からか?」

「ナミ予報だ!」

「じゃあ、確かだな。」


霞む空の下、川に桜の雨が降りしきる。

浮び漂う花弁で、流れが薄桃色に染められていた。


「おっっ!?……向うから焼鳥のにおいがする!!行ってみよーぜゾロ!!」


いきなりルフィが駆け出し、道から逸れようとした。

焦ってその腕をがっしりと取押える。


「ば!!馬鹿!!約束に間に合わなくなっちまうだろ!!」

「まだ大丈夫だって!行ってテイクアウトしてきゃあ、あいつらだって喜ぶじゃんか!」

「おめェみたいな方向オンチが道から逸れたら迷子決定だろうがっっ!!」



――あんたみたいな方向オンチが道から逸れたら迷子決定よ!



「何だよゾロじゃあるまいし!しっけーだなー!!」

「失敬なのはてめェだ!!誰が迷子だ馬鹿野郎!!!」



――良い?桜並木に沿って、真直ぐ行った先に在る公園だからね。



「ガキの頃、3人でさんざっぱら遊んでたあの公園だろォ~?ちゃんと覚えてるって!」

「1度も1人で辿り着けた事無ェ奴が言ったって説得力無ェっつの!」

「ゾロだって1人でたどり着けたためし無かったじゃねーか!」

「兎に角…途中まで迎えに来てやるから、この道真直ぐ通って来い言われてんだ。寄り道せずに進むぞ!」



――絶対に並木道から外れないよう歩くのよ!でないと2度と会えなくなるかもしれないわ!


――大袈裟な…んなわきゃ無ェだろ!



「だから、ちょろっと行って戻ってくりゃ良いじゃん!迷やしねーよ!!ゾロは大げさだなー!!」



――こんな話が有るわ。



「……こんな話が有る。」





昔在る所に、いい年になっても嫁の来てが無い男が居た。

心配した両親から、何時までも独りじゃ寂しかろう、山向うに霊験あらたかな神社が在るから、良い嫁さ貰えるよう頼んでみてはどうかと言われたんで、行ってみる事にした。

日が暮れるまで一心に願っていると、目の前に小さな薄桃色した花弁が、ひらひらと舞い落ちて来た。


おや、桜だ、何処で咲いてるのだろう?


