子供たちの遊びは単純だ。まだ複雑な高級なものが無いから手近であそべることをするしかない。男の子はその中でも「蝋石」が宝物だった。書くことが好きなこともあり、何処でも簡単に何でも書けることが嬉しかった。そしていつでも、どこでもそれを手にして話すことは無かった。その日も友達が2、3、人集まって3階の子供部屋で遊んでいた。
母親は2階で幼い赤子に乳を飲ませ、父親は本社から送られてきた製品をリヤカーに積んで客先へ配達のため留守であった。のどかな昼下がりのことである。そんな時、いつもいじめられ役で友達にちょっかいを出されるのを嫌って男の子は物干し場のほうへ一人で行って遊んでいた。物干し場は板場になっていてその板場の間に隙間があり、雨が降ると流れるようになっていた。男の子はその時もしっかりと蝋石を手にしていたのだが、何かの拍子に蝋石を手から離してしまった。蝋石は板の間の間から屋根に落ちてしまった。
男の子はこの宝物を何としても取り戻すために危険とは分かりながら屋根に降りることを
決心した。それは5歳の子供にとっては大変な冒険であった。
辺りに誰も診ていないことを確認すると彼は小さな足を手すりの上にかけてよじ登りまたがると物干し場の外へ出ることが出来た。しっかりと手すりに手をかけてもう一方の手で
落とした蝋石をしっかりと掴むことができた。
大事にしていた蝋石である。これでこの大切なものを取り戻せたと言う安心感が頭をよぎった。その瞬間だった。安心と同時にしっかりと握っていた手すりの手をうっかりと離してしまったのである。
それからのことは男の子には記憶が無い。物干し場から一階の裏通りまでの高さは
約10メートルぐらいであろうか。裏側は細い路地になっており下水の流れる溝が通っていて溝には板場か飼っていた。そしてそこは普段使わない漬物桶や漬物用の石とか不要なものが置いてあった。
物干し場に居たと思っていた友達は男の姿が見えなくなったことに気がつくと
「欽ちゃんが落ちたよ」と大声で叫んだ。大きな声で子供たちが騒ぐので母親もその声に気がつき、赤ん坊をそこへ置くと一階に下りて、すぐ路地裏へまわった。そして子供の姿をと動転しながら向かおうとしたとき、その男の子がふらふらと歩いて母親のほうへ近づいてきた。そして母親の胸に抱かれた瞬間に気を失ったのである。
母親は2階で幼い赤子に乳を飲ませ、父親は本社から送られてきた製品をリヤカーに積んで客先へ配達のため留守であった。のどかな昼下がりのことである。そんな時、いつもいじめられ役で友達にちょっかいを出されるのを嫌って男の子は物干し場のほうへ一人で行って遊んでいた。物干し場は板場になっていてその板場の間に隙間があり、雨が降ると流れるようになっていた。男の子はその時もしっかりと蝋石を手にしていたのだが、何かの拍子に蝋石を手から離してしまった。蝋石は板の間の間から屋根に落ちてしまった。
男の子はこの宝物を何としても取り戻すために危険とは分かりながら屋根に降りることを
決心した。それは5歳の子供にとっては大変な冒険であった。
辺りに誰も診ていないことを確認すると彼は小さな足を手すりの上にかけてよじ登りまたがると物干し場の外へ出ることが出来た。しっかりと手すりに手をかけてもう一方の手で
落とした蝋石をしっかりと掴むことができた。
大事にしていた蝋石である。これでこの大切なものを取り戻せたと言う安心感が頭をよぎった。その瞬間だった。安心と同時にしっかりと握っていた手すりの手をうっかりと離してしまったのである。
それからのことは男の子には記憶が無い。物干し場から一階の裏通りまでの高さは
約10メートルぐらいであろうか。裏側は細い路地になっており下水の流れる溝が通っていて溝には板場か飼っていた。そしてそこは普段使わない漬物桶や漬物用の石とか不要なものが置いてあった。
物干し場に居たと思っていた友達は男の姿が見えなくなったことに気がつくと
「欽ちゃんが落ちたよ」と大声で叫んだ。大きな声で子供たちが騒ぐので母親もその声に気がつき、赤ん坊をそこへ置くと一階に下りて、すぐ路地裏へまわった。そして子供の姿をと動転しながら向かおうとしたとき、その男の子がふらふらと歩いて母親のほうへ近づいてきた。そして母親の胸に抱かれた瞬間に気を失ったのである。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます