Study shows deepwater oil plume in Gulf degraded by microbes (英文)
「史上最悪の原油流出事故」となった、メキシコ湾の原油。BPの深海油井から漏れた大量の原油は、驚くほど広範囲を覆う悪夢の流出事故となり、漁業にも大打撃を与えた。海岸にも、真っ黒な原油がベットリとついた、鳥や魚たちが打ち上げられていた。
これほど悲惨な原油流出事故。深さ1000mを超える深海の出来事だけに、人間が潜ったところで、どうにもならない。どうやって、事態を収拾するのか。誰もが絶望感にとらわれてしまう問題だった。
ところが、予想を上回る速さでメキシコ湾の流出原油が減少していることが判明した。原因は、いったい何・・・?
どうやら、救世主が登場したようだ。アメリカの「ロレンス・バークレー国立研究所」が発表したところでは、なんと、深海に生きる未知の微生物が、せっせと原油を分解しているというのだ。
研究所の発表によると、
>Our findings show that the influx of oil profoundly altered the microbial community by significantly stimulating deep-sea psychrophilic (cold temperature) gamma-proteobacteria that are closely related to known petroleum-degrading microbes,” says Terry Hazen, a microbial ecologist with Berkeley Lab’s Earth Sciences Division and principal investigator with the Energy Biosciences Institute, who led this study. “This enrichment of psychrophilic petroleum degraders with their rapid oil biodegradation rates appears to be one of the major mechanisms behind the rapid decline of the deepwater dispersed oil plume that has been observed.”
膨大な流出原油は、海中の環境を大きく変えた。それは、深海で生きる微生物たちに、深甚な影響をもたらした。どうやら、新しい環境に適応する微生物が、急激に増殖したようだ。それは、原油を分解する微生物。
「微生物は、大量発生して酸素を消費しつくすのではないか」というのが、唯一の懸念材料だったのだが、それは杞憂にすぎなかった。微生物の活動のおかげで、海中の酸素が減少した様子はないという。つまり、魚やほかの生物に、悪影響をおよぼしていない。
>“Our findings, which provide the first data ever on microbial activity from a deepwater dispersed oil plume, suggest that a great potential for intrinsic bioremediation of oil plumes exists in the deep-sea,” Hazen says. “These findings also show that psychrophilic oil-degrading microbial populations and their associated microbial communities play a significant role in controlling the ultimate fates and consequences of deep-sea oil plumes in the Gulf of Mexico.”
深海の原油汚染は、人間にはどうすることもできない。陸地のことなら、なんとか努力しようもあるけど、こればっかりは・・・。でも、どうやら、そういうときに作動する天然の癒しシステムが、深海にはもともと備わっているのではないか? 科学者たちも、大きな可能性を感じている様子。
深海には、まだまだ人間の知らないことが多いようだ。汚れ、傷ついた地球を黙々と癒す、深海の微生物。まさしく、微生物こそは、「究極のヒーラー」と呼べるのではないだろうか・・・!?
アースチェンジ情報の宝庫 →