花弁の来る先を辿る内、何時しか男は、それは見事な桜の並木道に入っていた。

両端から道に被さる様に枝がしなり、隙間も漏らさぬ程に満開な桜。

まるでトンネル、何処までも長く続いて見える。

妖しくも美しい様に男はすっかり魅入られ、吸込まれる様にして先へと進んでった。

夜が来て、朝が来て、また夜が来て……もうどんだけ歩いたか解らなくなった頃だ。

漸く桜のトンネルから出られ、視界が開けた。

目の前には、太陽の様に光り輝く素晴しい御殿。

正面の門の下には、月の様に美しい女が1人、立って男に微笑みかけていた。



男はその女と夫婦になり、御殿で毎日楽しく暮らした。

しかし月日が経つ内に…次第に、残した両親の様子が気懸かりになり出した。

せめて自分が結婚して楽しく暮らしている事を伝えたい。

一度家に帰らせて欲しいと女に頼むと、渋々ながらも承知してこう言った。


必ず、あの桜の道を通って行って下さいね。

道から外れたら、もう2度と帰って来られなくなりますよ。


男は必ず守ると約束し、実家への土産にと女が渡してくれた宝箱を抱えて、意気揚々と桜の道を歩いて行った。

来た時と同じ桜のトンネルは、風が吹く度に花弁がはらはらと舞い、夢幻の如き美しさだった。

夜が来て、朝が来て、また夜が来て……歩き疲れた男は、途中一休みする事にした。

行きと違ってずっしりと重い宝箱を抱えている。

はて、一体何が入ってるのかと思い、蓋を開けてみると、中にはぎっしりと金貨が詰まっていた。

不思議な事に金貨は、男の居る時代の通貨と違う、見た事も無い物だった。

目も眩まんばかりの様に、驚き見蕩れていた男の内に……段々と欲心がもたげて来た。


何もこんなに沢山、お父やお母に渡さんでも良いじゃないか。

この半分だけでも一生安楽に暮らせる…そうだ、渡すのは半分だけにしよう。

箱の金貨をわし掴むと、男は己の懐に入れた。

と、その拍子に零れた数枚が、具合の悪い事に、道の外へと転げ出てしまった。


道から外れたら、もう2度と帰って来られなくなりますよ。


一瞬女の言葉が浮んだが、男は躊躇い無く道の外へと飛び出し、転がってった金貨を追った。



外は恐ろしい程に真っ暗だった。

振り返ると、桜のトンネルは姿を消していた。

何も見えず、何も聞えなかった。


…貴方、約束を破りましたね。


暗闇に、女の声が響いた。


あれ程、注意したのに…

私は、貴方よりずっと先の時代に生きている者でした。

この桜の道は、私の生きる時代と、貴方の生きる時代とを繋ぐ、トンネルだった。

道から外れた貴方は、もう2度と私の所には帰れない…

…さよなら…愛しい人…


それが、男の聞いた、女の最後の言葉だった。



男は2度と女に逢えなかった。

両親の居る家にも戻れなかった。

男の行方は、誰も知らない。




「……ただの昔話だろ?」

「ああ、ただの作り話だ。」

「そんな話、どこで聞いたんだ?」

「ナミから聞いた。…昔話なのに『トンネル』なんて単語が出る辺り、あいつの自作だろうな。」

「ちょっと……恐い話だな。」

「………そうかもな。」


風が吹き、俺とルフィの頭上に、一際沢山の花弁が落ちて来た。

夜遅くなって強く吹く…ナミの言った通りだなと思った。


「…早く行こうぜ!ナミが途中で待ってんだろ!?」


ルフィが先を急ぐ。

どうやら焼鳥は諦めたらしい。

ただの作り話でも、効き目有ったみてェだぞ、ナミ。



――今から家まで迎えに行くと、道戻る事になっちゃうから…並木の切れる所で待ってるわ。


――寄り道なんてしないでね、約束よ!



ルフィと2人、夜桜見物しながら、道を進んでく。

枝が柵に架り、形作られた桜のトンネル。

風に煽られ、ざわざわと鳴る花天井。


昼の桜は華麗にして、人を呼ぶ。

夜の桜は幽玄にして、妖を呼ぶ。


並木が切れる手前で、突風が吹いた。

降りしきる花弁、反射的に目を瞑る。


暫しの間の後、瞼を開けて前を見た。



女が1人、橋の袂に立って、俺達に微笑んでいる。

桜色のセーター、白いブーツにミニスカート。

風に靡く、懐かしいオレンジの髪。



「……お帰りなさい、2人とも!」



桜散る中、立っていたのは、ナミだった。



――寄り道なんてしないでね、約束よ。





【おわり】



…この話は此処のブログに置いてある「何度も廻り合う」の続編で、その後の3人の再会を書いた話で御座います。
シリーズのエピローグに位置する話ですが……最終回とエピローグを書いときながら、シリーズが続いてるのも可笑しな話ですね。(汗)

そもそも最初は特にシリーズとして考えておらず、「桜トンネル」と言うシリーズ名は、この話のタイトルを取って、四条さんが呼んで下さったものです。(有難う御座いました!)
良いタイトルを付けたなと、我ながら思わなくもない。(笑)
大体においてパッと思い付くのは良いタイトル、思い付かないのは今一なタイトルになり易い。
今迄付けた中で気に入ってるのは、「おめでとうございます」、「桜トンネル」、「魔女の瞳はにゃんこの目」、「話の根っこ」。
逆に今一だと思ってるのは、「恋は独り上手にラブハリケーン」、「君と一緒に」、「桜めいど」、「女の顔」……最近付けるのは今一な物が多い。(汗)



・2006年4月7日投稿部屋投稿作品。
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連載裏話その15

2006年04月07日 21時05分49秒 | 桜トンネル(ワンピ長編)
…2日振りで御座います。(日付的には1日振りになるのか?)

この2日間どうしてたかっつうと、裏で色々やってたっつうか…。

別に鷹が連敗して落ち込んでたとか(今夜も負けてるし…)、

桑田がポカポカ打たれて落ち込んでたとか(負けは付かなかったけど…)、

そんな事は絶対御座いません。


兎も角…いいかげん途中になってるものを終らせちゃいましょう~。



【第38~40話】


観光丸ですが、去年の11月に行った時は、実は乗船しなかったんですよ。(汗)
んで今年春に乗って参りました。

船の説明なんかは連載でした通りです。
何事も本物に拘るハウステンボスらしく、史実に則りわざわざオランダで復元し、13人の乗組員の手で航行、ハウステンボスまで運んだらしいです。
ちなみに製作にかかった費用は、12億円だそうな…。(偉いと言うか…)

