きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

トヨタの不正(上) 完成車試験をサボる

2024-06-21 07:13:26 | 政治・社会問題について
トヨタの不正(上) 完成車試験をサボる

自動車の型式認証をめぐって大手メーカー5社の不正が発覚し、トヨタ自動車の対応が議論を呼んでいます。豊田章男会長らが自社の試験方法より認証制度の方に問題があるかのような前象操作を行ったためです。トヨタの安全管理体制に問題はないのか。不正の根源を探りました。
(杉本恒如)

自動車の型式認証制度は、新車の販売に際して安全・環境性能と品質の均一性について国土交通省の審査を受ける制度です。審査に合格して型式を指定されると1台ずつの検査を省いて同じ型式の車を量産販売できます。
トヨタが3日に発表した不正行為は6種類あります(表)。豊田会長は同日の記者会見で「正しい認証プロセスを踏まずに量産販売してしまった」と反省を口にした一方、「本来(法規が定める試験)よりも重い厳しい試験をやった」と弁明。さらに認証制度が「あいまい」で「仕向け地(輸出先)によってルールも変わる」ため「(トヨタの意見が)議論のきっかけになるといい」と述べ、問題を認証制度のあり方にすり替えようとしました。


トヨタ認証不正6種類
2014~15年、クラウン・アイシスの認証申請で、エアバッグをタイマー着火した開発試験データを流用。完成車での自動着火試験を実施しなかった。
15年、カローラの認証申請で、歩行者との衝突時に頭部に与えるダメージを確認する際に開発試験データを流用。衝撃角度(65度)が法定の角度(50度)と違った。
15年、カローラ・シエンタ・クラウンの認証申請で、歩行者と車が衝突した際の頭部や脚部へのダメージの確認に開発試験データを流用。片側のデータを左右両側分のデータとする虚偽データを提出した。
14年のクラウン、15年のシエンタの認証申請で、台車の後面衝突による燃料漏れなどの確認に開発試験データを流用。法規基準の1100キログラムに対し1800キログラムの台車を使用した。
20年、ヤリスクロスの認証申請で、衝突時の積み荷の移動による後部座席へのダメージの確認に開発試験データを流用。法規の変更で積み荷ブロックの要件が追加されていたが、古いブロックを使ったデータを使用した。
15年、レクサスRXの認証申請の際、エンジン出力の確認試験で狙った出力が得られなかったのに、原因を究明せず、コンピューター制御を調整して試験をしたデータを使用した。


開発期間の短縮
トヨタの完全子会社ダイハツなどの認証不正を分析してきた労働運動総合研究所の佐々木昭三理事は「ダイハツの不正とトヨタ本体の不正には共通性がある」といいます。
「国際競争に勝って世界一のトヨタグループを築くために、各社の実情を顧みずに開発期間を短縮した中で不正が起きています。豊田会長は、自社の構造的問題から国民の目をそらすために、自社試験の厳格性を強弁したようにみえます」
重大なのは、トヨタが開発完了後の完成車での試験を省き、開発段階の試験データを認証申請に流用していたことです。トヨタの発表によれば6種類の不正のうち5種類で開発試験データが流用されていました。国交省は「開発段階で試験をしても完成車で同じ結果が出るとは限らない」と指摘し、トヨタが無断で開発試験データを提出していたことを問題視しています。



トヨタ自動車の本社ビル

根源を反省せず
「厳しい試験をやった」どころか、完成車の性能を証明するための試験をサボっていたということです。開発試験データの流用が常態化し広範囲に及んでいるとすれば、過去にトヨタが得た型式指定全体の信頼性が揺らぐことになります。
実は、先行して認証不正が発覚したダイハツでも開発試験データの流用が行われており、それが不正多発の大きな要因になったと指摘されていました。佐々木氏は話します。
「開発試験データの流用が不正の温床になったことは、ダイハツが設置した第三者委員会の調査報告書に明記されています。トヨタ幹部らが自社の不正に関する記者会見でこの問題をあいまいにし、矮小(わいしょう)化とすり替えを図ったことは、不正の根源について全く反省していないことを示しています」
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2024年6月18日付掲載


重大なのは、トヨタが開発完了後の完成車での試験を省き、開発段階の試験データを認証申請に流用していたこと。トヨタの発表によれば6種類の不正のうち5種類で開発試験データが流用。国交省は「開発段階で試験をしても完成車で同じ結果が出るとは限らない」と指摘し、トヨタが無断で開発試験データを提出していたことを問題視。
トヨタ幹部らが自社の不正に関する記者会見でこの問題をあいまいにし、矮小(わいしょう)化とすり替えを図ったことは、不正の根源について全く反省していないこと。
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