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東電社内事故調査委員会中間報告書12月2日公表「10.事故の分析と課題の抽出」に、なぜ、4号機がないの?

2011-12-02 18:36:24 | 地球環境問題

 東京電力の社内事故調査委員会の中間報告書が本日2日公表されたといいます。

→ http://www.tepco.co.jp/cc/press/11120203-j.html


 大事なものの公表は、金曜日に多いような気がしますが、これはさておき。


 国会にも事故調査の委員会ができるということですが、なぜ、このような事故が起こってしまったのか、きちんと検証されることを期待いたします。

 

 すべてを読み切ったわけではないですが、建屋の爆発を起こした4号機(地震発生時に停止中であったが)も、「10.事故の分析と課題の抽出」で分析すべきと考えます。なぜ、入れていないのか、私は疑問です。

 また、肝心の核燃料が、今、どのような状況にあるかの記載も、詳細にすべきではないかと考えます。

 あと、確か、地震直後に3人(記憶違いであればすいません。)の従業員が、亡くなられていると思いますが、そのことやその原因について、本報告書(別冊ではなく)への記載もないのではないでしょうか。

 

****中間報告書抜粋(私の独断により抜粋)*****

 

- 事故調査の目的と体制 -

 

(1)目的

事故の当事者の立場として、事実を整理・自ら検証することにより、事故原因を明らかにし、そこから得られた教訓を今後の事業運営に反映していくこと。

 

(2)体制

【福島原子力事故調査委員会】

(構成メンバー)

委員長 代表取締役副社長 山崎 雅男

委 員 代表取締役副社長 武井 優

    常務取締役 山口 博

    常務取締役 内藤 義博

    企画部長

    技術部長

    総務部長

    原子力品質監査部長 計8名

 

【事故調査検証委員会】

「福島原子力事故調査委員会」で取りまとめた調査結果について、専門的見地や 第三者としての客観的な立場からご意見をいただく諮問機関として「原子力安 全・品質保証会議」の下に社外有識者で構成する委員会を設置

(構成メンバー)

委員長 矢川 元基 氏(東京大学名誉教授)

委員 犬伏 由利子 氏(消費科学連合会副会長)

    河野 武司 氏(慶應義塾大学教授)

    高倉 吉久 氏(東北放射線科学センター理事)

    首藤 伸夫 氏(東北大学名誉教授)

    中込 秀樹 氏(弁護士)

    向殿 政男 氏(明治大学教授)

 

(3)方法

結果を取りまとめるにあたり、以下の調査・確認を実施した。

・記録類の確認(チャート、警報発生記録等データ、運転日誌 など)

・解析(津波のインバージョン解析、地震応答解析、炉心損傷解析 など)

・設備目視確認(屋内外の主要設備について実施)

・ ヒアリング(ディスカッション)

(発電所の災害対策要員を中心にのべ250名を超える人数を実施)

 

なお、調査結果については、「福島原子力事故調査委員会」の計4回の審議・検 証を経た後、その結果について「事故調査検証委員会」に都度、諮問した。

 

目次

1.本報告書の目的 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1

2.福島原子力発電所事故の概要 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1

2.1 福島第一原子力発電所の概要 2.2 福島第二原子力発電所の概要 2.3 福島原子力発電所事故の概要

 

3.東北地方太平洋沖地震の概況 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4

3.1 地震及び津波の規模 3.2 発電所を襲った地震の大きさ 3.3 発電所を襲った津波の大きさ

3.4 津波評価について

 

4.事故に対する発電所の備え ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 15

4.1 法令全般 4.2 設備設計について 4.3 新たな知見の取り込みについて

4.4 アクシデントマネジメント整備 4.5 アクシデントマネジメント策と今回の事故

 

5.災害時の対応態勢 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 20

5.1 原子力災害発生時の態勢 5.2 事故時の状況

 

6.地震の発電所への影響 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 22

6.1 地震発生直前のプラント状況 6.2 地震発生直後のプラント状況 6.3 外部電源の状況

6.4 地震による設備への影響評価

 

7.津波による設備の直接被害の状況 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 37

7.1 福島第一原子力発電所の被害状況 7.2 福島第二原子力発電所の被害状況 7.3 津波による設備被害まとめ

 

