はぁい♪ミス・メリーよ♪
いよいよ年の終わりの大晦日、この日はクリスマスカレンダーの中で、「シルベスター(或いはジルベスター)」と呼ばれているわ。
普通教会暦には殉教した聖人の名前が付けられるんだけど、唯一この「シルベスター」は教皇の名前から付けられたものなの。
紀元314年~335年まで在位していたと云う、教皇シルベステル1世。
彼は12/25をイエス・キリストの誕生日に決定したニケア公会議に関っていて、新年の祝祭を行うこの12/31に自身の名前を付けたと云われてるわ。
主の降誕を教会や家庭で祝うクリスマスと違い、この日は外に出掛けて、鐘を鳴らしたり花火を打ち上げたり、騒々しい音を立てて祝う習慣が、世界中で見られるわ。
音を立てるのは新年を迎えるにあたり、古い年の悪を追い払う為よ。
日本の除夜の鐘や花火も、本来の意味する所は厄払いなの
そしてやっぱりこの日にも、新年の運勢を占う儀式が盛んに行われるわ。
有名なのは溶かした鉛を水に投げ入れ、固まった形で占うという「鉛占い」だけど、今回は少し変った占い方と、それに纏わる恐い話を紹介するわね。
これはグリム兄弟が蒐集したドイツ伝説集に出て来る話。
聖アンドレアスの日(11/30)、聖トマスの日(12/21)、降誕祭(12/25)、それぞれの前夜と大晦日の晩に、或る方法で将来夫となる男の姿を知る事が出来るという。
卓に2人分の食器を整えるのだが、この時フォークは出していけない。
そうすれば将来の夫が深夜家を訪ねて来て、卓に着くと云われているのだ。
立ち去る時男は物を置いて行くが、これは大事に取っておかなければいけない。
そうすれば男はこれを保管している女の所へ来て、女を熱愛するようになる。
しかし当の品物は男の目に2度と触れさせてはならない。
もし見付かれば、男は召喚された夜の恐怖と苦痛を思い出し、女の身に大きな不幸が訪れるだろう。
オーストリアの或る美しい娘は、真夜中に必要な手順を踏んで、相手を呼び出した。
すると1人の靴屋が匕首(つばの無い短刀)を手にして現れ、娘にそれを投げつけたかと思うと、忽ち消えた。
娘はその匕首を拾い上げて長持ちにしまい、その後間も無くして本当に靴屋が現れ、娘に求婚した。
めでたく結婚して数年も経った頃の或る日曜日の夕刻、晩の祈りも終わり、女は長持ちを覗いて翌日の仕事の種を探そうとした。
が、丁度蓋を開けたその時、夫が近寄って来て、中を見てしまう。
女は慌てて夫を遮ったが、不審を抱いた夫は力ずくで妻を押し退け中を覗き、失くした匕首をそこに認めた。
夫は匕首を手に取ると、「これは自分が或る折に紛失した物だが、どうして此処に有るのか、訳を手短に話せ」と妻に迫った。
妻は驚きと恐れの余り、言い繕う事も出来ずに、あっさり真実を語ってしまった。
将来の夫の顔が見たくて、呼び出しの術をした晩に、貴方が置いていった匕首であると。
話を聞いた途端、夫の心には憎悪の炎が宿り、恐ろしい呪いの言葉を吐いた。
「魔女め!すると俺にあの夜あんな恐い思いをさせたのはお前か!?」
こう言うと靴屋は匕首で妻の心臓を貫いた。
未来を見たいという欲求は誰もが抑えられないもの。
けれど見る為には人知を超える力が必要で、借りるには相当の覚悟が必要らしいわね。
じゃあ此処で今年10曲目のクリスマスソングを紹介…ってクリスマスソングとは外れるんだけど、年末といえばやはりベートーヴェン最後の交響曲「第九」!
ちなみに日本で年末に第九が頻繁に演奏されるようになった背景には、楽団員の年末年始の生活を潤す為に、人気の高かった第九を演奏して稼ごうというのが有ったそうよ。
クラシックブームが起きてる現代と違い、一昔前迄はオーケストラの収入は乏しく、楽団員の生活は貧しかったんですって。
有名な第4楽章の合唱パートは、後に「よろこびの歌」と言うタイトルで、文部省唱歌になったわ。
今回はその歌詞を紹介するから、オーケストラに合わせて、上手い事歌ってみて♪(交響曲第9番ニ短調作品125→ようつべより)
それじゃあ皆、良い年を迎えて頂戴!
