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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

中小企業白書を読む(下) 政府の役割に言及せず

2024-05-28 07:11:24 | 経済・産業・中小企業対策など
中小企業白書を読む(下) 政府の役割に言及せず
価格転嫁を促進するために中小企業白書は①価格協議の実施②中小・小規模事業者の価格交渉力の向上③サプライチェーン(供給網)全体の連携―が必要だとしました。

価格交渉いうが
①の価格協議の実施について白書は、中小企業庁の調査で「価格交渉を希望したが、交渉が行われなかった」事例が2023年3月時点の17・1%から7・8%に減少したことなどを紹介。「価格交渉が可能な取引環境は醸成されつつある」としました。しかし、減ったとはいえ「交渉が行われなかった」事例が7・8%も残っていることへの対策は皆無です。
②の価格交渉力の向上について白書は、「価格交渉に向けた事前準備に取り組むことが、価格交渉力を高めて、十分な価格転嫁の実現につながるものと考えられる」と中小企業の努力に任せるだけです。
③のサプライチェーン全体の連携について白書は、「親事業者や下請け事業者の望ましい取引慣行の順守といった取組が重要」だと述べます。この実現のために、親企業が望ましい取引慣行を順守すると宣言する「パートナーシップ構築宣言」の「重要性が高まっている」としました。しかし、「宣言企業」でも「価格協議を十分に実施していない企業や、価格転嫁に十分に応じていない企業が依然として一定数存在している」と認めています。また、下請け業者への代金減額を強要し、公正取引委員会から勧告を受けた日産自動車も「宣言企業」でした。白書はこうした問題に頬かむりしています。




一律の最賃こそ
白書は中小企業が「良質な雇用」をつくり出すことで「地域の少子化対策にも貢献する可能性がある」と述べ、地方の活性化に期待しています。白書は東京圏から地方への移住にあたっての阻害要因について「希望する仕事探しの困難さ」を指摘。とりわけ所得格差が移住と一定の相関があるとしました。
地方で所得向上を実現し、地域の活性化をもたらす最大のカギは全国一律最低賃金を実現し、大幅に引き上げることです。そのためには、中小企業への財政支援も不可欠です。しかし白書は最低賃金や中小業者への支援など政府の役割には言及せず、「女性・若者・子育て世代に優しい働き方改革」をよびかけるだけです。
白書は昨年10月に導入が強行された消費税のインボイス(適格請求書)制度について、小規模事業者の75・9%が「対応できている」としました。しかもインボイス制度への対応によって「バックオフィス業務の効率化や会計の透明性向上が図られている」などとバラ色に描きます。
しかし、全国商工団体連合会付属・中小商工業研究所が発表した24年上期の営業動向調査によると、年間売上高1000万円以下のインボイス発行事業者の45・1%が「消費税が納税できるか不安になった」と回答しています。また「廃業を考えざるをえない」と回答した免税業者も7・5%いました。こうした事実に目を背けるものです。
(おわり)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2024年5月23日付掲載


価格転嫁を促進するために中小企業白書は①価格協議の実施②中小・小規模事業者の価格交渉力の向上③サプライチェーン(供給網)全体の連携―が必要だと。
地方で所得向上を実現し、地域の活性化をもたらす最大のカギは全国一律最低賃金を実現し、大幅に引き上げること。そのためには、中小企業への財政支援も不可欠。しかし白書は最低賃金や中小業者への支援など政府の役割には言及せず、「女性・若者・子育て世代に優しい働き方改革」をよびかけるだけ。

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