甲板で観せるショーは、日によって若干の変更が有るよう。
何せ本物の海に乗り出してのクルーズ…風向・風力により、航行時間も変ったりするんですな。

春に行った時やったのは、メインの縦帆を上げ下げする作業と、船首でネットっつうか網渡りと(←下が海なんで、結構恐い)、ロープワーク体験。

ロープワーク体験では、1本のロープで梯子の作り方を教えてくれましたです。
ビルの高い階に住んでる方は習っておけば安心、火事に巻き込まれても助かる可能性が有るかもしれない。(←縁起でもない)

時間が有れば『舫い結び』とかも教えて貰えるかもしれない。
木造帆船に乗って本物の海に出られるなんて、此処位でしか体験出来ないと思うんで、御来場の折には是非どうぞ♪
現在12~16時、毎正時に出航。(火・水除き、10時発の臨時便も運行してるらしい)
以前も言いましたが、12~2月は運休しちゃうんで気を付けて。


えーーと…他に……39話&40話については、正直説明する事無いな~。(焦笑)

敢えて言うなら、帰りの高速船乗る時は、右側の席に座った方が良いかもっつう。
そうすると運が良ければ夕焼けが観られる。
冬に行った時は山火事かと思える程(←他に良い例え無いのか)、赤々とした綺麗な夕焼けが観られて嬉しかったー♪
但し長崎空港行高速船の最終便って17時なんで…観られるとしたら冬だけですね。

冬、17時位の便で帰ろうと考えてる方に、お勧めしますです。


えー、そんな訳で長らくお付合い頂き有難う御座いました。(礼)
思い切り曖昧なまま終った感じの話で、続きは…書かない…と申しましたが……

書くかもしれないっつか……(実はね~ゴニョゴニョゴニョニョ…)(焦)

まぁでもこんな長編まではもう書かんです、書いても設定だけ使っての小話程度。(笑)
簡単な設定なもんで、色々思い付き易いんですよ…もしも続き書いても許したって下さい。(恥笑)


改めて、主に参考にさせて頂いたブログの紹介。

まったりさんのハウステンボス飲食店がいーど!……飲食店については、貴殿のブログ無しで書けませんでした。

ちばさん(ボヘミアンさん)のハウステンボス紀行……土産店について書く際には、貴殿のブログを頼りっ放しで御座いました。

ふくちゃんのハウステンボス大好き・ワイン大好き……ギヤマンミュージアム、ハウステンボス成り立ち部分等を書く際に、貴殿のブログを参考にさせて頂きました。

ぐらさんのおいしい楽しいハウステンボス……アフタヌーンティー、橋等について書く際に、貴殿のブログを参考にさせて頂きました。

ウロウロさんのハウステンボスにいってきました!!……アトラクション、アフタヌーンティー等について書く際に、貴殿のブログを参考にさせて頂きました。


皆さん、本当にお世話になりました。(礼)
これからもどうぞ宜しくお願い致します。(笑)


…う~~ん、此処で終るのも何となく寂しいんで、1曲歌いますか!(笑)



さよならは別ァ~れェ~のォ~言葉じゃなくゥてェ~♪

再び逢うまァ~でェ~のォ~遠い~約束ゥ~♪

今を~嘆ェいてもォ~♪

胸を~痛ァ~めてもォ~♪

ほんのォ~夢ェの途中ゥ~~♪


こ~のま~まァ~♪

何時間でェ~もォ~♪

抱~いてェ~いたァ~いけェ~どォ~♪

ただこ~のま~まァ~♪

冷たい頬~を~♪

あ~たた~めェたァ~いけェどォ~♪


…ちなみに2番は、途中までしか知りませんが(汗)、こんな風。


都会は 秒刻みの 慌しさ♪

恋も コンクリートの 篭の中♪

あなたが 回り逢う♪

愛に 疲れたら♪

きっと 戻っておいで♪


…来生氏の『夢の途中』、話のイメージに何となく合ってたんで、無断で連載中にて引用…はっきし言って法律違反。(汗)

申し訳有りませんが、内緒にしといて下さいませ。(苦笑)



写真は08年冬、ヘクセンハウスのクリスマスデコレーション。(2010年7/11、写真取り替えました。済みませぬ)


