きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

ベトナムと50年① なぜアメリカに勝てたのか

2019-02-26 16:12:02 | 国際政治
ベトナムと50年① なぜアメリカに勝てたのか
鈴木 勝比古
すずき・かつひこ 1944年生まれ。ブリージャーナリスト。大阪外大ロシア語科卒業後、69年11月~73年7月、ハノイ総合大学ベトナム語科に留学・卒業。赤旗記者として75年から5期、約10年半ベトナム特派員

私がベトナムを初めて訪れたのは1969年、今年が50年の節目だ。ベトナム戦争からドイモイ(刷新)へと激動の時代を生きた人々と社会を見続けた私の思いをつづってみたい。

1946年から75年までつづいた、国の独立と統一、完全解放をめざす抗仏戦争と抗米戦争。その大半を南部の戦場でたたかった作家グエン・ゴック(86)の現在の願いは、「平和の中でのベトナムの健全な発展」である。平和を願う思いは人一倍強い。
私は一昨年、氏の著書『海のホーチミン・ルート』(光陽出版社)を翻訳、出版した。ベトナム戦争中にチョンソン山脈を切り開いた北から南への補給路「陸のホーチミン・ルート」は知られているが、南シナ海が舞台の「海のホーチミン・ルート」作戦は知られていない。「この海上作戦を日本の読者に伝えたい」「なぜ小国ベトナムが大国アメリカに勝てたのか解き明かす鍵がここにある」。その思いが私を翻訳に駆り立て、グエン・ゴック氏の来日招待運動につながった。
ゴック氏は、昨年11月、10日間の滞在中に東京、名古屋、京都、奈良、大阪を訪問。「なぜ小国ベトナムが大国アメリカに勝てたのか」と題して講演し、この本で描いた感動的なエピソードを紹介した。わが家で、自分の持ち場で、ひっそりと夫の帰りを待ち、孤独に耐える女性たち。夫を大きな愛で包み、子どもたちを育てているが、困難を乗り越える勇気を持ち、解放闘争に貢献する―。
「無数の名もない人たち、とりわけ女性がこの海上作戦を支えた。数十万、数百万の民衆の解放戦争への献身が大国アメリカに勝利する力となった」と強調した。どの会場でも共感の大きな拍手が起きた。



京都・清水寺で。グエン・ゴックさん(左)と案内する大西晧久(こうきゅう)さん=2018年11月

2日目の歓迎会で、元気の秘訣を聞かれた氏は、自分のことではなく、「ベトナムに、わが子、夫を解放戦争で亡くした母親英雄と呼ばれる女性たちがいる。
母親英雄は総じて長生きだ。母親にとって自分の子どもが死ぬことほどの苦しみはない。その苦しみが彼女たちの心身を強くしたのだ」と答えた。
最後の大阪の講演会が終わった後、私はゴック氏を誘って近くの回転ずし店で遅い夕食をとった。店には5~6人のベトナムの若い男女が働いていた。かつて教科書で読んだことがある作家のグエン・ゴック氏だとわかると、彼らは歓声をあげうれしそうにあいさつした。ゴック氏もねぎらいの言葉をかけた。
異国の地で深夜働くベトナムの若者の姿に、ゴック氏は戦争当時とは違う過酷な現実を垣間見たかもしれない。しかし、楽しそうな、屈託のない彼らの表情に、氏は若者たちのたくましさを感じたようだった。

「しんぶん赤旗」日刊紙 2019年1月30日付掲載


ベトナム戦争で、南シナ海を舞台にした「海のホーチミン・ルート」ってのがあったんですね。それも、女性が下支えしていたとは心強い。
コメント (2)
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする