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「男のくせに、女のくせに」という発言をジェンダーの視点からみるとー男女共同参画実現の取り組みー

2012-06-06 00:37:09 | マニフェスト2011参考資料

 「男のくせに」とは、子どもの頃、勇気がないとき、がんばりが足りないときに、もう少しの勇気やがんばりを求められて、よく言えば叱咤激励のため言われた。「医者のくせに」「大学生のくせに」などと同様、クリアーすべき高い水準を想定され、それを満足に超えられていないために言われる。

 一方、「女のくせに」という言い方は、逆で、クリアーすべき水準を超えていることに対し、嫌みの意味も込めながら言われる。「女のくせに」のあとに、もう少しのがんばりが期待されるのではなく、がんばりすぎているから、もっと控えめにしろというようなニュアンスが続く。

 言ってみれば、「男のくせに、女のくせに」の言葉の裏側には、ジェンダーの潜在的な差別意識や固定観念があるように感じる。言われる場面が異なることが、まさに、それら意識や観念を表しているのであろう。

 包括的・体系的な性差別禁止条約として1979年国連で採択された「女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約」の第一条では、性差別の定義を「性に基づく区別、排除又は制限であって、政治的、経済的、社会的、文化的、市民的その他のいかなる分野においても、女子(婚姻をしているかいないかを問わない。)が男女の平等を基礎として人権及び基本的自由を認識し、享有し又は行使することを害し又は無効にする効果又は目的を有するものをいう。」と、広範な理解を前提にしているところである。そして5条(a)では、「両性いずれかの劣等性若しくは優越性の観念又は男女の定型化された役割に基づく偏見及び慣習その他あらゆる慣行の撤廃を実現するため、男女の社会的及び文化的な行動様式を修正すること。」を明確に謳っている。
 「男のくせに、女のくせに」という言い回しは、男のくせには、一定水準以上のレベルを男性に求め、使われる場面は異にしても一定水準以上のレベルを超えないことを女性に求めており、同条約でいう「男女の平等を基礎として人権及び基本的自由を認識し、享有し又は行使することを害し又は無効にする効果又は目的を有するもの」であり性差別の定義にあてはまる。ゆえにそのような場面では、同条約5条(a)にいう男女の社会的及び文化的な行動様式を修正が求められることになる。

 「男のくせに、女のくせに」という言葉のその対概念が意味をなさなくなる社会、死後になる社会が、男女共同参画社会のひとつの理想の形なのであろう。「男のくせに、女のくせに」の意識がどれだけ減るかが、男女共同参画の進捗のひとつのメルクマールになるということもできると考える。サッカーや野球など含めスポーツ界での女性の活躍、司法行政立法分野での女性の参画、管理職の女性割合の増加など 少しずつではあるが、「女のくせに」という意識が変わってきているようにも感じる。

 これからのさらなる男女共同参画社会実現に期待したい。

*住まいの自治体に男女共同参画の条例、計画、委員会、活動のセンターがあるべきであること、なければ、その整備。
男女共同参画条例などhttp://blog.goo.ne.jp/kodomogenki/e/07691d1aaf88ffe02b95d61c6490640d

アファーマティブアクションhttp://blog.goo.ne.jp/kodomogenki/e/15bbd1d3bc79e96e7a93335596682dd3


*職場では、セクシュアル・ハラスメントや間接差別(厚労省「男女雇用機会均等等政策研究会」)がないこと、妊娠・出産の保護など最低限の職場環境は当然として、誰もが自己実現できるための諸策の取り組み。
セクシュアル・ハラスメントhttp://blog.goo.ne.jp/kodomogenki/e/def4cf653d3d14f81f561176e2363242

男女雇用機会均等法http://blog.goo.ne.jp/kodomogenki/e/07691d1aaf88ffe02b95d61c6490640d

職場での不合理な性差別 判例http://blog.goo.ne.jp/kodomogenki/e/07691d1aaf88ffe02b95d61c6490640d


*学校教育現場では、役割論、特性論ではなく、法の下の平等の考え方に則った教育及び「性と生の教育」。
憲法14条でいう平等とはhttp://blog.goo.ne.jp/kodomogenki/e/43a9d028c76ebb79604435665c5ba078
 

*家庭では、DVがないことは当然として、誰もが自己実現できるための諸策の取り組み。

 

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