ではではこれにて本当にお終い。


また再び逢う日まで~♪




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連載裏話その14

2006年03月25日 00時26分21秒 | 桜トンネル(ワンピ長編)
【第36~37話】



池袋に在る食のテーマパーク(←元々は普通のテーマパークだったけど)ナンジャタウンにて、全国チーズケーキ博覧会なるイベントに出品した際、見事1位に選ばれたのが『ラフレシール』と言う店の、『キャラメルチーズケーキ』だったそうで。
その割に、今一名が知られてないのは…ずばり宣伝不足だからじゃないかなぁと。(苦笑)
美味しいですよー、キャラメル味以外にプレーン味も有、後は季節限定の味で、苺やら林檎やら。
あんましチーズっぽくないので、チーズが苦手な方にも食べられるでしょう。
問題は冷凍ケーキだから、常温で置いとくと、ドロドロに溶けてしまうという事。
遠方に住んでる方は、クール宅急便で送るか、近場で食べてしまうかしかない。
そんで食べる時には解凍しなきゃだし…だから、贈答用とするにはちょい不向きで面倒かと。

カット売りもしてまして、これはボヘミアンさん(ちばさん)のブログで教えて頂いたのですが(←ボヘミアンさんも、まったりさんから伺ったそうな…お2人共、毎度お世話になっております。)、カットで2ピースのセット(プレーン&キャラメル)を買うと、この店で売ってるティーバッグをサービスしてくれるんだそうな。
申し出ればお湯もサービスしてくれるそうで、好天気なら野外席で優雅にお茶飲めるらしいですよ。

試食は今は行ってないらしい、冷凍品故、用意するの難しいからか…?(残念)


韓国料理レストラン『ソウル』は、『楼蘭』同様、家族連れに特にお勧めなお店。
比較的お値頃な割に美味しいんですよ、サービスも悪くないし。
…今春自分が行った時は、連載で書いた様に、お茶をサービスしては貰えませんでしたが…いや、お水は貰えましたがね。(ひょっとして、ドリンクサービス券使って、ドリンク貰ってたから、必要無い思われたのかも…実際特に要らない思ってたけど)(笑)
お茶が飲みたい方は、言えば多分貰えるんじゃないかと…。
それとも単純に冬だけのサービスだったのか…?聞けば良かったな~~。

石鍋ビビンバの美味しい食べ方ってのは、以前るるぶのガイドブックに紹介されてたヤツです。
本当にお勧めな食べ方で、こうするとスープも冷めなくて良いですよ。


「こんな高さから見ても判る程、澄んだ水した運河。」←これ、オーバーに言ってる訳でなく、目の相当良い人なら、実際に塔の上からでも、運河の底に掘られた溝まで見えるかと。
写真にまで写っててびっくりした…37話で上げた写真にも写ってるんですが…この小ささだと視認出来ないだろうな~。
ちなみに運河の底に溝が掘られてるのは、ゴミを浚い易いくする為。
溝を掘って自然にゴミが溜る様にすれば、後はそこ掻き出すだけで楽に掃除が出来る、そんな工夫。(成る程)


17世紀のオランダ、未だ車が発明されてない頃の街並に合う様に、馬車のイメージでデザインされたと言う『クラシックタクシー』。
写真を観ると、確かに馬車っぽいですねー。
手を挙げると何処でも停車してくれて、行きたい場所に連れてって貰え、間にガイドまでして下さります。


上の写真は『ギヤマン・ミュージアム』のバカラ社製シャンデリア。
すんごい大きさで、すんごい煌びやかです、ふくちゃんのブログ記事によると、軽自動車並の重量らしい…そんなの天井から吊り下げてるなんて凄いですね。(驚)
最上階まで上ると、手を触れられる距離で鑑賞出来ます。
小さいお子様連れて来られるお父さん&お母さんは、どうか注意して…絶対にお子様の手を離さない様お願い致します。(怖いからね)(笑)

午後5時~5時半に、写真の様に点灯されます、観るならその時狙った方が綺麗ですよ。
結婚式場に使われてる時は、当り前ですが見学不可となりまする。


3月頭に行った時、『大航海体験館』が只今調整中って事でお休みしてました。
ひょっとしたら未だお休みしてるかも…何か機械の調子が悪いらしい。(汗)
個人的にアミューズメント施設の中では1番面白いと思うので、それが長くお休みとなるというのは残念ですね…。
激しいの好きな方には、『将軍への贈り物~海を渡ったシャンデリア』のがお勧め。
最後部端の席座ると尚ベター。
乗物弱い友人はマジ酔いしました、飲食した直後は止めといた方が無難、上映時間が約15分と長いんでね。


所で『デ・リーフデ号の大航海』…「日本を目指してオランダを出航した。」っつうストーリー紹介は嘘ですね。(苦笑)
実際は目指したんでなく、漂着だった訳ですから。(笑)



…何時の間にか、日付変っちまってた。(汗)



そいじゃ此処で1曲……




ハッピバースデートゥーユー♪


ハッピバースデートゥーユー♪


ハッピバースデーディアーハウステンボース♪


ハッピバースデートゥーユー♪




お誕生日おめでとうハウステンボス!!