8.津波到達以降の対応状況 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 43

8.1 福島第一1号機の対応状況 8.2 福島第一2号機の対応状況 8.3 福島第一3号機の対応状況

8.4 福島第一4号機の対応状況 8.5 福島第一5号機の対応状況 8.6 福島第一6号機の対応状況 8.7 福島第二1号機の対応状況

8.8 事故進展に伴う福島第一原子力発電所敷地境界の線量率の変動 8.9 使用済燃料の貯蔵状況

 

9.プラント水素爆発評価 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 77

9.1 地震計による爆発事象の考察 9.2 水素爆発の原因

 

10.事故の分析と課題の抽出 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 85

10.1 事故時のプラント挙動からの課題 10.2 設備・機能上の課題 10.3 事故対応を困難にした障害要素からの課題

10.4 分析と課題の抽出に関するまとめ

 

11.事故原因を踏まえた今後の対応 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 117

11.1 炉心損傷防止のための対応方針 11.2 福島第一原子力発電所事故の具体的対策

 

12.結び ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 130

 

 

本報告書の目的

 本報告書は、福島第一原子力発電所の事故について、これまでに明らかとなった事実 や解析結果等に基づき原因を究明し、既存の原子力発電所の安全性向上に寄与するため、 必要な対策を提案することを目的としています。

 また、今回提案する対策の立案にあたっては、同様の事態を再び招かぬよう、実際に 起こったことから設備や運用の改善につなげていくことが重要との観点から、炉心損傷 を未然に防止するための技術課題の検討を中心としています。

 なお、現在も調査を継続して進めている段階にあり、今後の調査で新たに判明した事 実や、今回の報告に含まれていない「放射性物質の放出」、「放射線管理」、「人的リソー ス」、「資材調達」、「情報公開・情報提供」等の分野についても順次取り纏めの上、公表 してまいります。

 

 

 

2.3 福島原子力発電所事故の概要

 平成23年3月11日、福島第一原子力発電所では1号機から3号機、福島第二原子 力発電所では1号機から4号機が運転中であったが、同日14時46分に発生した岩手 県沖から茨城県沖の広い範囲を震源域とする東北地方太平洋沖地震を受けて、運転中の 原子炉はすべて自動停止した。

 同時に福島第一原子力発電所では、地震によってすべての外部電源が失われたが、非 常用ディーゼル発電機(非常用D/G)が起動し、原子炉の安全維持に必要な電源が確 保された。また、福島第二原子力発電所では、外部電源の喪失には至らなかった。

 

 その後、襲来した史上稀に見る津波により、福島第一原子力発電所では、多くの冷却 用海水ポンプ、非常用D/Gや電源盤が冠水したため、6号機を除き、全交流電源喪失 の状態となり、交流電源を用いるすべての冷却機能が失われた。また、津波による冷却 用海水ポンプの冠水のため、原子炉内部の残留熱(崩壊熱)を海水へ逃がすための補機 冷却系も機能を喪失した。さらに、1号機から3号機では、直流電源喪失により交流電 源を用いない炉心冷却機能までも順次停止していった。

 

 このため、臨機の応用動作として、消防車を用いた消火系ラインによる淡水及び海水 の代替注水に努めたが、結果として、1号機から3号機は、それぞれ原子炉圧力容器へ の注水ができない事態が一定時間継続した。このため、各号機の燃料が水に覆われずに 露出することで燃料棒被覆管が損傷し、燃料棒内にあった放射性物質が原子炉圧力容器 内に放出されるとともに、燃料被覆管(ジルコニウム)と水蒸気の化学反応により大量 の水素が発生した。

 これにより、放射性物質や水素が原子炉圧力容器から蒸気とともに格納容器内へ主蒸 気逃がし安全弁等を経て放出され、格納容器の内圧が上昇したため、格納容器ベントを数回行うことを試みた。1号機と3号機ではベント操作によって格納容器の圧力低下 が確認されたが、2号機についてはベントによる格納容器の圧力低下は確認されていな

い。

 