貴方の新年の幸福を、メリー心から祈ってるわ!
【よろこびの歌】
晴れたる青空♪ 漂う雲よ♪
小鳥は歌えり♪ 林に森に♪
心は朗らか♪ 喜び満ちて♪
見交わす♪ 我らの明るき笑顔♪
花咲く丘べに♪ 憩える友よ♪
吹く風爽やか♪ 漲る陽射し♪
心は楽しく♪ 幸せ溢れ♪
響くは♪ 我らの喜びの歌♪
(作詞:岩佐東一郎氏)
【ドイツ語歌詞】
Freude schöner Götterfunken,
Tochter aus Elysium,
Wir betreten feuertrunken,
Himmlische dein Heiligtum!
|:Deine Zauber binden wieder,
Was die Mode streng geteilt;
Alle Menschen werden Brüder,
Wo dein sanfter Flügel weilt.:|
【日本語意訳】
歓喜よ 美しき神々の御光よ
エリュシオン(楽園)の乙女よ
我等は情熱と陶酔の中
天界の汝の聖殿に立ち入らん
汝の威光の下 再び一つとなる
我等を引き裂いた厳しい時代の波
全ての民は兄弟となる
汝の柔らかな羽根に抱かれて
…合唱パート部分だけ聴きたいなら、14分20秒頃から始めれば良いかと。
また最初から聴きたい人は、関連動画から拾って下さい。
キリスト教がこれだけの大宗教になった理由は、伝道師が各国を精力的に飛び回り、人々への慈善に尽くしたからだと言われている。
一方で血生臭い事件を色々起してはいるけれど、他の宗教や文化を根絶せずに、吸収して周囲と上手く折り合った事で、キリスト教は伸びてったんだろうと。
てゆーか現代まで残ってる宗教は皆そやって拡大して来たわけで、此処ら辺り巷で見られる新興宗教とはやはり懐が違う。
しかしよく考えてみれば、イエスの教えを説いてるというキリスト教だけど、実際に確立したのはイエスの死後なのよね…。
写真はハウステンボスのクリスマスシーズン、ビネンスタッド地区に建つ硝子品の店、「ビードロ」の壁に飾られてた物。
今年のラストはミス・メリーに攫われてしまいましたが、今年1年皆様にはお世話になりました。
来年が皆様にとって良い年になりますように!
いよいよ年の終わりの大晦日、この日はクリスマスカレンダーの中で、「シルベスター(或いはジルベスター)」と呼ばれているわ。
普通教会暦には殉教した聖人の名前が付けられるんだけど、唯一この「シルベスター」は教皇の名前から付けられたものなの。
紀元314年~335年まで在位していたと云う、教皇シルベステル1世。
彼は12/25をイエス・キリストの誕生日に決定したニケア公会議に関っていて、新年の祝祭を行うこの12/31に自身の名前を付けたと云われてるわ。
主の降誕を教会や家庭で祝うクリスマスと違い、この日は外に出掛けて、鐘を鳴らしたり花火を打ち上げたり、騒々しい音を立てて祝う習慣が、世界中で見られるわ。
音を立てるのは新年を迎えるにあたり、古い年の悪を追い払う為よ。
日本の除夜の鐘や花火も、本来の意味する所は厄払いなの
そしてやっぱりこの日にも、新年の運勢を占う儀式が盛んに行われるわ。
有名なのは溶かした鉛を水に投げ入れ、固まった形で占うという「鉛占い」だけど、今回は少し変った占い方と、それに纏わる恐い話を紹介するわね。
これはグリム兄弟が蒐集したドイツ伝説集に出て来る話。
聖アンドレアスの日(11/30)、聖トマスの日(12/21)、降誕祭(12/25)、それぞれの前夜と大晦日の晩に、或る方法で将来夫となる男の姿を知る事が出来るという。
卓に2人分の食器を整えるのだが、この時フォークは出していけない。
そうすれば将来の夫が深夜家を訪ねて来て、卓に着くと云われているのだ。
立ち去る時男は物を置いて行くが、これは大事に取っておかなければいけない。
そうすれば男はこれを保管している女の所へ来て、女を熱愛するようになる。
しかし当の品物は男の目に2度と触れさせてはならない。
もし見付かれば、男は召喚された夜の恐怖と苦痛を思い出し、女の身に大きな不幸が訪れるだろう。
オーストリアの或る美しい娘は、真夜中に必要な手順を踏んで、相手を呼び出した。
