「中央区を、子育て日本一の区へ」こども元気クリニック・病児保育室  小児科医 小坂和輝のblog

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私道廃止の判例S47.7.25。区道廃止や私道廃止は、無効となる場合がある。

2018-05-14 23:00:00 | 月島三丁目 北 地区第一種市街地再開発問題

 月島三丁目北地区再開発問題では、重要な区道廃止及び私道廃止が前提となります。

 区道廃止や私道廃止では、建築基準法上、厳格な規定がなされています。

 これら規定に反する場合、区道廃止や私道廃止は、無効となり、一団の土地が作れず、現在計画されようとしている大規模超高層開発は、敷地が作れない以上は、不可能となります。

 中央区は、果たして区道廃止や私道廃止の手続きをきちんと経ているのか検証の必要性があります。

 以下は、最高裁判決文ですが、私道廃止の無効がたまたまならなかったという事例であり、逆を解せば、無効になる場合があると考えられます。


*******私道廃止に関する最高裁判決 全文***************

http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=51892

http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/892/051892_hanrei.pdf

判示事項
 一、敷地の所有者の承諾を欠く道路位置廃止処分が無効でないとされた事例
二、行政処分の瑕疵が治癒されたものと認められた事例
 
裁判要旨
 一、建築基準法四二条一項五号により位置の指定を受けた道路の廃止処分につき、敷地の所有者の承諾がなかつたとしても、右所有者において道路が従前よりは狭くなる程度のことを承知のうえで廃止申請書添付の図面に押印したという判示の事情があるときは、その承諾の欠缺が申請関係書類上明白であるのにこれを看過してされたというような特別の場合を除き、右廃止処分を当然無効とすることはできない。

二、道路位置廃止処分が、これにより一部土地が袋地となる点において建築基準法(昭和三四年法律第一五六号による改正前のもの)四三条一項違反の結果を生ずることを看過してされた場合においても、その後の事情の変更によりその違反状態が解消するに至つたときは、右処分の瑕疵は治癒されたものと解すべきである。
 
参照法条
 建築基準法42条1項,建築基準法43条1項(昭和34年法律第156号による改正前のもの),建築基準法45条,東京都建築基準法施行細則(昭和25年東京都規則第194号)8条(昭和36年東京都規則第26号による改正前のもの)

         主    文
     原判決を破棄する。
     本件を東京高等裁判所に差し戻す。

         理    由
 上告代理人石葉光信、同小幡哲夫、同糟谷昇三の上告理由一について。
 訴外Dが本件道路につき道路位置廃止の申請を決意してから現実に申請するまで
の間の経緯に関する原判決(その引用する第一審判決を含む。以下同じ。)の事実
の認定は、挙示の証拠に照らし、是認することができ、この点に関する証拠の取捨
判断も首肯することができる。そして、右事実に徴すれば、被上告人は建築基準法
(以下基準法という。)における道路位置廃止の意味を正しく理解したうえで右廃
止についての承諾をしたものとは認められないから、本件道路位置廃止処分(以下
本件処分という。)は被上告人の承諾を欠くものとした原判決の認定判断は、首肯
するに足り、その間に所論の違法は認められない。所論は、理由がなく採用するこ
とができない。
 同二および三について。
 まず、被上告人の承諾と本件処分の効力との関係について考えるに、東京都建築
基準法施行細則(昭和二五年東京都規則第一九四号)八条(昭和三六年東京都規則
第一一六号による改正前のもの)および原審確定の事実に徴すれば、本件処分をす
るにあたつては、被上告人の承諾を必要とするにかかわらず、これを欠いていたこ
とは、原判示のとおりである。したがつて、本件処分は違法な処分といわざるをえ
ない。しかし、本件において適用されるべき基準法関係法令の諸規定に徴すれば、
基準法四二条一項五号に基づく位置の指定を受けた道路につき道路位置廃止処分を
する場合における所定の権利者の承諾は、道路位置指定処分をする場合における権
利者の承諾と異なつて、主として、指定による私権の制限の解除を意味するもので
あるのみならず、原判決の確定した事実に徴すれば、被上告人および訴外Eは、そ
の意味を正しく理解していなかつたとはいえ、私道が従前よりは狭くなる程度のこ
とを承知のうえで本件道路位置廃止申請書添付の図面に押印したものであることが
うかがわれる。それゆえ、被上告人らの承諾を欠く申請に基づいてされた本件処分
であつても、その承諾の欠缺が申請関係書類上明白であるのにこれを看過してされ
たというような特別の場合を除いて、これを当然に無効な処分と解することはでき
ない。ところが、原判決は、被上告人の承諾は本件処分に必要欠くべからざる根本
要件であるとしたうえ、その欠缺の一事からただちに本件処分を無効としているの
であつて、本件処分の効力に関する判断を誤つたものというべく、この点の論旨は
理由がある。
 つぎに、本件処分後の事情と基準法四三条一項(昭和三四年法律第一五六号によ
る改正前のもの)違反との関係について考えるに、原審確定の事実によれば、本件
道路の廃止により、被上告人および訴外Eの各所有地が袋地となつたものであつて、
本件処分が同条項の規定に違反する違法な処分といわざるをえないことは、原判示
のとおりである。ところで、同条項の趣旨とするところは、主として、避難または
通行の安全を期することにあり、道路の廃止により同条項に抵触することとなる場
合には、基準法四五条により、その廃止を禁止することができるものとしていると
ころからみれば、右の禁止もまた、避難または通行の安全を保障するための措置と
解せられる。してみれば、道路の廃止によつて、いつたん、基準法四三条一項の規
定に違反する結果を生じたとしても、その後の事情の変更により、右の違反状態が
実質上解消するに至つた後においては、もはや、基準法四五条に定める処分をする
必要はなく、また、これをすることもできないものと解すべきである。この趣旨に
即して考えれば、基準法四三条一項違反の結果を生ずることを看過してなされた違
法な道路位置廃止処分であつても、当該処分の後、事情の変更により、違反状態が
解消するに至つたときは、処分当時の違法は治癒され、もはや、これを理由として
当該処分を取り消すとか、当該処分が当然に無効であるとすることは許されないと
解するを相当とする。したがつて、原判決が、本件処分後に被上告人らの所有地が
袋地でなくなつたことを確定しながら、この事実をもつてしても本件処分が有効と
なる理由はなく、本訴請求の利益が失われることもないとした判断には、結局、処
分の効力に関する判断を誤つた違法があるものというべく、この点の論旨も理由が
ある。
 原判決には前叙のような違法があるから、その余の所論について判断するまでも
なく、原判決を破棄し、さらに審理を尽くさせるため、本件を原審に差し戻すこと
とし、行政事件訴訟法七条、民訴法四〇七条に従い、裁判官全員の一致で、主文の
とおり判決する。
 裁判官松本正雄は、退官につき評議に関与しない。
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    田   中   二   郎
            裁判官    下   村   三   郎
            裁判官    関   根   小   郷

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