「中央区を、子育て日本一の区へ」こども元気クリニック・病児保育室  小児科医 小坂和輝のblog

感染を制御しつつ、子ども達の学び・育ちの環境づくりをして行きましょう!病児保育も鋭意実施中。子ども達に健康への気づきを。

参加自由。講演会『自衛隊における医官の役割』21日18時~葛飾区医師会館(葛飾区立石5-15-12)

2015-02-19 17:05:17 | 医療
 以下、二つの講演会が、葛飾で開催されます。

 関心のある方は、どなたでも参加可能とのことです。

 


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自衛隊における医官の役割



平成27年2月21日 土曜 

午後6時~10時

会場 葛飾区医師会館 3階 講堂

東京都葛飾区立石5-15-12 電話 3691-8536




大規模災害時の感染症対策支援

~スマトラ津波災害の経験を東日本大震災に生かす~



防衛医学研究センター 感染症疫学対策研究官 教授
加來浩器



私は、2004年12月に発生したスマトラ島沖地震・津波災害に対して、国際緊急援助隊として活動した経験があります。当地では、破傷風、コレラ、赤痢、麻疹、マラリア、髄膜炎等の流行が懸念されたために、WHOが中心となったサーベイランスが行われました。協力団体から集められたデータは、週ごとの発生数とともに地理情報を公開するというものです。公衆衛生に係る情報が乏しいなか、唯一有用な情報であり各団体から高く評価されていました。しかしこれらのデータを解釈する際には、(1)医療チームの数や活動性の影響を受ける、(2)避難者の移住によって地域別発生状況が変化する、(3)住民はある程度症状が進展しないと受診しない傾向がある、(4)1人の患者が複数の施設を渡り歩くいわゆる“ドクターショッピング”の実態がある、などを加味する必要があります。また、サーベイランス結果をアウトブレイクの早期発見に活用するのであれば、(1)診療実績の解析よりは避難所レベルでの健康状態の把握の方が直接的であり、(2)週報よりも日報にした方が良い。サーベイランスに従事するボアランティアの参画意欲を高めるためには、(1)サーベイランスデータの即時還元、(2)必要な時の迅速な介入が不可欠であるという教訓を得ました。

そこで、2011年3月11日に発生した東日本大震災の際には、この教訓を生かしたサーベイランスシステムを構築して、岩手県の感染症対策を支援することにしました。すなわち、比較的な大規模な避難所を定点観測地点として、日々の症候群の発生を調査するというもので、DSOD(Daily Surveillance for Outbreak Detecting)と名付けました。当時珍しかったタブレット端末をNTTドコモが無償で貸し出してくれ、それに患者数を入力するとそのデータが遠隔地である防衛医大で集計され、タブレット端末のGoogle map上に情報還元されるという仕組みです。集計の段階で異常の発生を認めた場合には、岩手医大の櫻井医師を中心とするいわて感染制御支援チーム(ICAT:Infection Control Assistant Team of Iwate)が現場に駆けつけます。まさに、サーベイランスと感染制御を一体としたITを駆使した産官学共同のシステムと言えます。本勉強会では、私が自衛隊医官として経験した活動を紹介しながら、大規模災害が発生した時の感染症リスクアセスメント、過去の事例、症状から疾病を推定する、サーベイランスの構築、訓練の実施などについてお話したいと思います。皆様のご参集をお待ちしております。




自衛隊における医官の役割

—生物剤テロ対策を中心として−

 陸上自衛隊 対特殊武器衛生隊 第101対特殊武器治療隊長 2等陸佐

本間健一



対特殊武器衛生隊は、自衛隊唯一の生物兵器/テロ対処部隊です。

 近年、1994年松本、1995年東京地下鉄両サリン事件、2001年における米国同時多発テロや炭疽菌テロ事件といった核、生物剤、化学剤(NBC: Nuclear, Biological and Chemical)等によるテロが新しい脅威となっています。また、まさしく現在進行形で、イスラム国を自称するテロ集団ISILによるテロ行為が連日報道されていることは皆様ご承知のことと思います。

 このような情勢の中、対特殊武器衛生隊は自衛隊が生物剤の同定、生物剤感染患者の収容、治療に自己完結して対応するために、2008年に新編された新しい部隊です。所属する自衛隊員は、衛生科職種である医官、歯科医官、薬剤官、看護官、衛生官、准看護師、救急救命士、臨床検査技師、診療放射線技師等の技術陸曹、衛生救護員といった職種から構成され、一般の病院とほぼ同様になりますが、有事に備えて自衛官として日々訓練を続けています。

 テロに関わらず、大規模災害発生時には情報の混乱、インフラの遮断が想定されます。民間医療・自衛隊衛生間の相互理解、密接な協力関係を構築しておくことで、より迅速、適切な医療支援が可能となることと思います。2020年には東京オリンピックが開催されます。東京都にとって世界中の注目を浴びる晴れ舞台である一方で、テロ対策の強化が必要です。

 私たちのような部隊が、実際に活躍するような機会が生じることは好ましくありません。しかし、その存在を予め知って頂くことで、自衛隊における衛生科部隊の活動に興味を持っていただき、有事に備えるきっかけとなって頂ければ幸いです。そのため、今回は自衛隊における医官の役割という題名で、自衛隊衛生部隊の装備や活動もご紹介させていただければと考えています。よろしくお願いいたします。



   感染・免疫懇話集談会/葛飾区医師会


















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