※ 格納容器破損による放射性物質の放出をコントロールできずに被害を拡大させる事態を避けることを目的に、格納容器内の気体を大気放出する操作

 

 その後、1号機と3号機では、格納容器から漏えいした水素が原因と思われる爆発に より、それぞれの原子炉建屋上部が破壊された。

 また、燃料がすべて使用済燃料プールへ取り出されていた4号機では燃料の冠水が維 持されていたが、原子炉建屋上部で爆発が発生した。

 

 福島第一5号機、6号機においては、6号機の非常用D/Gが機能を維持していたた め、その電力を5号機へ融通することにより、5号機、6号機ともに炉心への注水を行 うことができ、さらに、原子炉内部の残留熱(崩壊熱)を海水へ逃がすための機能を回 復することで冷温停止に至ることができた。また、福島第二原子力発電所においても、 外部電源が機能を維持できたこと、さらに津波の規模が福島第一原子力発電所ほど大き くなかったことなどから、非常用海水系の仮設電源の復旧などの迅速な対応が効を奏し、 全号機冷温停止に成功している。

 

 しかしながら、福島第一1号機から3号機においては事故が連鎖的に拡大して甚大な 原子力災害に発展した。

 

 

4.5 アクシデントマネジメント策と今回の事故

 以上のように、設計基準事象を超えるような事故に対しても、一定の事故対応の体制、 手順書等が整備されていたが、今回の事故は、事前の想定を大きく超える津波の影響に より、事故対応の取り組みの前提を外れる事態になったため、事故対応に作動が期待さ れていた機器、電源はほぼすべてその機能を喪失した。

 

 例えば、原子炉の冷却という観点からは、通常の給復水系の他、原子炉隔離時冷却系 を含めた非常用の複数の注水手段、さらには、本来原子炉注水用途ではない制御棒駆動 水圧系、復水補給水系、消火系等からも原子炉注水できるよう何重もの備えをしていた。

 これら機器のうち、いずれかを使用して原子炉注水を行うことを想定していたが、今 回の事故では、津波の影響により電源を喪失したため、電動駆動の原子炉注水設備が機 能を喪失した。また、初期段階で機能した蒸気駆動の原子炉隔離時冷却系等についても、 制御に必要な直流電源を喪失するなどの理由から機能を喪失し、最終的にはこれらすべ ての原子炉注水手段を

喪失した。

 

 一方、今回の事故対応では、アクシデントマネジメント策として整備された注水手段 ではなかったが、中越沖地震の教訓として配備された消防車を用い原子炉への注水手段 とした。この際、原子炉への注水経路としては、アクシデントマネジメント策の一つと して設置した消火系からの注水ラインを利用している。これはアクシデントマネジメント策整備の一環である手順書整備、訓練等による知識を活用した臨機の応用動作であっ た。しかし、結果的に事象進展に追いつけず、炉心損傷の防止までには至らなかった。

 電源供給という観点からは、外部送電線からの受電が不能になった場合も想定し、各号機に複数の非常用D/Gを設置していた。さらに、これらの非常用D/Gが故障した 場合、すなわち短時間(30分)の全交流電源喪失に対して、安全設計審査指針で原子 炉を安全に停止することが求められており、直流電源で制御され、原子炉蒸気で駆動さ れる原子炉隔離時冷却系等により8時間程度の原子炉注水を可能としている。これは、 現在の安全設計審査指針においては、短時間に非常用D/G故障の復旧、発電所外部か らの受電等、電源設備の修復が期待できることから、長期間の全交流電源を想定する必 要がないとしていることによる。

 

 先に述べたアクシデントマネジメントにおいては、さらに交流電源の復旧が遅れる場 合や直流電源が使用不能な場合に備え、隣接号機から電源を融通できるよう備えていた。 今回の事故では、外部送電線からの受電喪失、被水・浸水による非常用D/Gや所内の 電源盤の広汎な使用不能等により短期間での電源復旧ができない状況であった。また、 福島第一1~4号機においては、津波による被災以降、すべてのプラントで電源を喪失 した状況となったため、隣接号機からの電源融通についても不可能となった。

 