すると1人の靴屋が匕首(つばの無い短刀)を手にして現れ、娘にそれを投げつけたかと思うと、忽ち消えた。
娘はその匕首を拾い上げて長持ちにしまい、その後間も無くして本当に靴屋が現れ、娘に求婚した。
めでたく結婚して数年も経った頃の或る日曜日の夕刻、晩の祈りも終わり、女は長持ちを覗いて翌日の仕事の種を探そうとした。
が、丁度蓋を開けたその時、夫が近寄って来て、中を見てしまう。
女は慌てて夫を遮ったが、不審を抱いた夫は力ずくで妻を押し退け中を覗き、失くした匕首をそこに認めた。
夫は匕首を手に取ると、「これは自分が或る折に紛失した物だが、どうして此処に有るのか、訳を手短に話せ」と妻に迫った。
妻は驚きと恐れの余り、言い繕う事も出来ずに、あっさり真実を語ってしまった。
将来の夫の顔が見たくて、呼び出しの術をした晩に、貴方が置いていった匕首であると。
話を聞いた途端、夫の心には憎悪の炎が宿り、恐ろしい呪いの言葉を吐いた。
「魔女め!すると俺にあの夜あんな恐い思いをさせたのはお前か!?」
こう言うと靴屋は匕首で妻の心臓を貫いた。
未来を見たいという欲求は誰もが抑えられないもの。
けれど見る為には人知を超える力が必要で、借りるには相当の覚悟が必要らしいわね。
じゃあ此処で今年10曲目のクリスマスソングを紹介…ってクリスマスソングとは外れるんだけど、年末といえばやはりベートーヴェン最後の交響曲「第九」!
ちなみに日本で年末に第九が頻繁に演奏されるようになった背景には、楽団員の年末年始の生活を潤す為に、人気の高かった第九を演奏して稼ごうというのが有ったそうよ。
クラシックブームが起きてる現代と違い、一昔前迄はオーケストラの収入は乏しく、楽団員の生活は貧しかったんですって。
有名な第4楽章の合唱パートは、後に「よろこびの歌」と言うタイトルで、文部省唱歌になったわ。
今回はその歌詞を紹介するから、オーケストラに合わせて、上手い事歌ってみて♪(交響曲第9番ニ短調作品125→ようつべより)
それじゃあ皆、良い年を迎えて頂戴!
貴方の新年の幸福を、メリー心から祈ってるわ!
【よろこびの歌】
晴れたる青空♪ 漂う雲よ♪
小鳥は歌えり♪ 林に森に♪
心は朗らか♪ 喜び満ちて♪
見交わす♪ 我らの明るき笑顔♪
花咲く丘べに♪ 憩える友よ♪
吹く風爽やか♪ 漲る陽射し♪
心は楽しく♪ 幸せ溢れ♪
響くは♪ 我らの喜びの歌♪
(作詞:岩佐東一郎氏)
【ドイツ語歌詞】
Freude schöner Götterfunken,
Tochter aus Elysium,
Wir betreten feuertrunken,
Himmlische dein Heiligtum!
|:Deine Zauber binden wieder,
Was die Mode streng geteilt;
Alle Menschen werden Brüder,
Wo dein sanfter Flügel weilt.:|
【日本語意訳】
歓喜よ 美しき神々の御光よ
エリュシオン(楽園)の乙女よ
我等は情熱と陶酔の中
天界の汝の聖殿に立ち入らん
汝の威光の下 再び一つとなる
我等を引き裂いた厳しい時代の波
全ての民は兄弟となる
汝の柔らかな羽根に抱かれて
…合唱パート部分だけ聴きたいなら、14分20秒頃から始めれば良いかと。
また最初から聴きたい人は、関連動画から拾って下さい。
キリスト教がこれだけの大宗教になった理由は、伝道師が各国を精力的に飛び回り、人々への慈善に尽くしたからだと言われている。
一方で血生臭い事件を色々起してはいるけれど、他の宗教や文化を根絶せずに、吸収して周囲と上手く折り合った事で、キリスト教は伸びてったんだろうと。
てゆーか現代まで残ってる宗教は皆そやって拡大して来たわけで、此処ら辺り巷で見られる新興宗教とはやはり懐が違う。
しかしよく考えてみれば、イエスの教えを説いてるというキリスト教だけど、実際に確立したのはイエスの死後なのよね…。
写真はハウステンボスのクリスマスシーズン、ビネンスタッド地区に建つ硝子品の店、「ビードロ」の壁に飾られてた物。
今年のラストはミス・メリーに攫われてしまいましたが、今年1年皆様にはお世話になりました。
来年が皆様にとって良い年になりますように!