今年で14歳!…まだまだ思春期、頑張れ!!!




…そうか…牡羊座の生れか…。(笑)


オフ会に参加される皆さん、どうかたっぷり楽しんで来て下さいねv(羨まし~)


行ってらっしゃ~い♪



そしてパ・リーグ開幕の日でもある…いきなし荒れそうだよな、特に鴎VS鷹。
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連載裏話その13

2006年03月23日 22時21分37秒 | 桜トンネル(ワンピ長編)
…いいかげん、戻って来よう。(汗)


【第34~35話】


ハウステンボスの土産で、最も知名度高い言えば、『タンテ・アニー』のチーズケーキ。
ガイドブックに載ってた情報によると、修学旅行の生徒達から、口コミで噂広がってったらしい。
恐るべし、女子高生パワー。

噂通り確かに美味しいんですが、本音言えば別に此処だけでなく、ハウステンボス土産の殆どが美味しいっつか……あんま不味いのは無い気がしますよ。(個人的今一№1菓子は、言っちゃ悪いけど、名物『お○○さ』…でもこれだって、二口と食べられない物では無く、好きな方も居られるんではないかと…)

とは言え、知名度と包装のお洒落さと安心出来る味と賞味期限とを考えて、贈答用としてお勧めするなら……やっぱし此処の菓子が1番かな~~と、後はヘクセンハウスの菓子。
賞味期限考慮するなら、此処のも「1週間以内にお食べ下さい」とか、遠方の方に贈るには不適当なんですが。

連載中で書いた通り、場内で1番営業熱心な所で、『カース・ケイク』なんか、至る所で売ってまする。
長崎空港とか場外に隣接するコンビニとか…出店してたりもするし…。
お台場のビーナスフォートにも出店してたな~、実はUSJにも出てる…いや、「アニーおばさんの」とは勿論銘打ってませんが…某1店だけ、他土産店から比較して、飛び抜けて味の良い所が在る、しかもこの味覚えが有るぞと思って箱の下見たら、『タンテ・アニー』と同じ、九十九島何たらが作ってると書いてあったっつう。(笑)

個人的お勧め№1は……『フェーセ・カースタート』かなー。
以前売ってた『カース・コペア』が1番お勧めだったんだけど、今は売ってないから…何故か東京の方で偶に売ってたりするけど。(謎)
後、やっぱり謎で、此処では売ってないんですが、『ケルス・カースタート』っつう、ヨーグルト風味のチーズケーキ…実はこれも『タンテ・アニー』と同じ所で作ってるんですよ。
お勧めっつうなら、この『ケルス・カースタート』こそ、1番のお勧め…但し、言った様に此処では何故か売ってなく、それ以外の場内総合土産店等で扱っております。(謎)
『カース・ケイク』はゴーダチーズの風味がかなし強いんで、チーズ相当好きな人じゃないと駄目かも。
また、冷蔵庫に入れとくと、カチンコチンにチーズ成分が固まってしまって美味しさ減となるんで、冬なら常温で保存して下さいませ。
これと連載中で紹介した土産の幾つかは、ネットでも購入可能です。

『フレッシュチーズケーキ』は限定なんで、これは恐らく他の店では扱ってないでしょう。
美味しいけど、値段の割には小さいサイズが玉に瑕だろうか?

喫茶コーナーも在って、生ケーキなんかも買って食べられまする。
春に初めて生ケーキ買って食べてみたら、結構美味しかった。
モンブランとイチゴパフェみたいなケーキ。
特にイチゴパフェみたいな方…砕いて中敷き詰められた苺味クッキー??…それが凄く味良くて、甘さを抑えててマジ美味しかった。
今度行った時また食べたい…でも季節物だろうから無理だろうなー…写真も撮ったんですが、ブレちゃってまして。(汗)
モンブランも美味しかった、流石だアニーおばさん、今度は生チーズケーキを食べようと思った。


場内オランダ語の店名が並ぶ中、何か周囲から浮いた様な名前の店が3店程。(苦笑)
元の店名はもちっと覚え易い名前だったんですがねー、新装開店を機に、ちょっと洒落てみた…って所ですかね?(笑)
覚え難い店名っつうのは正直どうかと思うんだけどなー、あのでっかい看板も剥した方が良い様な気がするんだが。(汗)