 福島の事故を顧みると、今回の津波の影響により、これまで国と一体となって整備し てきたアクシデントマネジメント対策の機器も含めて、事故対応時に作動が期待されて いた機器・電源がほぼすべて機能を喪失した。このため、現場では消防車を原子炉への 注水に利用するなど、臨機の対応を余儀なくされ、事故対応は困難を極めることとなっ た。このように、想定した事故対応の前提を大きく外れる事態となり、これまでの安全 への取り組みだけでは事故の拡大を防止することができなかった。結果として、今回の 津波に起因した福島第一原子力発電所の事故に対抗する手段を備えることができず、炉 心損傷を防止できなかった。

 

 なお、福島第二原子力発電所では、襲来した津波の規模が福島第一原子力発電所より も小さかったこと、電源喪失を免れたことなどから、これまでに整備してきたアクシデ ントマネジメント策を有効に機能させることができ、プラントの安定化、冷温停止に至 った。

 

 

6.3 外部電源の状況

(3)外部電源まとめ

 福島第一および福島第二原子力発電所における外部電源設備は、地震により発電所内の 開閉所遮断器、新福島変電所内変電設備が損傷、送電鉄塔隣接地の盛土崩落による鉄塔倒 壊が発生し、福島第一原子力発電所では、7回線(東電原子力線含む)すべてが停止、福 島第二原子力発電所では、4回線中3回線が停止し、1回線のみ供給が継続された。

 福島第一および福島第二原子力発電所の外部電源は、安全設計審査指針に定められる2 回線以上の送電線により電力系統に接続された設計であることを満足していたものの、上記のような状況となった。

 原子力発電所の設計においては、外部電源系統からの電力供給が失われた場合も考慮さ れており、実際後述の通り、地震により外部電源が失われた各号機において、非常用 D/G以下の非常用電源系統が正常に起動し、設計通り電源の確保ができていたことが確 認されている。

 今回の地震により、原子力発電所の外部電源設備を含む送変電設備は広範に被害を受け た。外部電源設備の被害状況を【添付6-6】に示す。

 

 

 

6.4 地震による設備への影響評価

 福島第一原子力発電所を襲った津波は地震発生から1時間に満たないうちに到達した ため、発電所所員が発電所の設備が地震でどの程度の損傷を受けたのか、津波が来るま での時間で明確には確認できていない。また、事故が炉心損傷や水素爆発にまで至り、 建屋内の汚染水の滞留の問題や放射線の問題等から、原子炉建屋内の機器やタービン建 屋地下階の機器の状態確認は現在も困難である。

 そのため、福島第一原子力発電所について、次に掲げる観点から設備の健全性に関す る考察を加え、可能な範囲で損傷原因を究明し、当該地震による安全上重要な機器の機 能への影響の有無についての評価を行った。

 

(4)設備への影響評価まとめ

 以上述べたとおり、福島第一原子力発電所においては、プラント運転状況及び観測さ れた地震動を用いた耐震評価の解析結果から、安全上重要な機能を有する主要な設備は、 地震時及び地震直後において安全機能を保持できる状態にあったものと考えられる。

 また、プラント内の巡視の結果や5号機、6号機の一部の機器では既に使用中、また は試運転済みであることから、安全上重要な機能を有する主要な設備に地震による損傷 は確認されておらず、耐震重要度の低い機器においても地震によって機能に影響する損 傷はほとんど認められなかった。

 従って、地震によって外部電源の喪失は生じたものの、地震後の時点においては非常 用D/Gによる電源確保に成功しており、プラントとしては地震時及び地震直後の対応 を適切に実施できる状態にあったものと考えられる。

 

 なお、福島第二原子力発電所については、地震による原子炉自動停止と同時に起動し た非常用機器冷却系のポンプが津波到達まで運転状態に異常が無かったこと、プラント が炉心を損傷することなく安全に冷温停止に成功していること、その後の設備確認にお いても安全上重要な機器の機能に津波による被害以外は確認されていないことなどから、 当該地震による安全上重要な機器の機能への影響はなかったと考えられる。

 

 

9.プラント水素爆発評価

9.1 地震計による爆発事象の考察

 

