My Audio Life (趣味のオーディオ)

真空管オーディオを中心に、私のオーディオチューンアップについて書いています。最近はPCオーディオにも取り組んでいます。

BOSE 901 Ⅳ 専用アクティブ・イコライザーの改良。

2018-10-05 12:18:26 | スピーカー

空き部屋が確保出来たので、先日修理が完了したBOSE 901 Ⅳを引っ張り出して、本格的に鳴らして見ました。

ところが、専用アクティブ・イコライザーの低音をブーストして聴くと低音が歪みます。

特に、低音と高音がガンガン出る所謂ドンシャリのポップ系音楽の時によくわかります。

耳が肥えたためかも知れませんが、聴いてすぐにわかりました。

要するに、前回のデカップリング電解コンの追加、IC交換の対策だけでは解決していなかったのです。

 

そこで、思いつく所から、部品を交換してみました。

1)オペアンプ入力のカップリング・コンデンサ(10uF/25V)の交換。8箇所。

  結果---まだ歪んでいます。

2)オペアンプを交換。

  NE5532Pを使っていたのですが、オリジナルのRC4558Pと同系列のNJM4580Dに交換。

  結果---まだ歪んでいます。

3)プッシュスイッチに酸化が見られるので直結へ。

  結果---まだ歪んでいます。

4)整流回路の電解コンデンサの交換と容量アップ。470uF/25Vから2700uF/25へ。

  結果---まだ歪んでいます。

しばらく鳴らしこみますが、改善の気配なし。

現在の接続は、CDプレーヤー → 専用アクティブ・イコライザー → プリメイン・アンプ → スピーカーBOSE901となっています。

 

次に、上流ソース源のCDプレーヤーの出力を絞り( Variable出力側で調整)、聴いてみると歪は無くなります。

ここで、わかりました!!! (自分自身で気づくのが遅い!と嘆く。)

現役の頃だと、こんな事は直ぐに気付いたのに。。。最近では何だか機転、閃きが利かなくなりました。歳の重なりと共に自分の脳の衰えを情けなく感じます。

そう言えば、このスピーカーが活躍していた時代は、CDプレーヤーはまだ少なく、ソース源は、レコードやカセットデッキが主でだったのです。

例えば、カセットデッキと言えば、出力電圧はせいぜい0.67Vrms(max)(チューナーに合わせていたと思う)。対して、CDプレーヤーの出力は2.0Vrms(max)と決められています。

詳しくは、JEITAの規格表に記載があります。

 

 

この専用アクティブ・イコライザーは、通常のグライコでは代用が効かなく、低音と高音をかなり持ち上げている怪物イコライザーです。

恐らく、ピーク出力で波形がクリップしているのだろうと推察しました。

 

ここから、信号発生器とオシロスコープを使い、本格的に解析と実験を開始しました。

まず、このイコライザーの周波数とオーバーオール(最終段オペアンプ出力/初段オペアンプ入力電圧)での最大増幅率を測定します。

周波数を可変しながら、増幅率が最大となる周波数を見つけ出します。

測定の結果、

低域は37Hzで、その時の増幅率はLOW BOOST Max.で17倍(≒25dB)、

高域は14kHzで、その時の増幅率はHIGH BOOST Max.で35倍(≒31dB)

でした。

まさに、化け物イコライザーです!。

一方で、入力回路を辿ると、ナント! カップリングコンが有るだけで、直接初段のオペアンプに入力されています。

CDプレーヤー出力が2.0Vrmsと言う事は、peak-to-peakでは正弦波換算で2x2x√2≒5.7Vppになります。

実際の音楽を再生しながらオシロスコープでCD出力のピーク波形を観測しましたが、やはり5.7Vppの時があります。

この信号を入力した場合の出力電圧は、37Hzでは、単純計算で5.7Vpp x 17 ≒ 97Vppにもなります。

オペアンプの電源電圧が±15Vなので当然歪みますね。

14kHzでは、計算するまでもなく歪むことは明白です。

オペアンプのスペックでは最大出力電圧は、電源電圧±15Vの時、最大出力電圧±12Vとなっていますので、最大振幅で24V以下に抑える必要があります。

出力が可変できるCDプレーヤーならボリュームを絞れば良いのですが、可変出力を持たないプレーヤーもあります。

そこで、このイコライザーへの入力信号を抵抗分割で減衰させる事にしました。

直列100KΩと対GND10kΩの抵抗分割で入力信号を1/11に減衰させました。

変更後は、入力2Vrms時、LOW BOOST、HIGH BOOSTともMax状態でのオペアンプの出力は、

37Hzでは8.8Vpp、14kHzでは18.1Vppに抑える事が出来ました。

その結果、改造後はイコライザーのBOOSTをMAXにしても歪まなくなりました。

今回の解析でわかったのですが、オリジナルの状態でカセットデッキ再生(0.67Vrms出力)の場合でも、BOOST Max.では歪んでいた事になります。

成る程、このアクティブ・イコライザーは評判が良くない筈です。後継機は良いらしいです。

私自身も今回の改良後に聴いて、なんだか20数年前よりも音が良くなった(歪が無くなった)様な気もします。

 

もう一つ、各部の電圧をチェックしていて発見した事があります。

オペアンプの入力に挿入されている電解コンデンサの極性が間違っており、DC0.8V程度の逆電圧が掛る箇所がありますが、ここは交流も印加されるので、本来は無極性(ノンポーラ)が正しいでしょう。DC電圧が低いので、そのままでも良かったのですが、気持ち悪いので、BOSEオリジナルとは逆にさせて頂きました。

 

今は、BOSE 901 Ⅳが良い感じで鳴っています。 あくまで仮設置です。いずれ撤去が必要です。

今迄のハイファイ路線とは全く違い、まさにPA用とかサラウンド用の音で、ある意味で新鮮味を感じます。

低音は「ドスン、ドスン!」とバズーカ砲かキャノン砲の様で、部屋の床、壁が少し揺れます。

隣りの部屋とか外にもよく漏れるので、あまり大きな音では鳴らせません。BOSEの音は、部屋全体を鳴らすので音が良く通ります。

今は、慣らし運転中ですので、修復したエッジが馴染んでくるとさらに良い音で鳴ってくれることでしょう。

その後の行き場が検討事項です。 


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