3店舗共量り売りが名物で、フロアが続いておりまして。
『フロマージュ・ダンジュ』には、買ったチーズがその場で食べられる様に、カウンターが設置されている。
『タブリエ・ド・ロア』の試食は、わざわざ調理してあるっつうのが嬉しい、運が良ければ炒めたばかりのソーセージ等が試食出来ます。
ハウステンボスにはワインも豊富に揃えられている。
相当前からワインの仕込みしてたらしく、国内では中々お目に掛かれない品も多いんだそうな。
そいった物が量り売りで買える、『ディオニソス』もお勧めです。


『ヘクセンハウス』という名の通り、お菓子の家をイメージした内装が可愛い店…実は此処はあのユーハイムが出してるお店です。
そんな訳でメインはバームクーヘン、それとクッキー、贈答用っつうなら、此処の菓子こそ、包装の可愛さからお勧め…賞味期限も割かし保つのが多いしね。

上の写真の中心に有るのが、話で出した『魔法のりんごバームクーヘン』。
買うと後ろ右のメルヘンな小袋に入れて渡してくれます。
ちなみに後ろ左に有る箱は、木靴&風車クッキー箱入りセット。
手前に散らばってるこまいの全ては、前回紹介した『ドロピエ』で買ったキャンディーやらチョコやらキャラメル。
中でも丸くて赤いのこそ、『エダムチーズキャンディー』。
下に敷いたのは、ヘクセンハウスで付けて下さった、土産入れ様の紙袋。

春行ったら未だ大きなヘクセンハウスが飾ってありました。(笑)
此処の菓子もネットで購入可能ですよ。


『キャプテンショップ』ってのは、基本的なラインナップは、『フィギュアヘッド』同様、海に関係した雑貨を売る店なのですが、開放的な港街に在るせいか、それよりか明るい雰囲気で、故に怪しさは足りない。(笑)
船長さんの人形と、色っぽく片乳出したフィギュアヘッドが目印。(←身も蓋も無い)


場内はなるたけ自転車や交通機関使って廻りましょう。
歩く時も…石畳部分より、煉瓦が敷かれてる所を、なるたけ選んだ方が得策。
車道は概ね石畳となってるんですが…それが歩いててかなし疲れるんだ。
健康には良さそうだけど、日頃あんま歩かない人は、1周しただけでも結構足に来るかとね。
自転車、出来れば1日中レンタル出来ると良いんですが…以前は場内ホテル宿泊者はOKだったんですけどね…今はやってないみたい…残念。
07年1/4追記…スパーケンブルグ地区『パラディ』という所で、場内宿泊者向レンタルサイクルサービスが新しく導入されました!詳細はちばさんのブログにて。これで早朝サイクリングが出来る~♪


はい、それでは今回の懺悔コーナー。(汗)

当初、クルーザーが水門から海へと出る時、橋は2脚同時に跳ね上がるみたく書いてましたが……春行った時に観察したら、1脚づつで御座いました。
そんな訳でまた訂正してあります…毎度嘘吐いて申し訳有りません。(土下座)

……やっぱり旅行記は、行った側から書いてく様にせんと、記憶が薄れて来て駄目ですな。(汗)



※ハウステンボス通販サイトはこちら





しつこくWBC話題で済みませんが(汗)、川崎が右肘怪我して開幕は出られないらしい。
……あんな無茶して本塁飛び込むから……勇敢だったと思うけど。(泣)
幸い軽いみたいなんで、まぁ、ゆっくり養生してくれ。

それと上原、言い忘れたけど、お子さん誕生、おめでとさん♪
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連載裏話その12

2006年03月20日 19時36分46秒 | 桜トンネル(ワンピ長編)
え~……すんません、未だ喜びに浸ってて、フワフワフワフワしちゃってて…お陰で何言ったら良いか書いたら良いか、頭に何も浮かんで来ないっつうか…正直何もせずにこのまま明日まで踊っちゃってて良いですかってな気分なのですが。(照笑)

明日は明日で、勝とうが負けようが何も出来なくなる事確実なんで、今の内に書けるだけ書いとかんとね。(笑)



【第31~33話】



なるたけフォレストヴィラは冬、それもクリスマスシーズンに宿泊したいなーと考えてしまうのは、扉に付けられたクリスマスリースが可愛くて、しかも自分の家ではないんだけども、やっぱクリスマスはマイホームでスイートホームでホームメイドなホームパーティーで決まりでしょっつう、書いてて自分でも良く解らない浪漫シチュエーションに憧れるからなのですよ。(恥笑)
雪でも降って来たら最高ですねっつう(←過去有った)、これで暖炉が有ったら尚最高よねっつう。
クリスマスリース自体は他ホテルに宿泊しても、恐らく飾られるだろうと思いますよー。

面白いのは各場内ホテルで、鍵の形式が違ってる事。(前にも書きましたっけ??)