 以上のことから、福島第一原子力発電所における爆発は、メディア映像でも確認され ている1号機、3号機と今回地震計による観測記録で確認された4号機の3回と推定さ れる。このため、3月15日6時10分頃に確認された大きな音(爆発)は、正確には 6時12分に4号機で発生した爆発音と判断した。

 

 2号機については、4号機の爆発音に前後して発生した圧力抑制室の圧力指示値が0 MPa[abs]に低下したため、2号機の圧力抑制室付近で爆発的な事象が発生した可能性 があると誤って認識したものと考えられる。

 圧力抑制室の損傷は大気開放を意味するため、絶対圧力で0MPa[abs]というのは物 理的にはあり得ないが、計器誤差まで考慮し、何らかの損傷が発生して圧力抑制室の圧 力が低下した可能性は否定できない。

 ただし、本来ほぼ同様な圧力であるはずの格納容器圧力と3月14日夜から異なる挙 動をしていること、解析結果やCAMS(格納容器雰囲気モニタ)のデータから判断し て、その時刻から炉心損傷が進行していることを考え併せれば、格納容器圧力は上昇局 面にあると想定され、圧力抑制室の圧力計が0MPa[abs](真空)に低下した原因は、 圧力計が故障していた可能性が高いと考えられる。

 

 なお、他の号機と同様に炉心損傷に至った ものの、2号機で水素爆発が発生しなかった 要因の一つに、原子炉建屋最上階のブローア ウトパネルの開放が挙げられる。ブローアウ トパネルの開放は1号機の水素爆発の衝撃 で偶然発生したものと推定しているが、この 開放により水素が建屋外に放出され、建屋内 に滞留する水素が抑制された可能性は高い と考えられる

 

 

10.事故の分析と課題の抽出

10.1 事故時のプラント挙動からの課題

 

(1)福島第一1号機のプラント挙動

 

4プラント挙動に関するまとめ

・非常用復水器は、津波に起因する電源喪失によって非常用復水器の自動隔離イ ンターロックが作動し、その機能を喪失した。その後、短時間で原子炉水位が低 下、炉心が露出(有効燃料頂部へ到達)して炉心損傷に至った。この間、電源喪 失によりプラント状態の把握は困難な状況であった。

・非常用復水器(A)の弁操作を11日18時18分、21時30分に実施して いるが、解析結果より18時18分以降の非常用復水器の運転継続の有無に関わ らず結果的には炉心は損傷するに至ったものと評価される。

・一方、11日21時過ぎに仮設の電源により水位計を仮復旧したところ、原子

・炉水位が有効燃料頂部を上回っているとの指示が得られたが、その時点ではこれ が誤指示であることを総合的に判断するに足る情報が得られてない。緊急時対策 本部(発電所、本店)では、この時点では非常用復水器が停止していたとの認識 に至ることがなかった。11日23時頃に原子炉建屋二重扉前での放射線量の上 昇、12日0時頃に初めて得られたドライウェル圧力の測定値が異常に高いこと から、炉心損傷の可能性が認識された。

・ 12日3時頃、原子炉の減圧操作を実施していないにもかかわらず原子炉圧力 が減少しているが、これは炉心の損傷を起因として原子炉冷却材圧力バウンダリ に損傷を生じた可能性を示しており、短時間で炉心の損傷が相当程度進展してい たことを示唆している。

・ なお、事後の事故解析コードによる解析結果によれば、地震後、有効燃料頂部 到達まで3時間程度、炉心損傷開始まで4時間程度であり急速に炉心損傷まで進 展するが、これは得られた実事象の動きと整合している。

・ 圧力抑制室ベント時にはモニタリングカーの線量が一時的に上昇したが、バッ クグラウンドレベルの上昇は限定的であった。炉心損傷に伴い発生する水素が格 納容器内で完全には保持されず、原子炉建屋に漏えいし、原子炉建屋の爆発の原 因となったと推定される。

 

 

(2)福島第一2号機のプラント挙動

 

3プラント挙動のまとめ

・ 2号機は、原子炉隔離時冷却系が比較的長時間機能していたため、炉心の崩壊熱 は停止直後より小さくなっていたものの、高圧系(原子炉隔離時冷却系)の機能停 止とともに原子炉水位の低下が始まった。

