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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

インフレ不況と希望の出口戦略② 利上げがもたらす大不況

2024-05-30 07:16:31 | 経済・産業・中小企業対策など
インフレ不況と希望の出口戦略② 利上げがもたらす大不況
下関市立大学教授 関野秀明さん

米国や欧州連合(EU)が政策金利を5%近傍に引き上げインフレ鎮圧を最優先する中で、日本銀行は政策金利(日銀当座預金付利)を0・1%にとどめ、「金融の緩和的状況」を継続しています。日本銀行は「デフレ脱却、賃金と物価の好循環を確実にする」と繰り返しています。しかし、その真意は「円安・インフレ対策で少しでも金利の引き上げ(利上げ)をすると、大不況に陥る。だからなすすべなく傍観・放置している」ということです。

累積債務の膨張
図1は日本の政府、企業、家計における債務残高の推移です。政府部門は2000年以降の「構造改革・成長戦略」の時代に大企業・富裕層減税を繰り返し、22年末時点で累積債務残高を1437兆円まで膨張させています。このうち中央政府の普通国債残高も1000兆円を超えました。財務省「後年度負担影響試算」は1%の利上げで国債利払い費が即刻3・7兆円増加するとしています。円安インフレに追い込まれて、政府が何の工夫もなく利上げをすると、財政危機、緊縮財政・社会保障削減、大不況へといっそう追い詰められてしまうでしょう。また企業部門も長い消費不況に加え「コロナ危機」もあり、債務残高を膨張させています。
図2は民間金融機関の「要注意先債権」が再び60兆円を超えたことを示しています。地域経済の所得と雇用を支える中小零細企業の債務が金利上昇に直面すれば、債務不履行、倒産、失業の危機となり、さらには貸し付けた地方金融機関の不良債権問題にも波及しかねない危険性があります。
家計の債務残高は比較的安定的に推移しているように見えますが、20代、30代の若年層は、量的金融緩和・ゼロ金利時代に所得に対する債務の比率を高めています。住宅ローン、教育ローン、消費者ローンの金利が上昇し債務利払い費が膨らむと、ローン破綻を含む家計危機、大不況に陥る危険があります。






利上げできる環境
このように10年続いたアベノミクスはインフレと不況のはざまで完全に行き詰まっています。円安・インフレを放置すれば、実質賃金低下、原材料費高騰で中小企業経営悪化から大不況に陥る危険が迫ります。円安・インフレ対策として米欧に追随して利上げを行えば、政府、企業、家計の三大部門すべてで債務利払いの膨張、重債務化が進み、債務不履行から金融危機、大不況に陥る危険が迫ります。
したがってアベノミクスからの「出口戦略」は単純に、いつ、どのタイミングで利上げ、金融政策の正常化を進めるかを考えるだけでは失敗します。円安・インフレを止めるために利上げは避けられないからこそ、金利が上がっても企業も家計も困らない、充分な危機対策を講じて「利上げできる環境」づくりをしなければなりません。その十分な危機対策とは「最低賃金全国一律1500円と中小企業支援」「消費税減税」「社会保障の充実」です。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2024年5月29日付掲載


中央政府の普通国債残高も1000兆円を超えました。財務省「後年度負担影響試算」は1%の利上げで国債利払い費が即刻3・7兆円増加すると。
民間金融機関の「要注意先債権」が再び60兆円を超えたと。
したがってアベノミクスからの「出口戦略」は単純に、いつ、どのタイミングで利上げ、金融政策の正常化を進めるかを考えるだけでは失敗します。
円安・インフレを止めるために利上げは避けられないからこそ、金利が上がっても企業も家計も困らない、充分な危機対策を講じて「利上げできる環境」づくりをしなければなりません。その十分な危機対策とは「最低賃金全国一律1500円と中小企業支援」「消費税減税」「社会保障の充実」です。
かつて、定期預金の金利が7%近くあった34年前は経済成長していたからね。金利を払うだけの経済力があったってこと。
それを再現する施策が必要。

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