フォレストヴィラは『鍵』…如何にも『家の鍵』で、キータッグの形までアンティークな鍵っぽくなってて趣が有るんすよ。
此処だけオートロックで無いのも、イメージ的に合うよな~と。
ヨーロッパも『鍵』なのですが、オートロックで、フォレストヴィラとはまた違う感じ。
デンハーグ&アムステルダムは、カードキーでオートロック。
ホテルの個性に合せて、鍵まで変えてんのが、何か好きですねーv


観光丸は正月大晦日なんかの特別日を除き、12~2月は運休してしまいます。
波が荒れるから(と、冬は寒くて乗船客が少ないからかも…)ってのが理由らしいです。


…そう言えば、連載&裏話その7で紹介した海沿いのベンチ、片付けられた理由が解りました。
あの海沿いの付近に、結婚式場造るかららしいっす……加えて、連載中でも出した、パレス庭園内に在った迷路を潰して(←と思ったら、どうやら早とちりだったみたいで、まったりさんから「迷路、潰されないみたいですよ」と、↓でコメント頂きました!まったりさん、教えて下さりどうも有難う御座いました!そして此処読まれた方、早とちり申し訳有りませんでした!)(土下座)

…でも、あの海沿いの道は……どうなるのかな……?もしも、もう散歩出来ないとしたら……やっぱ残念かなー……まぁ、出来てからじゃないと判らんか…ハウステンボスを信じよう。(←07年1/4追記、後で確認したら、道もちゃんと在りました。良かった~v)

海が綺麗な場所だからね…結婚式場建てるには、そりゃ向いてるかもねー。


日蘭交流の切っ掛けとなった『デ・リーフデ号』について、興味深いエピソードを1つ紹介致しましょう。

新ルート開拓の使命を帯び、従来の喜望峰ルートでなく、マゼラン海峡渡って、東インド諸島へ向った、オランダ船乗組員110名。

乗込んだ船は5隻――

デ・リーフデ(=愛)、
デ・ホープ(=希望)、
ヘット・ヘローフ(=信仰)、
デ・トロウ(=誠実)、
デ・ブライデ・ボートスハップ(=福音)、

――この内、日本の(現在)大分に漂着したのは『デ・リーフデ』号のみ…生存者25名だったそうな。

…『』だけが残ったなんて、ちょっと出来過ぎた話な気がしません?(笑)

やっぱり、最後に勝つのは愛みたいですよ。(笑)


ワッセナー住みたいっすね~~~。
宝くじ当たればな~~~~。(←他力本願、運任せな性質)(苦笑)


ハウステンボスで、主に有名なチューリップ畑と言ったら、キンデルダイクとなりますが、出入国口の側に在る為、比較的何時も混雑してて、撮影するのには大変難儀する場所で御座います。
…が、そのキンデルダイクに負けない位、チューリップの綺麗な新名所が、4月頃に出現しそうです。

天星館裏『バスチオン広場』のレインボーガーデン。
キンデルダイクの花畑&風車とワッセナーを背景に、地植えのチューリップの芽が、風車の建つ広場一面に並んでおりました。
その広場まで続く道も、チューリップ花壇で造られてたしね。
ベンチもばっちり設置されとった。

街の裏側に在る故、本当に隠れた花スポットですよ♪

アムステル運河とかパレスまでの参道とかにも、チューリップの球根が植えられてる様なので、場内これから益々美しくなって行くでしょうね~。(4月頃に行ける方羨まし~)


毎度の間違い訂正…キャンディー量り売りショップ『ドロピエ』での場面なんですが…ゴーダチーズキャンディーは有りませんでした。(←と書いたら↓で、ちばさんから「ドロピエにもゴーダチーズキャンディー、置いてありましたよー」との御指摘が…どうやら私が行った時に、偶々品切れか何かしてたみたいで…毎度失礼致しました。そしてちばさん、教えて下さり有難う御座います!)(汗)

キャンディーの量り売りっつうのは、『ドロピエ』以外に、ビネンスタッドの『ハンスブリンカー』って言う店でもやっておりまして、如何にもハウステンボスらしい味覚が、『エダムチーズキャンディー』&『ゴーダチーズキャンディー』っつう、2種類のキャンディー。

