世界中で、すさまじい洪水が起きている。
中国では、甘粛省チベット族自治区で、豪雨のため大規模な土石流(地滑り)が発生。死者と行方不明者が合わせて数千人に達した。土砂崩れで川が埋まってダムになり、たまった水が溢れ出して大洪水になってしまった。甘粛省といえば、中国の内陸部で、険しい山脈に南北をはさまれた谷間が千kmにわたって延々と続く地域。シルクロードを通って西域に向かう人々が中国を出るには、ここを通るしかなかったため、古来から「回廊」と呼ばれてきた。そんな辺境の田舎で「四万五千人が避難」するとは、被害がどれほどの広範囲に及んでいるのか想像もつかない。常に洪水の危機と隣り合わせにある南部の長江流域ならともかく、こんな地域にまで水害が広がっているとはオドロキだ。
大雨が続いて、全国的に洪水が頻発している中国。特に南部では、数億人が水害に見舞われている。春先までは干ばつに悩まされていたのに、五月からは一転して大雨という事態に、気候担当の政府幹部は、「2010年に入って以来、中国では、極端な気候が常態化した」という異例のコメントを発表した。
全国的に懸念されているのは、ダムの決壊だ。世界最大級の川・長江をせきとめて造った三峡ダムで、七月には史上最高の水位に達したことが報道された。南部だけでなく、東北部(満州)でもダムが決壊して、すでに大きな被害が出ている。
東アジアの梅雨どきは過ぎたが、秋には台風シーズンがやってくる。当局も警戒を強めているという。
かと思うと、インダス文明の発祥地・パキスタンでも大洪水が起きている。戦乱が続くアフガニスタンに近い北西部で、大雨が降っている。洪水による死者はすでに1600人を突破し、さらに増えている模様。水害による被災者は1500万人に及んでいるというから、これまた想像を絶するスケールだ。雨期と乾期の差がハッキリしているとはいえ、もともと乾燥気候に属するパキスタンでは、史上に前例のない規模の水害だという。
世界的な洪水は、意外な地域にも飛び火した。今度は、ドイツやポーランドで大雨が降り、川が溢れて被害が広がっている。
日本でも、七月の梅雨の末期はひどいことになった。でも、世界はもっと凄い。どこまで続くのか、この「水攻め」・・・。
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