・ 原子炉隔離時冷却系が停止した1時間20分程度後に消防車のポンプは起動して おり低圧注水の用意は整っていたが、原子炉の減圧操作において主蒸気逃がし安全 弁が直ちに動作しなかった。また、主蒸気逃がし安全弁が動作し原子炉の減圧が行 えた時点で低圧注水が直ちに機能しなかったこと、また、原子炉の減圧に伴う圧力 抑制室への蒸気流出によって生じる保有水量の急減で、結果として冷却が一段と悪 化したことから炉心損傷を生じたものと考えられる。

・ なお、事故解析コード(MAAP)を用いて解析を行ったところ、原子炉隔離時 冷却系の機能低下に伴う原子炉水位低下により、炉心損傷が開始するという結果が 得られている。

・ この進展パターンは次に述べる3号機も同様である。また、15日7時過ぎから 11時頃までの間に、格納容器内のガスが放出され、バックグラウンドレベルの上 昇につながっている。

 

 

(3)福島第一3号機のプラント挙動

 

3プラント挙動のまとめ

・3号機は、ディーゼル駆動消火ポンプを起動して低圧注水の用意を整えていたが、 原子炉圧力が注入圧力を上回り、高圧系(高圧注水系)の停止後に低圧の注水への 切替えが直ちに成功していないことから、結果として冷却が悪化し、炉心の損傷に 至った。

・なお、圧力抑制室からのベントを実施して以後、複数回の当該ベントを実施して おり、正門付近のモニタリングカーの指示が一時的に上昇したが、バックグラウン ドレベルに大きな上昇は見られていない。

・さらに、炉心損傷に伴い発生する水素が格納容器内で完全には保持されず、原子 炉建屋に漏えいし、原子炉建屋の爆発の原因となったと考えられる。

 

 

 

12.結び

 当社はこれまで、原子力災害に対するリスク低減に、様々な観点から取り組んで参り ました。しかしながら、本報告書でまとめた通り、結果として、これまで整備してきた 取り組みが至らず、放射性物質を外部に放出させるという、大変な事故を引き起こした ことに対し、深くお詫び申し上げます。

 

 本報告書では、事故当事者として、体験したこと、集約したデータ等を基に、教訓を 得るべく努め、まずは、現時点までで整理できた調査事実の摘示や炉心損傷を未然防止 するための対策を中心に、取りまとめを行いました。これらについては当社の原子力プ ラントにおいて着実に具体化してまいりますが、多くの原子力関係者の方々にもご一読 いただき、国内外BWRプラントの安全性向上にご活用いただきたいと考えております。

 

 今後、引き続き、今回検討したテーマだけでなく、「放射性物質の放出」、「放射線管 理」、「人的リソース」、「資材調達」、「情報公開・情報提供」等の新たなテーマについて、 更なる調査・検証を行い、教訓を得て参りたいと考えております。

 

 改めまして、今回の事故により、発電所の周辺地域そして福島県民の皆さま、更に広 く社会の皆さまに、大変なご迷惑とご心配をお掛けしておりますことを、心よりお詫び 申し上げますとともに、事故の収束に向けてご支援・ご協力を頂いている政府、関係諸 機関、メーカー等の皆さまに、感謝申し上げます。

 

 以上

 

 

 

 

 

 


****東京新聞(2011/12/2)*****
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2011120201001634.html

【社会】
東電が社内調査報告書を公表 検証委は「事前対策不十分」
2011年12月2日 17時44分

 東京電力は2日、福島第1原発事故について、地震による揺れでは重要機器に影響はなく、事故を引き起こした津波は想定をはるかに上回る規模だったとする社内事故調査委員会の中間報告書を公表。これに対し外部専門家による検証委員会が「事故発生と拡大は、事前の安全対策が十分でなかったことによる」と批判した意見も明らかにした。

 検証委は、委員長の矢川元基東京大名誉教授(原子力)と津波、法律などの専門家6人で構成。

 報告書は、東電が08年に行った最大10・2mの津波が襲うとの試算は「根拠のない仮定に基づくもの」として対策を取らなかったが、検証委は「より真剣に考えておくべきだった」と指弾した。

(共同)

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