明日にでも写真UPしようかと思ってますが、エダムチーズキャンディーは、エダムチーズっぽく、小さく丸く平べったい赤い色したキャンディーでして。
ゴーダチーズキャンディーは、それと同じ大きさ形してて黄色。
味は…済みません、所詮、私は違いの判らない女なもので…。(苦笑)
でも、どっちも不味くないですよー、要はチーズ味です(←身も蓋も無い)、形が洒落てて可愛いv


乗合馬車ですが、以前はニュースタッド地区で催行されておりました。
…が、07年現在「ビネンスタッド地区のインフォメーションセンター前より午前10:30~11:30迄」と、変更なっちゃってます。(←木曜、雨天荒天&馬の体調悪い時除く)
花で飾られた優雅な馬車は、回転が悪いのに人気は高い故、特に土日は行列出来てる事が多い…様な気がします。
平日でも行列が出来てて、乗車諦めたりする事が多いんですが……それは自分が偶々そゆ日に当ってるだけだろか??
ビネンタッドを1周するのみの、1回精々8分程度で終っちゃうよなイベントなんですが、車体が高く見晴らしが思った以上に良いんでお勧めですよ。
特に家族向きかとねー。


チョコレートハウスのチョコレートは、かなし美味しいですv
んで、写真撮って来たんでその内これもUPしますが、圧巻はチョコレートの滝…本~~当~~に滝なんだわ~~。(笑)

笑っちゃうのが「触れないで」とか書かれた注意文……いや、そりゃ酷だろうよ…甘党の方にとっては、天国で在り、地獄でも在り。(笑)
ちなみに私の友人、「マシュマロは熱で溶ける」事を知らずに、チョコドリンクに付いて来たのを、「ツマミで食え」って意味だと思ったんだと。(大笑)
や、別にツマミとして食うのは自由だと思うけどね……でもその話を他友人にもしたら、知らんかった言う奴結構居たんで、案外笑い話にはならないかも思ったっつう…そんな後日談。


チョコレートフォンデュもお勧めメニュー、但し要予約、どんなもんかはウロウロさんのブログを御参照下さいませ。(と、毎度勝手にリンク貼り付け…済みません)
しかしチョコ余ったらフランスパンのみ追加OKなんですねー、知らなくて友人と2人して「勿体無いから残りお前飲め(←嫌だよ)」言い合っていた、そんなあの日の思い出。(笑)


ビネンスタッドに在る回転木馬については、上の写真を御参照下さいませ。
今春行った時には、オランダ民芸雑貨店ホーランドハウスのシンボル、『でっかい木靴』を取り巻く様にして、チューリップ花壇が出来ておりました♪
此処も良い写真撮影場所で御座いますv


そして今回2度目の訂正場所……タンテ・アニーの店員さん、オランダ娘の衣装着けてなかったよ。(汗)

あれぇ??…以前は着てませんでした…??あれぇぇ???(焦)

そんなこんなでまた直してます…失礼しました。(土下座)

店内の説明なんかについては、また次回!






WBC、皆、良く頑張ったね。(感涙)

福留、正しく値千金のツーランでした!

でもその前に勢いを呼び込んだ、松中のツーベース、気迫のヘッドスライディングも褒めてやりたい!!

いやいや、それを言うなら多村の凄いキャッチ…ホームランも見事だった!!

いややはし、昨日のMVPは上原……あんたがずっと0に抑えてくれてたから…!!

そしてイチロー!!…あんた立派だ!!漢だよ!!辞退者が多い中、大塚と共に良くぞ駆け付けてくれた!!

大塚、プレッシャー凄かったろうに…あんたも良くやってくれた!!

薮田も…去年は憎らしくてしょうがなかったけど(笑)、平常心で良く抑えてくれました!!

宮本…し・ぶ・い・ねぇぇぇ~~~!!!纏め役はあんたしか居ない!!

王監督……流石勝負師!!代打起用の神!!!(笑)

本当にチームワークと言う点で、今迄組んだ日本チームの中でも、今回が最高なんではないかと。

皆有難う!!明日も頑張れ!!

明日で終了だから!!!





所で今回出場辞退した選手へ――





まぁ色々……色々、各々理由は有るんでしょうが……






向うできっちり活躍する選手にならない限り、あっさり戻って来たりすんじゃねぇぞ!!(笑)






阪神&中日にも告ぐ。






これでシーズンこけたら、ただじゃ置かねぇ!!!(笑)
(↑ファンの方、御免)
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