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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

中小企業白書を読む(上) 賃上げ税制自慢するが

2024-05-27 07:21:05 | 経済・産業・中小企業対策など
中小企業白書を読む(上) 賃上げ税制自慢するが
政府が閣議決定した2024年版の中小企業白書は、岸田文雄政権が掲げる「物価高を上回る所得増」に応じ、中小企業の賃上げと価格転嫁に焦点をあてています。しかし、その分析も政策も中小企業の実態からはかけ離れたものです。
(清水渡)

白書によると、24年に賃上げを実施予定だとこたえた中小企業の割合が61・3%で22年(45・8%)、23年(58・2%)を上回りました。ただし「業績が好調・改善しているため賃上げを実施予定」は24・4%にとどまり、「業績の改善が見られないが賃上げを実施予定」が36・9%と賃上げ予定企業の6割を占めました。
業績が改善していないのにもかかわらず賃上げする最大の理由は「人材の確保・採用」です。人手不足とされるもとで、収益を圧迫してでも雇用を確保しなければならない中小企業の苦境が忍ばれます。

保険料軽減なし
白書は賃上げをさらにすすめていくための施策として「賃上げ促進税制の延長・拡充」を紹介。しかし、この制度は企業が賃上げをした場合に法人税を控除するものです。赤字企業にはそもそも恩恵がありません。24年度の「税制改正」で法人税から引ききれなかった控除額を5年間繰り越せる拡充をしました。白書は「こうした措置により、厳しい経営状況でも賃上げに取り組む企業を後押ししていく」と胸を張りますが、5年以内に十分な黒字額を確保できる保証はありません。むしろ中小企業で賃上げを実現するためには、社会保険料の軽減や直接支援が有効です。しかしそのことには一言も触れません。




都合のいい解釈
中小企業の経営が苦しくなっている要因の一つは原材料高騰や賃上げに伴う財政負担を価格転嫁しづらいからです。白書は「中小企業の賃上げの原資確保を進めるためにも、仕入価格上昇に対する販売価格への転嫁が重要な課題」だと強調します。
しかし白書によると仕入れ価格の上昇分を販売価格に転嫁できている割合(価格転嫁率)は23年9月段階で45・7%で、コスト増加分の半分も転嫁できていません。しかも、22年9月の46・9%、23年3月の47・6%よりも下がっています。白書は「コスト上昇が一巡したことも受け、価格転嫁を不要と考える企業が増加傾向にあることが示唆される」などと政府に都合のいい解釈を垂れ流す能天気ぶりです。
(つづく)(2回連載です)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2024年5月22日付掲載


むしろ中小企業で賃上げを実現するためには、社会保険料の軽減や直接支援が有効。しかしそのことには一言も触れません。
白書によると仕入れ価格の上昇分を販売価格に転嫁できている割合(価格転嫁率)は23年9月段階で45・7%で、コスト増加分の半分も転嫁できていません。
白書は「コスト上昇が一巡したことも受け、価格転嫁を不要と考える企業が増加傾向にあることが示唆される」などと政府に都合のいい解釈を垂れ流す能天気ぶり。

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